(旧)本気禁止制限決闘   作:阿音

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6話【再戦、瑞貴対明日香】

 視点 明日香

 

 

「デッキはちゃんと確認したか?」

 

「えぇ、当然でしょ?

でもこのデッキは貴方が作ったデッキ、確認ついでに自分でも少し調整したけどね」

 

悪いとは思ったけどあのままだとこれは私のデッキじゃなくて瑞貴のデッキ

私のデッキにするには私が自分で考えなければならなかった。

 

「構わん、その程度は誤差の範囲だ

それにあのままだと俺は自分のデッキで戦う事になっていたしな

それだと楽しみも何も無い、むしろ好都合だ」

 

凄い……私は瑞貴の作ったデッキを見て勝てる自信が無かった

そのデッキを相手に、多少改造したとはいえ余裕を見せるとは……

知らないカードといい、とんでもない数のカードといい、瑞貴は恐ろしい人だわ。

 

「行くぞ、俺に勝ったらそのデッキに与えたカードの半分ぐらい景品にしてやる

だが負けたら後々返してもらうからな!」

 

「くれるんじゃなかったの!?」

 

だって部屋に誘う時にカードをくれるって……

 

「誰が全部プレゼントするって言ったよ?

欲しかったら俺から買いな、それならやるよ」

 

う……これだけのカード、一体どれ程の価値が有るのか

まだ使ってないけど、効果を見ただけで高値になるのは想像できる

もし瑞貴から買ったとして、お小遣い……大丈夫かしら?

 

「「決闘《デュエル》!」」

 

「先攻は俺は貰う

ドロー、俺はシャインエンジェルを守備表示で召喚

更にリバースカードを2枚伏せ、ターンエンドだ」

 

場に少々筋肉質の天使、シャインエンジェルが姿を見せた

戦闘で破壊された時にデッキから攻撃力1500以下の光属性のモンスターを特殊召喚するリクルーターモンスター

厄介ね、まだ私の手札には戦闘以外の方法でシャインエンジェルを破壊する方法は無い

ならば今は戦闘で破壊し、先手を奪う!

 

「私のターン、ドロー!

私はエトワール・サイバーを攻撃表示で召喚!

バトルよ、エトワール・サイバーでシャインエンジェルに攻撃!」

 

エトワール・サイバーがシャインエンジェルに向かって走り出す

さぁ、罠を使うのなら使いなさい!

リバースカードは……発動しないですって!?

 

エトワール・サイバーはそのままシャインエンジェルを蹴りで破壊

そしてモンスター効果が発動される……

 

「シャインエンジェルの効果発動

このモンスターが戦闘で破壊され、墓地に送られた時

自分のデッキから攻撃力1500以下の光属性モンスターを攻撃表示で特殊召喚する

俺はデッキから……シャインエンジェルを特殊召喚する」

 

再びシャインエンジェルが場に姿を現す

この効果で召喚したいモンスターがあるんじゃなかったの?

 

「私もカードを2伏せ、ターンエンドよ」

 

今はまだお互いに様子見

問題は私のデッキ内容を瑞貴は殆ど知っていて、私は瑞貴のデッキが全く分からない事

あれだけのデッキ作成能力とカードを持っている事から考え、彼のデッキは複数存在すると考えられる

まさか私を相手に同じデッキで戦うとは思えない。

 

「俺のターン、ドロー

……巨大ネズミを攻撃表示で召喚」

 

今度は青い髑髏を持った鼠が現れた

おかしい、シャインエンジェルと巨大ネズミでは同じデッキには合わないわ

てっきり光属性中心のデッキかと思ったんだけど……どういう事?

 

「バトルだ、シャインエンジェルでエトワール・サイバーに攻撃」

 

「罠カード発動! ドゥーブルバッセ!

その攻撃は私が受け、私のモンスターは直接攻撃《ダイレクトアタック》ができる!

更に罠カード、ダメージ・コンデンサーを発動!

私が戦闘ダメージを受けた時、その数値以下の攻撃力のモンスターをデッキから攻撃表示で特殊召喚できるわ!」

 

私に向かって飛んでくるシャインエンジェルは拳を突き出してきた

それを受け止め、戦闘ダメージの1400を受ける。

 

「くっ、そしてダメージを受けた瞬間、ダメージ・コンデンサーの効果発動!

