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コーネリアスファン私設検証サイト
本件は、問題となった雑誌の発売が25年以上前であり、また学生時代のエピソードは約40年以上前と、全容を理解するにはかなりの時を遡らなければなりません。
また、2021年夏に誤りを含んだ情報が拡散されてしまった経緯にも、五輪開会式の日時などターニングポイントが深く関わっており、それらを踏まえて事実確認を行う必要があります。
本ページでは、主にこの夏の炎上・五輪作曲担当の辞任に至るまでに何があったのか、関係する出来事を1990年代から2021年まで時系列で整理し、雑誌記事などの客観的資料を用いてファクトチェックを付記しています。本件を、事実に基づき正しく把握したい方の一助となることを願います。
※記事原文の詳細ないじめ描写については二次被害防止のため外部リンクでの参照にしていますが、本ページにもいじめに関する記述が含まれます。ご覧になる際はご注意ください。
※当サイトでは、2021年に報道・拡散された情報を検証するため、小山田氏本人・第三者によって文字化・記事化された資料に基づく情報・証言等を「ファクト」として扱っています。
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2021 ©︎IfYouAreHere委員会(コーネリアスファン有志)
問い合わせ先:olivevive2199@gmail.com
※当時の雑誌、出版物は国立国会図書館、大宅壮一文庫などで確認・コピーの取り寄せが可能です。
2021.12.31時点の情報です。事実関係の間違いなどがありましたらメールでご連絡ください。
小山田氏が公式サイトにて「いじめに関するインタビュー記事についてのお詫びと経緯説明(日本語版・英語版)」を公開(Instagram、Twitterにも掲載)。
ROJ誌に事実と異なる見出しを掲載されたこと、7月の炎上時はインタビュー原文ではなく匿名のブログをソースに報道された事など、「障害のある同級生の食糞や長年の陰惨な暴力行為」を再び具体的に否定した。
これまで罪悪感と後ろめたさを感じていながら静観してきた事に対する謝罪、20代当時に音楽家としての自信の無さから未熟な発言をした事への反省の意とともに、自身に子供が生まれ育てる中で人生を再学習してきた事、音楽によって社会との繋がりを実感できた『デザインあ』の制作に携わることができたことへの感謝などが綴られた。
しかし、7月の辞任前の謝罪文が1.5万RTされたのに対して、オリパラ終了後に発表したこの経緯説明文は3,400RTと4分の1以下に留まった。またメディアでも報道に事実誤認や誤情報が多く含まれていたことは訂正報道されず現在に至る。
2021.12現在、『デザインあ』『JAPANGLE』『サ道』『まるちゃんの静岡音頭』など依然自粛・使用中止が続いている。
辞任前ににいち早く「いじめ自慢」と「炎上状態」を報道した毎日新聞は、小山田氏の経緯説明文を有料記事内で紹介するのみに留まり、2021年12月時点で訂正報道は未だなされていない。
他メディアでも「小山田氏は障害者をターゲットに長年にわたって犯罪級の虐待や暴行を行い、自慢した」とされたまま、誤報道は訂正されず現在に至る。
バッシングの元になった「QJ」誌のインタビューを企画したライター、村上清氏が辞任から2ヶ月後に声明を発表。
村上氏は声明文中で謝罪とともに、以下のように記した。(全文はこちら)
「当時の経緯をご説明いたしますと、本記事でいじめを支持したり、ましてや称揚する意図は、当初から全くありませんでした。」
「今回、本記事の「原文」としてネット上で最も参照されたであろうブログの記事が必ずしも元記事原文のままではなく、少なからず削除・切り取りされたものであったことは、今夏のオリンピックのタイミングで知りました。いち執筆者として率直に申し上げれば、センシティブなテーマを扱ううえで当時の自分としてぎりぎりの神経を使って言葉を配した箇所ほど狙ったようにカットされていたことは確かです。前述の皮肉や反語という文脈、そして談話者の取材現場での語り口にあった一種の諦念、自虐といったニュアンスが削ぎ落とされたテキストが、今回多くのケースで「原文」として参照されたということは、記事の取材・執筆者としてここに記させて下さい。現場での小山田さんの語り口は、自慢や武勇伝などとは程遠いものでした。」
小山田氏曰く「(関係者に迷惑がかかるため)すべてのオリ・パラの行事が終わった後でと考えていました」と、オリパラ終了後、辞任から約2ヶ月後に週刊文春による小山田氏のインタビュー記事が取材が公開される。ノンフィクション作家・ジャーナリストの中原一歩氏の質問に対し、小山田氏は「(一番拡散された全裸にして紐で縛って、自慰行為をさせた)という内容は事実ではありません」「(食糞に関しては)別の話で、小学校の頃なんでも落ちているものを口にしてしまう同級生がおり、みんなで笑っていたという話」と説明した。
