「国家公務員ってなんか難しそうで、自分には無理。」
「国家公務員って全国転勤か、そうでなくても転勤が多いから嫌だ。」
こんな風に考えている方はいらっしゃいませんか。
確かに全国転勤の職種もあります。
ですが、広くてもせいぜい一つの都道府県内でしか異動がない国家公務員も多くあります。
また、省庁をまたいでの異動もありません。
なので、地元で、働いて専門性を高めていくことができる職務に従事することもできます。
本稿では、そんな希望を叶えることができる国家「一般職」について解説します。
ぜひ参考にして、将来の選択肢を広げてください!
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目次
令和4年度(2022年度)国家一般職(大卒程度)試験日程
申込受付期間 | 3月18日(金)~4月4日(月) |
第1次試験日 | 6月12日(日) |
第1次試験合格者発表日 | 7月6日(水) |
第2次試験日 人物 | 7月13日(水)~7月29日(金) |
最終合格者発表日 | 8月16日(火) |
国家「一般職」とはどんな仕事?
国家一般職の採用区分
国家一般職の採用区分には、行政系と専門性を活かした技術系の各区分に分けられます。
行政は、採用人数が多く、全国9地域に分けて試験が実施され、採用は各地域または本府省であります。
2020年度国家一般職試験(大卒程度試験)地域別採用予定数(人事院資料より)
区分 | 各地域 | 本府省※ | |
行政 | 北海道地域 | 約 200 名 | 約 560 名 |
東北地域 | 約 200 名 | ||
関東甲信越地域 | 約 680 名 | ||
東海北陸地域 | 約 300 名 | ||
近畿地域 | 約 320 名 | ||
中国地域 | 約 220 名 | ||
四国地域 | 約 90 名 | ||
九州地域 | 約 300 名 | ||
沖縄地域 | 約 110 名 | ||
技術 | 電気・電子・情報 | 約 250 名 | |
機械 | 約 110 名 | ||
土木 | 約 320 名 | ||
建築 | 約 80 名 | ||
物理 | 約 150 名 | ||
化学 | 約 70 名 | ||
農学 | 約 100 名 | ||
農業農村工学 | 約 40 名 | ||
林学 | 約80名 |
※「行政」区分における本府省への採用については、「行政関東甲信越地域」からの採用が中心となりますが、全国から有為の人材を確保できるようにするという観点から、それ以外の地域からも採用が可能となっています。
勤務条件や研修について※人事院の採用NAVIより
勤務時間・休暇等
国家公務員の勤務時間は原則として、1日7時間45分で、土曜日、日曜日及び祝日等の休日は休みです。
休暇には、年20日の年次休暇(4月1日採用の場合、採用の年は15日)のほか、病気休暇、特別休暇(夏季、結婚、出産、忌引、ボランティア等)及び介護休暇があります。
また、ワーク・ライフ・バランス(仕事と家庭生活の両立)支援制度として、育児休業制度等があります。
給与
国家公務員の給与は、民間企業の基本給に相当する俸給と、地域手当、住居手当、通勤手当、期末・勤勉手当(いわゆるボーナス)などの手当からなっています。
一般職試験(大卒程度試験)で採用された場合の例:行政職員の初任給の概要(本府省採用の場合) |
行政職員(行政職俸給表(一)1級25号俸の場合) 俸給 182,200円、本府省業務調整手当 7,200円、地域手当 36,440円 合計 225,840円 注)法律の改正により、額が変動する場合があります。 |
研修
さらに、能力開発の場として、様々な研修機会が提供されます。
民間企業に比して驚くほど研修制度が充実しています。
→具体的な研修内容については冊子人事院の研修を見てみましょう。
国家「一般職」の試験制度は?
合格=内定ではないことに注意!
先にも述べましたように、国家一般職の採用試験は人事院という機関が一括して執り行っています。
試験は、
教養択一試験・専門択一試験・教養記述試験
↓
面接試験(人事院面接)
↓
最終合格
という流れをたどります。
ここで注意が必要なのは、
合格=採用ではないことです。
人事院が実施する試験に合格した後に希望官庁の面接(官庁訪問)を受けて合格して初めて採用(内定)となります。
例えば、食の安全を考えたいなら農林水産省、旅や観光に興味があるのなら観光庁、地方のインフラ整備を充実させる仕事がしたいなら地方整備局、薬物対策に尽力したいなら地方麻薬取締局、雇用支援の窓口業務を担当したいなら地方労働局、金融制度の企画立案や検査監督に従事したいなら金融庁、空港や港湾で人の出入りをチェックする入国管理局、物の出入りをチェックする税関……採用機関は非常に多岐にわたり、ご自身の志望や将来の夢、働く環境などに応じて採用先を選ぶことが可能です。
→各府省庁の仕事内容を知るためには人事院のHPを参考にしましょう。
参考までに、2020年度の近畿地域の採用予定人数の一部をご紹介しましょう。
法務省 | 地方検察庁 | 26名 |
法務局 | 30名 | |
財務省 | 大阪税関 | 22名 |
神戸税関 | 54名 | |
厚生労働省 | 各地労働局 | 78名 |
検疫所 | 9名 | |
国土交通省 | 近畿地方整備局 | 29名 |
いかがでしょうか。ほんの一例にすぎませんが、採用機関の種類、採用人数の多さにも驚きますよね。
→2020年の各地域・本府省での採用予定人数の詳細は人事院のHPをご覧ください。
国家公務員といっても、全国転勤ではない
前述しましたように、国家一般職は、全国9地域に分けて採用試験が実施されます。
採用時の勤務地は、各地域内の都道府県になります。
採用機関にもよりますが、転勤は広くても各地域内、機関によってはひとつの都道府県内に留まるところも多くあります。
受験地域は、現在の居住先による制限などはなく、自由に選択できます。
