ひとり情シスが導入する社内Wikiとナレッジ共有方法 2022.01.21

ひとり情シスをやっていて、レンタルPCやパソコンの導入・手配、システム構築、ツールの導入といった業務が発生した際に、ナレッジは積み重なりますが、イザというときに備えて、社内への情報共有もおこなっておきたいものです。
また、他部門の方からのノウハウや知識・情報といった内容も集積しておくと、業務効率化もはかることができます。
そこで今回は社内での知識共有をするwikiツールのご紹介します。
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1.社内Wikiとは
社内Wikiとは、端的に言うと、ナレッジを共有・蓄積するためのツールになります。
インターネットで検索するとウィキペディア(Wikipedia)というのが検索結果に表示されることがあるかと思いますが、こちらはインターネット上でナレッジを共有・蓄積するためのツールとして使われるものです。ウィキペディアは、インターネットにアクセスできる人、誰でも匿名で編集できるようになっており、多くの人が執筆し、ウィキペディアを作っていくという特徴があります。
社内Wikiとは、ウィキペディアの社内版、つまり、社内全員が投稿でき、そのナレッジを他の社員へ共有・蓄積をするためのツールになります。その社員しか知らないこと、属人化してしまっているナレッジや、繰り返し起きがちな問題、再発防止情報等を社内に共有することで、業務の質や速度を向上させることができます。
2.社内Wikiツールのメリットデメリット
ここからは社内Wikiツール導入のメリット、デメリットについて、解説させていただきます。
メリット3選
①情報やナレッジの属人化防止
ツールを利用することで、情報やナレッジの属人化を防ぐことができます。
②情報やナレッジの一元管理、共有による、業務の質・効率のアップ
ツールを利用することで、情報を一箇所に集めることができ、運用やツール管理の手間が減ります。
また、情報の更新、過去の情報検索等、利用においても容易になるため、業務の質、効率の改善につながります。
③人材教育コストや業務の引継ぎコスト軽減
毎年の教育資料作成や、引継ぎ資料作成とやらないといけない作業は多いですが、ツールを利用することで、毎回の作成が不要になるので、教育コストや引継ぎによる作業コストを軽減できます。
デメリット2選
①導入、運用が不十分だと社内に浸透せず、形骸化する
導入することのメリットや社内での認知が低いと、蓄積されず、利用者も増えない、もしくは減っていくと社内で使う人、使わない人の二極化になり、最終的には形骸化します。
②ツールの使い分けが難しい
チャットツールやタスク管理ツールでもメモ機能や、情報の共有ができてしまう為、社内Wikiツールを利用してもらいにくいであったり、どこで情報を管理しているのかがわからなくなってしまいます。
3.ツールの選び方、ポイント4選
社内Wikiツールはたくさんありますが、その中でどれが合っているのかを見極めるポイントを紹介します。是非、自社の利用目的に合ったツールを選びましょう。
選び方、ポイント4選
①必要な機能を満たしているか、類似ITツールはないか
必要機能として、利用人数、権限設定、スマホ対応、通知設定等を確認。また、既に社内Wikiのようなシステムやツールを利用している場合、社内で混乱や情報の一元管理ができなくなる為、類似ITツールの確認を怠らないこと。
②使いこなせるか、蓄積・検索しやすいか
PCやITが苦手な社員でも簡単に蓄積・検索できるのか。操作性、アクセス、管理のしやすさという点からも比較検討すること。
③金額は適正か
金額が高ければ良い、低ければ良くないで判断するのではなく、必要な機能が網羅されているか、どのくらい使いやすいか、その中でいくらかかるのかを考慮し決めること。また無料お試し期間があれば、無料で利用できるのでなお良い。
④セキュリティは万全か
社内Wikiで蓄積されるような情報は基本的に社外秘にあたるため、ITリテラシーが高くない社員の利用であっても、情報漏洩が起きにくいことを考慮し、セキュリティが万全なツールを選定すること。
4.おすすめ社内Wikiツール10選
おすすめ社内Wikiツールを費用がかかるものから安い順に並べてみました。
※各サービスサイトに記載されている情報から作成を行いました。
※「価格」の表記でドルのものは1ドル115円換算、年間契約のものは月額に、複数名利用のものは1名あたりの単価をだしております。
それでは1つずつ解説していきます。
Qiita:Team(キータチーム)
【料金】
1ユーザ¥500 無料トライアル期間30日
【特徴的な機能】
「Qiita」のビジネス版
外部機能とリンクすることができる
メンションやいいね、コメント
【概要】
エンジニアに関する知識を記録共有するためのサービスとして、有名な「Qiita」というサービスをご存知だろうか。この「Qiita:Team」は「Qiita」のビジネス版にあたる。
利用実績累計5,000チーム以上を誇る有名な社内Wiki。