ノンフィクション作家でジャーナリストの中原一歩氏は文春インタビュー公開にあたり、『数週間かけていじめの舞台となった和光学園の当時の同級生等を取材した事実も追記しておきます。小山田氏本人が障がい者を一方的にいじめた」「ある特定の人物をターゲットにして執拗に攻撃した」という類のエピソードは現段階では確認できませんでした。』と連続ツイートの中で明かした。
中原氏は翌月のBusiness Insider Japanのインタビューに対して、「最初に小山田氏のいじめについてのブログが出たのは2006年。この20年間近く、いじめ疑惑はくすぶり続けてきたのに、直接取材のために連絡を取ってきたのはあなたが初めてだ、と同級生たちからは言われました。つまり今まで誰も事実を確かめようとしてこなかったんです。」「僕は、一番の責任は出版社や雑誌の編集部にあると思います。(中略)乗っかった本人に責任もあるけれども、取材に協力した小山田氏に何か問題が起きたとき、掲載した雑誌の編集部や編集者は掲載した責任があると同時に、取材を受けてくれた人も守らなければいけないと思います。」と発言した。
小山田氏が所属するバンド「METAFIVE」レコーディング済みのアルバムの発売中止が決定。発売記念トークイベントも中止。レギュラーラジオ番組「METAFM」が放送終了。
METAFIVEファンによる署名活動「METAFIVEの2nd ALBUM「METAATEM」発売再開を求めます」に3,500名程が署名。7月26日に無観客で収録されたライブ映像が11月20日に有料配信され、発売予定だったアルバムは配信の付属品として配布された。
小山田氏に次いで、開会式のショーディレクターである小林賢太郎氏が20年以上前のコントを批判され解任、のぶみ氏のいじめ・不倫疑惑による辞退、障害者や女性を揶揄するようなコントを演じていたことを理由に竹中直人氏が自ら出演を辞退するなど、関係者の解任・辞任が相次ぐ中、東京オリンピックが開幕。
小山田氏の担当していた冒頭4分間の楽曲は音楽監督のFPM田中知之氏が急遽担当した。
音楽監督を務めたDJ・プロデューサーの田中知之氏(55)が朝日新聞の単独インタビューで、「開会式の後、世の中の少なくない人たちが『あの式典で何百億円ものお金を使って、この程度か』という怒りをSNSなどで発信していました。現実は、全然違います。そうした事実を、ほとんどの人が理解していないし、メディアが積極的に報じてくれることもなかった。むしろ、匿名で厳しいことを発信した一個人の意見を、力のあるメディアが抽出して取り上げ、それが拡散していくという状況だと僕は感じましたし、更にはそうした、事実に基づかない発言を他のメディアも追随する状況も目の当たりにしました。」と当時の混乱を振り返った。
コーネリアスが主題歌(オープニング)『サウナ好きすぎ』を担当していたテレビ東京系ドラマ『サ道』の曲差し替えが決定。石川一郎社長は「判断の理由は皆さんの思っている通りだと思います。不快感というと言い過ぎですけど、なんとなく、もやもやとしたものを感じさせないためにも変えた」と説明した。
炎上後はオリパラ開会式の辞任に留まらず、『デザインあ』『まるちゃんの静岡音頭』『サ道』の自粛・使用停止をはじめ、小山田氏の全ての仕事が白紙状態になった。
小山田氏が毎週水曜日にDJを担当していたラジオ番組、α-STATIONエフエム京都『FLAG RADIO』の休止が決定。
さくらももこ氏と親交の深かった小山田氏が編曲を担当した静岡市『まるちゃんの静岡音頭』が7/19に新バージョンが完成するも、使用停止が決定。
小山田氏が音楽を担当する『デザインあ』の公式アカウントにもバッシングの書き込みが殺到し、NHKは10年間続いた番組の放送休止を決定。同じく『JAPANGLE』の放送も休止決定。NHKの公式サイトからも削除された。
「当面のことについては、時期は決まっていないけれども、当面は取りやめる」と、あくまで打ち切りではなく放送休止の旨を説明。
2017年に『ガルちゃん』にNHKの回答として書き込まれた内容について「それは対応した事実はありまして、その方があげられたものですが、経緯としては、それより前(2011年)に問い合わせがあったときに、事務所の関係の方から説明を受けて、ご本人が重々反省している、後悔しているなどの話を聞いて、記録があまり正確ではないところがあるが、正確にどのような説明がされたという詳細は分からないが、ご本人が反省していらっしゃるという話を聞かれたような状況で、当時はその説明を受け入れた」「番組は2011年にスタートしているが、その2011年に一度問い合わせがあった」「視聴者の方々の意見や全体を踏まえて適切な判断をしていく」と説明した。
22:00頃
報道ステーションにてアナウンサーが「小山田さんのやったことは“いじめ“というよりは、もう犯罪に近いようなことだというように思われます。」「もの凄い嫌悪感に襲われました」と発言。
19:10
11:00頃
