プリマドール・アンコール 六話
【雪華文様】(12)-終-
「あたしの本当の役目は、戦うことなの。戦闘人形なのよ」
「……わたしは……」
ぎゅっと、その小さな唇を噛みしめた。
「皇国の戦闘人形は……嫌いよ」
「……そうね、仕方がないわ」
それは、予想された答えだった。
鴉羽は微笑んでその言葉を受け止めた。
「これ、良かったら持っていって。小さいから船内にも持ち込めるはずよ」
ポーチからローズヒップのジャムの小瓶を取り出す。
「……いい」
しかし、ローサは受け取らなかった。
「もう……友達じゃ、ないから」
「……そう」
微笑みを張り付かせたまま、あたしは立ち上がった。
「おじいちゃんは列の中? 早く合流したほうがいいわ」
「分かってる」
「うん……さよなら」