遊戯王-孤独に巻き込まれた決闘者-R   作:秋風

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遅くなりました、なんとか14話を更新です。
何とか深夜に挙げられてよかった……

日光岩新アカ様 シア・スターダスト様 スターダスト様 ちにゃ様 うさぎたるもの様 万屋よっちゃん様 Ranperu様 肉々しい肉様 本能寺様 ジェガン様 暗色様 navi様
感想、ご意見、ご指摘ありがとうございました。これからもよろしくお願いします

黒兎参様 本能寺様
小説評価ありがとうございました。頂いた点数以上の小説を目指して頑張ります

引き続き、小説の感想、ご意見、ご指摘、評価をお待ちしております。
今回は秋人(?)のデュエルです、ではどうぞ


14「復讐の決闘」

Side十代

 

「「決闘(デュエル)!」」

 

武藤秋人VSオシリスレッド生徒

 

武藤秋人 LP4000

オシリスレッド生徒 LP4000

 

「先攻はもらうぜぇ!」

 

「……好きにしろ」

 

「ドロー! くくく、俺はモンスターをセット、カードを2枚セットしてターンエンド!」

 

 始まった秋人とオシリスレッドの生徒のデュエル。どう見ても、秋人の様子がおかしい……それは、ここにいる全員が思うことだった。アイツを相手に、秋人はいったいどんなデッキを……

 

「俺のターン、ドロー…俺は手札から魔法カード『エクシーズ・チェンジ・タクティクス』を発動。自分フィールドに『希望皇ホープ』と名のつくモンスターがエクシーズ召喚された時、500ポイントのライフを払い、カードを1枚ドローできる」

 

 ホープのサポートカード? ということは、エクシーズデッキか! それなら秋人は負けないはずだ!

 

「エクシーズ召喚だぁ? 知らない召喚方法のモンスターか……聞いた話じゃ、テメーシンクロ召喚とかいうよく知らねー召喚もしているんだってなぁ。俺が勝ったらよこせよ! そのカード全部!」

 

「うるさい、黙れ、喋るな…俺は手札から『ゴブリンドバーグ』を召喚。このカードの召喚に成功したとき、手札からレベル4のモンスターを特殊召喚する。『アステル・ドローン』を特殊召喚」

 

ゴブリンドバーグ ATK1400/DEF0

 

アステル・ドローン ATK1600/DEF1000

 

 レベル4のモンスターが2体! ってことはエクシーズ召喚か! 俺がそう思っていると、ツァンが俺の横で不安そうな目で秋人を見ていた。

 

「ん? どうしたんだツァン」

 

「……秋人、多分正気じゃないわ」

 

「え? なんでだよ。アイツの挑発に動じず、プレイできてるぜ?」

 

「バカ。アンタ女子寮でのデュエルのことを忘れたの? 秋人の言葉を」

 

 秋人の言葉? あいつ、あの時何か言ってたっけ? 確か雪乃の奴とデュエルをすることになって、それで……

 

―――俺がこのデュエルに勝ったら、このデュエルの事は秘密にしてほしい

 

「あ……! そうか、エクシーズ召喚!」

 

「十代のボウヤの言うとおり……ボウヤはあれだけエクシーズ召喚を晒すことを嫌がっていた。なのに、それなのに今、エクシーズ召喚をしようとしている。冷静ではあるけど、今のボウヤにはおそらく……あの生徒を倒すことしか、頭にない」

 

「なあ、エクシーズ召喚ってなんだ?」

 

 そう不思議そうに三沢と隼人が俺に聞いてくる。そうか、二人はあの時はいなかったから知らないのか。俺はデュエルを見ながら二人にエクシーズ召喚について説明する。そうしている間にも、秋人はプレイを続行していた。

 

「俺はフィールドのゴブリンドバーグとアステル・ドローンでオーバーレイ。2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚……『No.39希望皇ホープ』」

 

No.39希望皇ホープ ATK2500/DEF2000

 

 フィールドに降臨する希望皇ホープ。だけど、俺はその召喚されたホープに違和感を覚える。まるで、秋人の怒りに連動しているかのような感じだ。前に見たホープの時と、どこか違う。

 