デッキから、荒野の女戦士を特殊召喚!」

 

荒野というイメージを具現化したような女性が姿を現せる

しかしその攻撃力は1100、それでも効果は十分に強い!

 

「そしてドゥーブルバッセの効果により、エトワール・サイバーが直接攻撃《ダイレクトアタック》をする!

行きなさい、エトワール・サイバー! 瑞貴に直接攻撃《ダイレクトアタック》!」

 

瑞貴に向かって駆け出すエトワール・サイバー

しかし前回の守りの堅かった瑞貴に前と同じ攻撃が通るか!?

 

「ふん、甘い!

永続罠発動、スピリットバリア

自分の場にモンスターが存在している限り、俺に戦闘ダメージは無い」

 

エトワール・サイバーの蹴りが瑞貴に当たる直前に薄い膜のような光が現れた

チッ、やっぱりそう簡単には行かないか。

 

「バトルを続行する

俺は巨大ネズミでエトワール・サイバーを攻撃だ」

 

巨大ネズミはエトワール・サイバーに持っていた髑髏を投げつける

その髑髏に当たったエトワール・サイバーは破壊され、200のダメージを受ける。

 

やはり荒野の女戦士は選ばないか

分かっていたけど、これは少し予想外ね

まさかリクルーターモンスターを違う種類で2体も出すとはね。

 

瑞貴の目的が掴めない……一体どんなデッキを使ってるのかしら?

 

「俺はカードを1枚セット、ターンエンドだ」

 

また伏せカード……瑞貴は伏せカードを多用する癖でもあるのかしら?

少なくとも守りが堅いのは事実

前回ではダメージを与える事もできなかった

今回はダメージを与えるだけでは済まさず、勝ってみせるわ。

 

「私のターン、ドロー!

X-セイバー アナペレラを攻撃表示で召喚!

更に永続魔法、一族の結束を発動!

この効果により墓地に存在するモンスターと同じ種族の攻撃力が800ポイント上昇する

ただし、墓地に存在するモンスターの種族が複数存在している場合はこの効果は適用されない

私の墓地にはエトワール・サイバーが存在していて戦士族、そしてフィールド上のモンスターも戦士族

よってX-セイバー アナペレラの攻撃力は2600、荒野の女戦士の攻撃力は1900となる!」

 

種族が縛られるけどこの効果は強力

例え下級モンスターでも攻撃力が2600なんて……

自分でした事だけどここまでとは思わなかったわ。

 

「バトルよ!

荒野の女戦士でシャインエンジェルに攻撃!」

 

荒野の女戦士は持っていた剣でシャインエンジェルに斬りかかる

シャインエンジェルは反撃しようとするも、簡単に切り裂かれてしまう

そして破壊されて新たに現れたモンスターは……コーリング・ノヴァ

見た目の説明がとんでもなく面倒なモンスターね

どう言えば伝わるのかしら?

 

「更にアナペレラでコーリング・ノヴァに攻撃!」

 

アナペレラも荒野の女戦士と同じように攻撃し、コーリング・ノヴァを破壊する

再び現れるコーリング・ノヴァ、何回リクルートする気なのよ!

しかも伏せカードを使う気配さえ見せないなんて、どうすればいいのよ!

 

「く……ターンエンドよ」

 

「俺のターン、ドロー

巨大ネズミで荒野の女戦士に攻撃」

 

荒野の女戦士は自身に向かって来る巨大ネズミを切り捨てる

巨大ネズミは苦しみながら絶命したわ。

 

「巨大ネズミの効果を発動

デッキから素早いモモンガを特殊召喚

素早いモモンガで荒野の女戦士に攻撃」

 

巨大ネズミのいた場所にオレンジの毛を持ったモモンガが姿を現す

素早いモモンガの攻撃力は1000、当然攻撃力は荒野の女戦士には及ばない

アッサリと返り討ちにされて切り倒される。

 

「素早いモモンガの効果発動

戦闘で破壊された時ライフを1000回復し、デッキから素早いモモンガを裏守備表示で特殊召喚できる

俺はデッキから2体の素早いモモンガを裏守備表示で特殊召喚」

 

そして現れる伏せモンスター

これでまた瑞貴に壁モンスターが増えた上、ライフまで回復された!

