遊戯王-孤独に巻き込まれた決闘者-R   作:秋風

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毎日更新しているように見せかけて実は結構ギリギリです…まあ、あんまり見てくれている人少ないみたいだし、更新ペース落としてもいいかな?


そして、0・The Fool様 えんとつそうじ様
感想ありがとうございました
では、3話です


03「決闘者たちの学び舎へ」

 家を出発した俺はデュエルアカデミアへと向かう船へとたどり着いた。アニメの中では確か十代たちは大型のヘリコプターだった気がする。生徒たちが乗船することで出港する船。そういえば、早乙女レイが帰るときに乗っていたのは定期便だった気もするな。確かに社長の言うとおり、すべてがアニメの通りというわけではないらしい。それにしても…

 

「不愉快だな」

 

 ちらほらと俺のことを見てはヒソヒソと話している連中が多数。やはり、シンクロデッキを使ったことの影響というのがあるのだろう。ここ数日はずっと社長のためにカードリストをまとめていた疲れもあってかイライラが募る。そんな視線から逃れるため、俺は船の中にある自動販売機でコーラを買ってベンチに座ることにした。

 

「はぁ……」

 

「何か悩み事かしら?」

 

 コーラを飲んで一服していると声を掛けられたのでその方向に視線を向ける。隣にいたのは薄紫色の髪をツインテールに結わいた、深紅の瞳が特徴的な少女。制服は当然ながらオベリスクブルーなのだが、それ以前に、この少女は少女というよりも女性と言わせるほど大人びている雰囲気を感じ取る。とても15歳には見えない。この子、どこかで見たような気がするんだがどこだったかな…思い出せない。

 

「ため息なんてすると幸運が逃げるわよ?」

 

「え? ああ…そう、だな」

 

 俺が言うと、少女はクスリと笑った。その笑みは妖艶な雰囲気を醸し出しており、本当にこの少女は高校生なのかと疑いたくなる。

 

「貴方…あの時のボウヤね?」

 

「あの時?」

 

 ボウヤって言われたぞ…この便ではほとんどの人間が新一年生のはずなので一応、同い年のはずだが。というか、俺は一応大学生を超えた男なんだけど。というか、あの時ってどの時のことだ。

 

「…シンクロ召喚、だったかしら? それで試験官に勝ったボウヤ…そうでしょ?」

 

「まあ、そうなるな」

 

「そんな貴方が何故オシリスレッドなのかしら…?」

 

 と、言いよる少女。所々俺の身体に触れてくる少女は徐々に身体を近づけてくる。ここは人気がないからなのか、それともこの子がそういう趣味なのか…? 別にいいが、高校生でこんな色っぽい声出す奴はそういないだろう。一応、社長との話もあるので自分のオシリスレッドの立場については話すつもりはないので、適当に誤魔化すことにした。

 

「さあな、大方筆記の方が悪かったとかそういうのじゃないのか? 俺もよくわからん」

 

「……私、嘘は嫌いよ?」

 

「なんのことだか」

 

 迫りくる少女に対し、俺はできるだけ大人の対応を取ろうとする。この距離間ではそれも無意味そうだが…俺の態度に少女も諦めたのか小さくため息を吐いて「まあいいわ」と離れてくれた。

 

「私の名前は藤原雪乃…また会いましょう? オシリスレッドのボウヤ?」

 

「……」

 

 そう言って少女、藤原雪乃はその場を去って行った。なんだったんだいったい…って、あれ? 俺のコーラは…? 船内に戻っていく藤原雪乃に目をやると、その手には俺の買ったはずのコーラが握られていた。あのアマ、さりげなく俺のコーラ持っていきやがって…はぁ…

 

「なんだったんだ? 今のは…「あ! いたいた~!」ん?」

 

 藤原雪乃が歩いていく方と反対の場所から元気な声がする。そちらの方に視線を移すと、そこにはこの世界の主人公ともいえる人物、遊城十代、その自称舎弟の丸藤翔、そして割といろんな場所でネタにされてしまう空気男…否、三沢大地の姿があった。

 

「よう! お前だったよな! この前の試験で、ええと、シンクロ召喚だっけ? それで勝った奴。俺はその後だから見てないんだけどビデオ見てすっげー感動してさ!」

 

