私のこのブログにはかなり以前から 反米思想、反TPP、西部邁 というカテゴリがある。私は元々西部グループにはやや懐疑的な見方をしていた。ただし西部先生自身については、別格扱いにしていたつもりだった。私も一応、東京MXの西部ゼミを最初からずっと視聴してきている人間なのだから。
しかし最近は、東京MXの西部ゼミも全然見なくなっている。
私はもう、西部グループの思想は完全に把握しているので、もはや見る必要も無い。まあ西部グループの「口げんか」のレベルはそこそこ高い事は分かっているので、どういう理屈で理論武装してくるか?については多少関心はあるけれども、その思想の根本部分については、全員西部先生と同じ方向性である事は分かっているので、改めて聞くのも面倒くさくなっている。
それにしても、最近の西部グループのメディア戦略は凄まじい。
何と言うか、畳み掛けるという表現がピッタリ来る、という感じだ。
タイミング的に見て、上念・田中・倉山vs三橋・藤井のケンカと重なっているので、多分それと無関係ではないのだろう。
<西部グループによるマスメディアへの露出の具体例>
(1) 三橋貴明の例の「韓国崩壊」バナー宣伝(これはマスメディアではなくてネット限定)。
様々なサイトやブログ内にバナーを貼って大々的に宣伝している。
ちなみに三橋は本日の東京MX「モーニングCROSS」にも出演していたらしい。
(2) 5月4日の東京MXの西部ゼミに藤井聡が登場。また5月11日には中野剛志が登場。
ここでは佐藤健志との共著「国家のツジツマ」を宣伝している。
【西部邁ゼミナール】国際法をふりかざしても無駄【1】2014.05.11(ニコ動へのリンク)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23527696
(以下、東京MXによる番組内容の紹介)
日米共同声明を正しく読めば、尖閣諸島めぐる本当の意味がよく分かる。評論家・中野剛志
氏による領土問題めぐる「法」と「力」の正しい解説!日本の主権ついて考える。(以下略)
(3) 5月5日のBSフジ「プライムニュース」に佐藤健志と古市憲寿がゲストとして登場。ここ
でも佐藤健志の「国家のツジツマ」を宣伝していた。
再び公開処刑されたラッキー古市(ニコ動へのリンク)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23488282
http://jcc.jp/news/8305624/(番組を紹介しているサイトへのリンク)
日本が抱える矛盾とは?“つじつまの合わない物語”
春の提言企画「ニッポンの逆説」の第1弾「日本は平和国家なのか」
(※ニコ動のタイトルは上記のように書かれていますが、番組の中身を見れば分かるように
古市は別にそれほど酷い扱いは受けていない。個人的に言わせてもらえば、古市はかなり
レベルが上がっている。もちろん元のレベルが低すぎたのだがw
それはともかく、この動画のタイトルの付け方は明らかに「釣り」を狙ったものであり、この動
画を上げた人物、またこの動画内で佐藤健志を絶賛している連中がどういう連中であるか?
