遊戯王-孤独に巻き込まれた決闘者-R   作:秋風

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 なんだか気が付いたらどんどんお気に入りが増えていく…ありがとうございます。ただ、それと同時にこれだけの人が私の小説でプレミを見てしまうというのを考えるとやっぱりミスはできない…とかなり緊張しております
 間違えてしまうこともやはりあるでしょう。なので、今後も指摘など宜しくお願いします

Ranperu様 シュウキ様 詩紀@ちくわ様 たろすけ様 万屋よっちゃん様 神風装甲様 キズキ様 啄木鳥 出雲様 微糖様
感想、並びにご指摘感謝いたします。ありがとうございました!

龍牙様 スターダスト様 夢憑き様 曲利様 アスカル様
小説評価ありがとうございました。今後も頂いた投票点以上を目指せるように精進してまいります

引き続き、ご意見、ご指摘、評価お待ちしております
さて、女子寮にてデュエルの第6話です…どうぞ


06「女子寮での再会」(前編)

Side秋人

 

「あ、翔がいたぞ、秋人! おーい! 翔~!」

 

「アニキ~! 秋人君~! たすけてー!」

 

 走り続けてようやく到着したこの場所、オベリスクブルー女子寮である。それにしても、全力疾走で走ったというのにまだそんな元気な声をだす力が残っているのか十代。これはあれか、主人公補正というやつなのか。俺はもう息絶え絶えなのに……

 

「来たわね、十代、それに……あの、貴方大丈夫?」

 

「……大丈夫に、見え、るか、天上院」

 

「……全然大丈夫じゃないみたいね。それと私の事は明日香でいいわよ」

 

 そう言ってくる天上院。否、明日香。俺はとりあえず息を整えると十代からデッキを奪い返し、事情を聞くことにした。要約すれば、翔が女子寮へと忍び込み覗きを行ったということである。で、その場に居合わせた女子生徒たちが怒っている…ということらしいのだが。いやいやいやいや……ちょっと待て

 

「どう考えても悪いのは翔だろ。俺や十代は関係ないんじゃないか?」

 

「あら、この子は十代の舎弟でしょ? それに、貴方も友達じゃないの」

 

「覗きとかする奴を友達と思いたくないな……」

 

 そう言いながら呆れて翔を見る。翔は「そんなー! 見捨てないでー!」と叫んでいる。まあ、これって元々クロノス先生が悪いわけだし、アイツが進んで女子寮に忍び込んだってわけでもないから何とも言えないんだけどさ……

 

「それで、俺たちにどうしろと?」

 

「もちろん、デュエルよ。貴方たち2人が勝てばこの子を解放してあげる。だけど、もし負ければ警備に突き出すわ」

 

 まあ、十中八九そうなるよな。だが、落ち着いて考えてもこっちが不利にもほどがある気がするんだが。

 

「デュエルをするのは……まあ、構わない。だが、お前ら校則の事知ってるか? 夜間外出は見つかれば退学だ。もし決闘中に先生に見つかる場合はどうする」

 

「そこは大丈夫。この女子寮にいる女の先生たちは今日、みんな新春会で飲み会しているのよ。お酒弱い先生多いからもう潰れて寝ているわ」

 

 ……それでいいのか、デュエルアカデミアの女教師たち。俺はデュエルディスク装着してデッキをセットしたが、デッキケースに入ったエクストラデッキのカードを見て思わずため息を吐く。十代が勝手に選んだデッキの内容ではこのカードたちを使わないと確実に勝てない。生徒は……明日香と、確か明日香についているなんだっけ、浜口ももえと枕田ジュンコだったか。それに……あれ?