「同じく、あの戦いで君に強い興味を持った。よければだが、この前のシンクロ召喚について教えてもらいたいんだが」

 

 そう十代、そして三沢が言ってくる。いや、別に教えるのは構わないけど名乗るくらいしてくれよ。一応、俺もお前らの事は知っているけども…

 

「教えるのは構わんが、来て名乗りもせずにそりゃないんじゃないかお前ら。自分の名前を名乗ってから聞いてくれないか? 俺の名前は武藤秋人」

 

「ああ、それもそうだ。つい、カードの事ばかり考えていたな…失礼した。俺は三沢大地ラーイエローだ」

 

「俺は遊城十代! お前と同じオシリスレッドだ! よろしくな」

 

「同じくオシリスレッドの丸藤翔っす!」

 

 と、互いに自己紹介をする。まったく、興奮するのはいいがもっと落ちついて話ができないのか。藤原と話した後だからか、こいつらが妙にガキっぽく見えてしまう。まあ、これが彼らのいいところだとは思うのだが……それにしても、まあ、この船で本土からデュエルアカデミアまで時間があるからかこいつらはもう仲良くなったのか。原作だと十代と三沢が知り合うのはデュエルアカデミアについてからのはずなんだけどな。

 

「で、シンクロ召喚について知りたいって話だったな」

 

「ああ、聞いたことがないんだが…」

 

「そうだな、詳細についてはあまり話せないが、特殊なシリーズのカードだと思ってくれ」

 

「限定カードという捉え方でいいのか? シンクロの概要についても教えてもらいたいな」

 

 と、三沢は言いながらメモ帳とペンを取りだした。やはり彼は原作通り、かなりの研究家らしい。俺も昔、シンクロが出たときは「バイクでデュエルとかwww」とか考えていたけど、今じゃ「アクセルシンクロォォォォォ!!!」だもんな。シンクロが出た当初はそのやり方が判らないので三沢のように必死に内容を覚えていた記憶がある。

 

「シンクロ召喚はチューナーと呼ばれるモンスターを必要とする召喚方法だ。簡単に言えば、チューナーは融合の効果を備えたモンスターと考えてもいい。例えばこの前のようにレベル8のモンスターとレベル1のチューナーをチューニングするとレベル9のシンクロモンスターを融合デッキから召喚できる。属性条件などもあるカードがいるが、レベルを合わせて召喚できる。つまり、場合によってはレベルの低いモンスターも強力なモンスターへと姿を変えるということだ。レベルが低い、攻撃力が低いというだけの概念でモンスターを見ていると痛い目を見るということだな」

 

「なるほど…」

 

 と、メモを取りながらふむふむと頷いて考える三沢と、その一方で俺の説明が良くわかっていないのか頭にクエスチョンマークを浮かべてよくわかってない十代。

 

「なんでもいいや! 向こうについたらデュエルしようぜ! それが一番早い!」

 

「まあ、それもそうか…そのうちやるとしよう」

 

 そんな風に会話を広げながら、こうして、船はデュエルアカデミアへと着実に向かっていくのだった。

 

 

 

 

デュエルアカデミア

 

 

「ここが、デュエルアカデミアか…」

 

 船を下りて到着した島を見つめ、俺の口からは思わずそんな声が漏れた。ここがデュエリスト達の学びの場。デュエルアカデミア…正直なところ感動だ。素直に、感動している。始業式を終えた俺はオシリスレッドの寮の自分の部屋で荷物整理を行っていた。俺が海馬社長に進言したことが利いているのか、アニメと違ってそれなりに整えられた設備の寮へと変貌していた。ちなみに俺は一人部屋である。十代たちと同じ部屋の広さなのだが…この辺も社長の配慮なのだろうと勝手に自己完結することにした。

 

「さて…と、こんなものかな?」

 

 俺は言いながら整理した自分の部屋を眺める。これから3年間、まあ、俺がこの世界に来た理由を突き止めて帰るまではこの世界で過ごすわけだからな。整理もしっかりしないと。夕食まで時間はあるわけだし、デッキの制作でもして時間を潰すことにしようかな?