加藤勝信内閣官房長官が「イジメや虐待はあってはならない行為」「大会組織委員会が適切に対応してほしい」と発言。
18:57
米NBC Newsが、ガーディアン・オブザーバーと同様にARAMA! JAPANの記事をソースとして“...he would, among other things, force a mentally disabled boy to eat his own feces and masturbate in front of other students”と、いじめ2例(食糞・自慰強要)を挙げ、“would”を用いて、過去の習慣的行為のように記述。また一連のいじめ行為を「反省の色なく、面白おかしい少年時代として、得意げに語った」と、ARAMA!JAPANの記事を引用する形で書かれている。
一般社団法人・全国手をつなぐ育成会連合会が小山田氏に関する一連の報道に対する声明文を発表。
7/16に「東京オリパラ開閉会式制作メンバーから小山田圭吾氏の除外を求めます」という署名活動が開始、数日間で3万人以上が署名。またハッシュタグ「#小山田圭吾氏の辞職を求めます」がトレンド入りするなど、SNSでのバッシング・辞任を求める運動が過熱化する。
数日間に3万人以上が署名した、「東京オリパラ開閉会式制作メンバーから小山田圭吾氏の除外を求めます」の概要には、「小学・中学・高校時代に小山田氏本人がいじめの加害者であり、その対象が障碍者の同級生だったと告白しています」と原文内容とは異なる根拠不明の記述があった。
また、2021年12月現在、署名発起人の「ゆうき いとう」氏のアカウントは既に削除されている。
22:52
英メディアThe Guardian Observer(ガーディアン・オブザーバー)が、日本のポップカルチャーファン向けにニュースやゴシップを掲載するブログサイト、ARAMA! JAPANの記事をソースとして、いじめ行為として食糞・自慰強要を掲載。
The GuardianがソースとしたARAMA! JAPANがソースとしていたのは、日刊スポーツ、アメリカの投稿型ソーシャルサイトredditだった。
15:00頃
武藤敏郎事務総長と橋本聖子会長は会見(→Youtube)で小山田氏の留任を表明。「最終的な任命責任は我々にあることは間違いありません。ありませんが我々が一人一人を選んだわけではありません(武藤)」「責任は私にあります。しっかりとチェックをすることができなかった。今回の問題は多くの心配いただいた方々に対し、お詫びをしなければいけないと思います(橋本)」と発言。
時間帯不明
Jake Adelstein(ジェイク・エーデルステイン)氏が編集長を務める、Japan Subculture Research Centerに、『東京五輪2020作曲家は障害児を拷問したー日本から世界への「糞くらえ」』(※タイトル和訳)として記事が公開。「小学校から高校まで」「障害児を容赦なく拷問した(brutally tortured)」「排泄物を食べさせ自慰をさせた」など、誤情報と誇張を含んでいる。これらのいじめ行為をhate crime(ヘイトクライム=偏見・差別に基づく憎悪犯罪)という言葉で受け、さらにsexual assault(性的暴行:レイプの婉曲表現)、assault(暴行)、forcible indecency(強制わいせつ)、public indecency(公然わいせつ)、attempted murder(殺人未遂行為)など、犯罪の法的名称を用いて小山田氏を犯罪者扱いしている。
9:22
The Telegraph(ザ・テレグラフ)から、海外メディアによる第一報となる記事が公開される。記事タイトルは“Composer who forced disabled classmates to eat faeces and masturbate will still feature in Olympics opening ceremony”=『障害のある同級生に排泄物を食べさせ自慰を強要した作曲家は五輪開会式音楽担当を続投』 。衝撃的なタイトルで、本文では horrific abuse=『恐ろしい虐待』など強めの表現になっている。強烈な2つのいじめ具体例(食糞・自慰強要)と、(箱に閉じ込めたり、段ボール箱の彼の頭のまわりをテープで縛りチョークの粉を入れた、マットでぐるぐる巻きにして蹴った)など一連の行為を小山田氏が主導したように並列して書かれている。辞任発表後の19日にタイトルが更新されたが、実際は辞任のところ解任(=『ax』)となっている。
23:44
タレントでジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏が小山田圭吾氏が「高校生の時に障害のあるクラスメイトを日常的に拷問した」「朝鮮人いじめをした」という内容を連続ツイート。7月20日までにモーリー氏の小山田氏関連についてのツイートは145件に及んだ。後日ファンからのインタビュー原文記事との食い違いの指摘に対しては、原文記事を参照したかどうかは明言せず「毎日新聞」と「日刊スポーツ」が記事にしたので裏が取れていると判断した、と回答した。
