(旧)本気禁止制限決闘   作:阿音

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19話【恋する乙女……達? 横編】

 視点 明日香

 

 

レイちゃんが来て5日目

昨日徹夜だったレイちゃんはまだ起きないわね

そろそろ起きないと朝ご飯が食べられないわよ?

 

仕方無いので起こす事にした

だけど眠りが深いのか、何回起こしても起きない

どうしようかしら……このままだと私も遅刻しちゃうわ。

 

そう思ってると扉が叩かれた

誰かと思って確認してみると瑞貴だった。

 

確か貴方も徹夜だったわよね?

随分平気そうだけど……何故?

 

「おはよう瑞貴

徹夜したのによく起きられるわね」

 

「あぁ、慣れてるからな

それに6時間も寝たら十分だ」

 

いや、6時間は普通の睡眠時間だから

どう考えても徹夜後の睡眠時間じゃないわよ?

それを教えた方がいいかしら?

 

「小娘はまだ寝てるのか?」

 

「えぇ、そろそろ睡眠時間が9時間になるわね

できるだけギリギリまでと考えてたんだけど

そろそろ起こさないと私まで遅刻しそうだからどうしようかと思ってたの」

 

「ふーん」

 

あ、また何か企んでる、絶対に企んでるわ

瑞貴はレイちゃんの寝ているベッドに向かう

女の子の寝顔を覗くのは関心しないわよ?

……止めないけど。

 

「…………ふ!」

 

「ふぇぁ?」

 

一瞬、瑞貴が声を上げたと思えば布団を一気に捲る

その勢いと突然の肌寒さでレイちゃんが目を覚ました

座って辺りを見回し、寝ぼけた目で瑞貴を見ている。

 

暫く頭が働かず、何が起こってるのか理解できていない

そんなレイちゃんの目の前で手を叩いて音を立てる

音に驚いたレイちゃんの体が軽く撥ねる、どうやらかなり驚いたみたいね。

 

「ふぁぁ……ぁぁんぅ……んぇ?

…………瑞貴さん!?」

 

大きな欠伸をしてもう一度瑞貴を眺める

少し待ち、覚醒したのか目の前の瑞貴に吃驚している。

 

顔を赤くして慌てて体を隠したり頭を隠したり、布団を探したり

そりゃ寝起きを男性に見られたらそうなるわよね……

止めなかった私も悪いかもしれないけど、止めても瑞貴なら必ずするでしょうし

だから私は悪くない……はずよ!

 

「えぅ? あぅ? ふぇ?

な、何で瑞貴さんがここに!?」

 

あーあ……顔を真っ赤にして凄く恥ずかしがってる

色々な意味で気になる相手な上、異性なんだから仕方無いわよね

私は既に着替え終わった後だし、身嗜みも整えた後だから気にならないけど。

 

「だから、ここは俺の部屋だって一昨日似たような事を言わなかったか?

ちなみに俺がお前を起こしたのは明日香がお前を起こそうとしたが起きなかったからだ

俺はそれを聞いてお前を起こしただけだ

なお、明日香が止めていれば俺はさっさと出て行ってたんだが止められなかった

寝顔や寝起き姿を見られたのが嫌だったのなら明日香を怨むんだな」

 

「その言い方は酷くない!?

貴方だったら言われてても止めなかったでしょ!?」

 

「何を言うか、言いもしなかったくせに

勝手に無駄だと思って行動しない時点でお前の負けなんだよ」

 

「なにそれ怖い」

 

「明日香さん……」

 

「レイちゃんもそんな恨めしい顔で私を見ないで!」

 

クッ、今回は確かに動かなかった私が悪かったわ

瑞貴もこの場合はレイちゃんをからかうと思ったのに

まさか私に向かうとは……相変わらず瑞貴は手強い!