TPP騒ぎの時に西部グループ、特に中野や藤井を持ち上げて煽っていた連中と同一である
事は間違いないだろう)
(4) 5月11日のフジの「新報道2001」に藤井聡が出演
南シナ海緊張高まる 中国・ベトナム船衝突(ニコ動へのリンク)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23531670
私個人の思想と照らし合わせて考えてみると、私の思想は上念・田中・倉山のリフレ派と、西部グループの財政出動派と、どちらともマッチしていないので、どちちらが勝っても別にそれは構わない。
ちなみに「私の思想とマッチしない」というのは、別に経済の事だけを言っている訳ではなくて、外交・国家観・歴史その他の要素も含めて「マッチしない」という事である。まあ例外として、倉山の歴史と政治の知識については「ちょっと惜しい」という部分はあるけれども、経済の事はねえ…。
「西部グループとマスメディアとの親和性」については、私も最近のブログ記事でよく指摘している点である。
特に最近の西部グループのイチオシは佐藤健志らしい。
売り出し方としては、TPP騒ぎの時の中野剛志と全く同じ手法を取っている。
ハッキリ言って私は佐藤健志はほとんど評価していない。桜討論での話や西部ゼミでの話を聞いても、別に何も感銘を受けなかったし、上記の古市と出演したプライムニュースでのコメントを聞いてもそれは全く同様だった。まあ私が「保守オタクだから」という理由もあるのだろうけど。
(ちなみにこのブログでも、佐藤健志について若干触れた事はある。もちろんやや批判的なコメントをした)
NHK特報首都圏で姜尚中の書籍の広報宣伝を放送(2013/05/26)
8月は敗戦体制の番人である反日サヨクマスゴミにとって大切な月(2013/08/03)
佐藤健志に関してはニコ動で、以前から桜討論の動画で「イチオシの書き込み」している連中がいたし、今回のプライムニュースのニコ動でも保守初心者のような書き込みが(それが「保守初心者を装っている」のかどうかはともかくとして)非常に多く書き込まれている。さながらTPP騒ぎの頃の中野剛志を彷彿とさせるような感じで。
あの時と手法が全く同じである。
あの頃の私は、「西部グループに懐疑的」とはいえども、「心底まで疑う」というレベルには至っていなかった(ちなみに西田昌司先生については、私は当時から書いていたように、今でも例外だと思っている)。
しかし、最近の「西部グループのメディア戦略」を見るにつけ、多分彼らも
『あちら(マスメディア)側の人間なのだろう』
と確信するようになった。
(まあ上記の過去記事にもあるように、私は当時から既に「NHKに甘い西部グループの態度」を批判していた訳だが)
先日の桜討論には西部グループの東谷暁が出演していた。
【討論!】オバマ大統領来日は何だったのか?[桜H26/5/3]
http://www.nicovideo.jp/watch/so23459043
https://www.youtube.com/watch?v=W0QuI6Z25tA
この討論の終わり頃に、東谷はなかなか面白い事を言っていた。
『そんなに日米同盟が大切なんだったら、TPP交渉でアメリカの言い分を全て呑めば良いじゃないですか?』と。
意表を突いたタイミングでこの話を切り出したので、他者は誰も反論しなかった。
この開き直ったような発言が、「親米保守派」にはなかなか出来ないんですよねw
ニコ動を監視している反米工作員達も、その東谷の発言を受けて、勝ち誇ったように親米保守派を煽るコメントを大量に書き込んでいた。
私のブログでは、そんな東谷の開き直り発言など、とっくの昔に論破しているのだがw
反論の仕方としては、二つの段階を踏んで行なう。
まず最初に、
『東谷が言うような「100か0か」の極論が許されるのであれば、気骨ある反米を謳っているあなた達も、米軍の庇護の元で米軍に対して文句を言うという、さながら「中学生が親に向かって反抗する」といったような中途半端な事をしないで、「米軍は沖縄から今すぐ、いや来年か再来年でもいいから、さっさと出て行け」と、訴えなさいよ』
と言ってやれば良い。
(私は、以下の2年前の記事で既に、そう述べている)
私の櫻井よしこさんに対する評価(2012/01/13)
(以下、一部抜粋引用)
それより何より、もし櫻井さんが開き直って、これらの反米保守派の人達に言い返すとするならば、
『アメリカに反発心をたぎらせる程、日本が誇り高い国家であるのならば、
なぜ“日本はアメリカの保護国”の状態のままでずっといるのですか?
来年、いや2、3年先でもいい。米軍は沖縄から出て行ってもらえば
良いではないですか。なぜハッキリとそう言わないのですか?
それが言えないのは、“日本はアメリカの保護国だから”という事ですね』とも言えるだろう。(以下略)
『今の安倍政権の日米外交を批判しているあなた達が、心の中で抱いている理想の総理大臣像は、あの鳩山由紀夫ですよね?
