若手警察官の成長劇と思わせて挫折するように去っていく日々や、911テロにおけるブッシュ大統領の動向などが紹介された。
軽口をまじえながら危機のなかを動いていく米大統領の動きは、娯楽サスペンスのような興味深さはあった。
しかしテロとの戦いをブッシュ大統領が宣言して終わる構成に困惑させられる。その後の八つ当たりのようなイラク戦争の開始と、日本政府の加担は、過ぎ去った過去ではない。ちょうど二十年前の歴史になりつつも現代まで尾を引く出来事だからこそ、ていねいな文脈の提示は必要なのではないか。
最後に紹介されたのは、女性ゆえに軽視されてきたキリン研究者アン・ダッグが、時をへてリスペクトされるまでの半生記。
性別を誤魔化すようにアフリカ現地に飛びこんでホームステイさせてもらうバイタリティがすごいし*1、長期間にわたってキリンを観察してさまざまな発見をした研究成果も興味深い。
もちろん研究におけるジェンダーバイアスの害悪ぶりや、それを克服しようとする現代の研究者たちの姿もドキュメンタリとして見どころだった。
*1:なお、こちらのナショナルジオグラフィック記事によると、模様が遺伝する発見などで動物園での観察もおこなっていたようだ。 style.nikkei.com