 

瑞貴は少し棚を漁ってすぐに出て行く

私も寮に戻って朝食を食べないと……急がないと間に合わないわ。

 

レイちゃんと別れて寮に向かう

後は瑞貴がレイちゃんの面倒を見てくれるし、大丈夫よ。

 

急いで寮に戻って準備をする

この時間なら少し余裕は有るわね。

 

朝ご飯、ももえは昨日の瑞貴の説教後からずっと落ち込んだまま

レイちゃんに会えないのが堪えたらしい

昨日から何度もレイちゃんの名前を呼んでいる

もしかして本気で惚れた? 知らないとはいえ、女の子に惚れるなんてちょっと引くわよ。

 

ジュンコの方は何か気になる事でもあるのか、落ち着かない様子

ももえを見ているわけじゃないからももえが落ち込んでいる件じゃなさそう

気になるけど、私にできる事が有るなら自分から言い出すでしょ。

 

朝食を食べ、そのまま学校に向かう

特に筆記する事も無い、普通の学校生活だったわ

強いて言うなら相変わらず十代は落ち込んだままって事ね。

 

放課後、レイちゃんと話そうかと思ってレッド寮に向かう

途中でジュンコもレッド寮に向かっているのを見つけた

何か深刻な顔をしてるけど……どうかしたのかしら?

 

気になったので隠れて様子を見る事にした

ジュンコは崖下に下り、誰かを待つようにしている

しかも腕には決闘盤《デュエルディスク》……誰かと決闘《デュエル》するつもり?

 

眺めていると十代が来た

十代も決闘盤《デュエルディスク》を持っている

ジュンコ、今の十代と決闘《デュエル》するつもり?

腑抜けている十代と戦っても無駄な気もするけど……

 

十代自身も乗り気じゃないみたいだし

そんな十代に対して怒るジュンコ、それでも十代は変わらない

決闘盤《デュエルディスク》を構えるジュンコ、それを見て溜め息を吐きながら相手をする十代。

 

そして何故か始まる決闘《デュエル》

なんというか……グダグダね。

 

先手を取ったのはジュンコ

アクア・マドールを守備表示で出し、カードを伏せて終了

攻撃的なジュンコらしくない戦い方ね。

 

十代のターン、最初から融合を使ってフェザーマンとバーストレディを融合

フレイムウィングマンを融合召喚する

攻撃力はアクア・マドールの守備力2000を超えているわね。

 

しかしジュンコは速攻魔法、終焉の地を発動する

相手が特殊召喚に成功した時、フィールド魔法を発動できるカード

ジュンコはこの効果によりアトランティスを発動する

それにより、アクア・マドールの守備力は2200となり、フレイムウィングマンを超えた

これで十代はアクア・マドールを倒す事ができなくなった。

 

十代は攻撃を諦め、伏せカードを出して終了する

ジュンコも段々と強くなってるわね。

 

ジュンコのターン、召喚師のスキルを発動する

LV5以上の通常モンスターを手札に加えるカード、これでギガ・ガガギゴを手札に加える

アトランティスの効果でLVが1下がって4になったギガ・ガガギゴを召喚

アクア・マドールは攻撃表示に変更せず、ギガ・ガガギゴでフレイムウィングマンを攻撃し、撃破。

 

ギガ・ガガギゴの攻撃力は2650、攻撃力2100のフレイムウィングマンを破壊して550のダメージ

しかし十代はヒーロー・シグナルを使用、効果により、バブルマンを特殊召喚する

十代の場にカードは無いので効果によりデッキから2枚ドロー、更に水属性なので攻撃力が1000に上昇している。

 

ジュンコはカードを1枚セットして終了

厄介なのはやはり2枚ドローだったのだろう

少し警戒しているが、十代のやる気の無さからちょっと気が抜ける。

 

十代のターン、やる気の無い態度でドロー宣言をする

しかし、それを見てジュンコがドローする前に十代に怒りを向ける

何を言っているのか、そこまでは聞こえない

だけど真剣になっているのは分かる。

 

何を言われたのか、十代にやる気が満ちてくるのが分かる

そして普段のように元気になり、力強くドローする

最初に魔法カード、融合回収《フュージョン・リカバリー》を発動する

フェザーマンと融合を回収し、融合を発動。

 

フェザーマンとバブルマンを融合し、E・HEROセイラーマンを融合召喚

セイラーマンは水属性、よってアトランティスの効果で攻撃力が上昇する

十代は更にカードを1枚伏せる

セイラーマンは自分の場に伏せカードが存在している時は直接攻撃《ダイレクトアタック》できる効果を持つ。

 

そして直接攻撃《ダイレクトアタック》、しかしジュンコも甘くない

永続罠、竜巻海流壁《トルネードウォール》を発動する

海が場に存在する限り、戦闘ダメージを受けない事から直接攻撃《ダイレクトアタック》にも対応している。

 

これにより、ジュンコはダメージを回避する

十代はそれを見て悔しそうな仕草をするが態度が楽しそうだ

ふふ、これが十代よね。

 

十代は最後に再びカードを1枚伏せて終了する

次のジュンコの攻撃に対してどう対応する気かしら?