 

「おーい! 秋人! いるんだろー!」

 

 そんなカードの入ったトランクを開けようとしたその時、部屋の外で十代の声が聞こえてきた。

 

「十代? 部屋の鍵は開いているから入っていいよ」

 

 俺の言葉に返事をして入ってくる十代。その腕には予想通り、デュエルディスクがセットされている。部屋にはこのデュエルアカデミアで使うように支給されたデュエルディスクがある。それを見てすぐにでもデュエルがしたくなったのだろう…俺はやれやれとため息を吐く。

 

「デュエルだ! 秋人!」

 

「…そのうちって言ったはずだけど」

 

「いいじゃねーか! 善は急げ! 思ったら近日だ!」

 

「兄貴、それを言うなら思い立ったら吉日っす」

 

 と、翔に言われているのに苦笑しながら俺は了承してデュエルディスクを起動させてデッキをセットしておく。十代に引っ張られながらも、俺たちはこうしてデュエルスペースに移動することになった。場所を見渡し、俺は十代にオベリスクブルーの紋章があるところを避け、フリースペースへと促した。そしてお互い位置に着くと、十代はウキウキとした様子でデュエルディスクを展開する。

 

「行くぜ! 秋人!」

 

「ああ、望む所…「おい! そこのお前ら!」ん?」

 

 俺も少しテンションが上がり、いざデュエルを始めようとしたその時である、何故か遠くにいたはずのオベリスクブルーの生徒たちが俺と十代の前に出て来た。おかしい、俺は原作のことを考えてオベリスクブルーを避けたのに、何故こいつらは絡んできた? 顔も覚えている。確か、こいつらは万丈目の取り巻きの生徒だったはずだ。

 

「ここはオシリスレッドのドロップアウトボーイたちの来るところじゃないぞ」

 

「は?」

 

「ここはお前達みたいなドロップアウトが使っていい場所じゃねーんだよ!」

 

 どうやら俺たちがここでデュエルすること自体、こいつらは気に入らないらしい。やれやれ、こういうガキの相手をするのが一番面倒なんだがな……というか、なんでだろう。無性にイライラする

 

「知るかよ。ここはフリースペースと学園の案内にも書かれていたはずだ。クラスは関係ないだろう。ならばお前らに指図される道理はないな」

ここはそういう場所だ。ここでデュエルするなら問題ない。いちいち相手にしてられないので、ソイツらを無視して十代に視線を移す。

 

「貴様! オシリスレッドの分際で俺達に盾突く気か!」

 

「おい十代、始めるぞ。あんなのいちいち気にしていたらキリがない。時間の無駄だ」

 

「お? おう!」

 

 キョトンとしていた十代だが、俺の言葉に我に返ったのか再びデュエルディスクを構えなおした。こういう相手は無視に限る。個人的にはせっかくこの世界にいることだし、本物の十代とデュエルをしてみたいものだしな。まあ、その横では未だに何か言っているが無視だ無視。

 

「貴様ぁ!「何を騒いでいる」あ、万丈目さん!」

 

 激高する生徒の後ろからまた別のオベリスクブルーの生徒が姿を現した。万丈目サンダーとのちに呼ばれる人物だ。確かこの男、最初は十代のライバルみたいな立ち位置だったのにいつの間にかネタキャラになっていたんだよな。まあ、「遊戯王GX」というシリーズはありえないくらい登場人物いるわけだし仕方がないといえば仕方がないんだが。

 

「アイツ誰だ?」

 

 そして、万丈目の登場に首を傾げる十代。確かに高校から入ってきた俺達には彼のことは知らないのが普通だろう。俺の場合は知っているが…まあ、その辺は言わないでもいいよな。

 

「さあ? オベリスクブルーの生徒ってことしかわからない」

 

 俺が言うと、取り巻きのオベリスクブルーたちが声を上げる。

 

「お前ら! 万丈目さんを知らないのか!?」

 

「知るか、今日デュエルアカデミアに来たばっかりの人間に無茶言うなよ」

 

「万丈目さんは同じ1年でも中等部からの生え抜き、超エリートクラスのナンバーワン!」

 

「未来のデュエルキングと呼び声高い万丈目準様だ!」

 

 と、高らかに言う取り巻きと偉そうにする万丈目。なんだろう、後々の万丈目の事を知っているだけに、すでに俺からすればネタキャラ臭がプンプンするんだが…まあ、それはともかくとして

 