 

「更にコーリング・ノヴァで荒野の女戦士に攻撃」

 

再び瑞貴の自爆特攻

一体何を考えてるの?

 

「効果により再びコーリング・ノヴァを特殊召喚

最後のコーリング・ノヴァで攻撃し、そしてリクルート、シャインエンジェルを特殊召喚

最後のシャインエンジェルで攻撃、ユーフォロイドを特殊召喚、攻撃、再びユーフォロイド、そして攻撃

最後のユーフォロイドで攻撃、今度はUFOタートルを特殊召喚し、攻撃して同じくUFOタートルをリクルートし、また攻撃

最後のUFOタートルからは仮面竜《マスクド・ドラゴン》、更に攻撃して同じく仮面竜《マスクド・ドラゴン》をリクルートして攻撃

最後の仮面竜《マスクド・ドラゴン》の効果で軍隊竜《アーミー・ドラゴン》を特殊召喚、そして攻撃、軍隊竜《アーミー・ドラゴン》をリクルート、攻撃して再び軍隊竜《アーミー・ドラゴン》をリクルート

最後の軍隊竜《アーミー・ドラゴン》は守備表示だ」

 

瑞貴の場にモンスターが現れては消えていく

このターンで瑞貴のデッキからモンスターは……17枚!?

こんなにモンスターを墓地に送ってどうするつもりなの!?

 

「ふむ……こんなもんかな?

俺はリバースカードを2枚セットしてターンエンドだ」

 

観客達も瑞貴の行動が理解できていない

1度戦った事のある私でさえ理解できないんですもの

観客が理解できるはずが無い。

 

「瑞貴、そんなにモンスターを墓地に送って何がしたいの?」

 

「自分で考えな

だがヒントぐらいあげようじゃないか

デッキの圧縮、墓地肥やし、これって場合に寄っては凄く便利なんだぜ?」

 

デッキ圧縮? 墓地肥やし?

そんな事をする理由なんて……それでどうやって勝つつもりなの?

 

「わ、私のターン、ドロー

よし、これで……私は手札から大嵐を発動!

これで貴方の伏せカードは全滅よ!」

 

自分の一族の結束も消えるけど、あの大量の伏せカードは危険すぎる

それぐらい押してでも全て破壊しないと!

 

「そうはいかない、伏せカード一斉オープン

ゴブリンのやりくり上手を3枚発動し、最後に非常食を発動する」

 

「どれもフリーチェーンですって!?」

 

そんな、これじゃあ破壊できるのはスピリットバリアだけ

しかも非常食で大きな回復までされてしまう!

 

「まず最初に非常食の効果が適用される

非常食はこのカード以外の魔法・罠カードを墓地に送る事で1枚につきライフを1000ポイント回復する

俺は魔法・罠カードを全て墓地に送り、ライフを4000回復する」

 

「ライフポイントが9000ですって!?」

 

くっ、手札のサイバー・チュチュは攻撃力がこのカード以下じゃないと直接攻撃《ダイレクトアタック》ができない

でも軍隊竜《アーミー・ドラゴン》の攻撃力はサイバー・チュチュ以下の700だから効果は使えない

それに攻撃力1000程度で攻撃しても大した効果は得られない!

 

「そして次にゴブリンのやりくり上手の効果が発動する

このカードは効果が発動した時に墓地に存在する同名カードの枚数+1枚ドローする

その後、手札から1枚デッキの一番下にカードを戻す」

 

また知らないカード……

しかし発動した時には墓地には送られていなかった

でもどうしてさっさと発動しなかったのかしら?

 

「効果は今発動した

非常食の効果によって現在墓地にゴブリンのやりくり上手は3枚

よって俺は4枚ドローし、デッキの下に1枚戻す」

 

「よ、4枚ドロー!?

どういう事なの! 発動した時にはまだ墓地に無かったはずよ!」

 

瑞貴の説明に会場も大きくざわめいている

誰もが瑞貴に説明を要求しているわ。

 

「はぁ……なら順番に説明するぞ?

