(1) |
用法、用量 |
・ |
導入治療(血清クレアチニン1.5mg/dL≦、クレアチニンクリアランス55mL/min>、かつ尿蛋白100mg/dL<(<2+)の者) |
・ |
100mLの生理的食塩水に5mg/kg(体重)を用量を溶解し、可能ならばポンプを用いて一定の速度で1時間以上かけて静注する。投与は1週間に1回、2週間行う。溶解したシドフォビルは24時間以内に使用する。他の薬剤の混入に係るデータはないので、混注は行わない。 |
・ |
維持療法:5mg/kg(体重)を2週間に1回、一定の速度で1時間以上かけて静注する。 |
・ |
投与量の調整:血清クレアチニンが0.3~0.4mg/dLの上昇をみたときは、5mg/kgから3mg/kgに減量する。血清クレアチニンが0.5mg/dL以上の上昇か、又は3+以上の蛋白尿を示した場合は治療を中止する。 |
・ |
プロベネシド:シドフォビル投与前3時間に2g、投与後2時間と8時間後のそれぞれ1gずつ経口で服用する。プロベネシドに過敏症を示す場合は、適切な抗ヒスタミン剤又はアセトアミノフェンの服用を考慮する。 |
・ |
水分:シドフォビル投与前1~2時間前から生理的食塩水の点滴を始める。投与時最低1Lの投与を行い、可能ならばシドフォビル投与終了後にさらに1Lを1~3時間で点滴する。 |
(2) |
禁忌 |
・ |
血清クレアチニン1.5mL/dL>、クレアチニンクリアランス55mL/min≦、又は尿蛋白100mg/dL≧(2+≦)に該当の者 |
・ |
腎障害を来す可能性のある薬剤(例:アミノグリコシド系抗生物質、アンフォテリシンB、ホスカルネットナトリウム水和物、ペンタミジン、バンコマイシン、非ステロイド系抗炎症薬)の投与を受けている者(最低7日間の休薬が必要) |
・ |
シドフォビルに対し過敏症を有する者 |
・ |
プロベネシド又は他のサルファ剤に重大な過敏症の既往を有する者 |
(3) |
注意点 |
・ |
母乳中への分泌、小児・高齢者への安全性及び有効性は検討されていない。 |
(4) |
副作用 |
・ |
腎障害:用量依存性に出現。臨床試験では79/139(59%)で見られた。1~2回の投与で透析を要するか、場合により致死的な急性腎不全を来すこともある。投与中は腎機能(血清クレアチニン及び尿蛋白)を投与48時間前から調べる必要があり、適宜投与量の調節又は休薬を行う。休薬後も発生した腎障害が回復しない例が報告された。
|
・ |
既存の腎障害の悪化 |
・ |
好中球減少:5mg/kgの維持量で投与を受けた者の24%で500cells/mm3以下となり、39%がGCSFの投与を受けた。 |
・ |
眼圧低下及び低眼圧:維持量の投与者の17/70(24%)で50%以上の低下が報告された。うち3例は重大な低眼圧となっている。糖尿病があると眼圧低下の危険性が上昇する可能性がある。眼圧低下とともに視力低下を来す事例も報告された。 |
・ |
前部ぶどう膜炎及び虹彩炎:維持量の投与者の15/135(11%)で報告された。 |
・ |
代謝性アシドーシス:近位尿細管障害及び慢性的な腎障害(含ファンコニー症候群)により、血漿重炭酸塩が16mEq/L以下に減少した例が16%で報告された。肝機能障害や膵炎に伴う代謝性アシドーシスで死に至った例も報告された。 |
・ |
その他
臨床試験中に因果関係が明確ではないが、報告された症状として、
全身症状: |
腹痛、胸痛、発熱、低体温、倦怠感、日光過敏症、顔面浮腫等 |
心血管系: |
心筋症、うっ血性心不全、高血圧、低血圧、失神、頻脈等 |
消化器系: |
口内潰瘍、嚥下困難、胃炎、大腸炎、腸管出血、肝障害、黄疸、便秘等(悪心、嘔吐などはプロベネシドの副作用でもある。) |
内分泌系: |
副腎皮質不全 |
造血リンパ系: |
白血球減少、白血球増加、貧血、脾肥大等 |
代謝・栄養系: |
脱水、浮腫、高Ca血症、低Ca血症、高K血症、低K血症、高血糖、低血糖、高脂血症、低蛋白血症等 |
神経系: |
悪夢、不安興奮、健忘症、混迷、けいれん、うつ状態、言語障害、めまい、振戦、顔面麻痺等 |
呼吸器系: |
喘息、気管支炎、喀血、過呼吸、低酸素、喉頭浮腫等 |
皮膚付属器系: |
にきび、血管拡張、湿疹、皮膚潰瘍、蕁麻疹等 |
感覚器系: |
視力喪失、白内障、結膜炎、複視、眼痛、網膜剥離、視野欠損、外耳炎、中耳炎、耳鳴、聴覚障害等 |
泌尿器系: |
血尿、頻尿、排尿障害、腎結石、中毒性腎障害、尿路感染症等 |
|