18:50
以降
18:34
小山田氏が公式サイトとTwitterにて謝罪文を掲載。学生時代の心ない発言や行為、またそれをインタビューで反省なく語った事への後悔や謝罪の意を表明。
「記事の内容につきましては、発売前の原稿確認ができなかった事もあり、事実と異なる内容も多く掲載されております」とインタビュー記事の内容を一部否定したが、開会式が1週間後に迫る中、“事実と異なる内容”や、原文インタビュー記事と報道との食い違いについてメディアでの取材・検証がされることはなく、ネットのまとめやROJの見出しなどをソースとした報道が続くこととなった。
ご指摘頂いております通り、過去の雑誌インタビューにおきまして、学生時代のクラスメイトおよび近隣学校の障がいを持つ方々に対する心ない発言や行為を、当時、反省することなく語っていたことは事実であり、非難されることは当然であると真摯に受け止めております。
私の発言や行為によって傷付けてしまったクラスメイトやその親御さんには心から申し訳なく、本来は楽しい思い出を作るはずである学校生活において、良い友人にならず、それどころか傷付ける立場になってしまったことに、深い後悔と責任を感じております。
学生時代、そしてインタビュー当時の私は、被害者である方々の気持ちを想像することができない、非常に未熟な人間であったと思います。
記事の内容につきましては、発売前の原稿確認ができなかったこともあり、事実と異なる内容も多く記載されておりますが、学生当時、私の発言や行為によってクラスメイトを傷付けたことは間違いなく、その自覚もあったため、自己責任であると感じ、誤った内容や誇張への指摘をせず、当時はそのまま静観するという判断に至っておりました。
また、そういった過去の言動に対して、自分自身でも長らく罪悪感を抱えていたにも関わらず、これまで自らの言葉で経緯の説明や謝罪をしてこなかったことにつきましても、とても愚かな自己保身であったと思います。
それにより、当時のクラスメイトだけでなく、学生時代に辛い体験をされた方々やそのご家族、応援してくださるファンの方々に対しても、不誠実な態度を取り続けることになってしまいました。
本当に申し訳ありません。
16:00頃
The Mainichi(毎日新聞英語版)から、7月15日付けの誤りを含む日本語記事の英訳版が公開される。
11:36
早朝
19:59頃
Twitterに昼頃「いじめ自慢」がトレンド入りした日の夜、毎日新聞が他メディアに先んじて「小山田圭吾さん、過去の『いじめ告白』拡散 五輪開会式で楽曲担当(現在有料)」と上記の個人アカウントのツイートを紹介し、「いじめ自慢」がトレンド入りしたと炎上状態を報道、『QJ』誌の書影とともにいじめの内容にも触れた。記事を担当した山下智恵記者はTwitter個人アカウントで「書きました。最初は書いていいのか迷いました。この怒りや違和感をどう受け止めますか組織委さん」とツイートし記事を紹介した。
これが本件における大手メディアによる初報となるが、「障害者とみられる同級生2人」を「小学校から高校まで」、「長年にわたって同級生をいじめていたと告白していた」とインタビュー原文に存在しない記述や、ロッキング・オン・ジャパンでの記述をクイック・ジャパンと混同するなど、誤りや不自然な点が多かった。
毎日新聞はQJ誌の写真とともに小山田氏が「長年にわたって」「小学校から高校で」「障害があるとみられる同級生をいじめていたと告白した」と報じたが、
2冊のインタビュー記事には「小学校から高校に渡っていじめた」という記述は存在しない。
障害のある同級生の沢田さん(仮)について原文には小山田氏の発言として「いじめてたっていうのは小学生ぐらいで、もう中高になると、いじめはしないんだけど…どっちかっていうと仲良かったっていう感じで」と記述されており、毎日新聞の報道と食い違う。
毎日新聞は「クイック・ジャパンの記事には『この場を借りて謝ります(笑)』との記述もあるが、笑いながら語ったと描写されている。」と報じたが、
「この場を借りて謝ります」ではなく、正しくは「この場を借りてお詫びします」。
上記の発言が掲載されたのは『クイック・ジャパン』ではなく、『ロッキング・オン・ジャパン』。
毎日新聞の記述は「QJ」のライターが「ROJ」記事を引用した箇所をさらに引用した表現になっており、山下記者が「ROJ」原文記事を参照していない可能性が指摘されている(参考文献:「コーネリアス 炎上事件とは何だったのか」大月英明)。
炎上の発端となった(「はるみ」氏の)ツイートについて、毎日新聞は「ツイートが根拠としているのは、『ロッキング・オン・ジャパン』(1994年1月号)と『クイック・ジャパン』(95年3号)に掲載されたインタビュー記事2本。」と報じたが、はるみ氏がツイートの根拠としてリンクを掲載したのは、小山田氏およびコーネリアスのファンに対する悪意(※リンク先は削除済みのためアーカイブ)を持って編集された「孤立無援のブログ」の「小山田圭吾における人間性の研究」というまとめ記事だった。