 

ジュンコのターン

アビス・ソルジャーを攻撃表示で召喚し、効果を発動する

手札のキラー・スネークを捨て、場のカードを手札に戻す効果を使用する。

 

だが十代も簡単に許さない

融合解除により、フェザーマンを守備表示で、バブルマンを攻撃表示で特殊召喚した

これによりアビス・ソルジャーの効果を回避、この効果は1ターンに1度しか使えないから上手いわね。

 

効果を回避されるも、ジュンコには攻撃が残っている

アトランティスの効果で攻撃力が上昇しているギガ・ガガギゴとアビス・ソルジャー

追撃すれば大きなダメージを与えられる、しかしジュンコはアクア・マドールを攻撃表示に変更しない

何か考えが有るのか、それとも何かを警戒している?

 

ジュンコは攻撃力が2000になったアビス・ソルジャーでフェザーマンを攻撃、撃破する

次にギガ・ガガギゴでバブルマンを攻撃、だが十代の速攻魔法、バブルシャッフルが発動される

相手モンスター1体とバブルマンを守備表示に変更、その後、守備表示のバブルマンを生け贄にE・HEROを特殊召喚する

十代はこの効果で貫通効果を持つ攻撃力2600のエッジマンを特殊召喚した。

 

攻撃表示ならギガ・ガガギゴで倒せるが、生憎とギガ・ガガギゴは守備表示

当然ながら守備力はエッジマンに勝てない。

 

だけどジュンコのあの余裕そうな顔は何?

ジュンコはカードを1枚セットしてターンを終了させる

残り手札は1枚、場には守備表示のアクア・マドールとギガ・ガガギゴ、攻撃表示でアビス・ソルジャー

まぁ確かに余裕の顔になってもおかしくない場ね。

 

ギガ・ガガギゴを先に倒さないとエッジマンが戦闘で破壊される

アビス・ソルジャーを倒さないと次のターンに手札に戻される

この状況、十代はどうやって突破するのかしら?

 

十代のターン、ドローした強欲な壺を発動する

そして増援を使用し、E・HEROワイルドマンを手札に加える

更に融合、場のエッジマンと手札のワイルドマンを融合した

E・HEROワイルドジャギーマンを融合召喚する。

 

ワイルドジャギーマンは相手の場全てのモンスターに攻撃できる効果を持つ

竜巻海流壁《トルネードウォール》の効果でダメージは与えられないが、それでもモンスターは全滅できる。

 

バトルフェイズに入り、攻撃を仕掛けるワイルドジャギーマン

だがこの瞬間、ジュンコの伏せカードが発動される

発動されたのは……ディメンション・マジック!?

生け贄にされたのはアクア・マドール、そして召喚されたのはアイス・ブリザード・マスターですって!?

 

思い出した!

初めてジュンコとももえが瑞貴と戦った後のカードの買い物

その時、1枚だけ使ってもいいと許可を貰って買ったカードがあった

ジュンコはあの時、アイス・ブリザード・マスターを貰ってたのね……

 

アイス・ブリザード・マスターは限定カードで、本来入手するには十数万も掛かる

ジュンコと瑞貴の話しを聞いていたけど、10万で買うという話しをしていたわ

残り数万の分はいいのかしら?