まず知っていると思うがチェーンで発動した物は最後のカードから順番に処理される

ゴブリンのやりくり上手を非常食の効果で墓地に送った

チェーンで発動したのでやりくり上手の効果が適用されるのは非常食の後

非常食の後という事は既にやりくり上手は墓地に送られている

やりくり上手は効果の適用時に墓地に存在する同名カードの数+1枚ドローする

そして効果適用時、つまり今は墓地に3枚のやりくり上手が存在している

だからドローできるのは3枚+1枚で4枚ドローするんだ」

 

なるほど……でもこんなコンボは見た事無いわ

そもそもこのカード自体を知らないんだから当然なんだけど

恐ろしいコンボね、大量ドローと手札交換だなんて。

 

「俺はデッキからカードを4枚ドロー

そしてデッキの一番下に1枚戻す

更に俺は2枚目のゴブリンのやりくり上手の効果を発動

再びデッキから4枚ドローし、デッキの一番下に戻す」

 

「2回目ですって!?」

 

「墓地に送ったのは3枚だ

つまり俺は3回同じ効果を使用できるんだよ」

 

そんな……つまり12枚ドローするって事?

デッキに3枚戻すとはいえ、9枚も手札が増えるだなんて……

 

「ふむ……俺の運はとんでもなく悪いみたいだな

逆に明日香は凄い幸運みたいだが」

 

何を言ってるのかしら?

 

「俺の残りデッキは今戻したカードも含めて4枚

そして俺が戻した3枚を除いた残り1枚の最後のカードをドローした瞬間、俺の勝ちが確定する」

 

「カードをドローするだけで勝ち?

……まさか、エクゾディア!?」

 

そんな、エクゾディアのパーツカードを揃って持ってるだなんて!

確かにあれだけカードを持っていれば持っているかもしれないけど

それでも、こんなに簡単に揃えられるなんて!

 

「はい、よくできました

正解したご褒美に後でいいこいいこしてやろう」

 

「い、いらないわよ!」

 

とは言う物の、私の手札にこの状況を打開できる方法なんて……

いや、もしかしたら防げるかもしれない!

なら少しでも可能性を追求しないと!

 

「私はサイバー・チュチュを攻撃表示で召喚!

バトルよ! アナペレラと荒野の女戦士でセットされている素早いモモンガを

サイバー・チュチュで軍隊竜《アーミー・ドラゴン》へ攻撃!」

 

モモンガ達は剣で切り刻まれ、軍隊竜《アーミー・ドラゴン》は蹴りで粉砕される

これで瑞貴の場にカードは1枚も存在しない。

 

しかしモモンガの効果でライフを2000回復され、今の瑞貴のライフは11000

元々硬い瑞貴の守りをどうやって抜くか!

 

更に彼の手札は3枚から9枚増えて12枚

あれだけ手札が有れば何が起こってもおかしくない

いつ逆転されても不思議じゃないわ。

 

「最後にカードを1枚セットして、ターンエンドよ!」

 

瑞貴が何故このカードをこのデッキに入れたのかは分からない

でも、今この瞬間の為になるなら……

問題は発動タイミング、万が一タイミングをミスしたら私の負け!

 

「俺のターン……」

 

「この瞬間、罠カード発動!

マインド・クラッシュ!

カード名を1枚宣言し、そのカードが相手の手札に存在していれば墓地に送る!」

 

もし持っていない1枚を言ってしまったら私の負け!

最後で一か八かの大勝負、行くわよ瑞貴!

 

「私は……封印されし者の右腕を選択するわ!」

 

瑞貴は手札を私に見せるように腕を動かす

今の私にはその動きがとても遅く感じられた

もし間違えていたら私の負けが確定してしまう!

 

「俺の手札に封印されし者の右腕は……有る

よって、このカードは墓地に送られるな」

 

「や……やった!

やったわ! これで私の勝ちよ!」

 

思わずはしゃいでしまう

でもそれぐらい嬉しいのよ

だって私の勘が当たり、エクゾディアを手札から落とす事に成功したんだもの!

 

私の歓喜の言葉に会場も一緒に燃え上がる

みんな緊張して見ていたんでしょうね

歓声が凄い声になってるわ。

 

「ドロー……さて明日香、束の間の喜びは得られたかな?」

 

「え?」

 

瑞貴の言葉に私だけでなく、会場中からも声が止まる

束の間の喜びって……どういう意味?

 

「甘い……甘いなぁ明日香

その程度で俺に勝とうだなんて……虫唾が走るわ!

