冬のプレハブに雪が積もる。年末はアタシたちウマ娘にとっては日本最大のグランプリ、有マ記念のシーズンだ。しかし距離適性など様々な理由で有マに出られない強豪たちもいる。そんなウマ娘たちのもう一つの祭典が、今始まろうとしていた。
「ふー寒いッスねえ…もう始まってるッスか」「お帰りオルー！先食っとるで😄」「今日は授業ねえから気楽でいいよな」「はやく食べさせなさいよ！」「待つのですスイープ…鍋は火加減が肝要ですから」「おなかがすきましたあああああ！！！！！」「………………」「ブラストワンピース先輩のよだれが止まらない…！！」「お肉はこっちにちょうだいプイ」「ダメ！！！」「ブラワンちゃんそんなデカい声出せるんスね…」
今日は姉貴が言ったように授業は朝で終わりである。なぜなら今日は午後から香港G1デーで、４つものG1が開催されるからである。日本から遠征するウマ娘がいる年は、応援及びデータを参考にする意味もあって授業はなしとなる。アタシが挑んでつい最近帰ってきた凱旋門賞は日本時間で深夜なのでこれには当てはまらない。

香港G1は4つの距離部門に分かれている。うちスプリントとマイルは世界屈指の高速レースであり、日本のスプリンターとマイラーにとって高い目標だ。特にスプリントは未だ日本からの勝利者はたった一人しかいない。そうこうしているとテレビの画面が切り替わり、いよいよパドックが映し出された。そろそろレース開始だ。
香港ヴァーズ(なぜか姉貴とアタシに因縁がある気がする)はアスカクリチャン先輩が挑戦し、健闘したものの敗れた。さすがに現役ウマ娘同士、プレハブの面々の間ではレース展開の議論が飛び交う。アタシはそういうのはあまり詳しくないので、黙って鍋をつついている。目玉は次のレースだからだ。沙田芝1200m香港スプリント。出場するのは、今この場にいないプレハブに居着いたメンバーである。テレビに映し出される白と青の勝負服。赤みを帯びた鹿毛。堂々たる姿は悔しいが“龍王”の名にふさわしい。カレンの姐御のストーカー、ロードカナロア。唯一香港スプリントを勝利した日本のウマ娘だ。

「先輩かっこいいですねえええええ！！！！！！」「まあ優勝候補だしな」「よく締まっていますね。あれなら勝てますよ」「あんな大勢の前で堂々と振る舞えるなんて…すごいなあ」「相当仕上げとるな🤫」プレハブのみんなもおおむね同じ感想のようだ。走っていると本当にかっこいいのだアイツは。
「姐御はどう思うッスか？」さっきからあまり喋らない姐御に話を振る。姐御はカナロアと去年香港スプリントに挑み、その勝利を後ろから見届けてトゥインクル・シリーズを引退した。思うところはかなりあるのだろう。顔を上げた姐御はいつもより少しぎこちない笑顔で、言葉を選んで語る。
「カナロアちゃんは、すごい子なの。私が最初は先を走ってたけれど、すぐ追い抜かれちゃった。だからカレンにできるのは、あの子を信じることだけなの」真摯な姐御の言葉にプレハブが静まり返る。姐御も普段はカワイイで隠しているがかなり複雑な思いがあるようだ。「おっ、始まるぞ」姉貴の一言でようやく雰囲気が弛緩し、全員がテレビに向き直る。ゲート・イン…スタート。

いいスタートを決めて前目中段につける。何度か見たアイツの勝ち筋そのまま。そのまま最終直線に入ると前はがら空きだ。加速する。周りとは次元の違うスピードで、香港の芝を龍が飛ぶ。黄金の龍が飛び交う「領域」がテレビ越しにも感じられた。もはや誰も追いつけない。5バ身もの差をつけてロードカナロアは優勝した。
「…やりましたああああああああああ！！！！！！！！！」「すごい先輩！すごいい！！」「すごいプイ！私も一緒に走りたいプイー！！」「後方差しが一番と信じてはいますが…これはちょっと凄いですね。よく頑張りました！」「素晴らしいです！さすが同志カナロア」
カレンの姐御を見ると…泣いていた。恥も外聞もなく、ぐずぐずと泣いていた。
「やっだねかなろあぁ…ぐすっ…すごいよ…かっごいい…」かく言うアタシもメチャクチャ感動し、姉貴とトレーナーと手を合わせて大騒ぎしていた。「すげえ勝ちやがった！！なんだあの着差バケモンか！？」「やったッスよカナロアあああ！！！」「やっぱめっちゃ強いわあの子🤩えげつないわ～！」