まぁ……私にも数万もしそうなカードを1万で売ってくれた時もあるし、構わないんでしょ。

 

でも数少ない水属性で魔法使い族の為にディメンション・マジックを入れるなんてね

だけどディメンション・マジックは場に魔法使い族さえ存在していれば魔法使い族以外でも生け贄にできる

そう考えると守備力の高いアクア・マドールやネオアクア・マドールなら使い易いんでしょうね。

 

そしてディメンション・マジックの効果により、ワイルドジャギーマンを破壊する

これで十代の場はがら空き、しかもジュンコの場にはモンスターが3体も存在している

攻撃力2700に上昇しているアイス・ブリザード・マスター

攻撃力2650に上昇しているギガ・ガガギゴ

攻撃力2000に上昇しているアビス・ソルジャー

手札2枚でどうやってこれを防ぐつもり?

 

十代は戦士の生還を発動、バブルマンを手札に加える

そしてバブルマンを守備表示で召喚、2枚ドローする

最後にカードを2枚セットしてターンエンド。

 

ジュンコのターン、ドローしてキラー・スネーク自身の効果を発動する

キラー・スネークは墓地に存在している時、スタンバイフェイズ時に手札に戻る効果を持つ

この効果を使ってジュンコはアビス・ソルジャーのコストを無くしている。

 

そしてアビス・ソルジャーの効果を使用し、バブルマンを手札に戻したが……ミスプレイね

アビス・ソルジャーの効果では全ての場のカードを手札に戻せる

この場合、伏せカードを手札に戻すべきだったわね。

 

ジュンコの総攻撃、しかし十代は攻撃の無力化を発動した

はぁ、案の定ね……ジュンコの猪突猛進癖が今回最大のミスね

もう1枚の伏せカードも有るけど、両方攻撃反応型じゃないでしょう

となるとアビス・ソルジャーの効果を考えてのブラフだったのかもしれないわね。

 

ジュンコは悔しそうな顔をしながらターンエンド

だけど彼女は十代が普段通りに戻って嬉しそうな顔をしていた。

 

十代のターン

リバースカード、サイクロンを発動する……やはりブラフか

効果により、アトランティスを破壊し、福次効果で竜巻海流壁《トルネードウォール》も破壊された。

 

再び場にカードが無くなった十代はバブルマンを守備表示で召喚する

そして2枚ドロー……3回もバブルマンの効果を使うって凄いわね。

 

そして融合、手札のクレイマンとスパークマンを融合し、サンダージャイアントを出す

効果によってアビス・ソルジャーを破壊する。

 

十代は続いてミラクル・フュージョンを発動する

墓地に存在しているフレイムウィングマンとスパークマンを融合させ、シャイニング・フレア・ウィングマンを攻撃表示で召喚

墓地に存在しているE・HEROの数は5枚、よって攻撃力は2500+1500で4000、普通ね。

 

だけどこれで終わり、シャイニング・フレア・ウィングマンはフレイムウィングマンと同じ効果を持つ

つまり、戦闘で破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与えられる効果を持つわ

攻撃表示のモンスターを倒せばその攻撃力分のダメージを与えられる……つまり与えるダメージは確実に4000

ジュンコも頑張ったけど終わったわね、ついでに1撃でライフを全部持ってかれるわ。

 

シャイニング・フレア・ウィングマンの攻撃でアイス・ブリザード・マスターが破壊される

戦闘ダメージ1500と効果ダメージで2500のダメージ

十代の勝利とジュンコの敗北ね。

 

十代はいつもの決めポーズと決め台詞

そしてジュンコは倒れて清々しそうに笑ってる

十代はジュンコの横に行き、お礼を言っているみたいね。

 

ジュンコは起き上がって背中やお尻に付いた砂を払う

少し話してるわね……どんな話しをしてるのかしら?

 

これ以上見てるのも忍びない

そう思ってレッド寮に向かおうと思った瞬間

ジュンコが……ジュンコが十代の頬にキスをした。

 

…………ジュンコは顔を赤くして逃げ出す

十代も顔を赤くし、キスされた方の頬を手で押さえて唖然としている

そして十代は混乱したようにあちらこちらを見て帰った。

 

えっと……ももえはレイちゃんに、ジュンコは十代に惚れた?

ももえの方の切欠は単に性癖だったから置いといて、ジュンコは何故?

 

可能性としては決闘者《デュエリスト》猿の時かしら?

