最終更新日:2021/03/09
監修 麻田 雄人 司法書士、行政書士
2006年に会社法が改正し、新たに「合同会社」という形態が誕生しました。現在日本では会社の形態として、「株式会社」「合同会社」「合名会社」「合資会社」の4形態があります。
今回は株式会社と合同会社の違いやそれぞれのメリット・デメリットを詳しく紹介します。
目次
株式会社とは?
株式会社は、株式を発行して資金を集めて作られる「会社」の代表的な形態です。
会社経営の源泉となる「資本」の所有者と、会社の経営を行う人が分離しており、このとき資本金を提供した人が「株主」となります。また、経営を行う経営者は株主による集会である「株主総会」での選出により決まります。
このように株主と経営者が違うのが株式会社の特徴で、「所有と経営の分離」といいます。
株式会社の仕組みや役職について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
起業を考えているが一歩踏み出せない方はぜひ参考にしてください。この記事では会社を設立するメリットや事業形態について詳しく解説します。...
株式会社を設立するメリット
株式会社を設立する際の代表的なメリットを紹介します。
社会的信用度が高い
株式会社は社会的にも認知度が高く、また、合同会社と比べて守らなければならない法律の規制が多いため社会的な信用が高いです。
人材採用の募集や金融機関からの融資など、さまざまな面で合同会社や個人事業主より有利です。
株を発行して資金調達ができる
株式会社は株主を募り出資を得ることができます。出資者は間接有限責任であり、出資金額を超えて損失を負うことがありません。そのため投資しやすくなっています。
株主の責任はあくまで間接有限責任
有限責任とは、会社が倒産したときなどに、会社の債権者に対して出資額を限度として、責任を負うということを指します。
株式会社の株主は、債権者に直接責任を負うわけではなく、出資した会社に出資額だけの責任を負うことになります。この責任を「間接責任」といいます。
株式会社を設立するデメリット
合同会社を設立する場合と比較して、株式会社設立のデメリットを解説します。
設立費用が高い
まず、株式会社を設立するために役所に支払う必要のある「法定費用」が以下のとおりです。
項目 | 金額 |
定款用収入印紙代 (電子定款では不要) |
40,000円 |
公証人に払う手数料 (定款の認証) |
52,000円 |
登録免許税(登記) | 150,000円 または 資本金額の0.7% どちらか高い方 |
合計 | 約210,000〜250,000円 |
決算公告の義務がある
株式会社には毎年決算期ごとに決算の数字を公表することが義務づけられています。通常、国の発行する「官報」に決算内容を掲載することになりますが、最低でも約7万5000円の掲載料が必要になります。合同会社には決算公告の義務はありません。
役員任期がある
株式会社の役員の任期は最長10年です。役員の任期がくれば、同じ人が役員に再任(重任)される場合でも登記しなくてはならず、また登録免許税がかかります。
登記変更の手間や費用がかかりますが、期的に役員の見直しができるため、メリット・デメリットの両面があります。
合同会社を設立するメリット
合同会社とは、2006年5月1日施行の会社法により新しく設けられた会社形態で、経営者と出資者が同一であり、出資者全員が有限責任社員であるという2つの特徴があります。
合同会社を設立するメリットの代表例を紹介します。
合同会社についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
会社を設立するとき「合同会社」か「株式会社」のどちらかの形態を選択する必要があります。この記事では「合同会社」についてメリットやデメリットとあわせて簡潔に解説します。...
設立費用が安い
上述のとおり、株式会社を設立する場合は最低でも25万円前後の費用がかかります。合同会社を設立する場合は定款の認証が必要ありません。
また、紙定款ではなく電子定款にすることで収入印紙代も不要になるので、最低10万円から設立が可能となります。
項目 | 金額 |
定款用収入印紙代 (電子定款では不要) |
40,000円 |
登録免許税 | 60,000円 または 資本金額の0.7% どちらか高い方 |
合計 | 約60,000〜100,000円 |
ランニングコストを抑えられる
合同会社の場合は、毎年の決算公告義務がないので官報掲載費(約7万5000円)は不要です。
また役員の任期を設ける必要がなく、役員の任期が終了する度に発生する「重任登記にかかる登録免許税(1万円)」もかかりません(資本金1億円以上の会社の場合は3万円必要となります)。
経営の自由度が高い
合同会社は一人でも会社の設立が可能ですが、出資比率に関係なく利益配分が可能で、経営の自由度が高いこともメリットの一つです。そのため、優秀な社員の利益配分比率を高めるということも可能です。
そして、役員の任期がなく、決算公告の義務もありません。また、定款内容の自由度が株式会社より高いため、個々の事情に応じた定款を作成することができます。
合同会社を設立するデメリット
株式会社に比べて認知度が低い
一般の消費者(BtoC)の場合、相手が株式会社か合同会社であるかは気にしない人が多いでしょう。しかし、対会社(B to B)の場合は少し厳しめにみられることがあるかもしれません。
合同会社は比較的新しい会社の形であるため、信用度を低く見られてしまうことも。企業によっては合同会社とは取引をしないケースも考えられます。また、人材を募集した際に合同会社では人材が集まりにくいというリスクも想定されます。
年々、合同会社の数は増えているので認知度も上がっていくと考えられますが、現時点での認知度は低めと考えておきましょう。
上場できない
株式会社は上場して更なる事業拡大を目指すことが出来ますが、合同会社の場合は上場できません。将来は上場を考えているのであれば株式会社を選んでおくことをおすすめします。
株式会社と合同会社の違いまとめ
設立費用以外の違いを一覧でまとめました。
株式会社 | 合同会社 | |
意思決定 | 株主総会 | 総社員の同意 |
所有と経営 | 原則完全分離 | 原則同一 |
出資者責任 | 間接有限責任 | 間接有限責任 |
役員の任期 | 最長10年 | 任期なし |
代表者の名称 | 代表取締役 | 代表社員 |
決算公告 | 必要 | 不要 |
定款 | 認証必要 | 認証不要 |
利益配分 | 出資比率に応じる | 定款で自由に規定 |
設立費用 | 約20万円〜 | 6万円〜 |
まとめ
合同会社の認知度は今ひとつだとしても、コスト面のメリットを考えたら採用を検討してみる価値はあります。
会社を立ち上げたい、でも設立のためのお金はあまりかけられない……と尻込みしているのなら、まずは合同会社を立ち上げてから株式会社に移行することも可能です。一人、または少人数での会社立ち上げを考えているのなら合同会社のメリットを十分活用できます。
合同会社から株式会社への組織変更には手続きと費用が必要となりますので、その点についても事前に把握した上で検討しましょう。
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監修 麻田 雄人 司法書士、行政書士
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