「かんたんに書ける」「かんたんに共有できる」「コミュニケーションもかんたん」の3機能が効率化と生産を引き上げている。
SlackやTrelloの外部機能とリンクすることができるため、さらに生産性をあげられる。
また、30日間の無料トライアル期間もあるため、まずはお試しで使うことが可能。
esa(エサ)
【料金】
1ユーザ¥500 無料トライアル期間60日
【特徴的な機能】
WIP(Work In Progress)機能である書き途中の状態で保存が可能
記事のバージョン管理が可能
チャットのようなリアルタイム性や発信の敷居の低さと、Wikiのような情報整理との両立
【概要】
esa(エサ)は、WIP(Work In Progress)機能というドキュメントを書き途中の状態で共有する機能が最大の特徴。
Nothing is perfect from the beginning.(最初から完璧なものなんてない)」をスローガンに、最初から完璧を目指さず、「情報を育てる」という目的で、早めの共有ができるような仕組みを作った。
書き途中状態のドキュメントは、何度更新しても通知は飛ばないため、気兼ねなく、何度も更新可能。また、履歴も残るので、巻き戻しも簡単。
記事のタイトル中に “/” をつけるだけで、簡単に記事をカテゴリ別に整理することもできる。
なんといっても、トライアル期間は他のツールよりも長く60日のため、無料期間中に多くのことを試せるため、使ってみて合わない場合も安心。
URL: https://esa.io/
Notion(ノーション)
【料金】
1ユーザ¥575($5)、個人利用の場合は無料
【特徴的な機能】
スマホアプリも有り、操作がしやすい
メモ・タスク・スケジュール管理等を1つのツールで管理できる
テンプレートが用意されている
【概要】
スマホアプリで使用したい、仕事とプライベートでの管理それぞれ分けたいが同時に管理したい、ドキュメントやメモ、タスク、スケジュール等を一つのツールで管理したい方におすすめできるツールとなっている。
「All-in-one workspace」がコンセプトになっており、一つのワークスペースでドキュメント作成、タスク管理、メモ、プロジェクト管理、スプレッドシートが利用でき、それら全てを共有できるツールである。
また、テンプレートも用意されているため、文書形式を統一することができる。
もともとは海外製品のため、日本語に対応していなかったが、最近、日本語対応したこともあり、さらに使いやすくなった。
URL: https://www.notion.so/product
NotePM(ノートピーエム)
【料金】
・1ユーザ¥600
【特徴的な機能】
Word・Excel・PDFファイルの中身まで検索できる全文検索する機能
変更履歴を自動的に記録する機能
ページを見た人、参照した時間の閲覧履歴を一覧表示する機能
【概要】
Word・Excel・PDFファイルの中身まで検索できる強力全文検索機能がある社内Wikiツール
高機能エディタとテンプレートが用意されており、画像編集機能、動画共有機能も可能。
Microsoft Teams、Slack、Chatwork、LINE WORKSと連携できるため、幅広く利用可能。
URL: https://notepm.jp/
Confluence(コンフルエンス)
【料金】
1ユーザ¥660、無料で10ユーザまで利用可能、年契約での割引あり
【特徴的な機能】
大規模ユーザ、チームに強く、沢山の情報をやり取りする場合におすすめ
マクロやアドオンの拡張機能を用いて、カスタマイズできる
スマホアプリ有り
【概要】
ドキュメント作成において、テンプレートが用意されており、よくありがちな「作成する人によって形式や内容に差がある」といった課題を解決できる。
また、作成した後の構成も、ページツリーを用いた直感的な構成となっており、設定や作成、検索も容易にできるよう考慮されている。
検索については、ラベル、タグ付けすることで、分類分けも可能となっている。
リアルタイム編集や、コメントの追加、通知もできるため、プロジェクト計画の時は、全員で進捗の把握をできるような仕組みとなっている。
アドオンは800種類も用意があるため、企業に合わせて作り込んだ社内Wikiの作成が可能。
URL: https://www.atlassian.com/ja/software/confluence
DocBase(ドックベース)
【料金】
・スタータプラン 990円/月 3ユーザまで
・ベーシックプラン 4,950円/月 10ユーザまで
・レギュラープラン 9,900円/月 30ユーザまで
・ビジネス100プラン 21,450円/月 100ユーザまで
・ビジネス200プラン 43,450円/月 200ユーザまで(ユーザ数可変、人数に合わせて料金も変動)
無料トライアル期間30日
【特徴的な機能】
ドキュメント作成が容易であること
メモの作成がリアルタイムにプレビューで表示され、一緒に作り上げることができる
複数人で同時に編集ができること
【概要】
Docbaseで作成されるドキュメントはメモと呼ぶが、そのメモの作成が容易であることが最大の特徴。