ジュンコと助ける為に十代が決闘者《デュエリスト》猿と決闘《デュエル》をして勝った

自分を助けてくれた十代が気になるのは自然の流れかしらね

そして今回、落ち込んでる十代が嫌になったから決闘《デュエル》をする

調子の戻った十代を見て自分は十代が好きだと自覚、最後の一撃で完全に惚れた……かしらね?

 

…………見なかった事にしましょう

私にはどうしようも無いし、多分関係無いはず……よね?

 

あの2人、この先どうなるのかしら?

とりあえずまだ付き合わないでしょうし、友達以上恋人未満という関係でも続くのかしらね

この先のあの2人の発展に期待ね。

 

そういえばこの2人がこうなる切欠って私?

私が十代を叩きのめしたから?

で、でもあれは瑞貴の指示だから私は悪くない……のかしら?

 

はぁ、もういいわ

ジュンコにも春が来たんだし、素直に祝福してあげましょう

あぁ、花の高校時代の青春、私には来るのかしら?

 

なんだかんだでようやくレッド寮に着く

部屋に入ると瑞貴とレイちゃんが話していた。

 

「だから、このデッキを強化する為のカードを分けてくださいって言ってるじゃないですか!」

 

「だから、何度も言うが嫌だと言っているじゃないか?」

 

なるほど、レイちゃんも瑞貴の大量のカードの一部が欲しいのね

でもそこはやっぱり瑞貴、当然ながらお断りしてるわ

しかも言い方をレイちゃんに似せて嫌味っぽい、絶対に狙ってるわね。

 

「なら、どうすればいいんですか!

ボクにできる事ならできるだけします!」

 

「なら、何ができるんだ?

お前にできる事なんてそう無いだろ?」

 

「似たような言い方をしないでください!」

 

「似たような言い方をして悪いか?」

 

「ぐぅ……止めてください!」

 

「ふぅ……止めない」

 

酷い嫌がらせね、楽しそうだけど止めた方がいいかしら?

でも少しレイちゃんが涙目になってるし、止めた方がいいわね。

 

「はい、ストップ

あんまりレイちゃんを苛めないの」

 

「そういう明日香だって止めるのが遅かったな

実は見てて楽しかったんじゃないのか?」

 

「…………少しだけ」

 

「明日香さんまでーーー!」

 

ごめんねレイちゃん、でも楽しかったんだから仕方無いじゃない

私は参加してないんだし、それで許してちょうだい。

 

「それで、どうしてこんな事になってるの?」

 

「小娘が俺のカードを欲しがってるんだ」

 

「いや、それは分かってるから

私が知りたいのはそうなった原因よ」

 

「昨日、瑞貴さんがボクに詰め決闘《デュエル》をしてくれたの

その問題が全部恋する乙女の使い方とかだったんだ

だから瑞貴さんにボクのデッキ強化の為にカードをを分けてってお願いしてるんだけど……」

 

瑞貴は全く分けてくれる気配が無い

その上嫌がらせまでされて本筋が変わってたりすると

瑞貴も凄く楽しそうね、態と話しを逸らして渡す気が無いと暗に言っているような感じね

伝わってないけど。

 

「まぁいいや、なら俺の言う事を1つ実行すればお前のカードと交換してやろう

ちなみに、最低でもお前のカード2枚と俺のカード1枚だ

カードに依っては10枚以上と交換だからな」

 

「1:1交換じゃないの!?」

 

そうは言うけど……瑞貴にしてはかなり妥協してるのよ?

レイちゃんはまだ子供だからお金持ってないし

それにしても、瑞貴は何故かレイちゃんに凄く優しくないかしら?

やっぱり子供だから? それとも本当にロリコン?

でもその割に酷い事もしてるから……やっぱり気紛れかしらね。

 

「ちなみにボクは何をすればいいの?」

 

「あぁ、そうだな……なら」

 

瑞貴の出した条件

相変わらず貴方の考える事はよくわからないわ

でも……結果も予想できてるんじゃないかしら?

 

………………

…………

……

 

夜、港に私と瑞貴、レイちゃんが立っていた

私は楽しそうだけどちょっと不謹慎かなって思って苦笑い

レイちゃんは緊張して固まっている、ちなみに帽子は脱いでるわよ?

瑞貴は無表情、なんだか違和感しか感じないわよ?

