日本大百科全書(ニッポニカ)「需要・供給の法則」の解説
需要・供給の法則
じゅようきょうきゅうのほうそく
law of demand and supply
競争市場においては、財の市場価格と取引数量がともに需要と供給によって決定されるという法則。一つの財に対する需要量は、その財の価格が高くなれば減少する。すなわち、需要関数D=f(p)は価格の減少関数である。 の縦軸に価格、横軸に数量をとると、需要曲線はDD曲線のように右下がりの曲線となる。供給量は、価格が高くなれば増大するので、供給関数S=g(p)は価格の増加関数であり、供給曲線はSS曲線のように右上がりの曲線となる。
いまかりに、価格がp1の水準であると、需要量はd1で供給量はs1となり、供給が需要を超過する。このときの超過分d1s1を超過供給という。超過供給が存在すると、供給側の競争によって価格が低下し、その結果供給量は減少する。価格がp2まで下がったとすると、供給量はs2で需要量はd2となり、こんどは需要が供給を超過する。この超過分s2d2を超過需要という。超過需要が存在すると、需要側の競争によって価格が上昇し、その結果需要量は減少する。このような試行錯誤の過程を経て、価格は需要量と供給量を均等させるpeに到達する。このように需要量と供給量とが均等となる価格peを均衡価格、そのときの取引数量qeを均衡需給量という。この試行錯誤の過程の本質は、「超過需要は価格を上昇させ、超過供給は価格を低下させる」ということであるが、逆に、価格が需要や供給を変化させ、両者を均等に導くとみることもできる。価格のこの作用を「価格の需給調節作用」あるいは「価格のパラメーター機能」とよぶ。このような価格の働きは、政府の市場への干渉や、独占・寡占などが存在するところでは阻害されることになる。
[佐々木秀太]