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みんかの #創作同人電子書籍 レビュー:藤本泰久「ミノタウロスの迷宮(ギリシャ神話ゲームブック)」#ゲームブック #神話 #バトル【no.1116】

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迷路は壁に左手をついて…なんで左手なの? ギリシャ神話の世界を体験できるゲームブック。




 ギリシャ神話を元にしたゲームブック。
 クレタ島の王妃と牛が交わって半牛半人の怪物ミノタウロスが生まれます。クレタの属国のアテナイの少年少女14人が毎年ミノタウロスの生贄に捧げられることになる……
 これを止めるため、主人公であるアテナイの王子テセウスが、生贄の中に混ざって、ミノタウロスのいる迷宮に潜り込みミノタウロスを退治しに行く……
 という神話を、文章を読んで選択肢を選ぶゲームブック形式で体験することができます。



 まず迷宮に入る前に、装備などを整えるパートがあります。
 テセウスがクレタの拳闘大会に参加したり、牛追い祭りに参加したりして良い成績を収めると、クレタの王女アリアドネーの信頼を勝ち取って、よい装備がもらえるでしょう。

 拳闘大会では、地元のチャンピオンに挑戦することになるんですが、戦う前に別の挑戦者がチャンピオンに挑む場面が描写されますので、その戦いの様子を観察するとチャンピオンに勝つ方法が思いつくかもしれません。
 また、牛追い祭りでは、クレタに行ったことのある船員の話や、王の話をよく聞いていると、猛牛の攻略法が見えてくるかもしれません。
 「ほら吹き」と呼ばれる船員が、牛追い祭りでは「○○するな」とアドバイスしてくれるんですが……ほら吹きと呼ばれているわけでそのアドバイスは……?
 またこの牛追い祭りの攻略法は、牛の頭を持つミノタウロスの攻略法にも繋がってきます。序盤の冒険が終盤のチュートリアルになっているわけですね。
 これらの、文章をよく読んでいると攻略法がわかる、というところは、ゲームブックとして秀逸な点となっています。



CGやーっ また、わたくしこち亀かなにかで、迷路を抜けるには左手を壁につけて進めばいい、っていうのを聞いたんですけど、なんで左手なんだ……右手でもいいじゃない、って思ってたんですが……本作はそのすべての大本となったミノタウロスの迷宮の攻略法が出てきます。左手である理由が、ゲームブックとして仮想の体験ではありますけど、実際に自分が迷宮に挑むというシチュエーションになってはじめて理解できました。


 本作はステータスを割り振ったりとか、リソースを消費するなどの複雑な操作はありません。ただ、アリアドネの好感度と、作中で手に入れたアイテムやフラグを数個程度メモしておく必要はあります。
 ただ気になるのが、リンク先に複数の章番号が書いてある頁の場合、行き先がどれだったか忘れるとストーリーが破綻する点。
 これからミノタウロスの迷宮に挑むぞ、っていう章73から、章9に行くところなんですが、「9へ」をタップすると8章と9章が同じ頁に載っている頁に飛ぶんですね。
 ここで行くのははじめに目に入るほうの8章だったかな、と思って進めるともうミノタウロスを倒したことになっている……わたくしここ何回も勘違いして、この作品はミノタウロスとのバトルは省略されているものだと思ってたんですが……
 電子書籍には「戻る」ボタンがないので、前の章に戻ることはできません。なので章番号を憶えてないと物語が破綻してしまいます。
 多分紙のゲームブックだと、印刷費用をなるべく抑えるために、同じ頁に複数の章が載っているのが普通で、普通飛ぶ前の頁を指で抑えて飛ぶ先の頁を見るから間違えてもすぐに戻れて問題がなかったんだと思いますが……
 あと、文字を小さくしているとリンクの「1」など一文字二文字しかないリンクをタップするのが困難、というところもありますけど……



 なんとなく知っているギリシャ神話の世界をゲームとして体験することによって、迷宮では左手を壁につけていくのが合理的、など神話の世界がありありと感じられます。
 また、作品内で得た情報が、攻略法に直結していて、よく読んでいると攻略法がわかる、という構成も巧みな作品です。




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