コンサル会社に「人間力」というカルチャーを
—— 事業内容を教えてください。
ノースサンドはビジネスやITのコンサルティングを行っているベンチャー企業です。コンサルティング業界は大きく分けて戦略系、ビジネス系、IT系の3つの領域があります。ノースサンドではそれら全ての領域を担当しており、中でも最も得意としているのがIT系のコンサルティングサービスです。
――会社の特徴を教えてください。
率直に申し上げて総合系のコンサルファームでは会社による案件の差はほとんどありません。つまり仕事内容で会社の差別化が出来ない業界です。そのような特徴があるためコンサルファームではインダストリーカットの有無(コンサルタントごとに担当の業界があるか否か)、ネームバリュー、カルチャーの3軸で会社の特徴が決まります。
ノースサンドの場合はインダストリーカットがないため、コンサルタントは様々な業界にチャレンジできます。しかしまだまだネームバリューはありません。その3軸の中で弊社が強みにしているのは他のコンサルファームとは一線を画したカルチャーです。
そのカルチャーとは「人間力」を大事にしているということです。
コンサルタントと言えば一般的には「頭が良く」「論理的」と言われることが多いです。そしてその論理的な正しさを盾に、何を言ってもいいと勘違いしているコンサルタントが少なからずいるのが現状です。コンサルタントが担当するプロジェクトは難易度が高いプロジェクトが多いため、それを成功に導いていくためには当然「論理的」な思考が必要です。
しかし、どのような仕事も人と人がつながり合って前に進んでいきます。そしてその間には必ず感情が生まれます。「論理的」な正しさを伝えるだけでは「感情」を損ない、最終的なプロジェクトのゴールへお客様を導くことが出来ないケースが多々あります。「論理」だけでなくお客様の「感情」を鑑みたコンサルティングを行えば真のパートナーとしてお客様に貢献することが出来ます。
これらが「人間力」を大切にしたカルチャーを作っている理由です。
「人間力」が大事であると標榜しているコンサルファームは他にはありません。
それが私たちの最大の特徴であり強みです。
「人間力」を意識し、社員を大切にすることがお客様のためになる
—— 「8Rules」という行動指針があるとお聞きしたのですが、そのような行動指針を作ったのはなぜですか?
人間力を大切にするカルチャーを当たり前のものとして根付かせていくためです。元々私が仕事をするうえで大事だと思っていることは100個以上あります。
それは「即レスを心掛ける」「相手への感謝を忘れない」といったことから、「ちゃんと髪を切れ」「シャツはアイロンかけるかクリーニングに出せ」というような身嗜みの細かい部分まで多岐にわたります。
自分が現場のコンサルタントを統括する立場としてマネジメントしていれば、このような細かい考え方を直接現場で伝えることができるのですが、代表という立場でそれを行うことは現実的ではありません。
どうすれば自分の考え方やマインドを社員に伝えることかを考えた結果、シンプルに明文化された8個のルールが出来上がりました。
環境のせいにせず、主体性を持つことで仕事が楽しみに変わった
—— 今までの失敗や困難だったとことをお聞かせください。
私は一浪していて23歳の時に新卒で一部上場の企業に入りました。そこから30歳くらいまでうだつが上がらないサラリーマン人生を送ってきました。社会人のスタートから10年間のすべてが失敗だと言っても過言ではないです。
最初の会社ではプログラミングを行っていたのですが興味も湧かなかったため、勉強する気もありませんでした。毎日飲み歩き、家に帰って目的もなくテレビばかり見ているという生活でダラダラと過ごしていました。
そんな過ごし方をしていたにも関わらず会社に対して「給与が低い」「環境が悪い」「周りのレベルが低い」と他責の気持ちしか持つことが出来ませんでした。そして違う会社に行けば、自分を認めてくれるかもしれないと思い、目の前の環境から逃げるようにして2社目の会社へ転職しました。
2社目に入った会社では年齢、技術力、経験すべてにおいて自分より上の方が多かったです。そんな環境の中で周りに甘え、誰かがやってくれるだろうと無意識に考えていたように思います。
結果、何をやっても中途半端、給与は上がらない、スキルも身につかないダメサラリーマンになってしまいました。
これまでの失敗の原因は、自分はなんの努力もしていないのに、「周りが評価してくれない」とか「環境が悪い」「あの人たちがダメだ」という考え方になっていたことです。