 

瑞貴の出した条件、それは亮への告白

レイちゃんは拒否してたけど瑞貴に言いくるめられた

曰く、このままだと切欠も無いまま帰る事になるって。

 

確かにそれは間違っていないと思う

亮が目的で来たのに亮と会話もできていないし会えてもいない

できたのは離れた場所から見ているだけ。

 

何か、どんな事でも、切欠が無ければ何もできなかったかもしれない

そう言われて否定できないレイちゃんはその条件を受けた

不安だし怖い、だけど何もできないまま帰るのは嫌

きっとそんな想いからじゃないかしら?

 

ちなみに亮は私が呼び出した

この前の相談を改めて受けると言っておいたわ

そういえばどんな相談だったのかしら?

気付かなかった事は謝ったけど内容は知らないのよね。

 

暫く待ち、海に面していているので少し肌寒くなってきた

瑞貴は上着を脱いでレイちゃんに貸してあげていた

私には無いの? 無いに決まってるわね……はぁ。

 

それから少し経ち、亮が来た

手に何か持ってるけど、アレってレイちゃんの髪留めじゃなかったかしら?

 

亮は私だけでなくレイちゃんも居るので驚いていた

瑞貴の顔を見てまた驚く、私達との関係が全く分からないからでしょうね。

 

「明日香、これはいったい……」

 

「ごめんね亮、相談を改めて受けてもいいんだけど

私の前に少し話したいっていう子がいるから先にお願いね」

 

困惑しているみたいだけど、そんな暇は無いわよ?

だってレイちゃんがジッと貴方を見てるんだから。

 

ちなみに瑞貴は変わらず無表情を貫いてる

言い出したのは自分とはいえ、別に告白なんて見てもつまらないからかしら?

でもその割には……ちょっと怒りの感情が見える気がする

その怒りは誰に向けているのかしら?

 

「あ、あの……亮様!」

 

「う……うむ、何だ?」

 

あのカイザーも女の子に対してはタジタジね

顔を真っ赤にしてるレイちゃんも可愛いわよ

これで亮が下手な事を言わなかったら良いんだけど……

 

「わ、わ……私、亮様の事が好きです!

えっと、その……わ、私の想いを受け取ってください!」

 

下を向いて目を閉じて手を出すレイちゃん

その伸ばした手は小さく震えている。

 

しかし亮は……

 

「……レイ、お前の気持ちは嬉しい

だが、今の俺には決闘《デュエル》が全てなんだ」

 

やっぱり断った……か

一応予想はしてたけど、まさか言い方まで予想通りになるとは思わなかったわ。

 

告白を断られて泣きそうになるレイちゃん

そんなレイちゃんに髪留めを渡して去ろうとする亮

だけど……それを止めるのが、やっぱり貴方よね。

 

「お前を呼び出した理由は小娘の件だけじゃないぞ豆腐……もといカイザー」

 

「「豆腐?」」

 

豆腐って……食材の豆腐よね?

今、亮と豆腐って何か関係あるの?

 

「気にするなカイザー

お前にはこのメンタル・カウンセラー リリーのカードをプレゼントしよう

お前が女性の告白を無下に断った記念品とでも思え」

 

メンタル・カウンセラー リリーって確か……融合強化カードよね?

融合時に融合に記されていなくてもこのカードも融合する事ができる

融合モンスターの召喚時、ライフを500払う事で元々の攻撃力をエンドフェイズ時まで1000アップする

この効果は手札からの融合でも使用できる。

 

融合主体の亮に渡すのはいいけど……何故亮に?

というか、何で最初から用意してあったの?

更に言うと何故そのモンスターを?

 

瑞貴はカードを亮に投げ渡す

亮は複雑そうな顔をしてカードを受け取って効果を見る

少し使えそうだって顔になってるわね。

 

「さて、お前にちょっと言いたい事が有る

それと小娘、泣きたいのなら胸ぐらい貸してやるからこっちに来い」

 

レイちゃんは素直に瑞貴の元に行き、抱きついて泣き出す

そんなレイちゃんの頭を撫でながら、瑞貴は話し始める。

 

「でだカイザー、ちょっと今のは腹が立った

真剣に告白してきた小娘に対してその返事は何だ?

