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Interview
土方歳三役・町田啓太さんインタビュー「新選組の土方歳三を演じる日がくるなんて」
殺陣があるのではないかと、とても心ひかれました
Q:土方歳三役のオファーがあったときのお気持ちはいかがでしたか?

とてもありがたいご縁をいただいたと思いました。もともと時代劇がすごく好きで、そのために剣道を始めたくらいなので、新選組の土方歳三役ということは殺陣(たて)があるのではないかと、とても心ひかれました。大河ドラマには思い入れがあるので、『西郷どん』に続いて2度目の挑戦をさせていただけることを光栄に思いました。初めての大河ドラマでは力が入りすぎていたので、今回はもう少し心に余裕を持って臨めるように努めました。
新選組の“だんだら羽織”に初めて袖を通したときは、すごく身が引き締まり、子どものころ、田舎道で木の枝を振り回していた自分が土方歳三を演じる日がくるなんて…。そう考えると感慨深かったです。

新選組が事実上の解散になり、洋装に変わり、鉄砲も受け入れて戦う。土方の最期がしっかり描かれていて、現場に行くたびに、この場所で土方歳三を演じられることを、ありがたく感じました。

いかに大胆に土方らしい動きができるかが課題でした
Q:楽しみだとおっしゃっていた殺陣のシーンもありましたが、いかがでしたか?

ここまで殺陣のシーンがあると思っていなかったものですから、想像以上に大変でした。僕は、身体(からだ)が大きいほうなので、昔の和室を再現したセットだと、梁(はり)などに頭をぶつけそうになったりしました。殺陣は人が入り乱れますし、剣を振るときには、上下だけでなく横にも幅を使うので、狭いところで縮こまらず、いかに大胆に土方らしい動きができるかが課題でした。
撮影の前には、時間をかけて殺陣の流れを反芻(はんすう)しました。本番では、現場にいる全員が「一発で決めるぞ」という雰囲気になりますので、自分はとにかく集中することだけ考えました。殺陣のシーンはいつも高揚していたような気がします。

僕自身はただ必死でやっていましたが、受ける側の皆さんがピンポイントでいい位置に入ってきてくださるので、そのおかげで土方が格好よく見えていたのだと思います。

---「ここは大変だった」というシーンはありますか?

大沢源次郎と対じしてピンチになった渋沢栄一を助けに行くシーン(第20回)の立ち回りです。それまででいちばん長い殺陣のシーンだったので、事前にリハーサルをし、それを何度も反芻して覚えて「よし!本番だ!」と現場に入ったのですが、当日に殺陣が変わって…。僕が演じる土方歳三のイメージに合わせて、さらによくなるように変えてもらえてうれしかったのですが、当日、「町田くんならできる!」と言われ、「は、はい。頑張ります!」と(笑)。すごく焦って汗をかいてしまいました。
制限された空間でどう動き、どう演じるか、自分を試されていると考えると、とても楽しかったです。

栄一と土方の距離が縮まる描写は僕が大好きなシーンです
Q:改めて、土方歳三をどのような人物だと思いますか?

すごく自信がある人だと思います。新選組の“鬼の副長”といわれるくらいなので、ドライなところや狂気な部分もあったのかなと想像していましたが、調べてみるとそのイメージは少し変わりました。土方は、自分自身にとても厳しい人ですが、周りにも厳しくすることで、筋を通そうとしていたんじゃないかと。自分自身の考えに自信を持つ。それは、さまざまな考え方を自分のなかに受け入れたうえでなければできないと思うんです。土方は、心が本当に強い人なのだと思います。

『青天を衝け』では、同じ時代を生きる渋沢栄一と土方歳三が、どのように絡んでいくのか、楽しみにしていました。お互い田舎の農家出身だということがわかり、距離が縮まる描写は、僕が大好きなシーンです。自分がどういう思いで武士になったのかを渋沢に語る姿から、土方の人間味をかいま見ることができたし、演じている僕も田舎の出身なので役を通してシンパシーを感じました。
土方歳三は「どう生きるか、どう死ぬか」ということに重きを置いていた人物だと思います。土方を演じることで、僕自身も「自分がどうありたいか」を問うようになりました。

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