いち早く毎日新聞が「孤立無援のブログの切り抜き記事=二つの雑誌記事」と報道をしたことにより、
個人ブログをソースにしても構わない
原典記事を確認する必要はない
小山田氏が「いじめ自慢をした」「武勇伝的に語った」のは間違いない
関係者に取材をしなくても良い
というスタンスに他ネットメディア等が複数追随、インタビュー原文と、ネットまとめやコピペとの矛盾は無視され、事実検証や関係者への取材なしに小山田氏へのバッシング報道が過熱することになった。(参考文献:「コーネリアス炎上事件とは何だったのか」大月英明)。
7:45頃
「はるみ」という五輪中止を求める個人アカウントが「オリパラ開会式の作曲メンバーに選ばれた小山田圭吾さんってどんな人なのかなと思ったら、雑誌のインタビューで障がいがある同級生への壮絶ないじめを武勇伝みたいに語ってる。 いじめというより犯罪で読んでて吐きそうになった。 」とツイートすると、毎日新聞デジタルの記者をはじめ1万以上RTされ、炎上の発端となる。
「はるみ」氏がソースとしてリンクしていたのは「孤立無援のブログ」内の「小山田圭吾における人間の研究(現在は引用部分を削除済み)」だった。
21:00頃
五輪HPにて開会式の音楽等担当が発表となり、各種ニュースサイトが報じる。個人の複数のアカウントから、小山田氏について「知的障害者にウンコ食わせたり服を脱がせたりしたエピソードを自慢する人がオリパラに関わるんですね!」など2ちゃんねるの『いじめコピペ』や『孤立無援のブログ』の切り抜き記事を元にしたツイートが徐々に流れはじめる。
関係者の相次ぐ辞任や五輪強行開催への国民の反感ムードの中、制作チームは直前まで何人も交代があったという。『抜けた人の代わりに、出来上がった開会式の映像の一部に音楽をつけてほしい』と小山田氏(当時52歳)にオファーがあったのは開会式直前の約1ヶ月前。正式な契約を交わすことのないまま小山田氏は楽曲を制作・納品した。
音楽担当辞任後に「小山田氏はオリンピックで稼いだ金を障害者支援などに寄付するべき」「電通人脈による採用」など批判する声があったが、本来は電通がアーティストと交わすべき契約を交わすことなく納品したため、小山田氏へ楽曲制作のギャラは支払われていない。(参考:2021.9.15 文春インタビュー記事)
新型コロナウィルスの感染が広がる中、IOC=国際オリンピック委員会は予定どおりの開催を強調していたが、各国のオリンピック委員会や競技連盟などから批判が高まる中、開幕まで4か月を切ったタイミングで1年間の延期が決定される。
『ガールズちゃんねる』の匿名ユーザーがNHKに小山田氏に関するネットのいじめ記事についてクレームし、NHK側の回答を投稿。NHK側は「実際のところは、事実と異なる記述や雑誌の過剰な演出表現も多くある」「20年以上が過ぎる中でご本人も当時の事については深く反省しておられます」と回答。2021年9月にNHKはこの回答内容を事実と認めた。
小山田氏(当時48歳)は視聴者からのNHKへのいじめ記事への苦情に対し、2011年と2017年に「インターネット上にあるいじめに関する記事や書き込みは事実と異なる」旨や、「その原因となる発言をしてしまったことへのお詫び」「現在の自分の倫理観は20代の頃とは大きく変わっている」旨を説明し、NHK側もそれを受け入れ、『デザインあ』の放送を継続してきた。
2021年7月に「小山田氏はずっとこの問題を放置してきた」「20年以上、反省している様子が全く見られない」と厳しく批判された。
小山田氏は文春の単独インタビューに対して「2ちゃんねるでの炎上や匿名のまとめブログにはどのように対応すれば良いか分からなかった」と振り返っているが、一方でNHKへ視聴者から寄せられる苦情に対しては説明と反省の意を伝えてきた。
子どもたちのデザイン的思考を育むためのNHKの教育番組、『デザインあ』のパイロット版制作にオファーされ、小山田氏は番組の主要クリエイター3名のうちの1名として、番組にサウンド・デザインのアイデア段階から制作に携わる。『デザインあ』は2011年4月から本放送が開始され、各地の美術館で展覧会が開催されるなど、10年間に渡ってNHKの人気長寿教育番組となる。
学生時代に20歳でデビューして以来、ミュージシャンとして活動してきた小山田氏は2021.9.17の公式サイトの経緯説明文で『デザインあ』に関して「自分の音楽が初めて社会との繋がりを持てたような充実感があり、子どもたちの感性を刺激する手伝いをさせてもらえることに、自分の作品作りだけでは味わったことのない種類の喜びを感じておりました。」と振り返った。
米ロサンゼルスで開催の『第51回グラミー賞』ベスト・サラウンド・サウンド・アルバム賞に、小山田圭吾氏(当時37歳)の自身のバンド、コーネリアスの作品『Sensurround+B-sides』が評価されノミネート。