俺はカオス・ネクロマンサーを攻撃表示で召喚!」

 

私の目の前に紫色のボロ布を来た悪魔が現れる

攻撃力0のモンスターだけど……この状況で一体何を?

 

「カオス・ネクロマンサーの効果は

このモンスターの攻撃力は自分の墓地に存在するモンスターの数×300となる」

 

「墓地に存在するモンスターの数ですって!?

じゃあ今までリクルーターを数多く墓地に送っていたのって!」

 

「そう、エクゾディアを揃える為にデッキの圧縮

そして万が一揃えられなくなった時の為の……こいつだ」

 

「そんな……そんな事って……」

 

瑞貴の墓地にはモンスターが24体

という事は攻撃力は……7200!?

 

「墓地のモンスターは24体、よって攻撃力は7200

カオス・ネクロマンサーで荒野の女戦士に攻撃!」

 

カオス・ネクロマンサーが荒野の女戦士に向かって来る……

荒野の女戦士はカオス・ネクロマンサーの攻撃で破壊される

そして攻撃力差は6100……私の負け……

 

「明日香」

 

「……何?」

 

「トドメに少しだけ教えてやるよ」

 

何を言うつもりかしら?

 

「俺の手札には闇の量産工場が有った

つまり、エクゾディアパーツを召喚して自爆特攻

その後、闇の量産工場を使えばエクゾディアは揃えられた」

 

瑞貴の言葉に私は打ちのめされた

つまり、私はどう足掻いても勝てなかった事になる。

 

「つまり……最後の賭けかと思ったらイカサマされてたのね

ふふ、それなら勝てなくて当然ね」

 

「イカサマ? 違うな、アレは保険だ

捨てさせられたりした時の為に保険を掛けておくのは当然だろ?」

 

言っている事は理解できる

でも一番悔しいのはエクゾディアで勝てたのに態々別の方法で勝たれた事

そしてまたライフを1ポイントも削る事ができなかった事よ!

 

悔しい、悔しい、悔しい!

悔しい! 悔しい! 悔しい!

悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい!

 

瑞貴、私は次こそ貴方に勝つ!

その為には……屈辱だけど瑞貴の力を借りなくちゃいけない

彼のカードは強力で魅力的なカードが多すぎる

少なくとも今私が持っているカードじゃ……勝てない!

 

もう悔しくて不甲斐なくて……

そして例え自分の敵だったとはいえ、このデッキを作ってくれた瑞貴に申し訳なくて……

 

そう考えると悲しさも溢れてくる

瑞貴は態々私の為に一生懸命、テスト前の時間を削ってデッキを組んでくれた

目的は本当にただの暇潰しだったかもしれない

それでも……あんなに頑張ってくれたデッキ。

 

私から見ても強く、負けるとは思えないぐらい強いデッキだった

瑞貴は最後に結局はファンデッキになったって言ってたけど、このデッキは既にファンデッキなんて軽さじゃない

正真正銘、強力な戦士デッキよ。

 

攻めを中心とし、守りは多少薄くなるけどサポートカードが多い

強化、回収、ドローとバランスもかなり良かった

下級モンスターのパワー不足なのが欠点って言ってたけど

それでも強化カードで十分補える程度。

 

私が増やしたのは最初に使ったダメージ・コンデンサー

他には少し自分の持っているカードを入れただけ

実質殆ど違いは無かった。

 

何が悪かったのか

どれだけ考えても自分が負けた理由が分からない

安易に攻撃する事を選んだ私が悪いのかしら?

それとも単純に瑞貴が上手かっただけ?

 

どんな理由にしろ、負けた私が何を言っても負け犬の遠吠え

これ以上は頑張ってくれたデッキに対する裏切り

言い訳は過ぎると悪意にしかならない……

 

それでも言い訳をしそうになってしまう私がいる

ふふふ、負けた上に言い訳をし、デッキを裏切っていると自覚しても今だに言い訳を考える

デッキを裏切るという事は瑞貴の苦労と頑張りさえも裏切った事になる

私は……最低ね。

 

ごめんなさい私のデッキ

ごめんなさい瑞貴

ごめんなさい……ごめん……なさい……

 

涙が溢れて止まらない

必死に手で拭ってるけど止まらない

座り込んで子供のように泣いてしまう。

 

そんな私にハンカチが渡された

どこから? 誰から?