人間誰しもミスをすると、自分の責任ではないと考えてしまう時もあると思います。それは自分に自信が無いとか、何か後ろめたい気持ちがあるからだと思います。自分もその状態でした。
――自分の失敗に気づくことができたきっかけはありますか。
2番目に入った会社で、責任ある仕事をやりきったことがターニングポイントでしたね。周りの誰にも頼ることが出来ない、自分がやるしかないという状況。その状況で最後まで責任を持って仕事をやり切った結果、お客様に褒められて自信がつきました。
自分で調べたり色々な人に聞いたりしながら自分一人でやり遂げたという達成感と、それを評価されたということで、主体性を持って仕事をすることの楽しさを学びました。このときに得たちょっとした成功体験が今につながっていると思います。
人生はマラソンだ。自己開示ができるバカであれ。
—— 就職活動でも成功体験が聞かれると思いますが、その時に成功する楽しさを知っていることが大事ということですね。
そうですね。人生はいかに小さな成功体験を積んでいくかだと思います。短距離走ではなくマラソンというイメージですね。
ペースを保って自分で成功体験を積んでいくことが大切です。例えば10キロを何分で走ると決めてそれを達成する。それによりモチベーションが上がって次の目標である20キロ、30キロにつながっていく。そのようにして最終的に大きな目標を達成していくことが大切かと思います。
――仕事で褒められるという成功体験は人と人とのつながりがあったからこそだと思います。そのような良い出会いはどうやって得られると思いますか。
良い出会いは自己開示をして、バカになることで得られると思います。
その昔、お客様先で本の話をしていた際に、坂本龍馬のことを「さかもとりゅうま」と言ってしまったことがありました。恥ずかしいエピソードではありますが、お客さんに喜んでもらえ「りゅうま」と呼ばれるようになりました。
もしここで変なプライドを持っていたら、馬鹿にされていると思い嫌がると思うのですが、私は「面白がってくれている」と思い、自分のキャラクターとしてそれを受け入れました。その結果、どんどん可愛がられるようになり「こいつに何か教えてあげよう」と色々なことを教えてもらえるようになりました。
周りの環境よりも自分にフォーカスすること
—— 今は就活で自己表現が大事だと言われていますが、自己表現することについてどう思いますか?
自己表現することは必要ですが、変なプライドを持ってひとりよがりの自己表現をしていては誰からも相手にされません。自分の個性を受け止めてもらうためには、「自分を偽らずに本当の自分をさらけ出すこと」「自分の頭で考えたことを自分の言葉で伝えていくこと」が必要だと思います。
経営者として様々な人の個性を受け入れるために意識しているのは自分がコントロールできないことは諦めるということです。一人一人育った環境が違えば考え方も違うし、自分の意に反するようなことを言ってくる人もいます。
しかしそのような人たちの考え方を全て変えることは不可能です。自分でコントロールできることは自分のことだけです。つまり自分ができることは自分の考え方を変えることです。
昔の私のように自分自身が努力せず、環境のせいにして周りへ不満をぶちまけている人も多いと思います。
――最後に、就活生へのメッセージをお願いします
日本に未来はないという人も多くいますが、まだ日本にもまだ面白そうな未来はあると思っています。
就活でリクルートスーツを着なければいけないとか大企業に入ったら安定だというようなものは、今後は無いとも思っています。
だからこそ、ノースサンドのような、行動力がありモチベーションが高い人が多い会社に入った方がいいです。
毎日満員電車に乗って定時に出社し、ゆっくりとメールチェックを行い、だらだら会議に出ているのにも関わらず、「時間の効率化は重要だ」とか「働き方改革が重要だ」とか言って定時に帰っていくようなサラリーマンも多いです。しかしそんなサラリーマンは努力する人にすぐに追い越されていきます。
「自分のモチベーション上がるまで待っていよう」とか「どうやったらモチベーションが上がるのか」を考えてはいけません。朝、眠い目を擦りながら、「絶対成長してやるぞ」という強い気持ちを持って行動し続けるというのが重要です。
環境のせいにしたり、環境に甘えて誰かがやってくれると考えたりするのではなく、「自分がやる」と当事者意識を持つことが大事です。
自分の人生を自分の足で歩いて行ってください。