TRY-Z:JR東日本E991系在来線高速試験車、クモヤE911
「電車でGO」などで鉄道の運転を疑似体験してみると結構難しい事がわかります。気がついたときにはスピードが出過ぎているし、「あ、このままじゃ止まれないかも」と思ったときにはもう間に合わない。操作を実感するためのフィードバックループが長くて、私たちの日常感覚と合っていないんですね。
運転士の方々がこれを克服して、毎日都内の電車を時間通にぴたりと乗車位置に止めるのは驚異的なことです。その秘密を、運転士さんにヒヤリングしてみたことがあります。「加速を尻で感じる」のがこつだという方もいらっしゃいましたが、メーターや標識の他に、モーター音や景色などもかなり利用しているという答えが返ってきました。電車は同じ所を通るので、あるビルの脇までは時速40キロで行くとか、ある看板が見えたらブレーキをかけ始めるとか、電車のブレーキの性能が天候や乗車率に左右されることも考えながら、最適な加減速を区間ごとに覚えていくそうです。本当に繊細な仕事ですね。
写真は、1994年にデザインした「TRY-Z」という電車です。先頭車両の正式名称はJR東日本E991系在来線高速試験車、クモヤE911というそうです。新幹線ではない普通の線路を高速で安全に運転するための運転台のあり方について、JR東日本や車両メーカーの技術者に、ベテラン運転士や認知科学者などにも参加してもらって研究を重ねました。上の話もその時の調査で直接に運転士の方々から聞いたものです。
運転士が周辺の環境情報を利用していることに配慮して、周囲を見渡しやすいキャノピー型のコクピットをデザインしました。大型の液晶ディスプレイを装備した運転台には、線路のカーブ形状や最適速度などの情報を提示するナビシステムも搭載しました。コンセプトカーTRI-Xと良く名前が似ていますが、どちらも企業側が付けた名前なので偶然です。そういうのが流行ってたのかも。
1998年まで常磐線などで走行テストを繰り返していたので、目にした方もいるかもしれません。最後は衝突試験だったそうです。合掌。
上の写真は試験運転中を、鉄道写真家、鈴木肇さんが撮影したものです。鉄道雑誌で見かけて、すてきな写真だったので編集部を通じてご連絡したら、ポジを送ってくださいました。
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×クモヤE911→○クモヤE991 ですね。
数字が違うと別物になってしまいます。