パソコンを構成する、必要不可欠な周辺機器のひとつ「キーボード」。業務によっては、1日中手が離せない方も多いと思います。現在流通しているキーボードは、主に「QWERTY(クワティ)配列」が採用されています。ご存知の方も多いと思いますが、アルファベット・キー上段左側からQ、W、E、R、Tのキー配列になっていることが由来とされています。 この文字配列は19世紀に完成したものですが、キーを高速に打鍵する為には、決して合理的な配置ではないと言われています。黎明期(れいめいき)の機械式タイプライターは、高速にキーボードを打鍵すると、文字を打ち付けるアームが絡まってしまう問題が生じた為、打鍵スピードを出来るだけ遅くするために非効率なキー配列が考案されたそうです。他にも諸説あるようですが、タイプライターの性能向上と共に使用頻度の高いキーを打ちやすい位置に配した、より合理的なキーボードが幾つも考案されてきました。
「QWERTY配列」という呼称が一般的に認識されたのは、米国の経済学者ボール・ディビッドが、1985年に著した論文のサブタイトル(QWERTYの経済学)と考えられています。論文の中で彼は、キーボードのQWERTYという奇妙な配列に疑問を投げかけます。そして前述のように、より合理的なキー配列のキーボードが考案されているのに、なぜ非効率なキー配列のキーボードが市場を席捲しているのか?考察し、合理的且つ優れた物が必ず市場を独占するのではないことを論じています。身近な製品やサービスから、このような経済学が導かれるのは、とても面白いですね。
QWERTYのキー配列は同じですが、今や店頭には様々な特長を備えたキーボードが多数販売されています。またノートPCの場合 本体と一体化しているので、キーボードだけ買い換えることを検討されることは少ないかもしれません。より快適なキー入力環境を試してみたい方、或いはキーボード故障時の代替品購入検討される際に、今回のコラムをご参考頂ければと思います。
キーボードの種類(スイッチ)
№ | 方式 | 打鍵感 (キータッチ) |
価格 | 動作音 | 耐久性 | 長時間の キー入力対応 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | メンブレンスイッチ | △ | 安 | 小 | △ | △ |
2 | メカニカルスイッチ | ◎ | 高 | 大 | ◎ | ◎ |
3 | 静電容量無接点 | ◎ | 高 | 小 | ◎ | ◎ |
メンブレンスイッチ
2枚の導電シート間に穴が開いた絶縁シートを挟み、キー押印すると上下の通電シートが触れることで信号入力行う方式です。メンブレン(Membrane)は、日本語で「膜、薄膜」を意味します。製造コストが抑えられる為、現在最も普及している方式です。
本方式のキー構造には、主に2種類あります。
ラバードーム型
パンタグラフ型
電車のパンタグラフのような形状を持つ方式です。現在のノートパソコンの多くに採用されています。構造は薄く、軽いキータッチで反応します。前項(ラバードーム)と比して、指への負担が少ないと言われています。
メカニカルスイッチ
静電容量無接点
静電容量の変化でキー入力を検知する方式。機械接点が無いため静音、且つ耐久性や打鍵感(キータッチ)を高められる特長があります。一般的に、市場価格は高価です。
(参考)普及価格帯
メンブレン方式1,000円 – 5,000円 / 静電容量無接点方式 10,000円 – 40,000円程度
キーボードの種類(デザイン)
キーボード選択にあたって、前述「使い心地」は大切な要素ですが、そもそも使用目的と用途に合った製品を選ぶことが肝要です。
- <選択のポイント>
- 適用するPCのタイプ Windows用 or Apple用
- 入力する主な文字の種類
- <USキーボード(英語配列)> 英・数字のみのキーボード *ひらがなはプリントなし
- <JISキーボード(日本語配列)> キー・トップに、ひらがなとアルファベットがプリント
(注意)USキーボードとキー配列が一部異なる
- PC接続方式 ;有線 or 無線
無線タイプはケーブル・レスによる設置場所の制限がなくなることで、有線タイプより効率的な作業スペースの構築が出来ます。一方、有線タイプのキーボードは、USBポートにケーブル接続するだけで使用可能です。また電池がいらないので、無線タイプのような電池切れの心配がありません。
- その他「テンキー」は、数字入力の多い業務の方は必要かもしれません。
*文字入力に特化したキーボードは、テンキーが搭載されていません。
長時間のキーボード入力は指や手首、そして体全体に大きな負担が生じている場合があります。
適切に休憩を取ることは申し上げる迄もありませんが、自分にあった使用機器の環境を整えることも、健康を守るひとつの手段だと思います。
お手元のキーボードは自分にあったものか、一度ご検討されてみては如何でしょうか?