なぜあなた達はあの鳩山由紀夫が退陣する時に、それを護る為の論陣を張らなかったのですか?
ちなみにあなた達の理想の総理大臣は、今でももちろん鳩山由紀夫ですよね?』
と言ってやれば良い。
(そしてこの事も、私は以下の過去記事で既に述べている)
久々に西部グループ、三橋貴明、水島社長批判(2013/07/28)
(以下、一部抜粋引用)
TPP反対派の言論に対して、私から言わせれば、
『じゃあ、あなた達の理想の総理大臣は、あの反米親中の鳩山由紀夫ですね』
という事である。
鳩山由紀夫が総理大臣であったなら、間違いなくTPPをぶち壊して日本は交渉に入る
事もなかっただろう。
こう言えば、三橋などのTPP反対派はこういうに違いない。
『鳩山が総理だなんて、なんでそんな極端な例を出すんだよ!』
その考え方自体が、あなた達の「甘え」なんだよ。
鳩山が総理という例は、極端でも何でもない。
実際4年前に、反米反小泉の流れに乗って総選挙に大勝して、鳩山は総理大臣に
なったではないか。反米思想のおかしな政治家が総理大臣になるなど、どうせありえないのだから
(=我々少数派が実際に政権を担う事になるなど、どうせありえないのだから)、
とりあえずアメリカさえ叩いていれば、反米派言論人としての形にはなる。
こうした「甘えた発想」が、鳩山総理、ひいてはその後の菅総理などの民主党政権
を生み出した要因なのではなかったのか?
「反米保守」を気取っている一部の言論人は、まずなによりも、その辺りの「反省」と
「総括」をやってから、親米派の批判をやってもらいたいものだ。(以下略)
何度も言うが、私からすれば西部グループの話など今更改めて聞いたところで、別に何の感銘も受けるものではない。保守初心者からすれば、そうではないのかも知れないけれども。
ただし、かく言う私も、西部グループの「アメリカに対する感情」を理解していない訳ではないし、その訴えが重要である事も理解している。
問題なのはその手法(アメリカからの自立を目指す手法)が、西部グループのやり方は著しく問題がある、という事である。
以前、憲法の話をする時にも書いたが、
TPPとアメリカコンプレックスと憲法論議 後編(2013/04/28)
(以下、一部抜粋引用)
私は「金銭の損得勘定」で日本人の「反米意識」を煽った所で、
日本にとって決して「プラスな事にはならない」と思っています。
今回の反TPP騒ぎの中で、日本にとって唯一「前向きな話」として取り上げられるべき
事は、それが、
「アメリカからの真の自主自立が必要」>>「敗戦体制からの脱却に目覚める」>>
「占領憲法の破棄に繋がる」
という場合だけのはずです。(以下略)
根本的な解決方法は「占領憲法」の無効化のはずである。
これはTPPのような交渉相手のある問題とは違って、日本国民がその意志を持ちさえすれば、すぐにでも実現可能な話である。
しかしなぜか、西部グループは「占領憲法」の事を声高に言う事はしない。TPPの事だけは声高に言うけれども。不思議な話である。
最後に、今回の話で一番重要な問題は、
西部グループのメディア戦略が、まさに「マスゴミ」に利用される形で行なわれている事と、それが西部グループの「売名行為」に直結している、
という点である。
「司法に訴える」「脅しを使う」「情報量で圧倒してイメージ戦略で勝つ」などという手法は、「私が相手にしている連中」(=NHKおよびマスゴミ)の常套手段であるが、その戦略の手法自体は正しい選択であり、以前も書いたように「西部グループの身の処し方は非常に洗練されている」。直接討論をして敗れたら元も子もないので、このような戦略を取る訳である。NHKやマスゴミの思考回路と全く同じである。
倉山の理論が、仮にそれが正しいものであったとしても、この情報戦に勝つ事は多分出来ないだろう。
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