絶対ドアを開けないで――東京への帰国者が体験 「隔離ホテル」厳戒の15泊ルポ
新型コロナウイルスの水際対策として、日本への入国者らに対して政府が行っている隔離措置。仕事で渡英し、帰国後に合計15泊の「隔離ホテル」滞在を経験したライターの鳴海汐さんがそのときの様子をリポートします。
想像と違う穏やかな雰囲気
実は、あからさまに避けられるような対応や緊迫した雰囲気を覚悟していたのですが、現場はとにかく穏やかな雰囲気です。
ところで、対象国以外からの入国であっても14日以内に対象国に立ち寄っていれば、その人も政府隔離ホテルに入るルールになっています。
それを知らないでやってきた人が、「(高級ホテルにしか泊まったことがないので)ビジネスホテルなんかに泊まりたくない。それならこの後のフライトで帰る」と大騒ぎしていたのが印象的でしたが、スタッフが丁寧に対応していたことにも、接客が雑なことが多いイギリス帰りのせいか強い感銘を受けました。
バスに乗りホテルへ
飛行機を降りてから、ホテルへ向かうバスに乗るまでは2時間半ほど。検査結果は陰性でしたが、バスの中はビニール張りで物々しい雰囲気です。筆者のほかに6人ほど乗っていましたが、誰もひと言も口をききません。
到着したホテルのロビーにはブースが設置されて、イベント会場のような雰囲気でした。ほほ笑みさえ湛えたスタッフから個別に滞在についての説明を受け、夕食のお弁当を受け取り、希望した禁煙ルームに向かいます。エレベーターに乗る際は、「どこにも触らないように」と指示を受け、フロアに到着すると、そこで待っていたスタッフがすでにドアを開けていて、部屋に誘導してくれました。
あとで同時期に帰国した友人の家族とは違うビジネスホテルだったのを確認しましたので、少なくともこのとき、ふたつ以上のホテルが使われていたようです。
ドアの内側には、「自分の部屋から出ないで下さい」という貼り紙があり、改めて文字として見ると衝撃的でした。なお、コインランドリーを使いたいときだけスタッフの付き添いで部屋の外に出ることができます。
お弁当にはサラダ、お茶、フルーツジュース、カップのみそ汁がついて、栄養バランスを考えていると思われる内容でした。冷たいお弁当でしたがそれなりにおいしく、まずは陰性だったという事実とともに、よく噛み締めました。宿泊が無料なこともありがたく思いながらいただきました。
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