「知るかよ、そんなもん…というかそもそも、そんなのデュエルアカデミアだけの話だろう。外から来た俺達が知るわけがない」

 

「な、なに?」

 

「それに、だからなんだ? その未来のデュエルキングが俺達のデュエルの邪魔をする権利はあるのか? そんなルールが何時作られた? 言ってみろ」

 

 俺の態度に今にも噛みついて来そうなオベリスクブルーだが、正論を言われてか言い返せない。しかし、そこを万条目がまあまあと下がらせる。

 

「落ちつけ諸君。それにしても貴様、オシリスレッドの分際で随分と態度がでかいんだな」

 

「むしろ同学年で上下決めている奴らよりはまともだと思っているが?」

 

「いいだろう…確かあのクロノス教諭を倒したやつと、龍導院先生を倒したやつだったな。このアカデミアの厳しさを教えてやろう」

 

 そう言って自分の持つデュエルディスクを構えようとする万丈目。そんなことよりあの先生、そんな名前だったんだ。

 

「デュエルをしてもいいが、お前の相手は後だ。今は見ての通り、十代と戦うのが先だ。それとも何か、未来のデュエルキング様は順番も守れないのか?」

 

 と、言い返しておく。自分ではかっこよく決めたつもりなんだろうが、正直なところ、段々イライラしてきた。というか、なんか体の中でイライラよりも怒りの方が膨らんできているんだが…なんでだ?

 

「貴様…「貴方達、何をしてるの?」て、天上院君!」

 

 そこに現れるのは金髪にロングヘアーのオベリスクブルーの女子生徒。明らかに高校1年生のスタイルではない、このシリーズにおけるヒロインである。ちなみに余談だが、さっきから物影に隠れていたのが俺には丸見えだった。

 

「綺麗っす…」

 

 と、呟く翔。まあ、確かにあのスタイルと顔立ちを見れば綺麗というのは同意する。その性格なども初対面の印象としては好印象だろうな……普通なら、の話だけど。

 

「万丈目クン、なにしてるの?」

 

「…やあ天上院君。この新入りたちがあまりにも世間知らずなんでね、学園の厳しさを少々教えてさしあげようと思って」

 

「もうすぐオベリスクブルーの歓迎会が始まるわ。もう戻った方がいいんじゃない?」

 

「ちっ…お前ら戻るぞ」

 

「「はい!」」

 

 天上院と呼ばれた生徒の言葉に小さく舌打ちをすると、万条眼達は退散していった。その3人を見送った後、女子生徒は俺達の方を向く。

 

「駄目よ、彼らの挑発に乗ったら」

 

 いや、挑発に乗った覚えはないんだが…そもそも、止めるならもっと早く出て来いよ。と、彼女の発言に対して毒を吐く俺。決して、口には出さないが。

 

「いきなり出てきてなんだ?」

 

 と、十代が首を傾げる。もっともである。あのままの勢いだったら俺と十代でタッグデュエルをしてもいいかな、とかも考えていたというのになぜいきなり乱入してきたんだこいつ…

 

「私は天上院明日香よ、よろしくね」

 

「俺は遊城十代だ!」

 

「ぼ、僕は丸藤翔ッス!」

 

「……武藤秋人だ。それで、いきなり出てきてなんだ?」

 

 そう俺が言うも、明日香は表情を崩していない。まあ、彼女も自分の方が俺たちよりも立場が上であると少なからず思っているのだろう。オベリスクブルーだからといってすべてが強いというわけでもないし、オシリスレッドだからといってすべてが弱いというわけでもないのに、こういう風潮はなんとも残念である。

 

「ちょっと注意してあげたの。感謝してね」

 

「感謝する必要性がないな…俺達を助けたつもりでいるようだが、それならば何故、あいつが出てくる前に出て来なかったんだ? さっきからそこの物影に隠れていたのに…見えていたぞ」

 

「っ! み、見えていたの?」

 

「あんなので隠れたつもりだった君がおかしい。やる気なくなった…俺達も戻ろう」

 

 そう言って俺はデュエルスペースを後にする。せっかくデュエルが出来ると思ったのに、残念だ。

 

「あ! 待ってくれ秋人!」

 

「待ってよ! 秋人君!」

 