「貴様に説明しておく。エクシーズ召喚は2体の同じレベルのモンスターをエクシーズ素材として召喚する召喚方法だ」

 

「ほぉう? いいカード持ってるじゃねェか…とっとと倒してお前から貰うとするか。アハハハハ!」

 

 先程から秋人の言葉に対して挑発というか、余裕を見せているアイツ。余裕を見せているのも今のうちだ。

 

「……貴様に渡す気など毛頭ない。ホープが召喚されたことで『エクシーズ・チェンジ・タクティクス』の効果発動。ライフを500払い、カードを1枚ドローする。さらに、アステル・ドローンがエクシーズ素材になったとき、カードを1枚ドローする」

 

武藤秋人 LP4000→LP3500

 

 結果的にカードを2枚ドローできるってことか。なんでだろう、秋人がカードを扱うごとに、カードが苦しんでいるような……? なんだ、すげぇ嫌な予感がする。

 

「バトルフェイズだ。希望皇ホープでセットモンスターを攻撃する」

 

「おっと! セットモンスターは『黒き森のウィッチ』だ! カード効果発動、デッキから守備力1500以下のモンスターを手札に加えようかぁ…! はははは!」

 

 ……ん? ちょっと待て、黒き森のウィッチだって? つい最近に禁止カードになったばかりのカードじゃないか!

 

「そうだなぁ……お前をとっとと倒す準備だ。こいよ、『デーモンの召喚』を手札に加える!」

 

「ちょっと待ちなさいよ! 黒き森のウィッチはこの前禁止カードに指定されたはず!」

 

「知らないなぁ! 生憎俺は停学中でカードに触ってなくてなぁ……デュエルディスクのアップデートもしてないからなぁ」

 

 ツァンの言葉に、そう俺たちを馬鹿にしたかのように答える。あ、あの野郎! 絶対わざとアップデートしてないだけだろ! どう考えてもわかってて入れてやがる。

 

「……どうでもいい。カードを2枚伏せ、ターンエンド」

 

「そう言っていられるのも今のうちだぜぇ…? 俺のターン! 手札から『トレード・イン』を発動! 手札から『トライホーン・ドラゴン』を墓地に送りカードを2枚ドロー! さらに『死者蘇生』を使って「トライホーン・ドラゴン」を蘇生! そしてぇ! 『アドバンスドロー』で「トライホーン・ドラゴン』を生け贄に2枚ドロー! そして『リビングデットの呼び声』でトライホーン・ドラゴンを蘇生! さらに手札から『デーモンとの駆け引き』を発動ぉ! デッキから「バーサーク・デッド・ドラゴン」を特殊召喚! そして『ブラッド・ヴォルス』を通常召喚!」

 

バーサーク・デッド・ドラゴン ATK3500/DEF0

 

トライホーン・ドラゴン ATK2850/DEF2350

 

ブラッド・ヴォルス ATK1900/DEF1200

 

 ば、バーサーク・デッド・ドラゴン……攻撃力3500だって!? それに、トライホーン・ドラゴン、こいつも強力なドラゴン族のカード! そんな強力なカードを持っていたのか! 秋人のホープは2回攻撃を防いだら自壊しちまう!

 

「バトルだ! バーサーク・デッド・ドラゴンでそのホープとかいうモンスターを攻撃!」

 

「罠発動『攻撃の無力化』……攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する」

 

「ちぃ……ならメインフェイズ2だ。その邪魔なモンスターをどかせてもらう。食らえ、『サンダーボルト』!」

 

「……!」

 

 さ、サンダーボルト!? 今度こそ言い逃れができない禁止カードじゃねぇか! やっぱりアイツ、最初から禁止制限なんて守る気はなかったのか!

