応用編⑤セッションの戦略(効果的な進め方)
2019年10月29日 04:25
コーチングは、
クライアントの話に耳を傾け、
「すべての答えは本人が持っている」という考え方(コーチング・マインド)に立ち、
クライアントの中にあるものを引き出していく
コミュニケ ーションスキルです。
したがって、コーチ自身が持っている考えや答えへとクライアントを導くのではありません。
コーチングにおける「戦略」は、
クライアントが真の目標達成へ向けての行動を起こしやすくするための、
セッションの運営方針や方向性のことを指します。
言い方を変えれば、
セッションにおいて何に焦点を当てることでそれを実現するかが、
セッションの戦略と言えます。
(※「セッションの戦略」は、
「クライアントが目標を達成するために必要な戦略(目標達成の戦略)」とは
異なることに注意が必要です。
「セッションの戦略」とは、
クライアントから 「目標達成の戦略」を引き出すことも含め、
セッションをどのように運営するかのことを指します。)
戦略には、各回のセッションごとの戦略と、
数週間から数ヶ月単位での戦略があります。
ここでは、前者を「短期の戦略」、後者を「長期の戦略」と呼びます。
(1)長期の戦略
長期の戦略とは、数週間から数ヶ月単位での戦略です。
コーチングの契約は、通常3ヶ月間が一 つの単位となり、
何らかのテーマを持った上で開始しますので、
「3ヶ月後にはどのような状態になっていたいですか」のように
着地点(コーチングの目標)をまずは確認しておかなければなりません。
その状態に至るために、セッションをどのように重ねていくのかが、
長期の戦略となります。
コーチングを一定期間進めていくと、
当初設定していたテーマから離れていくことがあ ります。
コーチングは、クライアントが本当に「ヤリタイ」ことをやり、
「ナリタイ」自分になるのをサポートすることが目的です。
コーチングを開始した後に、
本当の「ヤリタイ」ことや「ナリタイ」自分に気づくケースも珍しくありません。
そのような場合、その後のセッションは、
何に焦点を当てて進めていくか、クライアントとの間で確認・共有しておきます。
( 2 ) 短期の戦略
短期の戦略とは、各回のセッションごとの戦略です。
まずはセッションの冒頭で
「今回のセッションではどこまで決めることができれば良いですか?」
のように着地点(そのセッションの目標) を尋ねておくと良いでしょう。
それにより、どこに焦点を当ててセッションを進めるのが良いか、
クライアントとの間で確認・共有がしやすくなります。
但し、セッションの中でのクライアントの言葉や態度に応じて、
臨機応変に対応していくことが大切になります。
事前に戦略を描くあま り、
クライアントの想定外の発言に対応できないようでは困ります。
コーチの描くストーリーにクライアントを無理矢理合わせるのではなく、
クライアントの進みたい方向(=より行動に結び つきやすい方向)を捉えながら
進める必要があります。
また、一回のセッションの中で当てるべ き焦点が一つだけとは限りません。
次回は
セッションの戦略についての具体的方法を解説します!
作成者 : 渡邉 大介