今回は、数少ないキャンベルタウンのシングルモルトの一つ、グレンスコシアのキャンベルタウンハーバーを飲みます。

長き沈黙の後に復活

_DSC4128_01スコットランド西部のキャンベルタウンは、大西洋に面した港もあり、アメリカへの輸出を中心としたウイスキーの蒸溜所が、最盛期には34も存在したウイスキーの大規模な生産地でした。

その中の一つが、1832年に創業したグレンスコシアでした。

しかしアメリカで禁酒法が施行されると、輸出目的で生産していた蒸溜所は大打撃を受け、しかも量を重視したためにキャンベルタウンの原酒の質が悪化したことで国内での消費も少なく、最終的にスプリングバンクとグレンスコシアの2つの蒸溜所しか残らなくなりました。

そのグレンスコシアも、1930年に多額の負債を抱えて閉鎖、1933年には新しいオーナーの元で再興しますが、オーナーが幾度も変わり、1982年に再び閉鎖されます。

1994年にあたらなオーナーによって買収された後、1999年に小規模ながら生産を再開しました。
そして2014年には南ハイランド地方にあるロッホ・ローモンド社が買収、大規模な蒸溜所の改修を行った後、本格的な生産を始めました。

今回飲むキャンベルタウンハーバーは、グレンスコシアのボトルとしてはエントリーモデルに当たります。
原酒はすべてファーストフィルのバーボン樽熟成のものになっています。

潮の香りを伴うスモーキーさは控えめ

グラスからの香り、味わい

グラスからはスモーキーさと共にマスカットのような若々しいフルーツの香りが感じられます。
液色は少々淡い琥珀色です。

ストレート

口に含むと、潮の香りを伴うスモーキーな香りが広がり、奥からマスカット、レモン、青リンゴの香りが続きます。

味わいは、アルコールからの辛みが少々強めで、苦みが広がった後、酸味が締める印象です。

ロック

塩気のあるピートの香りが先に訪れ、レモン、ブドウの香りが続きます。そして残り香のようにバニラも感じられます。

味わいは、ピートにつられるようにしょっぱさが先にやってきて、続いて苦み、酸味へと続きます。

ハイボール

スモーキーな香りは衰えが無く、そこにレモンの爽やかさと潮の香りが伴って感じます。

味わいは、苦みが全体的に感じられ、その奥から酸味が続きます。

まとめ

キャベルタウンならではの潮の香りを強く感じるピートを得られますが、スプリングバンクに比べると比較的抑えめな印象です。

スプリングバンクでは塩辛さも感じられるような強烈なピートを持っていますが、キャンベルタウンハーバーは抑え気味の印象でした。
他のボトルがどれだけのものになるかは、今後飲んでみないとわかりませんが、キャンベルタウンモルトを感じる上では比較的初心者向けかも知れません。

700mL、アルコール度数40度、価格は4000円ほどです。

<個人的評価>

  • 香り B: 潮の香りを伴うスモーキーな香りの後、マスカット、レモン、青リンゴのフレッシュなフルーツ。
  • 味わい C: しょっぱさを感じながらも苦みがメインで、後から酸味がついてくる印象。
  • 総評 B: 思ったほど癖が強くなく、キャンベルタウンのモルトを初めて楽しむには適切かも。