そう思って見上げると瑞貴が違う方を向きながらハンカチを差し出していた。

 

「…………」

 

瑞貴は何も言わずにハンカチを私に向けるだけ

私はハンカチを受け取り、涙を拭く

瑞貴はずっと違う方を向いていてくれた……

 

ようやく泣き止んだ時

タイミングを見計らっていたのか、校長先生からの放送が掛かった。

 

『オシリスレッド、堅守瑞貴君

君の素晴らしい決闘技術《デュエル・タクティクス》

そしてあらゆる事を考えた柔軟な思考

更にあのエクゾディアを揃えられるようなテクニック

成績も優秀だし、決闘《デュエル》の実力も高い

文句なしで君もラーイエローに昇格です』

 

観客からの大歓声

それはそうでしょうね

だって1日に2人もレッドからイエローに昇格ですもの。

 

更にオベリスクブルーの私を相手にダメージを受けず

しかもエクゾディアを揃えられる技術にテクニック

昇格はきっと誰もが受け入れる事でしょうね。

 

瑞貴は何も言わずに私に手を差し伸べる

自分で立とうかとも思ったけど……結局瑞貴の手を借りた

瑞貴は私が立ったらすぐに手を離して決闘場《デュエルフィールド》から出て行った。

 

私は少し動けなかったけどすぐに自分も決闘場《デュエルフィールド》から離れた

うっかりしていたけど今まで私は泣いていた、注目を浴びて当然じゃない!

 

………………

…………

……

 

数日後

瑞貴の服は赤から黄色に変わっていた

どうやら十代みたいに赤がいいと我が儘を言ったわけではないみたい。

 

授業終了後、瑞貴に話しかける

瑞貴は寝てるみたいだけど……これで何で成績が良いのかしらね?

 

「ほら瑞貴、授業が終わったわよ

もう放課後だし、起きなさい!」

 

それでも瑞貴は起きない

もう、何で私がこんな事を……

そう思っていたけど小さな呻き声が聞こえた

どうやら瑞貴が起きたみたい。

 

「……眠い」

 

「眠いじゃないわよ

ほら、もう放課後だからいい加減起きなさい」

 

瑞貴は欠伸をしながら帰る準備をする

勉強道具やカードを一通りだけと、どうやら余計な物は殆ど持ってこないみたいね。

 

「で、何でお前は俺を起こしたんだ?

寝てたからだけじゃないんだろ?」

 

「気付いちゃった?

デッキについてまた教えて欲しい事が有るのよ

手伝ってもらえないかしら?」

 

「断る」

 

……即答は酷くない?

 

「あれだけ手伝ってやれば十分だろ?

あのデッキで基盤は大方できてるんだ

後は自分でアレンジするなり考えるなりしろ」

 

何というか……予想はしてたけど淡泊な反応ね

他人に関わる事を嫌ってるのかしら?

 

だからといって諦める気は無い

私は彼に訊きたい事が山ほどある。

 

「でも確かギガンテック・ファイター/バスターのサポートカードがあるみたいだけど?

それが有ればもっと色々と考えられるわ」

 

「…………高いぞ」

 

「お金取るつもり!?

な、ならくれなくてもいいから教えてちょうだい!」

 

「うーん……でもなぁ」

 

「ど……どうすれば教えてくれるの?」

 

私にできる事なんてあんまり無いわ

ちなみにあの時のカードは半分ぐらい買わせてもらった

これで当分はお金を自由に使えない

うぅぅ……ドローパンも買えない。

 

「別に何もしなくても見せるぐらいいいぞ」

 

「なら何で態々焦らすのよ!」

 

「焦ってる明日香を見て楽しんでるから」

 

「このひねくれ者!」

 

「ありがとう」

 

「褒めてないわよ!」

 

最近話す事が多くなってきたんだけど……

瑞貴は思った以上に性格が悪い

暇潰しに嫌がらせは最高の時間潰しになるって言われた

更生させられないかしら?

 

そして来たのはレッド寮……あれ?

