id:GiGir氏の上記ツイートに重なるが、税金で運営されるものはメディアもふくめて市民すべての財産だ。
そのようなことを「飯 高順@debujunkun」氏のツイートを読みながら考えて、ひとつのたとえ話が頭に浮かんだ*1。
部員で金を出しあって、部長が選んだロッカーを購入した。
必要性から会議で決めて一年後のことだった。
待ちかねていた部員が、早い者勝ちで場所を選び、私物を入れて鍵をしめていく。
距離をとってながめていると、さっきまで搬入業者とやりとりしていた後輩が耳打ちしてきた。
「予算内で今日に間にあわせるため、鍵のかからないロッカーしか買えなかったみたいです」
まさか、と手近の鍵をまわすと手ごたえがない。
きちんと鍵をしめた状態で扉を引くと、かんたんにパカパカ開閉した。
まわりを見ると、先に扉を開け閉めしながら首をひねっている部員がいる。
ロッカーを選んだ部長に文句をいうと、こんな答えが返ってきた。
「おい、この鍵ダミーだぞ、何か間違って買ってないか」
「いそいで予算の範囲で買ったからしかたないだろ。部員しかいないから鍵なんて必要ないよ」
しかたなくまわりに注意した。
「みんな、このロッカーは鍵がかからないから貴重品は入れるなよ」
そういったとたん、部長が説教してきた。
「そんなこと広めたら誰かイタズラするじゃないか! このロッカーはみんなの善意を信じて選んだんだよ! それに、さっき開け閉めして他がつかうの邪魔しただろ! おまえは極めて悪質な愉快犯だぞ! 不安があるならまわりに知らせるんじゃなく、俺に相談しろよ! あーあ、おまえが面白半分に試さなければ誰も気づかなかったのにな!」
部員みんな部長についたとさ。
www.sankei.com
mainichi.jp
dot.asahi.com
一般論として、善意を前提にした計画をたてながらイタズラを心配する状況そのものが、計画者の責任といえる。
朝日と毎日が予約をためしてすぐキャンセルしたことが予約をうばう問題という意見と、誤入力や愉快犯の予約でも現場で対処できるから問題はないという意見*2。このふたつが日本政府と自衛隊の擁護として、現実に同時に流れている。
本気で「愉快犯」と批判するなら、たいした問題ではないのにメディアが騒ぎたてたと主張するしかなかった。数万件を超える予約が殺到して、誤入力も多数あると予想されるなかで*3、たかだか数件の予約キャンセルは問題にならないと主張しなければ、自衛隊はこの危険なシステムの改修をしなければならなくなるはずだ。
そして、残念ながらこの話はまだ終わらない。
ふいに部長が誰ともなくつぶやいた。
「そうだ、扉を勝手に開け閉めしたやつを、窃盗の幇助や未遂で訴えてやろうかな?」
うんうんと部長の横でうなずく顔を見ると、先に扉を開け閉めしていた部員だった。
xtech.nikkei.com
www.nikkei.com
別の部員が口をはさんできた。
「一般論として、鍵がきかないってわかったなら周囲に話すんじゃなく、まず責任者につたえなきゃいけないよね」
その顔を見ると、以前に駅のコインロッカーで鍵が壊れていることをたしかめて、その情報を広めていた部員だった。