 

「今日の放課後振りね、ボウヤ?」

 

「……ふん」

 

「…藤原、それにディレ? なぜ君たちがここにいる?」

 

 そう、そこにはなぜか藤原雪乃、そして今日会ったツァン・ディレの姿があった。原作では明日香、ジュンコ、ももえの3人しかいなかったはずだが、どうしてこうなったのか。

 

「私は明日香と同室だから一緒に入っていたらそこのロープ巻きになっているボウヤに覗かれたの。ちなみに、発見してくれたのはツァンよ」

 

 要するに、事件の当事者というわけか。で、気になるのは何故藤原もデュエルディスクを構えているのか、という点である。

 

「そっちのボウヤは明日香が、そして貴方は私が相手になるわ」

 

「なるほどね、まあいいけど」

 

「ルールは簡単。私たち2人にシングルで2勝すればいいわ」

 

 面倒だからタッグルールにして欲しいと提案したけど、それだと時間がかかるということらしい。まあ、確かに待ち時間とかも結構あるしな。最初に行われたのは十代と明日香のデュエル。これに関しては原作通りに十代が勝利した。といっても、原作とは違ってボートで湖まで行き、デュエルということにはならなかった。KCの整備のおかげか、原作より女子寮の前は随分と開けていたのである。十代たちのデュエルが終わり、今度は俺の番になって藤原と対峙する。

 

「雪乃、頼んだわよ」

 

「うふふ、ええ、仇はとってあげるわ……さて、準備はいいかしら?」

 

「ああ」

 

「「決闘(デュエル)!」」

 

 

武藤秋人VS藤原雪乃

武藤秋人 LP4000

藤原雪乃 LP4000

 

「先攻は貰うわね……さあ、高鳴るわ。ドロー! 私は手札から『名推理』を発動。このカードはあなたがまずモンスターのレベルを指定する。その後私がカードをモンスターが出るまでドローする。そしてそのモンスターのレベルが当たっていたら、そのカードは墓地へ送られる。もし、外れたらそのカードをフィールドに特殊召喚できる。さあ、指定は何かしら?」

 

「レベル指定は……8を選択する」

 

 まさかの『推理ゲート』か。確かにこの時代では流行った戦法の1つだ……というか、これもしかしてやばくねーか?

「8ね、分かったわ。カードをドロー1枚目、2枚目、3枚目……ふふ、4枚目、モンスターカードよ。でも残念、は・ず・れ♡ フィールドにこのカードを特殊召喚するわ! 『可変機獣 ガンナードラゴン』を特殊召喚!」

 

可変機獣 ガンナードラゴン ATK2800/DEF2000

 

「ちぃ! 外したか」

 

「カードを2枚伏せてターンエンド。さ、魅せて頂戴? ボウヤのデュエル」

 

「俺のターン、ドロー! 俺は裏守備表示でモンスターをセット! さらにカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 ……十代が選んでしまったデッキで推理ゲートと闘うのは非常に辛い。ついでに言うと、今回のエクストラデッキを晒すのが非常にまずい。生徒が少ないというのが幸いか。

 

「私のターン、ふふふ、ドロー。私は手札から『強欲な壺』を発動し、カードを2枚ドロー……手札から『魔法石の採掘』を発動するわ。手札2枚をコストに、墓地の魔法カードを1枚手札に加える。私が指定するのはさっき墓地へ送られた『死者蘇生』。そのまま発動するわよ? 墓地に眠る、このカードを出すわ! 来なさい、『混沌の黒魔術師』!」

 

混沌の黒魔術師 ATK2800/DEF2600

 

 こ、混沌の黒魔術師! しかも、この時代ではまだ禁止カードになっていない。ということはエラッタをされていないカードということか……凶悪すぎる。もしかして藤原は明日香よりも強いのではないだろうか?

 

「このカードの召喚、特殊召喚に成功したとき墓地の魔法カードを手札に加える。『死者蘇生』を加えるわ。さあ、バトルフェイズよ? 覚悟はいいかしら。混沌の黒魔術師でセットモンスターを攻撃! 『滅びの呪文』!」

 

「セットしていたモンスターは『ゴゴゴゴーレム』! このカードは1ターンに1度、バトルでは破壊されない!」

 

「なるほど、でも2度目はないわよ? ガンナードラゴンで攻撃! 『ガンナーバースト』!」

 

 可変機獣 ガンナードラゴンの攻撃によって粉々に吹き飛ばされるゴゴゴゴーレム。普通そこまでやるか!? だが、こっちもこれで終わりではない!

