モデル佐藤栞里:わたしたちの「郵便局ものがたり」
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「ありがとう」という気持ちを込めて。
手紙や葉書、荷物を送り届けるのが郵便局ですが、それらの郵便・荷物には当然、送る側のさまざまな思いが込められています。折りに触れ手紙を書き送るというモデルの佐藤 栞里(さとう しおり)さんは、とりわけ感謝の気持ちを伝える際に筆をとります。
「誕生日やお祝いのとき、プレゼントに手紙を添えて日頃の感謝を伝えることが多いです。先日も親友の結婚式があり、出席はかなわなかったのですが、ヘッドアクセサリーを贈りたいと思いついて郵送しました。添えたメッセージはまるで式のスピーチのような文面になってしまって(笑)」
ひと言で感謝といってもいろいろな伝え方があります。「いつもありがとう」、「楽しかったね」と、ひと言書くだけでも気持ちは伝わるはず。けれど、もう一歩踏み込んだほうが相手に届きやすいかもしれないと、できるだけ具体的に書くよう心がけていると言います。
「手紙を受け取る側に立って考えたときに、何が楽しかったのか、どんなことに感謝しているかが綴られていると喜びが違う気がして。『確かにこういうことがあったな』、『ああ、そんなことを覚えていてくれたんだ』と、そのときの光景が思い浮かんできて、より嬉しさがこみ上げてきます。それと同じ気持ちになってもらえたらと、なるべく感謝の内容を書くようにしています。仕事のときにはよく、こう言ったら相手はどう思うだろう、どんな表情になってくれるだろう、と考えているのですが、それは手紙を書くときと似ていて、相手の反応を想像しながらペンを走らせています」
口に出すには気恥ずかしい感謝の言葉や気持ちも、手紙だとなぜか書けてしまうことも。
「もちろんEメールやLINEも、連絡事項のやり取りや友達との冗談話とか日常会話のように使っています。でも手紙はもっと内面的に素直になれて、照れくさいことでもすんなり書ける。そこは大きな違いです」
飾り気のない感情を伝えられるのは、書くというやや時間のかかる行為で、胸のなかにあるたくさんの思いが少しずつ溶けるように文字になるからかもしれません。電子コミュニケーションツールとはまた異なる現象です。
手紙仲間の母と、クリスマスのエアメール。
家族のつながりを大切にしている佐藤さん。初めて書いた手紙もお母さんに宛てたものでした。
「内容はもう覚えていません。というのも毎年、母の日や誕生日にお花やプレゼントを送る際、必ず手紙を添えているので記憶が重なって(笑)。母から届く手紙も、そのときどきで褒められたり労われたりと文面は変わりますが、子どもの頃から必ず書いてくれるのは『家族は皆、あなたの味方だよ』という一文です。この言葉のおかげで、私は何にでもトライできていると思います。お守りみたいな言葉です」
反対に、初めてもらった手紙はサンタクロースからのエアメール。毎年クリスマスになると、遠いフィンランドから旅してきた青と赤のストライプの封書が、幼い佐藤さんのもとに届きました。 「そのときは海外からの手紙だと思って、それだけで感動しました。エアメールは封筒のデザインが珍しく、まとっている空気感も他とは違う。読めない言葉で書かれていて『わあ、これが英語なんだ!』とわくわくしていました。今から考えると英語ではなく、ローマ字で日本語を表していたのかも(笑)。でもとても嬉しかったですね」
もしかすると差出人はお父さんで、毎年届くように何か仕掛けをしていたのかもしれません。でも、自分を喜ばせようといろいろ骨を折って用意してくれたという感動はずっと心に残っています。
「もし今、誰にでも手紙が届けられるとしたら、私が生まれてすぐに亡くなった母方の祖母に送りたい。写真はあるので顔はわかるのですが、記憶には全く残っていません。でも大きくなってから『最後の最後にあなたを抱っこしてくれたのよ』と聞いて嬉しかった。祖母は母と似ているから、きっと手紙が好きだったはず。今書くなら『幸せだよ』と伝えたいですね」
郵便局は思いを伝え合う人の橋渡しをする場所。
身近な人からもらう温かい手紙もあれば、憧れの人から励ましの手紙が届くこともあります。
「最近うれしかったのは、いつもお世話になっている仕事の先輩の誕生日にプレゼントをしたとき、お返しにいただいた手紙です。実は先輩とはあまり真面目に仕事の話はしたことがなかったのですが、『現場でいつも笑顔を見せてくれてありがとう』、『助けてもらっているよ』と書いてくださっていて、本当に嬉しくて。また明日から頑張ろう、という気持ちになります。小さい頃からテレビで見ていて尊敬している方からの手紙は、一生の宝物です」
素直に思いと思いを伝え合う、その橋渡しが郵便の役割の一つ。ポストから集められた手紙は、郵便局で仕分け、運搬され、配達員が一軒一軒回ってようやく相手の手元に届くもの。封を切ると思いが溢れ出し、相手の心を満たします。
「最初にお話した親友のヘッドアクセサリーも、ぎりぎりに送ったにもかかわらず当日に間に合いました。それも郵便局で働き、届けてくださる方々のおかげです。これまで何通もの手紙を書いてきましたが、これほど大勢の人の手を経ていることに、改めて感謝の念がわいてきます。これからも送る相手への気持ちと、運んでくれる人の思い、両方をのせて、一文字一文字大事に書いていきたいですね」
プロフィール
佐藤 栞里(さとう しおり)/モデル
1990年、新潟県生まれ、埼玉県出身。2001年、雑誌「ピチレモン」専属モデルオーディションに応募しデビュー。現在「MORE」「mini」「ar」などの雑誌でモデルとして活躍しながら、テレビのバラエティ番組にも数多く出演。レギュラー番組にNTV「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」「有吉の壁」、TBS「王様のブランチ」など。
スタッフリスト
写真:高橋ヨーコ インタビュー・文:綿貫あかね スタイリスト:石上美津江
ヘアメイク:川添カユミ ムービー: 神達志(zona)