学園中が同じように沸いていたことは、その後一週間以上にわたってカナロアの大勝利と、それに伴う自分たちのバ鹿騒ぎが話題を占領したことからもわかる。しばらく鍋に箸をつけるのも忘れ大いに盛り上がったあと、アタシは一つ咳払いをした。
「それで…なんでいるんスか？ジャスタウェイ」「あっ気付きました？」「気付くッスよ！ぬるっと入り込むのやめろッス！！」「まあええやんオル！よく来とる子やしな😁鍋食うか？」「ありがとうございます」
カナロアは(今言うのもなんだけど)見た目も厚かましく、また実際に厚かましいタイプだ。だがこいつは謙虚で真面目そうな見た目のくせにやたら面の皮が厚い。かといって気にしないトレーナーもトレーナーだ。…まあそういうとこが好きなんだけれど。
「ジャスタはゴルシのやつと一緒にいりゃいいじゃないッスか」「我が友はアイソン彗星に行くといってケネディ宇宙センターに向かっているんですよ」「何て？」「なので結構暇してるんです。秋天が終わって次走は来年、有マに行くわけでもないので」「だからってここに来なくても…」「ところで」ああ、こいつは本当に人の話を聞かないヤツだ。

「さっきハクサンムーンがテレビに映ってましたよ」「「「！？」」」ジャスタの言う通り、沙田レース場の観客席に見覚えのあるウマ娘が映っている。一目でそうわかったのは、たった今表彰台にのぼって写真撮影に応じるカナロアの視線が、明らかにチラチラと彼女の方向に向けられているからだ。ハクサンムーンはいつもと違い微動だにせず、カナロアの方向を見つめている。やがてインタビューが終わりカナロアが引き上げると、同期したようにハクサンも観客席を後にし、二人はカメラの視界から消えた。
一連の映像は、未だ例の疑惑がくすぶるウチらプレハブの面々にとっては、少々以上に生々しいものを残した。あの時話をロクに聞いていなかったトレーナーだけが、それがどうかしたのかという顔🤔をしている。まあ、トレーナーにはこういう話は似合わない。アタシはカレンの姐御の方を振り返った。その顔は…哀しみとも喪失感ともつかない、とても言葉では表せないような顔だった。その表情に、その瞳に心底冷たいものを感じなかったといえば、嘘になる

夜になり、プレハブの面々も三々五々帰っていく。鍋をスポンジで洗っていると、トレーナーがひょっこり顔を出した。自分が言えたことではないが、アタシの有馬の準備とかしなくてもいいのだろうか。
「なあオル～」「何スか」「カナロアちゃん凄かったやろ？😍ようここ来るし帰ってきたらまた来といてー、って俺が言っとったって言うといてくれへんか😁」「何スかそれkmi
ッスね」「キツイな～😩まあ頼むわ！オルもちょっとねぎらったったらええねん😃」…相変わらずkmi笑顔でこっちに押しつけてくる。アタシは紅い頬をマスクで隠しながらスマホを開いた。
といってもアタシがアイツの連絡先なんて持って…いた。スマホの電話帳の奥底に、一度も使ったことのない番号があった。そういやアイツと電話で話すなんて初めてだ…アタシは少しドキドキしながらコールした。

呼び出し音を聞きながら待つうちに、アタシの脳裏になにかしらのイメージが広がった。ハクサンムーンがいつのまにかカナロアを追って香港に行ったのは間違いない。では何をしているのか…そういえばカナロアのやつはもうホテルに引き上げているだろう。凱旋門賞に行ったときもそうだった。国際G1の場合、参加したウマ娘及び関係者は全員最上級のゲストとして扱われ、二週間ほどホテルに滞在し観光なども自由である。もちろんプライバシーにも配慮されている…そこでアタシに良からぬ連想が働いた。カナロアがハクサンをホテルに連れ込んでいる可能性はないだろうか。アタシはすぐ連想を打ち消す。ジャスタじゃあるまいし、ただの妄想だ。いくらなんでもあのカナロアがハクサンとそんなことを…回線が繋がった。
「もしもし、オルフェーヴルッス…もしもし？」
『……はぁ、はぁ…もしもし』息が荒い。
「……優勝おめでとうッス」
『ああ…ありがとう…はあっ…珍しいね、僕に電話なんてんんっ！？』突然声が乱れる。
「どうしたんスか！？」ぬちぬちという音がかすかに聞こえる気がする。