 

「罠カード発動、『ガードゴー!』! 自分のフィールドの『ガガガ』、『ドドド』、『ゴゴゴ』と名のつくモンスターが破壊されたとき、その破壊されたカードを復活させる! さらに、手札の『ガガガ』、『ドドド』、『ゴゴゴ』と名のつくモンスターを手札から2体特殊召喚する! 俺は手札の『ガガガマジシャン』、『ゴゴゴジャイアント』、墓地の『ゴゴゴゴーレム』をフィールド上に特殊召喚!」

 

ゴゴゴゴーレム  ATK1800/DEF1500

 

ガガガマジシャン ATK1500/DEF1000

 

ゴゴゴジャイアント ATK2000/DEF0

 

 

「ずいぶんと個性的なモンスターたち…初めて見たわ」

 

 そりゃ、この世界にはまだ存在していないカードだからな。名前はともかくとして、こいつらの性能はこの時代の連中とは割と戦えるはず。が、この先の事をどうするかだな。ダメもとで頼んでみるか…

 

「カードを2枚伏せてターンエンドよ」

 

「俺のターンドロー! 俺も同じく『強欲な壺』を発動、カードを2枚ドローする! そして、ドドドウィッチを召喚! 藤原、このデュエルに俺が勝利した場合……1つ約束してほしいことがある」

 

ドドドウィッチ  ATK1200/DEF1600

 

「あら、突然何かしら?」

 

「このデュエル、俺が勝利した場合……今日のデュエルのことを他人に口外しないでほしい。もちろん、他の奴らにも同じようにさせてほしい」

 

「……どういう意味?」

 

「そのままの意味だ。今から出すカードは、あまり人目に晒したくなかった」

 

 俺の言葉に、しばし考えた様子の藤原。他の連中については十代だけ俺から言うし、見たところ藤原は明日香よりも実力が高い。ならば明日香たちもそれに従うだろう。ディレの方はわからないけども。数秒後に藤原は頷いて見せた。

 

「いいわ。私に勝てれば……の話だけどね。逆に私が勝ったらそうね、今日の放課後の続き、させてもらおうかしら?」

 

「……いいだろう」

 

 まあ、俺もただでアイツが条件を飲むとは思っていないが、あの表情から察するに、勝てると思っているらしい。まあ、そもそも、このフィールドのモンスターたちでは突破は難しい。だが、まだこいつらがいればわからない。

 

「とりあえず、全力で行くぞ! 俺はフィールドのガガガマジシャンと、ゴゴゴゴーレムでオーバーレイ!」

 

「ッ……!? シンクロ召喚ではない…何が起こっているの!?」

 

「2体のモンスターで、オーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!」

 

 俺の言葉と共にガガガマジシャンとゴゴゴゴーレムは魂のような形となって空中へと飛んでいく。そして、その発生している渦のようなものへと吸い込まれた。

 

「現れろ、No.39! 戦いはここより始まる! 白き翼に望みを託せ。 光の使者、希望皇ホープ!」

 

No.39希望皇ホープ ATK2500/DEF2000

 

 その俺の言葉と共に雄叫びをあげてフィールドへと現れる希望皇ホープ。エクシーズ召喚も問題なく起動できたか。シンクロ召喚同様、これもできるかは不安だったが……それにしても、やはりこのカードは普通のカードか。ナンバーズのエクシーズカードは一個人ではその力を制御しきれないのか、アニメでは所持者の多くは「No.」に憑依され、欲望や野望といった心の闇を増幅されたり、多大な負担をかけられたりするが……今のところ、その様子は全くない。

 

「……なるほどね、ボウヤ。貴方が何故このデュエルを口外しないでほしいといったかわかったわ。これを口外したくないと」

 

「そうだ。エクシーズ召喚……融合召喚、シンクロ召喚などと同じく宣言をして行う特殊召喚の方法の1つに相当する。出所などについても詳しく話せないが……説明すると、このカードは必要素材となるモンスターをフィールドに揃え、融合デッキから特殊召喚する特殊モンスターだ。このモンスターに表記される星はレベルではなく『ランク』というものに代わっている」

