2008年のドイツ、スカイダイビングでひとりだけ降下しない。遠くまで流されたのか、パラシュートが開かず落下したのか。パイロットは全員が降下したことを確認していたが、パラシュートを開くための紐が外部への扉に引っかかっていることに不審をおぼえる。
そして滑走路へ着陸しようとした寸前、地上で待機していた人々が宙吊り状態のひとりを発見。あわてて飛行機へ連絡し、地上十メートルほどでからくも再上昇する。引っかかっている紐をはずすため、パイロットは席をはなれて非常用ナイフをつかみ、紐を切る賭けに出る。
無人操縦機能をもたない飛行機が失速しかけたりしつつ、紐を切ることに成功し、吊り下げられていた人物も落下中に意識をとりもどしてパラシュートをひらくことに成功した。
ゲストもスカイダイバーで、仲間のパラシュートが体に巻きつき重量が増えた状態で落下、切り離すことを選ばずふたりとも重傷を負いながら助かったエピソードを披露。
最後に紹介されたのは、2006年に米国で表彰された元ソ連軍中佐スタニスラフ・ペトロフの物語。
東西冷戦が激化するなか、米国を監視していたソ連の衛星が核ミサイルの発射を探知。先制攻撃なら多数のミサイルを発射するはずと判断して、”一発だけなら誤報”と考えたペトロフは上官にもそう報告する。
しかし次々に新たなミサイルが発射されたことを探知し、迷ったペトロフは上官に連絡するがつかまらない。ようやく連絡をとれたがペトロフ自身も明確な判断ができない。手遅れになることを覚悟して地上波レーダーに核ミサイルが探知されるまで待ち、そして核ミサイルが発射されてないことを確認した。
特殊な気象により人工衛星が誤探知したことがわかったが、ペトロフはソ連軍で冷遇された*1。後年に情報開示で英雄的判断が明らかとなり、世界的に賞賛されたものの、とぼしい年金で老後をすごし、ロシアでは無名なままのペトロフだった……
相互確証破壊を信奉する世界で、「1発だけなら、誤射かもしれない」という慎重さの重要性がよくわかる逸話だ。
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