 

「何か言いたげだなぁ! だが実際にデュエルディスクは反応しているんだ! 俺は正しいのさ!」

 

「め、めちゃくちゃだわ……おそらくあのディスク、改造されているのよ」

 

「なんてやつッスか……」

 

「同じオシリスレッドとして許せないんだな……!」

 

 隼人の言うとおりだぜ。あんな奴が同じオシリスレッドだなんて……! 先生たちはどうしてアイツにもっと重い罰を与えなかった! この様子を見るにアイツ、大量に禁止カードを入れているに違いない……! そう思ってフィールドを見るが、秋人は特に焦った様子は見られない。むしろ、そんなことには無関心にも見える。

 

「カードを2枚伏せてターンエンドだ! さあ、来いよ!」

 

「……俺のターンドロー。来るも何も、もう終わりだ」

 

 ……え? 秋人の奴、今なんて言った? 終わらせる? フィールドにはまだ、攻撃力の高いモンスターが3体いるのに……

 

「秋人の奴、どうやってあの2体のモンスターを突破する気だ……?」

 

「終わらせるだぁ!? やれるもんならやってみやがれ!」

 

「……俺は手札から『Vサラマンダー』を召喚」

 

Vサラマンダー ATK1500/DEF1300

 

「このカードを召喚したとき、墓地の希望皇ホープを特殊召喚できる。舞い戻れ……希望皇ホープ」

 

希望皇ホープ ATK2500/DEF2000

 

「はっ! 希望皇ホープだぁ!? デーモンの召喚と同等のそのカードでいったい「黙れ」なっ……!」

 

「俺は手札から『RUM-リミテッド・バリアンズ・フォース』を発動。自分フィールド上のランク4のエクシーズモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターよりランクが1つ高い「CNo.」と名のついたモンスター1体を、選択した自分のモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとして特殊召喚する。俺は希望皇ホープ1体でオーバーレイネットワークを再構築……『カオスエクシーズチェンジ』」

 

 ら、ランクアップ!? エクシーズモンスターはそんなこともできるのか!? 秋人の言葉と共に再び渦の中へ消えていく希望皇ホープ。どこかで鎖のちぎれる音と共に、何かが舞い降りる。黒い何か……それはまるでスライムのように動き、体を形成していく。あれも、モンスターなのか…!?

 

「混沌を統べる紅き覇王、悠久の戒め解き放ち、赫焉となりて闇を打ち払え……『希望皇ホープレイV』」

 

『――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!』

 

希望皇ホープレイV ATK 2600/DEF2000

 

 耳を劈くような雄叫びを上げ、そのホープレイVと呼ばれたモンスターがフィールドに降り立つ。思わずおれたちは耳を塞いでしまう。見た目は希望皇ホープに似ている。だけど、あのホープ、嫌な感じがする。

 

「お、驚かせやがって……たかが攻撃力が100上がっただけじゃねェか」

 

「ホープレイVは『希望皇ホープ』と名のつくモンスター。よってエクシーズ・チェンジ・タクティクスの効果発動。ライフを500払い、カードを1枚ドローする…そして、Vサラマンダーを装備する。このカードは装備カードとしても扱える……効果、発動。1ターンに1度、装備モンスターのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動する。装備モンスターの効果を無効にし、相手フィールド上のモンスターを全て破壊、その数×1000ポイントダメージを相手ライフに与える……よって、お前のモンスターはすべて破壊される」

 

武藤秋人 LP3500→LP3000

 

オシリスレッド生徒LP4000→LP1000

 

 い、一気にライフを……削った!? Vサラマンダーの効果によってフィールドのデーモンの召喚たちが破壊されて消えていく。フィールドにいたモンスターがいなくなったからか、秋人を虐めていたというオシリスレッドは焦り始めていた。

 

「これでフィールドにモンスターはいない……俺はさらに永続罠『ナンバーズ・ウォール』を発動しておく……消えろ。ホープレイVでダイレクトアタック」

 

「さ、させるかよ! 罠発動「聖なるバリア-ミラーフォース」! 消えちまえ!」

 

「言ったはずだ、これで終わりだと。永続罠『ナンバーズ・ウォール』。の効果でNo.と名のつくカードは、このカードがある限りカード効果では破壊されない……よって、お前のカード効果は不発だ」

 

「う、うわあああああああああああああっ!!!!!!」

 

オシリスレッド生徒LP1000→LP0

 

 秋人の勝ち……フィールドに並んでいたモンスターも、発動した罠すら突破して、秋人がデュエルに勝った。秋人が勝った、はずなのに……なんでだよ。全然嬉しくねェ……なんなんだよ、このモヤモヤ。秋人、お前、そんな顔でデュエルする奴じゃなかっただろ……