 こうして天上院をデュエル場に残して寮へと戻る俺達。寮に到着して寮の中にある食堂へと到着した。あと一時間もすれば食事なのでそのまえにお茶でも飲もうかと思っていたのだが、この寮の寮長である大徳寺先生がその段ボールとクーラーボックスの山を見て唸っていた。

 

「あれ? 大徳寺先生、どうしたんですか?」

 

「おや、武藤君。実は今日の夕食用の食材が運び込まれたんだけど困ったことにそれを料理してくれるコックさんの到着が遅れてしまっているんだニャー」

 

 先生の話曰く、社長の計らいなのか改装されたオシリスレッド寮と、食事。元々同じ授業料を払っているのに格差があるのは問題だったというのも後に海馬社長から聞かされている。まあそれはさておき、その食材があるものの料理人がいなければ料理というものは成立しないのである。うーん…まあ、食材自体があるなら別に料理は問題ないかな。見たところ品はいいし、調理用の道具は各種取り揃えられているしみたいだ…なら、こうしよう。

 

「先生、よければ僕に考えがあるんですけど」

 

「お、何かあるのかニャー?」

 

「とりあえず、生徒たちの食事の時間は1時間ほど遅らせてください。で、十代と翔も手伝ってもらえる?」

 

「おう、いいぞ。何をすればいいんだ?」

 

 寮の人間の人数や時間を考えると料理は一気に作れるものがいいだろうと考えて行動に移る。こうなったのも元を辿れば俺が原因なわけだし、このくらいはしないとな……海馬社長には色々と言われているし。

 

「とりあえず、歓迎会なのに俺たちが料理作るのはおかしいかもしれないけど交流が出来るように焼肉パーティーにしようと思うんだ」

 

「おお! 焼肉、いいな!」

 

「ちょうど、プレートが8つくらいあるみたいだし、延長コードとかも持ってきて設置とかをお願いしていい? それが終わったらこっちの食材を切るのを手伝って」

 

 こうして俺が指示のもと十代と翔が動く。そして、大徳寺先生も生徒たちにお知らせに行き、他の何人かの生徒が手伝ってくれるという形となった。こういった形で交流の輪を深めるというのは非常に楽しい。無事に準備も終わり、少し遅い夕食会が始まった。当然ながら交流の中でオシリスレッドという立場についての話題が出て一時、食堂の雰囲気が暗くはなったものの、そこはさすが十代といったところか、その場を盛り上げて打倒オベリスクブルーなんて言い出してオシリスレッドの面々は気合を入れ直すのだった。何故詳細を知らないかって? それはもちろん、ひたすら俺は厨房で食材を刻んだりしていたからである。

 

「武藤君はいかなくていいのかニャー?」

 

「俺はこっちの方が向いていますから」

 

 そもそも、食事は気を使ってか、十代がちょくちょく焼いた肉や野菜、魚介類などを持ってきてくれるので腹は満たされている。俺は現在朝食の仕込み中。明日まで料理人がいないとなれば明日のみんなの朝食が抜きになってしまう。俺としてもそれは嫌なのでこうして裏方に回っているのだ。そもそも、オシリスレッドたちの気合を入れてやったり、場を盛り上げたりするようなことは主人公である十代の仕事であって、別世界から来た俺の役割ではない。そんなこんなで無事に歓迎会は終わり、みんなで後片付けをしてから部屋に戻った。

 

「はぁ…結局十代とはデュエルが出来なかったが…まあいいか。明日からデュエルに関する授業だし、明日の準備をして寝るとしよう…」

 

 俺は言いながら明日の準備をして寝る準備に入る。しかし、そこで俺のPDA(携帯端末)からメールの着信音が鳴り響いた。こんな時間に誰だろうか? そう思いメールの差出人を見る。そこにあるのは…

 

 

――万丈目準

 

 これは、一波乱起きそうである。




リメイク前との変更点

焼肉パーティー
 主人公も料理が得意とかそんな設定は無いので、親交を深めるのにこうしました。一応、今のオシリスレッドの寮はラーイエロークラスにまで改装が施されています。

デュエルなし?
 なさ過ぎて申し訳ない。次回デュエルになります

感想、ご意見、評価、お待ちしております


次回、ノース校編は……

  • 十代と万丈目のデュエルが見たい
  • デュエルよりも修羅場が見たい
  • レジーを付け狙う生徒と秋人がデュエル!

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