なぜ東京の駅や街には「ぶつかっても謝らない人」が多いのか
昼間人口1600万人の東京では、駅構内や街の雑踏で人と人とがぶつかる場面も日常茶飯事。そのときに、ひと言「すみません」と言い合う習慣はどうすれば定着するでしょうか。海外滞在歴の長いライターの鳴海汐さんが考察します。
誰にでもあいさつする欧米人と、日本の地方在住者
ちょっと話は変わりますが、イギリスでなくドイツに滞在していたときのこと。
役場の待合室にいたら「こんにちは」と言いながら入ってくる人がいました。すでに待合室にいた人の中で何人かがあいさつを返していました。最初は知り合いかなと思っていたのですが、その後もあいさつしながら入ってくる人がいたので驚きました。
あとで家に帰ってインターネットで調べたところ、それが普通であり、エレベーターに乗るときなどもあいさつすると書いてありました。
欧米では侵略が続いた歴史的背景から、自分が敵でないということを示すためにあいさつをする習慣が育ったと言います。イギリス人が「Sorry」を反射的に口にするのも、同じような意味があるように思います。
冒頭の池田エライザさんは、「(東京では)知らない人に「こんにちは」と言ってはいけないんだとも知り、寂しくなりました」ともインタビューで話していました。これはつまり、彼女の出身地である福岡では知らない人にもあいさつするということを意味していることになります。
筆者は現在、神奈川県の西部に暮らしているのですが、散歩していると、近くの工場で働くインドネシア人の女の子たちや小中学生があいさつしてくれます。筆者も、知らない人とすれ違うときにあいさつするようになりました。
なぜか。特に細い道をすれ違うとき、私は怪しいものではありませんと表明する必要を感じるからです。近づいてくる相手が安全な人だろうかと観察しているので、相手も同じ気持ちだろうと考えてのことです。
さらには、気まずいから。がらんとした道をすれ違うのに言葉を交わさない不自然さに耐えられないのです。もちろん、あいさつを交わすと温かい気持ちになるのですが、主にはネガティブな要素の解消のためです。池田さんとはきっとあいさつする動機が違いそうですが。
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