 

「なるほど、説明感謝するわ。面白いカードね……ふふふ、いいわ。久しぶりに刺激的な決闘になりそう!」

 

 と、喜んだ様子の藤原。俺はちらりと後ろを見た。そこには驚きつつも、興奮している十代たちの姿があった。

 

「……十代、お前も口外するなよ。お前がデッキ持っていかなければこうはならなかったんだから」

 

「あ、あはは、わかったよ。悪い、悪い……」

 

 さて、デュエルに集中しよう。まだ、フィールドにホープを召喚しただけだし。まあ、このファンデッキこと遊馬のカードを参考に作ったホープデッキはエクシーズさえできればかなり戦える。フィールドには混沌の黒魔術師と可変機獣 ガンナードラゴン……まずは、こいつらをどうにかしないと

 

「さらに、フィールドのゴゴゴジャイアントと、ドドドウィッチでオーバーレイ! 2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚! 現れろ、『ガガガガンマン』!」

 

ガガガガンマン ATK1500/DEF2400

 

 フィールドに現れるガンマンのようなモンスター。本来だったらカステルとか、他にもいっぱいランク4のいいカードはあるのだが、このデッキは今回あくまでも『九十九遊馬』の使用したデッキを参考にして弄ったデッキなので、他のレベル4のエクシーズモンスターで汎用性のあるモンスターが一切入っていない。正直な感想として、使っていてめちゃくちゃ辛い。

 

「ガガガガンマンの効果発動! オーバーレイユニットを1つ使うことで、このターン、このカードがアタックするとき攻撃力を1000ポイントアップさせ、バトルする相手の攻撃力は500ポイント下がる!」

 

ガガガガンマン ORU2→1

 

「なるほど、優秀なモンスターね……」

 

「そして通常召喚! 俺は手札から『ZW-阿修羅副腕』を召喚!」

 

ZW-阿修羅副腕 ATK1000/DEF1000

 

「このカードは自分フィールドの『希望皇ホープ』と名のつくモンスターに装備カードとして装備することが出来る。そして、装備したことによって攻撃力を1000ポイントアップさせる! そして、このカードを装備したモンスターはフィールドのモンスターに1度ずつ攻撃が出来る!」

 

希望皇ホープ ATK2500/DEF2000→ATK3500/DEF2000

 

 希望皇ホープの腕が4つの腕となり、雄叫びを上げるホープ。本編ではホープレイに装備していたけど、まあいいか、別に。

「バトルフェイズ! ホープで混沌の黒魔術師を攻撃! 『ホープ剣阿修羅ディバイダー』!」

 

「させないわ。罠発動、『攻撃の無力化』! モンスターの攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する」

 

「ちぃ……カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

攻撃は通らなかったか。が、この攻撃が通らなかったのは痛いな

 

「私のターン。ふふふ♪ 行くわよ、ボウヤ?」

 

 さて、ここからどうするか

 

 

Sideツァン・ディレ

 

 お風呂を覗いたオシリスレッドの生徒を捕まえて、ここに明日香が2人の生徒を呼び出して決闘を始めた。正直な話、とっとと警備につきだしなさいよ、と思った。明日香が注目しているオシリスレッドの生徒を呼び出す口実になるから、ということでボクが警備を呼ぼうとしたのを止めた雪乃。ボクはなんとなく、この二人が何故オシリスレッドなんかに注目しているのか興味を持った。なので、便乗してその場に留まることにした。この二人が注目するなんて、いったいどんな生徒なんだろうか、と。

 

「アイツは……」

 

 しばらくして来た二人のオシリスレッドの生徒。2人とも見たことがある顔だった。1人は確か、遊城十代とかいうクロノス先生を入試試験で倒したという生徒…本当かどうかは知らないけど。そしてもう1人は今日ボクにぶつかってきたあの男子生徒だった。確か、名前は武藤秋人……だったかな。丁度いい、デュエルなんて実力から考えればいくら2人が注目している生徒とはいえ、オシリスレッドはたいしたことはないんだし、終わったらあの武藤とかいう奴に今日の事を口止めしよう。そう思っていた……思っていた、はずだった。