『はあっ、はあっ、大丈夫だよっオルフェ。んぐううっ！ひっ！』それは…嬌声と言うほかなかった。
「…………トレーナーがよろしくって言ってたっス。また…来てくれって」声を絞り出すしかなかった。
『あり…がとう…それじゃあ、バイバイ…』電話が切れた。
アタシはスマホを取り落とした。ガダンッ！という音に身体がビクつく。しかしアタシの身体は高速で脈打っていた。身じろぎもせず、アタシはいつまでもそこに立ち尽くしていた。
…とりあえず、このことは秘密にしておくことにした。でなければ…少なくともカレンの姐御がどんな顔をするか。どんな顔であれ、アタシはそれを見たくはなかった。

「あり…がとう…それじゃあ、バイバイ…んひゃああっ！？あひっ♥」通話停止ボタンを押すが早いが、喘ぎ声を漏らしながらカナロアはその場でうずくまった。膝をついて舐めていたハクサンが顔を上げる。顔には妖艶な笑みをたたえ、舌はたらりと垂れる粘液で光っている。
「ムーンっ！！」「あっ♥」カナロアががばっと起き上がり、その勢いでハクサンを押し倒す。ハクサンは抵抗一つせず、真っ赤な顔をしてカナロアを惚れ惚れと見つめている。
「オルフェにバレたらどうするつもりだよ！本当に悪い子だ…」
「それで…龍王様は悪い月の落とし子に、どんなお仕置きをしてくださるのですか♥」
「…一生僕の側にいること。もう二度と空には還してあげない！」そう言うとカナロアは激しく口づけし、舌をねじ込む。しばらく絡まりあった後、口が離れる。
「君に約束した通り、勝ったよ。…結婚しよう♥」
「…はい♥」
二つの影は再び一つになり、その夜龍は月を喰らった。

二人が帰国したのは、それから一ヶ月後のことだった。

ウワ

こいつら新婚旅行したんだ！

NTRじゃないかー！！

カレンチャンはどうおもう？

月を周回ったか…

でも普段そっけない態度でカナロアを袖にしてるカレンチャンがどうこう言える話でもないですよね？

カ゛レ゛ン゛チ゛ャ゛ン゛が゛か゛わ゛い゛そ゛う゛だ゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛！゛！゛！゛！゛！゛！゛！゛！゛

ウ、ウワーッ！

あと一本カナハクの残弾はありますが自分の幻覚デザイン前提なので迷ってます
あとえっちな描写がどこまで許されるのか…

怪文書も絵も自給自足してる…

カレンチャンの脳が破壊されてしまうー！

幻覚は幻覚だから自分で見えてるもの書けばええんや

カレンチャンがいたたまれなくなってカレカナを書いてしまいそうな勢いです…

自分の物だと思っていた物がすでに他人に奪われていたのいいよね

>カレンチャンがいたたまれなくなってカレカナを書いてしまいそうな勢いです…
カレカナもいいですね…
是非お願いします

やめろこんなことー！

故人的には自分にいつも着いてきてくれてた弟みたいな子が幸せになった喜びと自分の手を離れてしまった寂しさのせめぎあいで苦しむカレンチャンも見てみたいとおも

>カレンチャンをかわいそうな目に遭わせたいわけではないです
「」
うそをつけっ

>故人的には自分にいつも着いてきてくれてた弟みたいな子が幸せになった喜びと自分の手を離れてしまった寂しさのせめぎあいで苦しむカレンチャンも見てみたいとおも
😷死んでるっス…
🐴死んでますね…

>カレンチャンをかわいそうな目に遭わせたいわけではないです
🐲やめろーっこんな

まあ正直カレンにハクサンを泥棒猫とか言う権利有るかと言われたら
うん…

ウワッ…ウッ！うぅ…

濡れ場のシーンが…良いですね…いい

カナロアとハクサンの産駒っていましたっけ？

🐴カレンチャンさんを悲しませるようなことがあれば同志といえど容赦はしませんよ

幻覚のカナロアを見る目が変わってしまう…
なんというかﾑｸｰしてしまう

改行が欲しい
よみづらい！

>カナロアとハクサンの産駒っていましたっけ？
目を覚まして下さい！

>改行が欲しい
>よみづらい！
申し訳ない…
一レスごとの文字制限ギリギリまで突っ込んでるので改行制限にひっかからないように警戒しすぎましたね

BL(Boba Love)いいよね

ムーンを10回マワしたカナロアが悪いよなぁ

>一レスごとの文字制限ギリギリまで突っ込んでるので改行制限にひっかからないように警戒しすぎましたね
何レスにも
わければ
ええ！

書いてる文章は素晴らしいです

こう…絵「」が書いた幻覚を自分でエッチに書いてるの凄く興奮する

ハクサンを十回もマワしまくった挙げ句後ろから突きまくった龍王が悪い
そりゃ誰だって腰砕けのメロメロになる