 

「ねえ瑞貴、貴方今ラーイエローよね?」

 

「ああ」

 

「なら何でレッド寮にカードがあるの?」

 

「中途半端な広さで気持ち悪い

半端に小綺麗でなんか嫌

そもそも実は黄色は割と嫌いな色だから住む気にならん

そして俺が嫌いな暇を体現してそうな場所だから絶対に嫌だ」

 

酷すぎる……そんなにイエローが嫌いなの?

あと、いくらなんでも最後のはイエローに喧嘩を売っているようにしか思えないわよ?

 

「ついでに俺は狭い場所の方が好きだし質素な感じが好きだ

食事も豪華なのは嫌いだし、それなりが良い

俺は小市民だからな、変に派手なのとかも嫌いなんだ」

 

本当に根っからの小市民というか……貧乏性?

それとも変な部分が真面目なのかしら?

もしくは今時古い考えの人間?

 

「とりあえずそういう訳で俺はイエローにはなったがレッド寮に居座る予定だ

ブルーになったら寮を移動するかも考えるが……ブルーはブルーで派手そうだから嫌だな

ま、そういう訳だから俺に用が有る時はレッドにだ

来ないでくれると俺はとっても嬉しい」

 

「どうして最後にそういう事を言うの!?」

 

「明日香が怒るから

その反応を見る為なら俺はいくらでも言う

場合に寄っては行動に移してでも嫌がらせをする」

 

「嫌がらせ自体を止めなさい!」

 

「ナイス反応

さ、もっと怒れ」

 

「~~~~~~~!!!」

 

落ち着け……落ち着け明日香

瑞貴の調子に乗ったら負けよ

何に負けるのかよくわかんないけど負けなのよ。

 

「何をしている明日香

部屋に入るならさっさと入れ」

 

「人が落ち着こうとしてるのに……瑞貴!」

 

「見ないのか?」

 

「う……わかったわよ」

 

瑞貴相手に口喧嘩はしないようにしましょう

勝てる自信が無いんだもの。

 

それより、今日はどんなカードを見せてくれるのかしらね?

例えからかわれても、これはもっと続けたい

次の機会も見せてくれるかしら?

楽しみだわ。

 

「あ、明日香

感情が落ち着いたら茶を淹れてくれ

それから始めよう」

 

……でも瑞貴の性格は好きになれなさそうね。




※旧後書き
明日香はどれぐらいデッキを自分で調整したの?
そう多くありません
瑞貴と話しでコンボが無いと言われたのでそういうカードを入れました
瑞貴はコンボカードを殆ど入れなかったので……

明日香のお小遣い?
彼女もまだ15歳か16歳です
学生ですしあんな島じゃバイトとかもできません
お金は親からお小遣いを貰っている立場なので当然でしょう。

今回の瑞貴のデッキは?
リクルーターの自爆特攻でデッキ圧縮し、エクゾディアのドロー率を上げるデッキです
もし揃えるのが遅くなりそうになった時の為にカオス・ネクロマンサーを使います
リクルーターモンスターはそれなりに多く墓地に送られているので便利なモンスターです、お手軽ですしね。

巨大ネズミからのリクルートって何がいるの?
素早いモモンガ、共鳴虫《ハウリング・インセクト》ですね
そこからドラゴン・フライに繋げて軍隊竜《アーミー・ドラゴン》に繋ぐ事もします。

瑞貴の3ターン目にモンスターを召喚しなかった理由は?
これ以上リクルートモンスターを出すと伏せカードのやりくり上手でデッキ切れになるかもしれないと思ったからです
効果を使わなくても良かったのですが、出す意味が無かったので出しませんでした。

リクルートモンスターの種類は?
シャインエンジェル、コーリング・ノヴァ、ユーフォロイド、UFOタートル、仮面竜《マスクド・ドラゴン》、軍隊竜《アーミー・ドラゴン》、巨大ネズミ、共鳴虫《ハウリング・インセクト》、ドラゴン・フライ、素早いモモンガです
総勢10種類で巨大ネズミと共鳴虫《ハウリング・インセクト》とドラゴン・フライは1枚で総計24枚になります
巨大ネズミと共鳴虫《ハウリング・インセクト》とドラゴン・フライが少ないのはシャインエンジェルから繋いだ方が多い為、他に入れるカードも少なかった事もあり適当に突っ込んだだけです
素早いモモンガは回復と壁用ですね。