 

「……すごい」

 

 いつの間にか、ボクは雪乃と武藤が繰り広げるデュエルに素直に驚いていた。最初の明日香のデュエルも確かにすごかった。というよりも、オシリスレッドの生徒がオベリスクブルーを下す、ということに驚く方が大きかった。でも、今行われている雪乃と武藤のデュエルに目を見開く。雪乃の実力はオベリスクブルーの中でも上位クラス……それは、同じクラスメイトとして知っていること。故にすぐに終わると思ったデュエル。でも、違った。雪乃の攻撃を防ぎ、そしてボクの知らないモンスターたちがフィールドで戦っている。

「私のターン……ふふふ♪ 行くわよ、ボウヤ?」

 

 そう言って不敵な笑みを溢す雪乃。場にはお互い、2体のモンスターがいる。だけど、雪乃にはまだまだ余裕があるようだ。一方の武藤は伏せカードがあるものの手札も少ない。ここからどうなるのか。

 

「私は手札から魔法カード『天使の施し』を発動。カードを3枚ドローして2枚を捨てる……うふふ、手札から『名推理』を発動。さ、モンスターのレベルを指定して?」

 

「レベルの指定は……8を指定する」

 

「8ね…いいわ。カードを引くわね…1枚目、魔法カード。2枚目、魔法カード、3枚目、魔法カード…4枚目、モンスターカード。引いたのは『モイスチャー星人』。レベルは9よ。よってはずれ…フィールドに特殊召喚できる。来なさい、モイスチャー星人」

 

モイスチャー星人 ATK2800/DEF2900

 

 出てきたのは上級モンスター。正規の召喚方法で出せば『ハーピィの羽根帚』の効果を発揮できる。だけど、この場合だと単なるバニラ……とはいったものの、武藤はそれを見て苦い表情を見せている。まあ、当然と言えば当然か……雪乃のデッキは強い。お金がかかっているという点でもそうだけど、雪乃本人がそのカードを扱えるほどのデュエルタクティクスを持っているのもある。

 

「さあ、バトルフェイズに入るわ。混沌の黒魔術師でガガガンマンを攻撃! 『滅びの呪文』!」

 

「罠カード発動、『ハーフ・アンブレイク』! フィールドのモンスター1体を選択して発動する! このターン、選択したモンスターは戦闘では破壊されず、自分の受ける戦闘ダメージは半分になる! 俺はガガガガンマンを選択!」

 

 モンスターを守る、破壊耐性を持たせるカード……混沌の黒魔術師の効果は戦闘で破壊したモンスターをゲームから除外する効果を持っている。それを考えると、確かにここでカードを守るのは賢明ね。

 

武藤秋人 LP4000→LP3350

 

「なら、そのままサンドバッグね。追撃するわよ。ガンナードラゴンでガガガガンマンを攻撃!」

 

「ぐっ……!」

 

武藤秋人 LP3350→LP2700

 

「そしてモイスチャー星人でさらにガガガガンマンへ追撃!」

 

「最後はさすがに止める……! 希望皇ホープの効果発動! オーバーレイユニットを1つ使うことで、モンスターの攻撃を無効にする! 『ムーン・バリア』!」

 

希望皇ホープ ORU2→ORU1

 

 武藤の言葉と共にガガガガンマンの前にホープが立ち、その周囲に飛ぶ光球が胸部に吸い込まれると、そのホープの背中の白い翼が広がり、モイスチャー星人の放ったビームのようなものがその翼へと阻まれた。

 

「攻撃を無効に……うふふ、なるほど。それがそのモンスターの効果というわけね」

 

「そうだ。もっとも、このモンスターにはもう1つ効果がある。ホープがオーバーレイユニットを持たずに攻撃対象にされた途端、このカードは自壊するデメリットを持っている」

 

 なるほど、それで攻撃を1度だけ止めたというわけね。

 

「すっげーカードだなぁ……あんな強いカード、俺も使ってみたいぜ」

 