気持ちは嬉しいだぁ? 決闘《デュエル》が全てだぁ?

巫山戯るなとしか思えんな」

 

「……何が言いたい」

 

私も亮と同意見よ

何が巫山戯てるのかしら?

 

「はぁ……気付かないぐらい愚鈍か

気持ちは嬉しい? その割には随分淡々としていたな

嬉しいという気持ち所か、迷惑という感じにしか感じられなかったぞ?」

 

迷惑という言葉にレイちゃんが反応する

瑞貴、貴方レイちゃんに追い打ちを掛ける気!?

 

「そんな事は無い」

 

「どうだか、まぁ子供に言い寄られるのが嫌なら仕方無いか

子供は思い込みが激しいし、勢いで何でもし出す可能性が有る

そもそも……10歳に告白されて嬉しい18歳ってのも世間的に問題か

相手の真剣さはともかくな」

 

瑞貴の言う事は間違ってはいない

確かに、10歳に告白されてもそれは愛情ではなく好きだから好きと言った

そんな子供は多いとは思う。

 

しかし、今回のレイちゃんの告白は真剣な告白

好きだから好きと言ったでは納得できないぐらい行動を見せた

難しい編入試験を突破し、遠い場所からこのデュエル・アカデミアまで来た

本当に好きだからこそ、頑張っていた。

 

それをあの一言で振った亮にも問題が有るかもしれない

でも、決闘《デュエル》が全てという言葉に対してはどう思ってるの?

 

「更に決闘《デュエル》が全て? 尚のこと問題だらけだろうが

お前になんぞ興味が無いと言っているに等しいんだぞ?」

 

あ、確かに聞きように依ってはそう取れなくもないわね

レイちゃんが更に泣き出したけど……

あんまり本人の前で話す事じゃないわね。

 

「そんなつもりで言ったのではない!」

 

「なら決闘《デュエル》が全てなんて言葉は出ないよなぁ?

そこは俺にはまだやりたい事が有る、だからお前とは付き合う事はできない

とか言わないか? ついでに断る事に対して謝罪も無し?

随分酷い奴だな、カイザーとか言われて傲慢にでもなったか?」

 

「クッ……」

 

間違ってはないけど……間違ってはいないけど最後はあまり関係無いわよね?

というか、私としてはそんな返事が簡単に浮かぶ貴方が凄いと思うわ

そんな返事でもしたことが有るの?

 

「更に返事をしてさっさと帰るとはどういう事だ?

小娘が泣きそうになってるのに無視して帰ろうとするわ、慰めもしないわ、謝りもしないわ

聞いた話しだとリスペクト決闘《デュエル》とかいうのをするらしいじゃないか?

決闘《デュエル》以外ではリスペクトする必要は無いと?

それとも、小娘に対してそれをする価値が無いと?」

 

瑞貴の言葉に亮は何も言えず、レイちゃんは涙が止まらない

それでも瑞貴は言葉を止めない。

 

「子供だからそんな対応でも構わないとでも?

小学生だから謝る必要無いとでも?

慰めなくても勝手に泣き止むとでも?」

 

止まらない、止めない、瑞貴は亮を追い詰める

例え亮がどう言おうとも、瑞貴は噛みつくだろう

だから亮は何も言わない

しかし、瑞貴はそんな逃げを許さない。

 

「黙ってれば勝手に終わるとでも思ってるのか?

確かに、説教は少々慣れてるし、年上にするのは初めてだが

それでも加減するつもりは無いぞ」

 

絶対に許す気の無さそうな瑞貴

だけどそれを止める者も居る。

 

「………………」

 

「ん? どうかしたか小娘」

 

瑞貴の服を引っ張って何か合図をするレイちゃん

まだ涙は止まってないが、言いたい事が有るらしい。

 

「…………はぁ、わかったよ

カイザー……いや、丸藤亮

小娘に免じて今回はこれで終わりにしてやるよ」

 

「あぁ……すまない」

 

亮は頭を下げて謝罪する

それはレイちゃんに対してなのか、それとも瑞貴に対してなのか

だけど、本当に申し訳ないという感情は伝わってくる。

 

「謝るぐらいなら次からはもっと真剣に考えるんだな

ほら、行くぞ小娘、歩きたくないのなら抱っこぐらいしてやるぞ?」

 