Markdownに対応しており、かつMarkdownの入力サポート、Markdown書き方一覧までついているため、Markdownを使ったことない初心者でも利用可能になっている。
また、文字だけのメモだと読みづらいため、画像や表の挿入もできるようになっている。
表の場合は、Excelやスプレッドシートからそのままコピー&ペーストが可能。他にもPDFや動画、スライド、Google Mapも埋め込み可能。さらに差し込み機能で、他のメモの差し込みもできる。
同時編集機能では、1つのメモを最大10人まで同時に編集でき、メンバーのカーソル位置がわかるようにリアルタイム反映となっているため、同じ箇所を編集するということが避けられる。
URL: https://docbase.io/
Kibela(キベラ)
【料金】
5ユーザまでは無料、6ユーザ以降、1ユーザあたり¥550 無料トライアル期間あり
【特徴的な機能】
シンプルな設計
個人から中小企業、大企業までベストなコストパフォーマンス
他の情報共有サービスからインポートが可能
【概要】
他の情報共有サービスからのインポートも可能で、動画、画像、Excel、CSV、スプレッドシートからコピー&ペーストもでき、シンプルな設計ではありながら、最近の利用に沿った作りとなっている。投稿も簡単にできるため、業界、業種問わず使いやすいツールとなっている。
ユーザに権限の設定や、グループでアクセスコントロールができるため、必要に応じて、対象範囲を絞ることも可能
カスタマーサポートとして、チャット、メールサポートが導入されているため、不明点がある場合の確認先があるのも安心材料の一つ。
URL: https://kibe.la/ja
Qast(キャスト)
【料金】
要問い合わせ
【特徴的な機能】
全ての機能でシンプルさを追求している
誰でも匿名でも質問可能なQ&A機能
投稿数や、投稿に対する反応数に応じて投稿者にスコアを付与する
【概要】
投稿、閲覧、整理、検索、全ての機能において、誰でも直感的に使えるようシンプルさを追求しているのがQastの特徴。
その他にも社内の疑問はQ&Aに、自ら発信するナレッジはWikiに投稿と、使い分けることができる。質問や回答は匿名で行うことが可能なので、投稿するハードルを下げることも可能。
また、投稿数や、投稿に対する反応数に応じて投稿者にスコアを付与する仕組みがあり、ランキング形式で表示され、特定の期間内に誰がどれだけ貢献したかが明確になる。
現在、導入企業数4,000以上となっており、数多くの企業様で利用されているツールとなっている。
URL: https://qast.jp/
PukiWiki(プキウィキ)
【料金】
無料
【特徴的な機能】
オープンソースソフトウェア
豊富なプラグインを使って機能拡張ができる
本家ウィキペディアに近いユーザインタフェース
【概要】
簡単に自社サーバへインストールできることはもちろんのこと、豊富なプラグインを使ってさらに自由に機能を拡張することができる。また、開発言語はPHPのため必要であれば、コードのカスタマイズも可能。
ユーザインタフェースが本家ウィキペディアに近いこともあり、馴染みのあるデザイン。
URL: https://pukiwiki.osdn.jp/
Knowledge(ナレッジ)
【料金】
無料
【特徴的な機能】
オープンソースソフトウェア
モバイル対応
簡単セットアップで自社サーバにインストールできる
【概要】
自社サーバにインストールできて、簡単にセットアップをしたい方におすすめのサービスとなっている。
国内初のMarkdownで記述ができるオープンソースWikiであり、GitHubでソースコードも公開されているため、自分でカスタマイズすることが可能。
また、モバイル表示にも対応しているため、使い勝手が良い。
5.形骸化させず、社内に導入、浸透させるコツ
社内Wikiは、導入するだけでは定着、浸透させられないことが多いため、社員に積極的に利用してもらえるよう工夫が必要になります。
工夫する為の方法をとして、以下を紹介させていただきます。
・ドキュメントの作成や投稿に対して、難しいルールを決めない
・テンプレートをあらかじめ作っておく
・導入前に事前に記事をいくつか投稿しておく
・更新情報をメールやチャットで、随時配信する
・わからない、聞きたいことがあった際は、必ず一度は社内Wikiを活用して検索してもらうこと
以上、5つを紹介させていただきましたがこれ以外にもそれぞれの会社様にあったルールを考え、試行錯誤しながら社内Wikiを浸透、定着を目指してください
URL: https://www.dokuwiki.org/ja:dokuwiki
6.ひとり情シスが導入する社内Wikiとナレッジ共有方法まとめ
ウィキペディアを利用したことある方は多いかと思いますが、同じように社内Wikiも充実し、浸透すれば、大変便利なものになります。そのためには根気強く浸透するまで、声かけや行動が必要になります。
レンタルPCサービスをご利用のひとり情シスご担当者様の負担が軽減されるためにも、今回の記事から、自社にマッチする社内Wikiツールを見つけ、導入し、改善されることを願っております。