前回まで2回にわたって、

セッションにおける戦略とは何なのか、

そしてその具体的方法について解説しました。

 

今回でセッションの戦略についてお話するのは最後です。

最後は、戦略的にセッションを進めるにあたって、

コーチに求められることに関して解説します。

 

 

コーチに求められること

セッションを戦略的に進めるにあたって、

コーチに求められることは大きく分けて6つあります。

 

(1)クライアントの性格タイプに応じたコーチングを行う

(2)直感を働かせる

(3)コーチが行う提案・情報提供

(4)クライアントの「気づき」をサポートする

(5)クライアントの目標達成をサポートする

(6)得意分野とそれについてのリソースを持つ

 

それでは、それぞれについて詳しく確認していきましょう。

 

 

( 1 ) クライアントの性格タイプに応じたコーチングを行う

前項で学習したように、コーチはクライアントの期待や要望に応じたコーチングを行ないます。

 

また、期待や要望の種類に応じて相手の性格・タイプを見極め、最も適したコーチングを実施す ることを心がけます。

 

但し、クライアントの期待や要望はセッションを重ねていくにつれ変化するものであり、

その時々の状況によって変化します。

 

したがって、クライアントの性格タイプを固定観念で捉えないように留意する必要があります。

 

クライアントの言葉や言葉以外のメッセ ージをしっかりと「聴く」ことにより、

クライアントの期待や要望を敏感に感じ取り、最も適したスタイルでのコーチングを実施していくことが大切です。

 

 

 

( 2 ) 直感を働かせる

感情に関連する質問は答えるのに適切な表現を見つけるのが難しく、なかなか本音で答えにく いものです。

 

したがってコーチは、クライアントの言葉以外のものを聴き取る必要があります。

 

そこで求められるのは、コーチの「直感」です。

コーチングにおいて「直感」は非常に重要な働きをします。

 

 

相手の感情を感じ取ることのほか、質問やフィードバック、リクエストのスキルを 使う際も、

「直感」を働かせることが不可欠です。

 

 

( 3 ) コーチが行う提案・情報提供

コーチは教えることはしませんが、提案をすることはあります。

 

多くのクライアントは、 コーチからの有効な提案を期待し、歓迎もします。

但し、その提案はクライアントへの押し付けや指示であってはなりません。

 

提案を受け入れ、実行するかどうかはクライアントの判断にかかっています。

 

したがって、コーチがクライアントに対して提案を行なう場合、

「一つ提案しても良いですか」

のように断りを入れてから提案を行なうのが良いでしょう。

 

提案のほか、コーチ がクライアントのためにできることとして、情報提供があります。

 

クライアントにとって役に立 つと思われる情報は、出し惜しみせず提供します。

この場合も提案と同様、その情報を実際に活用するかどうかはクライアント次第です。

 

 

( 4 ) クライアントの「気づき」をサポートする

視点を移動する質問やフィードバックのスキルは、クライアントの気づきを促すのに極めて有効ですが、

気づきを促す方法はそれだけとは限りません。

 

コーチングの目標を達成するために、

クライアントとのやりとりで得た多岐にわたる情報を整理・総合・吟味し、

その結果を率直に伝えることによって気づきを促す方法もあります。

 

また、それらに対するコーチ自身の考えを

クライアントが主役であることを損なわずに伝えることも有効です。

 

 

 

( 5 ) クライアントの目標達成をサポートする

コーチの役割はクライアントの目標達成をサポートすることです。

 

 

極端に言えば、クライアント の目標達成の助けになることであれば何をしても良いということです。

 

クライアントとの協働のあり方にはさまざまなバリエーションがあり、

その時その時で、最も効果的な選択をするこ とが求められます。

 

コーチングの原則は、クライアントに教えることをせず自分で考えてもらうことですが、

その本質的な意味合いは、

クライアント自身の「気づき」を促し、成長をサポー トすることに他なりません。

 

そこにつながるのであれば、教えることやその他のサポートをすることに躊躇する必要はありません。

 

また、セッション時間中だけサポートをするのではなく、

セッション時間外でも、さまざまな形でサポートを提供する姿勢を見せることも大切です。

 

クラアントは、自分の目標の達成のために一生懸命に取り組むコーチの姿を見て、さらに信頼感を強 めることでしょう。

 

 

( 6 ) 得意分野とそれについてのリソースを持つ

相手の中から答えを引き出すコーチングは、あらゆる対象・場面において通用するスキルです。

 

その時々のテーマに則した専門知識が特に必要とされない場面も多くあります。

 

しかし、クライアントをよりよくサポートするためには、

上述のような提案や情報提供といった行為も必要となります。

 

それができるコーチとなるためには、

コーチとしての得意分野とリソース(情報源)を 確立しておくことが求められます。

 

将来、プロコーチとしてクライアントを獲得と契約する(セ ッションを依頼される)ことを考えてみてください。

 

単純に「私はコーチです」と言うより、「 私は○○を得意とするコーチです」と言った方が、

はるかにクライアントを獲得との契約に繋がりやすいはずです。

 

コーチングのテーマによっては、

自分の得意分野ではないためクライアン トにそれを得意とするコーチを紹介した方が良い

と感じる場面にも遭遇します。

 

そのような場合に備え、常日頃他のコーチとの交流を深めておき

それぞれの得意分野を知っておくと良いでしょう。

 

あるいは、クライアントの学びに役に立つ他のリソース(例:書籍、他の専門家)を、

クライアント自身が見つけ、利用できるように、セッションの中でサポートすることも必要です。

 

 

 

 

まとめ

3回に分けて、セッションの戦略について解説してきましたが、

理解していただけましたか?

 

クライアントが行動を起こしやすくなるために、

また、クライアントの満足度の高いセッションが運営できるために、

有効な戦略を組み立て、セッションにおいて実行できるようになりましょう。

 

 

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作成者 : 渡邉 大介

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