 

「あ、秋人!?」

 

「ちょ、止めなきゃ……!」

 

 俺がそう思っていると、三沢と明日香が声を上げた。何事かと思って顔を上げると、そこでは対戦相手だったオシリスレッドの生徒を殴り飛ばしている光景が目に映った。

 

「オラ、立てよ……俺にやったことはこの程度じゃすまなかっただろう? なあ?」

 

「ひっ……ま、待てよ……わるかった、俺が悪かった! だ、だから許してくれ……!」

 

「許してくれ? 散々俺がやめてくれと頼んでもやめなかった奴らは誰だ? 俺の悲鳴を楽しんで、クラス一丸となっていじめをしていたのはどこの誰だ? 俺が持っていたカードを奪い取り、レアカードだけ抜いて持っていった挙句、他のカードをゴミだと言ってカードに火を付けたやつはどこの誰だ? なあ、こたえられるか? なあ、なあ、なあなあなあなあなあな!!! 答えてみろよ、このゴミ野郎がぁ!」

 

 秋人の奴、完全に我を忘れてやがる。腰を抜かして尻餅をついた生徒に今度は蹴りを入れ、さらに今度は馬乗りになって殴りかかろうとしている。さすがにやばいだろ! 俺たちは慌てて秋人を押さえつける。

 

「落ち着け秋人! こんなやつ、殴る必要ねぇだろ!」

 

「そうよ、ボウヤ。こんな価値のない男と同じになるつもり?」

 

「これ以上は必要ないわ! 後は先生たちに任せればいいから!」

 

「そうだ、お前はそんな男じゃないだろう!」

 

 俺や雪乃、明日香や三沢が頑張って秋人を押さえつける。その秋人の眼は怒りに満ちていて、そして明らかに正気じゃないことがわかる。

 

「は、な、せ……!」

 

「ダメだ、絶対放さない!」

 

「そうっスよ! こんな奴泣くまで殴ったところで何にもならないッス!」

 

「泣くまで……? 違うな、死ぬまで殴ってやる………!!!」

 

 そう言って未だに動こうとする秋人。ど、どうにかとめねぇと……そう思った時だ。周囲にキラキラと光る何かが見えた。それが消えたかと思うと、気を失ったのか、ガクリと秋人の首が垂れてしまった。上を見ると、そこには杖を振り下ろしたのであろう、秋人の精霊であるミラの姿があった。

 

「(……眠りの魔術です。眠ってもらいました)」

 

「(それ、人間に使って大丈夫なのか?)」

 

 どこか安堵した表情のミラだが、俺はそう心の声でツッコミを入れた。さすがに死んではいないようだけど……

 

「秋人、ねえちょっと!」

 

「大丈夫だ、気絶しただけみたいだ……多分、爆発しすぎて糸が切れたんだろう」

 

 そう分析する三沢。いや、多分原因はミラが使った魔術だと思う。まあ、今だと俺以外に精霊は見えないし……仕方がないと言えば仕方がないけど。

 

「とりあえず、秋人を保健室に連れて行こう。あと、そっちはどうする?」

 

「……逃げられないようにロープで縛って職員室に突き出すわ。ボク、用務室からロープを借りてくる。誰か見張っててよ?」

 

 そうツァンが秋人の行動によって気絶した生徒のことをゴミでも見るような目で一瞥した後、用務室がある方へと走っていった。俺たちはその間に秋人を背負って保健室へと走ることにした。

 




リメイク前との変更点

秋人君、闇堕ち
今回使っちゃいました、エクシーズチェンジ。ぶっちゃけ、このためだけに女子寮戦で使わなかったようなもんです……私的には(メタ

デッキをホープデッキに
やっぱりこう、主人公だけど主人公じゃないダークなカードと言えばこのホープレイVかな、と

君が、泣くまで、殴るのをやめない!
前作は木の棒で殴ろうとしてました。そっちのが痛いけど

NEXT 15「秋人と明人」

次回、ノース校編は……

  • 十代と万丈目のデュエルが見たい
  • デュエルよりも修羅場が見たい
  • レジーを付け狙う生徒と秋人がデュエル!

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