コロナ禍2年目の学び

立命館大・松原洋子副学長「対面授業が再開されても学生が教室に戻らない理由」

2022.01.24

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中村 正史
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学生は意識的に選択している

――学生はキャンパスには来ているのに、教室には来ずに、別の場所でオンライン授業を視聴しているという話もいろんな大学で聞きます。

対面の授業をオンラインでも視聴できるハイブリッドで展開しているので、授業にはどこからでも入れます。学生が大学の中でオンライン授業を受けるのは想定内のことです。本来は持病があるなど対面授業のリスクがある人や、海外にいる留学生を想定していましたが、その運用は緩やかにしています。コロナのリスクへの配慮を広く取っていたので、そういうことが起き得ます。

コロナ禍でアルバイト先を自宅近くにしている学生は、大学に行くとアルバイトに行きにくいとか、1限目がZoomによるリアルタイムの授業で、2限目が対面授業だと、1限目は学内で受けるとか、学生はコロナ禍の変則的な授業形態の中で、自分の事情に合わせて適応しています。

立命館大学は感染状況によって、授業形態や入構制限などの活動レベルを決めています。昨年は4月にレベル2から3になって原則オンライン授業に、6月にレベル2に下がって対面とオンラインのハイブリッドになり、8月に再びレベル3に、11月からレベル1に下がって原則、対面授業になりました。学生にはシラバス(講義要項)を通じて、あらかじめ各活動レベルに対応した授業形態を知らせたうえで、状況に応じて切り替えています。

ウィズコロナで活動レベルの予測が難しい中で、学生たちは大学生活を続けるために、対面とオンラインのバランスを取っており、そのために起こっている現象だと思います。変則的な授業と自分のライフスタイルの折り合いをつける中で、学生が意識的に選んでいるのではないでしょうか。

――これからはどうなるでしょうか。

2022年度の春学期からは、ワクチン接種が進むなどコロナとの付き合い方が定着したことを受けて、オンライン授業はコロナへのリスクを理由にどうしても大学に来られない学生に限定し、運用する予定です。オンラインの方が都合がいいからというのとは切り分けます。現在は緊急避難的な状況の中で、ポストコロナを射程に入れた授業を設計しつつありますが、本格的なシフトはこれからです。リアルな学びのコミュニティーを保障するために、できるだけキャンパスに来てもらうようにして、キャンパスでの生活をしっかり提供したいと考えています。

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