在宅勤務を阻む日本の「ハンコ文化」 そもそも印鑑に法的効力はあるのか
新型コロナウイルスの感染拡大により東京でも広がりを見せる在宅勤務(テレワーク)。しかし社員が出社を余儀なくされる理由のひとつに印鑑を使う「押印・捺印手続き」があります。日本の「ハンコ文化」の実相に、ライターの鳴海汐さんが迫ります。
ハンコを使うのは今や世界で日本だけ?
日本では、いつ頃からハンコ文化が根付いたのでしょうか。庶民の識字率の低さもあり、江戸時代には一般的に使われていたと言われますが、実印を使う印鑑登録制度が始まったのは明治時代の初期です。
さらに歴史をたどると、漢から金印が贈られた弥生時代までさかのぼります。この金印ですが、中国では文書に封をするのに使われていたものです。
そんな中国では、現在、契約締結にサインが用いられています。
全日本印章業協会(千代田区神田神保町)の中島正一会長によれば、「(2016年時点の)10年ほど前までは中国や韓国、台湾にも印鑑登録制度がありましたが、今も続くのは世界で日本だけ」ということ(『NEWSポストセブン』2016年7月20日付)。
韓国については、1910(明治43)年の日韓併合後に日本の指示によって印鑑証明が行われるようになりました。しかし韓国では名字の種類が少なく、ハングル文字はハンコの偽造が容易でトラブルが起こっていたことから、印鑑証明制度を段階的に全面廃止する旨が2006(平成18)年1月に発表されました。
日本にも他人がハンコを不正使用する問題があります。例えば鈴木さんとか田中さんといった人数の多い名字のインク浸透印(いわゆるシヤチハタ)を誰でも簡単に手に入れることができます。100円ショップでも売っているくらいの手軽さです。
本人不在でも他人が押印(おういん)できる奇妙さ。かたくなに守り続けているハンコ文化を、海外の国々はとっくに卒業しているのです。
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