司法試験や予備試験には、短答式試験と論文式試験という二つの出題形式があります。
このうち短答式試験とは、いわゆる〇×問題で、マークシートで回答する問題です。
論文式試験は、文字通り法律の答案を論述形式で作成する問題なので、短答式試験の方が簡単そうなイメージを持たれるかもしれません。
そのような疑問を解決するため、ここでは司法試験と予備試験の短答式試験の特徴、難易度について解説していきます。
目次
司法試験・予備試験における短答式試験とは?
司法試験における短答式試験の立ち位置
司法試験の合否は、短答式試験及び論文式試験を総合して判断されます。
配点は短答式試験が1に対して、論文式試験は8になっています。
これを見ると短答式試験の重要度は低いように思えますが侮ってはいけません。
司法試験受験生の3人に1人は短答式試験で落ちるといわれています。
なぜなら短答式試験で基準点を下回った場合には、論文式試験を採点されないいわゆる足切り制度が存在するためです。
このように、司法試験の短答式試験は、「足切りとしての機能」及び「最終合格の判断の一部となる役割」を担っています。
予備試験における立ち位置
予備試験は、短答式試験、論文式試験、口述式試験の3つ試験があり、短答式試験に合格した人が論文式試験を受けるといった形の制度となっています。
それぞれの試験の合否の判定は各試験で完結しており、一次試験の短答式試験はそれに合格してしまえばその点数は二次試験以降の合否には関係ありません。
これが司法試験との大きな違いになります。
したがって予備試験における短答式試験はもっぱら論文式試験を受験するための、一次試験としての立ち位置になります。
司法試験・予備試験における短答式試験の基本情報
日程
司法試験の短答式試験は5日間にわたって行われる司法試験の最終日に行われます(4日目までは論文式試験を行います)。
例年は5月半ばに実施されています。
予備試験の短答式試験は、司法試験の短答式試験の受験日に合わせて5月半ばに1日で実施されます。
試験科目・配点
司法試験の試験科目・配点
科目 | 試験時間 | 配点 |
---|---|---|
民法 | 75分 | 75点 |
憲法 | 50分 | 50点 |
刑法 | 50分 | 50点 |
※関連コラム:司法試験とは
予備試験の試験科目・配点
科目 | 試験時間 | 配点 |
---|---|---|
民法 | 90分 | 30点 |
憲法 | 60分 | 30点 |
刑法 | 60分 | 30点 |
民事訴訟法 | 90分 | 30点 |
刑事訴訟法 | 60分 | 30点 |
商法 | 90分 | 30点 |
行政法 | 60分 | 30点 |
一般教養科目 | 90分 | 30点 |
※関連コラム:予備試験とは?司法試験との違い・日程・配点等を解説
短答式試験の難易度は?
予備試験の短答式試験の難易度
予備試験の最終合格率は3~4%程度と言われていますが、このように低い数値になっているのは、短答式試験で大多数の受験生が落とされるためです。
予備試験の短答式試験の合格率は例年20%程度で、8割の受験生がここで脱落することになります。
予備試験の短答式試験の合格基準点は例年160~170点を推移しています。
満点が270点なので、約6割強得点することが求められます。
8科目で平均して6割得点するというのはそう簡単なことではありません。
1つでも苦手な科目があると挽回するのが難しくなるので、予備試験の短答式試験では各科目まんべんなく出来るようにすることが求められています。
270点中210点を法律7科目が占めているので、学習の中心は法律科目ということになります。
短答式試験は論文式試験と違って暗記がメインとなりますが、科目数が多いうえ、各科目非常に細かい知識を問われるため、難しい試験です。
しかし、過去問と同じ問題が繰り返し出題されることも多く、条文知識だけで解ける問題もあるので、地道に努力すれば合格できる試験です。
たしかに合格率は決して高くありません。
しかし、これは問題の難易度が高いことだけでなく、予備試験が受験資格なしで受験できるため、勉強不足の受験生が一定数存在していることにも起因しています。
以上のことから、予備試験短答式試験の難易度は高いが、取るべき対策が明確なため、努力がそのまま反映される試験といえるでしょう。
※関連コラム:予備試験の難易度は?現役予備校講師が正直に解説します
司法試験の短答式試験の難易度
予備試験と違って、短答式試験だけ別に先に行うというスケジュールになっておらず、また科目数も格段に少なくなっています。
司法試験の短答式試験の大部分は予備試験の短答式試験と共通しています。
したがって、難易度についても先述した通りです。
注意する必要があるのは、司法試験の場合、各科目に足切りが設定されていることです。
具体的には、各科目の満点の40%以上得点できなければその時点で不合格になります。
つまり、予備試験での短答式試験は第一の難関という位置づけでしたが、司法試験では最低限の知識が備わっているかどうかを見極める足切りラインとして位置づけられているのです。
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短答式試験の勉強を始める際のアドバイス
司法試験・予備試験は難しく、最初からすらすら解ける人はいません。
はじめのうちは分からなくても、とにかく過去問を解き、解説を読むことを何回も繰り返しましょう。
何度も何度も繰り返し同じ問題に触れることで、だんだんと知識が定着していきます。
短答式試験はセンスというより努力です。
努力をすれば必ず結果に結びつく試験ですから、辛抱強く頑張りましょう。