逆に言えば、勤務を希望する都道府県が含まれる地域を選んで受験が可能だということです。
国家一般職の試験に合格した後は、希望する所在地にある機関に官庁訪問をして、内定をもらえば採用になるわけです。
ただ、本府省での採用に関しては、「行政関東甲信越地域」からの採用が中心となっていますが、それ以外の地域からも採用されることもあります。
つまり、本府省の採用に限っては、受験地域に関わらず、官庁訪問が可能だということです。
例えば、近畿圏で就職したい方は近畿地域で受験する必要がある一方で、合格した場合、近畿圏だけでなく本府省(東京都)への官庁訪問も可能になります。
受験地域 | 採用時の勤務地等 | ||
行政 | 北海道地域 | 北海道 | 本府省 (東京都) |
東北地域 | 青森県 岩手県 山形県 福島県 宮城県 秋田県 | ||
関東甲信越地域 | 茨城県 栃木県 千葉県 東京都 神奈川県 山梨県 群馬県 埼玉県 新潟県 長野県 | ||
東海北陸地域 | 岐阜県 静岡県 愛知県 三重県 富山県 石川県 福井県 | ||
近畿地域 | 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県 | ||
中国地域 | 鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県 | ||
四国地域 | 徳島県 香川県 愛媛県 高知県 | ||
九州地域 | 福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県 | ||
沖縄地域 | 沖縄県 |
国家「一般職」の採用試験の特徴
国家一般職の試験は、下の表のように構成されています。
基礎能力試験は、高校までに勉強した英数国理社だと考えて良いでしょう。
ほぼ全ての公務員試験で出題されます。
専門試験は、基本的に大学で勉強した科目が出題されます。
非常に多くの科目の中から選択解答になっています。
これは、さまざまな分野で勉強した人を採用したいとの方針から来ています。
ここで、配点に注目して下さい。
国家一般職の試験科目の中で、最も配点が高いのが専門試験(4/9)なのがわかりますね。
同じ5肢択1試験の基礎能力試験の倍の配点です。
また、一般論文試験の配点(1/9)が低めです。
このあたりは、論文試験のウェイトが一般に高めの地方公務員との違いです。
国家一般職の筆記試験のポイントは専門試験でどれだけ得点を稼げるかと言うことになります。
試験 | 試験種目 | 配点 | 内容 |
1次試験 | 基礎能力試験 (5肢択1式) |
2/9 | 〇公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識についての筆記試験) ・知能分野27題 文章理解11、判断推理8、数的推理5、 資料解釈3 ・知識分野13題 自然・人文・社会13(時事を含む) |
専門試験 (5肢択1式) |
4/9 | 〇80題出題 40題解答 ・次の16科目(各5題)から8科目を選択、計40題解答 政治学、行政学、憲法、行政法、民法(総則及び物権)、 民法(債権、親族及び相続)、ミクロ経済学、マクロ経済学、 財政学・経済事情、経営学、国際関係、社会学、心理学、 教育学、英語(基礎)、英語(一般) |
|
一般論文試験 | 1/9 | 文章による表現力、課題に関する理解力などについての短い論文による筆記試験 | |
2次試験 | 人物試験 | 2/9 | 人柄、対人的能力などについての個別面接 |
よく、国家一般職の科目数の多さと、専門科目の配点の高さに、受験を躊躇される方がいます。
ですが、出題内容のレベルは決して高くありませんし、満点を取る必要もありません。
最低限の合格ラインを見据えて、効率的な学習方法を見極めることによって、筆記試験の突破は不可能ではありません。
国家「一般職」のここがおすすめ!
国家一般職のおすすめポイントは2つあります。
1つ目は、希望する地域で国家公務員として働けることです。
前述のように国家一般職は9ブロックに分けて採用試験が実施され、採用機関によったら、異動はひとつの都道府県内に止まる機関も少なくありません。
さらに付け加えると、国の機関は全国にあることから(場所や数は担当省庁によって異なりますが)、婚姻や家庭の都合などで、どうしても住む場所を変えなければならなくなった時に、希望する地域への移動ができる可能性があるということです。
筆者の教え子に、地元が東北なのですが、憧れていた京都市に就職された方がいました。
ですが、親御さんの都合でどうしても実家に帰らなくてはならなくなり、泣く泣く京都市を退職して地元に帰って再就職されました(頑張り屋さんだったので、再度公務員試験に合格されましたが)。
これが国家公務員であれば、転勤することで切り抜けられたかもしれませんね(もちろん、志望通りになるとは限りませんけど)。
2つめは、一定の職務のスペシャリストを目指せることです。
前述のように、国家一般職は希望の官庁から内定を得た官庁で働くことになりますし、官庁をまたいでの異動はありません(別企業と考えて結構です)。
つまり、採用された官庁の職務のスペシャリストを目指すことになります。
ここが、一般的に3〜4年おきに他部署への異動を繰り返す地方公務員との違いと言えます。
最後に
ここまで読んでこられていかがだったでしょうか。
科目の多さと、専門試験のウェイトの高さから、国家一般職の受験を躊躇される方がいます。
でも、もしやってみたい仕事、働きたい場所が国家一般職の中にあるなら、試験科目に左右されずチャレンジしてみてください。
決して人知を超えた難しい試験ではありません。
やりたいことに蓋をせず、可能性を信じるてトライすることが後悔しない就職につながります。
みなさんの人生の岐路において、本稿がお役に立てば幸いです。
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