山口壮環境相

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 埼玉県小川町で進められている大規模太陽光発電所(メガソーラー)計画の環境影響評価(アセスメント)で、山口壮環境相は25日、「抜本的見直しが必要で、できない場合は事業実施の再検討を強く求める」とする意見書をまとめ、萩生田光一経済産業相に提出した。大量の土砂搬入を前提としていることなどを問題視した。2020年4月に太陽光発電が環境影響評価法に基づくアセスの対象になってから、環境相が抜本的な見直しを求めるのは初めて。

全国で公害化する太陽光発電 出現した黒い山

 事業計画は小川エナジー合同会社(埼玉県寄居町)によるもの。事業予定地の面積は約86万平方メートル、発電出力3万9600キロワット。環境省によると、予定地は同社の系列会社がかつて残土処分場を計画した区域で、住民の反対で事業化に至らなかった。

 今回の計画では、大規模な盛り土造成が計画され、盛り土のうち約半分の35・5万立方メートルは他の事業の残土などを外部から搬入することを予定している。意見書では「発電事業としての必然性の説明がなく、環境への負荷が生じる大量の土砂の搬入を前提としている」と指摘。また、盛り土予定地の一部では19年の台風19号で斜面崩壊が確認されており、「土地の安定性への影響が懸念される」などとして事業の再検討を求めた。

 静岡県熱海市で21年7月に発生した土石流災害を受け、内閣府の有識者検討会は同12月、危険な盛り土の造成等を規制する法制度の創設を提言。また、地球温暖化対策推進法に基づき、市町村が再生可能エネルギーを積極的に誘致する「促進区域」について、環境省は土砂災害などの危険性があるエリアを除外する方針を示している。

 山口環境相は25日の記者会見で「環境配慮が不十分な事業には今後も厳しい態度で臨み、地域と共生する再生エネ導入を促進していく」と話した。【信田真由美】