供給(読み)きょうきゅう

精選版 日本国語大辞典「供給」の解説

きょう‐きゅう ‥キフ【供給】

〘名〙
① 物を与えること。提すること。ぐきゅう。古くは、多く「ぐきゅう」と読んだ。→ぐきゅう(供給)
※小学読本(1874)〈榊原・那珂・稲垣〉四「昼は我が食の半を遣り、夜は我が臥床に寝させて供給しおきたれども」 〔礼記‐曲礼上〕
② 市場の需要に応じて、財・サービスを価格の支払いと交換に引き渡すこと。また、その出す分量。⇔需要
※米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一「需用の人に供給を遂くるを以て」
※社会百面相(1902)〈内田魯庵〉増税「一時砂糖の供給を絶ったので」

ぐ‐きゅう ‥キフ【供給】

〘名〙 (「くぎゅう」「くきゅう」とも) 求めに応じてそなえあてがうこと。提供すること。また、そのもの。
※続日本紀‐天平二年(730)七月癸亥「詔曰、供給斎宮年料
※今昔(1120頃か)九「然れば、孟宗、年来の間、朝暮のへに笋(たかむな)を構へ求めて供給(くぎふ)して闕く事无(な)し」

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日本大百科全書(ニッポニカ)「供給」の解説

供給
きょうきゅう
supply

経済主体が市場で交換、販売を目的とし、自己の所有物を提供する行為。一般的な交換経済を考えると、代価として相手側の提供するものが高い効用をもつときには、供給しようとする意思は強くなり、供給量は多くなる。現代のような貨幣経済では、相手側の表示するものは価格なので、価格と供給量の関係が得られる。価格が上昇すると供給も増加するのが一般的であり、この関係を関数表示したものが供給関数であり、グラフで示したのが供給曲線である。

[鈴木博夫]

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世界大百科事典 第2版「供給」の解説

きょうきゅう【供給 supply】

生産者や資産の保有者などが自発的意思に基づき販売を目的として商品を市場に出すこと,また,そうして市場に出された商品の量のこと。供給量に最も大きな影響を与える要因は,取引される財の価格であるため,縦軸に価格をとり横軸に供給量をとった図に表した供給曲線によって,売手の価格に対する反応を表現するのが普通である。個別供給者の供給曲線は,集計されて市場供給曲線となる。市場供給曲線は市場需要関数とともに,1商品の均衡価格の決定および社会的最適生産量などの問題を考えるうえで,中心的な役割を果たす概念である。

くごう【供給】

〈ぐきゅう〉とも読む。和訓は〈たてまつりもの〉(《類聚名義抄》)。今日〈供給〉はひろく〈需要〉に対する語として用いられる。需要があれば物資を提供するのが供給(きようきゆう)で,その場合,食糧石油電力など提供される物資の種類はとくに限定されず,また提供を受ける者は一般の需要者・消費者すなわち不特定多数である。だから〈A(物資)をB(被提供者)に供給する〉場合,通常〈Bに〉を省略して,いわないことが多い。

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世界大百科事典内の供給の言及

【供給】より

…和訓は〈たてまつりもの〉(《類聚名義抄》)。今日〈供給〉はひろく〈需要〉に対する語として用いられる。需要があれば物資を提供するのが供給(きようきゆう)で,その場合,食糧・石油・電力など提供される物資の種類はとくに限定されず,また提供を受ける者は一般の需要者・消費者すなわち不特定多数である。…

【宴会】より

…そうした貴人等は,中央から派遣される使者,赴任してきた国司などさまざまであるが,こうした者が目的地に到着すると,人々は自分たちの共同体の境界地点まで出向いてこれを迎え(境迎(さかむかえ)という),その日からはじめて3夜連続の酒食のもてなしをし,多量の引出物を贈るのである。その酒食のもてなしを古くは〈供給(くごう)〉といい,後に落着三日厨(おちつきみつかくりや)と称したが,これは貴人,賓客,まれびとに対する共同体としての奉仕であった。平安時代の末に成った《類聚名義抄》が,〈供給〉の和訓を〈タテマツリモノ〉とし,〈饗〉を〈ミツギモノ,タテマツル〉と読んでいるのは,こうした社会慣行の存在を背景とするのである。…

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