 そう言って遊城が口を半開きにして武藤のモンスターたちを見ている。ロープでグルグル巻きの覗きをした生徒も同様だ。正直、ちょっとバカっぽい。そしてそれとは対照的に明日香はなにやら考えた様子でいる。

 

「そうかしら? 少し使うのが難しいと私は思うけど……」

 

「へ?」

 

「だってそうでしょ? そもそもあの『エクシーズ召喚』はまずフィールドに同じレベルのモンスターを、最低でも2体揃えないといけない。ということは下手にバラバラのレベルのモンスターをデッキには入れられない。私や十代の使う融合とは違ってね。まあ、融合に比べれば手札消費は少ないかもしれないけど、レベルの低いモンスターを場に維持するのは結構大変だし」

 

 ……確かに。あのエクシーズ召喚、というのは今のところレベル4のモンスターだけで行っているけど、武藤の説明では「同じレベルのモンスターを使って行う特殊召喚」と言っていた。つまり、他のレベルでも行うエクシーズ召喚があるという話になる。レベル3とかは『切り込み隊長』とかで連続してフィールドにモンスターを召喚すれば行けるだろうけど、他の1とか2のモンスターでフィールドで耐えるカードはボクの知る限り少ない。他にはリクルーターで特殊召喚すればいいだろうけど、戦闘破壊されないと出せない…確かに、エクシーズ召喚そのものが結構難しいかも。

 

「明日香さんの言う通りよ! これは雪乃さんの勝ちは決定ね!」

 

「これで覗き魔は警備へ直行ですわ」

 

「そ、そんな~!」

 

 明日香の隣でももえやジュンコがそんなことを言っている。まあ、この後何をするかは知らないけど、雪乃のフィールドのモンスターたちを見る限りでは雪乃はかなり優勢よね。武藤が他にどんなカードを持っているのか知らないから何とも言えないけど。そんなことを考えていると、ギャラリーの中で1人だけ違った意見をもつ奴がいた。

 

「はは、それはどーかな」

 

「アニキ……?」

 

 声を発したのは先程まで明日香とデュエルをしていた遊城だった。その表情に武藤を心配する様子は全くない。というよりも、ワクワクしながら武藤の次の一手を楽しみにしているように思えた。

 

「秋人は負けないさ」

 

「なんでそう言い切れるの?」

 

「なんでかな、なんとなくだ……それに、秋人はデュエルを楽しんでいるみたいだしな」

 

 言われて、ボクは武藤を見た。その表情は確かに現在の状況を楽しんでいるようにも見える。余裕の表情というわけではない。でも、ボクも遊城と同じように今の武藤の表情はデュエルを楽しんでいるように見えた。

 

「私はこれでターンエンド……さ、ボウヤのターンよ。ここから何を見せてくれるのかしら?」

 

「何を……か。そうだな。藤原、お前に勝つための勝利の方程式ってところかな…?」

 

「へぇ?」

 

「まだまだ、勝負はここからだ……! 俺のターン、ドロー!」

 

 そう言って、武藤はカードを引いた。ここから、どうやって勝とうとしているのかしら。




リメイク前との変更点

エクシーズデッキをそうとっかえ!
リメイク前でのこの話では「希望皇ホープ」「ガチガチガンテツ」「グレンザウルス」…この3枚が登場しました。皆さんは覚えているでしょうか、初めて登場した3枚のカードです。今ではホープ以外はもう見ることはほとんどない…ガチガチガンテツがかろうじて、という感じですよね
なので今回はそのホープの所有者、九十九遊馬のテーマデッキを使用することにしました

VS雪乃!
リメイク前では明日香とのデュエルでしたが、今作では雪乃との決闘になります。やっぱ、雪乃も決闘したいよね。ヒロインだもの

雪乃のデッキについて
前作ではデミス、リチュアなど儀式系を使っていましたが今回は懐かしの推理ゲートです。まあ、儀式デッキもそのうち使いますけどね!

NEXT 07「女子寮での再会」(後編)

次回、ノース校編は……

  • 十代と万丈目のデュエルが見たい
  • デュエルよりも修羅場が見たい
  • レジーを付け狙う生徒と秋人がデュエル!

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