基本スキル編③「伝える」スキル-1
2019年09月16日 04:16
3大基本スキル、最後は「伝える」スキル。
「聴く」スキル、「質問する」スキルを使って
引き出したクライアントの言葉、思い、態度に対して
あなたが感じたことなどをそのまま伝えます。
目次
「伝える」スキル
「フィードバックする」とは
コーチに求められること
「フィードバックする」の具体的方法
「フィードバックする」ときの留意点
フィードバックの効果
まとめ
「伝える」スキル
コーチがクライアントから感じたものを伝えることにより、
自分(相手)自身では見えていないことに意識が向き、
その結果、気づきが生まれます。
コーチが感じたものをニュートラル(中立的)に、
感じたままに伝えることが基本となりますが、
クライアントに対するポジティブなフィードバックは励ましになります。
また、たとえネガティブなフィードバックであっても、
信頼関係をベースに正直に伝えることで、
より深いコミュニケーションを図ることができるようになります。
いずれの場合も、クライアントの気づきを促すのに効果的です。
「フィードバックする」とは
「フィードバックする」の目的は、
「クライアントの気づきを促すこと」であり、
相手の 話を聴いて、感じたこと、見えたこと、聞こえたこと等を、
そのまま伝えることです。
それらが、相手が話している内容と食い違っていたとしてもそれを伝えます。
話していない部分が話している内容と逆の場合もありますが、率直に伝えます。
フィードバックは信頼関係をベースに正直に伝えることで、
より深いコミュニケーションを図ることができるようになります。
また、コーチ自身も成長の為に、自らフィードバックを求める必要があります。
他者から見た自分と、自分がイメージしている自分とでは、
意外にかい離があるものです。
事実を正確に掴むには、
たくさんの人からフィードバックを受ける必要があります。
定期的にフィードバックを受ける仕組みを持つことも重要なことです。
※ポジティブなこともネガティブなことも、正直に伝えます。
そうすることで、クライアントは
今の自分の様子を客観的に認識できるようになります。
クライアントは自分に見えていないものをコーチに求めており、
コーチはクライアントの“鏡”の役割を果たします。
フィードバックのスキルは、以下のようなタイミングで使用すると効果的です。
①クライアントの視点が固定化して堂々巡りをしている時
②一つのテーマが終了し、区切りをつけて次に進めたい時
③コーチの質問が連続した後、少し緊張をほぐしたい時
④言葉以外のものを感じとり、言葉等との食い違いを感じた時
また、フィードバックの対象はクライアントの直前の言葉だけではありません。
その回のセッショ ン全体、
あるいはコーチング全体についてもフィードバックの対象となります。
コーチに求められること
( 1 ) クライアントの言葉以外の情報も聴き(感じ)取る
前提として、「聴く」スキルをしっかりと身に付けておく必要があります。
( 2 ) 自己基盤を強固にし、フィードバックを躊躇しない
時には勇気が必要です。
「こんなことを言ってしまっていいだろうか。」
「クライアントに失礼ではないだろうか。」
「こんなことを言ってしまったら嫌われてしまうのではないか。」
「クライ アントを傷つけてしまうのではないか。」
といった思いを克服することが求められます。
クライアントに尊敬や思いやりの気持ちを抱き、
クライアントの感情を共有します。
そのためにも、より強固な自己基盤が求められます。
( 3 ) 自分の直感に従い、それを簡潔に言語化する
自身の直感に耳を傾け、
自分の思いに正直でいる強い意志が求められます。
自分が何を感じたのかを敏感に察知し、
それを明確かつ簡潔に言語化する能力が求められます。
「フィードバックする」の具体的方法
( 1 ) クライアントの許可を得て行なう
例)「聴いていて感じたことをお伝えてしてもいいですか?」
(前振りをし、相手に心の準備をしてもらう)
( 2 ) コーチが感じたことを「Iメッセージ」を使って伝える
私には、~のように
聞こえます (聴覚)
見えます (視覚)
感じ取れます (感覚)
受け取れます (感覚)
伝わってきます(感覚)
例)「私には、あなたが本当にやりたいことは別にあるように聞こえてきます。」
「私には、あなたが心から楽しんでいるように見えます。」
「私には、あなたが不安に感じているように受け取れます。」
( 3 )「 YOUメッセージ」を使って伝える
「あなたは、○○です。」「あなたは、○○しました。」
相手が取っている行動や状況から見える事、
聞こえる事を客観的事実を伝えます。
評価や忠告 ではありません。
事実をありのまま伝える(客観的事実)フィードバックは、
体温計や体重計 などイメージしていただくとわかりやすいです。
例)「あなたは、朝5時に起きました。」
「あなたは、手の震えが止まりました。」
「あなたは、セッション中5回楽しいと言われました。」
( 4 ) メタファー(比喩)
神話、伝説、おとぎ話、他人の経験、またイメージで、
これから伝えるコンセプトやプロセスの持つ意味や展開に類似した話、
イメージを探します。
物語はポジティブな結末で終わるのが良いでしょう。
例)「私には、あなたが冒険に出発する主人公の様に見えます。」
( 5 ) コーチが感じていることを確認する
例)「お話を伺っていると、~のように感じ取れますが、そうですか?」
「フィードバックする」時の留意点
( 1 ) 自分の直感を信じ、短く伝える
自分の直感を信じ、感じたことをそのままにせず、
キチンとクライアントに伝えます。
また、長々としたフィードバックは、効果が損なわれます。
クライアントの言葉への反応とし て、
「聴く」スキルの延長のつもりで、簡潔に短く行ないます。
( 2 )「 思ったこと」ではなく、「感じたこと」を伝える
フィードバックのスキルを使う際は、
クライアントの話を聞いて、
「思ったこと」や「考えたこと」を伝えるのではなく、
コーチ自身の「視覚」や「聴覚」などの五感や直感などで
感じ 取ったことを伝えるようにします。
以下のコーチの発言のうち、「フィードバックする」スキルはどれでしょうか。
①「私も、お子さんがとても喜ぶだろうな、と思いました。」
②「私も、『最近、親孝行していなかったなぁ』と思いました。」
③「今の話を聴いていて、私も『それはあんまりだ』と思いました。」
④「私には、(あなたが)心から楽しみにされているように伝わってきました。」
⑤「私には、(あなたが)そのことを納得していないように感じました。」
( 3 ) 押し付けたり、コントロールに使わない
押し付けがましくならないように気をつけ、
信頼関係を損なわないようにします。
また、クライアントを自分の思いのままに
コントロールするために利用してはいけません。
フィードバックの効果
① 周りに発している言動や自分の現状を客観的にキャッチできる
② 他の人が、自分からどの様な影響を受けているか認識できる
③ 自身の大事にしていること(価値観)に気づく
④ 自分のあり方を認識する
⑤ 物の捉え方が変わる
⑥ 気づきが起こる(深まる)
⑦ 選択肢が広がる
⑧ 今の自分の状況を確認できる
⑨ 行動を起こすきっかけになる
まとめ
コーチがクライアントに的確にフィードバックを行うことで、
クライアントの気づきを促し、
さらなる行動を起こさせるきっかけになるのです。
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作成者 : 渡邉 大介