『おかえりモネ』東京編が過去の朝ドラと決定的に違うコト 「傷ついた人」に寄り添う脚本の温かさとは

2021年5月から放送中のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』。作中には、愛する人との別離をきっかけに深く傷つき、依存症を抱えたという設定の人物も登場します。「弱さ」への向き合い方を本作はどのように描いているのか。フリーライターの苫とり子さんがじっくり解説します。

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過去の朝ドラでも描かれた「弱い人」

 依存症はコントロール障害であり、本人の意思とは無関係に「やめたくてもやめられない」状態になっていきます。

『おかえりモネ』の新次も、アルコールにのめり込んでいくきっかけは“愛する人との別離”でした。実際に身近な人の死が引き金となり、依存症になってしまう人もいます。苦しい現実から逃れるため、心の寂しさを埋めるため、お酒などが手放せなくなってしまうのです。

 これまでも朝ドラでは『スカーレット』(2019年9月~2020年3月)のヒロイン・喜美子の父である常治(北村一輝さん)や、『おちょやん』(2020年11月~2021年5月)のヒロイン・千代の父であるテルヲ(トータス松本さん)など、アルコールやギャンブル依存症とみられるキャラクターが登場してきました。

 ただその中でも『おかえりモネ』が特異なのは、依存症者の「やめたくてもやめられない」状態とそこに至るまでの経緯や根本的な苦しみにも焦点を当て、丁寧に、慎重に描いた点にあります。

 朝ドラに限らず、これまでの映像作品で依存症患者は「意志の弱いダメな人物」として描かれることが往々にしてありました。

苦しみを抱え、思い悩む人のイメージ(画像:写真AC)

『おちょやん』を例に挙げると、テルヲは新次と同じく妻との別離(死)がひとつのきっかけでアルコールやギャンブルにのめり込んでいったという描写がわずかながらにあったにもかかわらず、インターネット上では“朝ドラ史上最低の父”とのレッテルを貼られました。

 これは、そんな父に生涯振り回された千代の苦悩をクローズアップしたからでしょう。テルヲは結局、留置場の中でたったひとり絶命するという壮絶な最期を迎えました。

「本人の意志が弱いから」ではない

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