◆現在開催中の足立篤史個展『archive』から展示作品のご紹介です。
(-8/1まで、有楽町駅前、阪急メンズ東京7階tagboatギャラリーにて)
「やっとモーターのコイルが温まってきたところだぜ」というセリフが聞こえてきそう!
この作品「# 2020」、”紙で作られた”「AKIRA」の金田のバイクです。
「AKIRA」は、大友克洋による伝説のマンガ(1982-90連載)・劇場アニメ(1988公開)。その主人公、金田が乗り回す赤いバイク。誰もみたことが無い形なのに、かっこいいと当時評判になりました。
”1988年7月、関東地区に新型爆弾が使用され、第三次世界大戦が勃発した。
31年後、2019年東京湾上に構築されたメガロポリス、ネオ東京は翌年にオリンピック開催を控え、かつての繁栄を取り戻しつつあった。健康優良不良少年グループのリーダー・金田は、荒廃した都市でバイクを駆り、暴走と抗争を繰り返していた。
ある夜、仲間の鉄雄は暴走中、奇怪な実験体の少年と遭遇し、転倒負傷。呆然とする金田たちの前で、彼らは軍の研究所へと連れ去られてしまう。鉄雄救出のために研究所へ潜入を試みる金田。だが、彼はそこで過度の人体実験により新たな「力」に覚醒した狂気の鉄雄を見る。
一方、研究所内の特殊ベビールームでは、実験体の少女が「最高機密=アキラ」の目覚めを予言。鉄雄は自らの力の謎に近づくべく、地下深く眠る「アキラ」への接近を開始した―”
あらすじを読むだけで、あの真っ赤に燃えるような映像が思い出され、何度でも観たくなります。
ストーリーも画も映像も、約40年前に連載開始というのに、大友監督の予知能力?、時代を先行く力には、度肝を抜かれますね。
さて、この作品「#2020」。
足立は、2013年、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催が決定したときに、“「AKIRA」のストーリーが現実に!”と思ったそう。
そこから着想を得たこの金田バイク。マンガや映像、マニアの方のサイトなどを見て、作り始めたものの、マンガだと画が変わったり、そもそもどうやって乗るんだ?!と苦心。そんな苦労の成果は、細部までこだわった作りに表れています。
しかも、全て紙で作られているんです。
そして、表面は、2013年の新聞記事、“2020東京招致成功!”で覆われています。
夢!希望!情熱!輝!祭!2020!
けれど、「AKIRA」の中では、その後、東京には、口にするのもはばかられるほど悲惨な未来が待っていました。オリンピック会場での帝国軍やアメリカ軍との混戦、そして、鉄雄が、金田が、AKIRAが、、、!!!ラストでは、「大東京帝国AKIRA」をバイクで駆け抜ける金田。
この「AKIRA」、渋谷PARCOの工事防護壁に、定期的に変えながら掲示され、海外の方が記念写真を撮るなど話題のスポットにもなりました。2020年には4Kリマスターセット販売、2021年にはハリウッドの実写版映画公開です。時代が「AKIRA」に追いついてきたのかもしれません。
また、別の展示作品「TETSUJIN」のモチーフ「鉄人28号」とのリンクはご存じですか?
大友監督は、「鉄人28号」に強い影響を受けており、主人公の名前は、なんと全く同じ「金田正太郎」。鉄雄の名前、島鉄雄も「鉄人28号」に登場する敷島博士(金田少年の育ての親)の息子の敷島鉄雄から取っているんです。(ちなみに、大友監督は、黒澤明監督も好きで、名前から、「AKIRA」のタイトルを拝借しています。)
「鉄人」と「超能力」、「善いも悪いもリモコン次第」、それを操る人間次第。
「アキラは俺たちの中に生きているぞ。」
「AKIRA」好きの方、ぜひ実物をご高覧ください!
有楽町駅前阪急メンズ7階tagboatギャラリーにてお待ちしております。
*全ての作品、写真撮影OKです!