残りのカードは?
エクゾディアパーツ各1枚の系5枚、カオス・ネクロマンサー1枚、ゴブリンのやりくり上手3枚、非常食1枚、スピリットバリア3枚、死者転生2枚、闇の量産工場1枚です
これらとリクルートモンスターを含めて40枚デッキとなっています
カオス・ネクロマンサーはあくまで保険なので1枚しか入っていません。

打出の小槌は使わないの?
そんなカードを使ったら簡単に勝てそうなので楽しくないので使いません
同じく普通にドローできる強欲な壺も使っていません
天使の施し、天よりの宝札(原作効果)も単純なので使いません
それにやりくり上手の効果でリクルートモンスターをデッキに戻す意味もあるのでこちらの方が便利だと思いました。

瑞貴の運が悪すぎない?
基本ドロー運はかなり低いです
十代の幸運をEXとした場合、瑞貴の幸運はD程度です
それでも勝ちを拾えるのはアニメキャラ達はどう考えてもバランスが悪いからです
事実、例えばハネクリボーLV10なんてE・HEROデッキなのに入れている十代のデッキ構造がカオスでしかないと思います
素直に一族の結束や連合軍を入れれば強いのに……前者は無いんですけどね。

虫唾が走るって……
思わず社長の言葉が出てしまったようです。

明日香が勝つ方法は?
守備を堅め、魔法・罠除去カードが来るまで粘り、貫通モンスターでダメージを与えれば勝っていたかもしれません
瑞貴のエクゾディアは最後のカードだったのでそれまでにライフは削れるでしょう。

何故瑞貴はマインド・クラッシュを?
原作で妙に手札のカードを教えなければならない時は少なからず有ったからです
1枚入れていれば成功する可能性も低くないだろうと思って入れました。

明日香って実験鼠じゃなかったっけ?
実験前に倒してしまったので仕方がないでしょう
今回はテストミスと割り切って潰したそうです。

瑞貴って優しい?
性格は悪くとも基本は善人でフェミニストなので……でも気に入らない事には誰が相手でもとことん反抗します。

ラーイエローに昇格するような事?
元々イエローになれるはずだったのですので当然でしょう
嫌がらせでレッドにされたようなものですし……
具体的には2話の最初を参照。

明日香は瑞貴の事をどう思ってるの?
倒すべきライバル、強敵、大量のカードを持っている謎の生徒などです
それと同時に自分の為に色々としてくれる恩人
最後にだらしない友人といった感じですね。

明日香の金銭状況は大丈夫なの?
超ギリギリです、暫く学食もまともに食べられません
寮で出る食事だけで我慢しています
ですので現在は1日に1食から2食で耐えています
これはダイエットだとか言い訳をしていますが、元々痩せている明日香です
回りからは何か有ったのかと心配されています
なお、時々ジュンコやももえからお裾分けをしてもらっているとか……それほど困っているようです。

瑞貴はイエローがそんなに嫌いなの?
明日香の予想は大方当たっており、貧乏性で変に真面目な部分が存在しており、古い考えを持つタイプです
ブルーは元より、イエローも半端に豪華なので嫌っています
ちなみに好みの女性は黒髪ロングだとか……明日香は(多分)無理ですね!

レッド寮だと面倒事に巻き込まれるんじゃないの?
それでも暇するよりはマシだと思っています
それにイエロー寮は言っていた通り気に入らないのでそれは諦めています
もう原作に関して大半忘れているのでどうでも良くなっているというのも大きいです。

瑞貴は明日香に対してどう思ってる?
気に入ったし一緒に居ると楽しいので原作キャラというのをほぼ忘れています
後は自分のカードをこっちの人間が扱えるのかという実験の実験台です
少なくとも明日香を嫌ってはいませんが、特に好いてもいません。


✩感想
フラグ回避とはなんだったのか……
最初なのだからエクゾディア完成させればよかったと、後々後悔。

★反省
ゴブリンのやりくり上手はFLAMING ETERNITYというパックで発売されたカード。
融合呪印生物、レスキャ、魔デッキ、ポールポジション、ライボル、威嚇する咆哮等のカードを出したパック。
アニメGXの放送と同時期にリアルで発売されていたのに明日香が知らないという点を後々知って、カードの発売時期はちゃんと確認しようと思って反省した話。


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