匿名のネットユーザーが運営する個人ブログ『孤立無援のブログ』にて「小山田圭吾における人間性の研究」という記事が投稿される(現在雑誌からの引用部分はブログ主により削除)。
ROJ誌の過激だが詳細が不明の描写と、QJ誌の障害者の同級生に関するエピソードをつなぎ合わせ、かつインタビュー原文では小山田氏が「引いちゃう」「『ちょっとそういうのはないなー』って思ってた」「かなりキツかった」など、いじめ行為を目撃して嫌悪感やショックを受けている事を示す描写を全てカットし、凄惨ないじめ行為を全て小山田氏がやったことのように読ませる恣意的な編集が施されたものだった。
2021年7月には「小山田圭吾 いじめ」で検索すると、この「孤立無援のブログ(小山田圭吾における人間性の研究)」が上位に表示される状態になっており、多くのメディア、ジャーナリストやネットユーザーにこの匿名ブログ記事が「インタビュー記事原文」として参照された。
この匿名ブログによる2誌の内容を掛け合わせた切り抜き・編集により、多くの人々が元インタビューには登場しない、実在しない被害者である「小山田圭吾氏から小・中・高に渡って食糞や性的虐待などの凄惨ないじめを受けた障害者」を想像しショックを受け、憤ることになった。
2021年7月に多くの人々に小山田氏バッシングの根拠として参照されることになる「孤立無援のブログ」だが、別エントリーで小山田氏及びコーネリアスの音楽ファンへの悪意ある文章を綴っていた(現在は削除済みのためリンク先はアーカイブ)。
以下に引用する。
“冷房のきいたスタバの店内でスマホ片手にカフェラテ飲みながら、やっぱり原発っていらないよねえ、などと知的なおしゃべりしながらコーネリアスを聴きつつ素敵ライフを満喫してらっしゃるスノッブな豚どものところに、うんこだのオナニーだのという「小山田圭吾における人間の研究」が続々とツイートされていく場面を想像すると、胸が熱くなるな。”
2004年の炎上がコーネリアスのファンが運営する非公式サイトのBBS(掲示板)にも飛び火し、少しずついじめに関する書き込みが増加し攻撃的な書き込みで埋め尽くされ、サイト自体の閉鎖を余儀なくされる。Facebookなどでファンがライブの感想を投稿すると「いじめコピペ」が貼られるなど、コーネリアスのファン同士がインターネットで安心して情報交換をできる場所がなくなっていく。
2ちゃんねるで『いじめコピペ』が「埼玉蕨女子中学生いじめ自殺事件」と結びつけられ、攻撃的なタイトルのスレッドが複数立てられ、炎上。このようなまとめページも残っており、「小山田祭り」と呼ばれた。これ以降「コーネリアス」の情報交換スレも、コピペを貼り付ける「荒らし」の標的となる。「荒らしはスルーでお願いします」というファンの呼びかけもあるが、「妻のBBSも荒そう」という書き込みとともに、嶺川貴子(当時の小山田氏の妻)の公式HPにあったBBSも荒らされ、閉鎖に追い込まれた。
インターネットが普及し1999年に開設された巨大匿名掲示板『2ちゃんねる』で、ファン同士の情報交換の場所だった「コーネリアススレ」において「ロッキング・オン・ジャパン」誌インタビューのいじめの記述部分のみを切り貼りしたコピペが貼られる。しかし、この時点で雑誌の発行から9年が経過しており、ファンの反応もうろ覚えだった。
29歳で結婚・長男が生まれ、その翌年にリリースされたアルバム「Point」への影響について、小山田氏は「子供が産まれたっていうのはでかい」「子供が聴いても面白い感じがいいなあとか、前だったら考えなかっただろうし」(『ROJ』2001年11月号)と振り返り、2016年にも「子供を通して人生の再学習をしている感じがあります」(『TV Bros.』2016年3/12号)など、複数のインタビューで長男の存在を通して自身の心境や音楽が影響を受け変化していく様子が掲載されている。
サブカル雑誌クイック・ジャパン(以下、QJ)第3号にて、かつていじめられっ子だったこともある新人ライターの村上清氏が、“いじめ問題を揺さぶり、「いじめ」の本質を伝え、突破口とする”という意図のもと、『いじめた側といじめられた側の対談』の連載を企画。小山田氏(26歳)は当初は取材を断るが、1年前にROJで掲載された内容の誤解を解きたい思いと、村上氏の熱心な懇願により取材を引き受けた。
結局対談は成立せず、村上氏と小山田氏の事前打ち合わせ時の会話がインタビューとして掲載される。記事は全22ページに渡り、小山田氏が学生時代に経験したエピソードがROJ誌よりも詳細まで掲載されている。
「小山田圭吾氏が同級生の障害者に小学校から高校に渡って排泄物を食べさせたり性的虐待を行った」という情報が報道・拡散されたが、クイック・ジャパンの以下の記述と異なる。
中学の修学旅行でのプロレスごっこ中に部屋に現れ、同級生(仮名・村田さん)を紐で縛り自慰強要をしたのは留年してきた上級生だった。その場に居合わせた小山田氏は自慢ではなく「かなりキツかった」と回想している。(被害者について記事中には障害があったという明確な記述はない。)