「うん……」

 

瑞貴は亮の謝罪を切り捨て、レイちゃんを抱き上げる

瑞貴は振り返らずに去って行くが、レイちゃんは一度振り向いて頭を下げる

自分のせいでこんな事になってごめんなさい……そう言った気がした。

 

残された私達は何も言わずに立ったまま数分を過ごす

だけどこのままでは何もならないので私は歩き出し、瑞貴の後を追う

亮は何も言わず、立ち去る私から目を背けたまま立っていた……

 

………………

…………

……

 

気まずいながらもレッド寮の瑞貴の部屋まで来た

ど……どうすればいいのかしら?

悩んだまま扉の前で数分立ち尽くす。

 

しかし、そのままでは何もできないので諦めて部屋に入る事にした

鍵を開け、ゆっくりと扉を開いて部屋の中を見てみる。

 

部屋は暗く、電気は消されていた

どうなっているのか分からず、部屋に入ってみる。

 

誰も居ない?

そう思って部屋を見てみるとベッドの中に人影が見える

誰かと思えば瑞貴?

 

今日は自分の部屋で寝るのかと思い、レイちゃんが気になった

上のベッドを見てみると……あれ? 居ない?

 

どうなっているのか、追い出したという事は無いと思うけど

再び瑞貴のベッドの中を見てみる

よく見てみると瑞貴の腕の中で眠っているレイちゃんが……

 

多分、泣き疲れて瑞貴に抱きついたまま寝ちゃったのね

起こすのも忍びないし、今離れたら可哀想だったからかしら?

寝ててもしっかりと服を掴んでいる事から考えるに

離させようとするも、離れなかったから諦めたって所かしらね。

 

邪魔するのも何だし、今日は女子寮で寝る事にしましょう

おやすみなさい、瑞貴、レイちゃん。




※旧後書き
何故ジュンコに十代を?
このCPは割と序盤から考えてました。

十代はこれで元気にする予定だったの?
一応……なお、他にも2通り考えてました
外道Nチーム早期入手、しかし後の決闘《デュエル》でややこしくなると思い却下
ヘルガッチャ化(覇王ではない)、ヘルカイザーみたく勝利への異常な執着心を持とうというのですが、ジュンコとのCPができない、翔と隼人の存在から難しいと判断し却下しました。

前半予想できるって、何で?
前話の後書き参照
ももえは瑞貴に(以下略)
ももえ……は、『は』なんです、ジュンコはどうなる?
という考えから予想できるかと思いました。

結局、ジュンコが十代に惚れた理由って?
明日香の予想通りです
あの決闘《デュエル》猿のシーンではフラグになれそうだと思いました。

どうして明日香視点にしてジュンコか十代視点にしなかったの?
会話と心理描写が思いつきませんでした
ついでにツンデレや熱血は難しいです……
更に言うと十代を元気にする言葉が思いつきませんでした。

で、ももえはマジでレイに惚れてるの?
はい、本気だそうです。

ジュンコは10万も払ったの!?
払いました、お小遣いの大半を使いました
明日香の分の含めて何ヶ月か先のお小遣いを前借りです。

ももえは何を買ったの?
秘密です、でもジュンコと同じぐらい使いました。

どうして瑞貴はレイにあんな条件を?
明日香の予想通り、十代との決闘《デュエル》が無いので切欠がありませんでした
ですので切欠を与える事にしたのです。

レイの台詞がアニメより少ないんだけど……
アニメと違い、決闘《デュエル》での勢いなどが無いからです
覚悟はしていましたが緊張していたので言葉が少なくなりました。

瑞貴がレイに優しい……
カイザーの言葉にどうしても納得できませんでしたので
それに傷心の女の子に厳しくするような事は……更に子供ですしね。

最後のが……一緒に寝る?
この部分は非常に悩みました
しかし、明日香が変わってするのは変だと思い、結局瑞貴に慰めてもらいました。


✩感想
他では見られないカップリング、十代×ジュンコ……どうしてこうなった?
ジュンコはアレからどんどん強くなっていきます、頑張れジュンコ!

★反省
一緒に寝るはここで終わらせるべきだった……


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