障害があるとされている沢田さん(仮)を高校時代に脱がせて廊下を歩かせたのは外部からきた生徒。小山田氏は「引いちゃう」「ちょっとそういうのはないな」と回想している。
排泄物を食べるというエピソードに関しては、そもそも小学校時代に同級生がふざけてした、いじめとは関係のない出来事だったため、インタビュー内に登場しない。つまり「小山田氏が障害者に排泄物を食べさせたり性的虐待を行なった」という内容はどのインタビュー記事にも存在しない誤情報。
「小山田圭吾氏が同級生の障害者に小学校から高校に渡って凄惨な虐待を行い、武勇伝のように自慢した」「障害者が書いた年賀状を馬鹿にして晒した」という情報が報道・拡散されたが、クイック・ジャパンの以下の記述と異なる。
小山田氏が障害のある沢田さん(仮)に対してしたと書かれている行為は小学校時代にダンボールに閉じ込め、黒板消しの粉をかけた事とある。また「いじめてたっていうのは小学生ぐらいで、もう中高になると、いじめはしないんだけど…どっちかっていうと仲良かったっていう感じで」と発言し、高校の時に隣の席になったことをきっかけに友人関係に変化したエピソードが掲載されており、沢田さんご本人も小山田氏と仲が良かったと認めている。
上記の他に小山田氏がしたと書かれている行為は中学時代に別の同級生(仮・村田さん。記事内には障害者という記述はない)をロッカーに閉じ込めて蹴とばしたこと。
沢田さん(仮)との高校時代の思い出や、「スッゲェ難しい漢字を知ってる」「天才かもしんない」といった発言ののちに、最終ページに沢田さんとの友情や交流を表す意図で年賀状が掲載される。
辞任の約2ヶ月後、インタビューを担当した当時新人ライターだった村上清氏は出版社サイトの謝罪文「1995年執筆記事「いじめ紀行」に関しまして」内で、「本記事の『原文』としてネット上で最も参照されたであろうブログの記事が必ずしも元記事原文のままではなく、少なからず削除・切り取りされたものであった」と指摘し、「センシティブなテーマを扱ううえで当時の自分としてぎりぎりの神経を使って言葉を配した箇所ほど狙ったようにカットされていたことは確かです」「現場での小山田さんの語り口は、自慢や武勇伝などとは程遠いものでした。」と説明した。
また、沢田さんからの年賀状を「晒して馬鹿にする」という意図は全くなく、「Sさんと小山田さんの間にあった不思議な交流、友情の挿話に即して掲載されたものです」と説明している。
今から約27年前の1994年1月号、廃刊寸前だった『ロッキング・オン・ジャパン(以下、ROJ)』はその危機を脱するためのリニューアル号として、表紙にコーネリアスこと小山田圭吾氏(当時24歳)を迎えた。
小山田圭吾氏の半生を振り返る2万文字インタビュー内で、「全裸で紐で縛り、自慰行為をさせ食糞を強要してバックドロップをした」という過激な見出しが掲載された。
ロッキング・オン・ジャパンはインタビューしたミュージシャン側に発売前の原稿確認を一切させない方針だった。
2021年7月にROJの記事を取り上げ「小山田氏が同級生の障害者に小学校から高校に渡って排泄物を食べさせたり性的虐待を行い、自慢した」という情報が報道・拡散されたが、
ROJインタビューには「障害者」についての言及は存在しない。
ROJインタビューには加害者と被害者が誰なのか、明確な記述がない。
「小学校〜高校まで」など具体的な期間への言及も存在しない。
小山田氏はこのインタビューが掲載されたROJの発売直後に、山崎氏とのトークイベントで「これ、読んでもいいけど、あんまり信じないように(笑)」、翌号のROJインタビューでも山崎氏に対して「僕こないだのインタヴューに、少し後悔してるとこがあります(笑)」、また別雑誌では「この間のロッキング・オンのインタビューとか思いっきり後悔しているんですけど。何人かの友達をなくしかけているし。笑(『パチパチロックンロール』1994年3月号)」のほか、控えめながら複数の媒体を通じて記事への困惑や後悔を表明している様子が残っている。(参考記事:長い呪いのあとで小山田圭吾と出会いなおす(2)|小山田圭吾は当初から記事に困惑していた)
小山田氏はROJ記事掲載の数ヶ月後に、仙台でのイベントの壇上で、2021年の文春インタビュー・また9/17の「お詫びと経緯説明」と同じ内容の訂正を行なっていた。
以下、DOMMUNE検証番組における登壇者の発言を引用する。
「94年の3月くらいに、仙台のWAVEというレコード屋で店内イベントががあって、その隠し撮りテープを聞いていたんですけど、そこで客席からの質問に答えるコーナーがあって、そこで「なんで友達にうんこ食べさせたんですか」というダイレクトな質問を小山田さんに聞いているものがあったんです。(その質問に対して小山田氏は、)『いや、違うんですよ。それ多分ロッキングオン ・ジャパン見て言ってるんだと思うんだけど、あれは作られてて。ウンコの話は小学校時代で、バックドロップは中学のときで、しかも別に無理やり口に入れて食べさせたわけじゃなくて、『なんでもできるよ』って言った友達が小学校の時にいて、『じゃあお前、ウンコとか食べられるのかよ』と言っていたら、本当に犬のウンコを探してきて口に入れた、ってやつがいたんですよ』(と回答していた)」
(参照元動画:SUPER DOMMUNE 2021/12/31「小山田圭吾氏と出来事の真相」1:31〜のばるぼら氏発言より)
インタビューを担当した編集長の山崎洋一郎氏は、リニューアルに際し当時の編集後記で「危険な思想が脳内に湧き出し、人生を踏み誤ってしまうような素晴らしいロック雑誌に」「どうせ小っちゃいんだ、何をやろうが誰も気にせんだろう」と記述している。
小山田氏は当時を振り返り、「発売前の原稿確認ができなかったため、自分が語った内容がどのようにピックアップされて誌面になっているかを知ったのは、発売された後でした。それを目にしたときに、事実と異なる見出しや、一連の行為を全て私が行ったとの誤解を招く誌面にショックを受けました」「『同級生に排泄物を食べさせた、自慰行為をさせた』といった内容については、私が行わせたり、示唆や強要をしたといった事実は一切ありません。」と公式サイトにて説明した。また、文春のインタビューに対して「小学校の頃、何でも落ちているものを口にしてしまう同級生がいました。枯葉とか蟻んことか。その彼が下校している時に、道に落ちていた犬のウンコを食べて、ペッと吐き出して、それをみんなで見て笑っていたという話をしたんです」と説明した。
2021年12月現在、掲載内容が事実と異なると指摘されたことについて、ロッキング・オン社および山崎洋一郎氏からの説明・回答はない。ロッキング・オンの側の声明としては7月の山崎氏ブログでの謝罪のみに留まり、メディアからの取材は断っている。
1991年当時、フリッパーズ・ギターのメンバーだった小山田圭吾氏(22歳)は、「障害者に犯罪級の虐待をした」としてのちに取り沙汰されることになる『ロッキング・オン・ジャパン』『クイック・ジャパン』の数年前、文芸・音楽誌『月刊カドカワ(1991年9月号)』のインタビューを受けていた。そこには学生時代の回想として、知的障害のある同級生Kさん(クイック・ジャパンでは仮名「沢田」さん)とのエピソードが掲載されている。
インタビューにはいじめに関する描写はなく、Kさんとの小学校時代の出会いから高校卒業までの11年間で、お互いの成長とともに関係が変化していく様子が回想されている。
「(小学校)二年のときにKという知恵遅れ※の子が転校してくるんです。ぼくらの学校は身体障害者の人が多いんだけど、特別にクラスは作らないで普通に入ってくる。(中略)Kとは小学校の時は割と距離を置いて付き合ってたんだけど、高校に入ってから意外に密接な関係が出てくる。」
「高校になると、すごく(音楽を通じて)仲良かったヤツが違うクラスになっちゃって、クラスに友達がいなくなっちゃった。そうしたら、Kが隣の席なの、アイウエオ順で、小山田の次がK(笑)。クラスにいる時は、Kとしか話さなかった。」
「高校になるとみんな色気付いて下敷きの中にアイドルの写真とか入れてくるじゃない。Kも突然入れてきた。何かなと思ってみたら、石川さゆりだった。『好きなの』って言ったら、『うん』。それから、Kは鼻炎だからいつも鼻かんでるんだけど、(中略)だから購買部で箱のティッシュ買ってきて紐つけてあげた。(Kは)難しい漢字にもすごく詳しかった。」
※90年代は教育関係の文献でも「知恵遅れ」という用語が一般的に使われていた
以下に小山田圭吾氏による経緯説明文のK(沢田)さんに関する記述を引用する。
"『QUICK JAPAN (1995年8月号)』の記事では、知的障がいを持つ生徒についての話が何度か出てきます。報道やSNS等では、私がその生徒に対し、「障がいがあることを理由に陰惨な暴力行為を長年に渡って続けた」ということになっていますが、そのような事実はありません。
しかし、誌面にも記述がある通り、小学生の頃、転校生としてやってきた彼に対し、子どもの頃の自分やクラスメイトは、彼に障がいがあるということすら理解できておらず、それ故に遠慮のない好奇心をぶつけていたと思います。
今にして思えば、小学生時代に自分たちが行ってしまった、ダンボール箱の中で黒板消しの粉をかけるなどの行為は、日常の遊びという範疇を超えて、いじめ加害になっていたと認識しています。子どもの頃の自分の無自覚さや、雑誌でそのことを話した20代の自分の愚かさによって、彼や同じような体験を持つ方を傷付けてしまい、大変申し訳なく思っています。その彼とは中学ではほとんど接点がなく、高校に入り同じクラスになって再会してからは、会話をする機会も増え、手紙や年賀状のやり取りをするなど、自分にとっては友人の一人でした。小学生時代の自分が彼を傷付けたことは事実ですし、雑誌であのように軽率に語っている以上、それは自分の一方的な認識ではないのかと思われても仕方がありませんが、高校生時代の実体験としての彼との日常を思い返すと、友人という言い方以外は難しいというのが正直な気持ちです。”