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ついに涙と感動の最終話となりました.そこで,いつもとはスタイルを変えて,多江さん&智花ちゃんを中心とした最終話ダイジェストを作ってみました.ちなみに,これまでのストーリーは下記リンクから断片的にわかる……かも.(^_^;
木村多江・雨と夢のあとに[1,2話]
[3,(4),5話]
[6,7話]
[8,9話]
智花ちゃんが,前回成仏した(と思われた)多江さんを回想するシーンからスタート.絵本作家だった多江さんが遺した切り絵がそのままオープニングタイトルに.第7話で切っていた紙はこの切り絵だったのでしょうか.
正直なところ,多江さんは今回は回想シーンぐらいにしか出てこないだろうと思っていましたが,そうではありませんでした.今になって考えてみれば必ず登場するはずだと気付くのですが,自分の想像力の無さが情けない.
父が既に死んでおり,目の前にいるのは父の幽霊だと気付いてしまっている智花ちゃん.一方,自分の死体が遭難事故現場で発見されたため,自分の死が明らかになるのは時間の問題だとわかっている父親.別れが近いことを悟っている二人は,互いに胸の内を吐き出すことができない状態.それを口にしてしまえばそこで全てが終わりそうで,二人の間には哀しい緊張感が漂っています.
ある朝,朝食中にかかってきた電話.外務省海外邦人安全課からの遺体身元確認要請でしたが,「うちは違います」と電話を切ってしまう智花ちゃん.何の電話かと問う父親に,間違い電話だったと嘘を答えます.
朝食後,突然「今日,遊園地に行って観覧車に乗ろう」と言い出す智花ちゃん.学校はどうするんだと問われ,「サボる」と言い出します.父親は,「ダメだよ.それに作曲の仕事で忙しいから」と言いますが,智花ちゃんは「じゃあ,曲ができたら遊園地に行くって約束して」と食い下がります.
外務省からの電話でいよいよ父の死が公になる日が近づいたと感じ,残された時間を可能な限り父と共に過ごしたいと思ったのでしょうか,想い出の遊園地に行きたがる智花ちゃん.改めて見返してみると,学校を「サボる」と言う智花ちゃんの一言があまりにもいじらしく健気で,これだけで涙腺が緩みます.(^_^;
曲の完成後に遊園地に行く約束をしようと智花ちゃんが差し出した小指に,父親は触れようとしません.もちろん,智花ちゃんの生命力を奪ってしまうことを恐れてですが,このときの智花ちゃんの表情が切ないです.
その晩,実家の祖父母から父親へ電話があり,「外務省からの要請で,遺体身元確認のため事故現場へ飛ぶことになった.早ければ明日中には身元確認結果がニュースで流れるだろうから,その前におまえ自身の言葉で娘に真実を話せ」との知らせが.いよいよタイムリミットが近づいたことを知り,焦る父親.
電話の後,「お婆ちゃん,何だって?」と問う智花ちゃんに,父親は「今度いつ遊びにくるのかだって」と嘘を答えます.朝の電話とは逆のパターン.
電話がかかってくるたびに父娘の間に走る緊張感がまた切ない……
翌朝,今度は父親が「遊園地に行って観覧車に乗ろう,話したいこともあるし」と言い出します.父親の態度から「話」の内容を察知した智花ちゃんは,「今日は学校へ行く.話は帰ってから聞くから」と言って出かけます.
残された時間が少なくなり,「話」を切り出そうと焦る父親.一方,「話」を聞く時をなるべく先に延ばしたいのか,昨日行きたいと言っていた遊園地に今日は行かないと言う智花ちゃん.第9話で多江さんが言ったように,「幽霊が幽霊であることを知られたら,もうそのままではいられない」のです.智花ちゃんにとって,父から「話」を聞かされたときが,父との永遠の別れのときなんですね.
そのことがわかっているので,可能な限り「父の死に気付いてないフリ」をし続けたい.父と一緒に居たいけど父の「話」は聞きたくない.昨日朝からこの日の朝にかけて,智花ちゃんの表情,しぐさ,言葉の全てに切なさがにじみ出ていて,涙を誘います.
学校に行く途中,実母・杏子さん宅に連れて行かれた智花ちゃん.智花ちゃんの父親の遺体が発見されたという情報をいち早く得た杏子さんは,今も父親と一緒に暮らしていると主張する智花ちゃんが心を病んで夢幻を見ているのではないかと疑います.
杏子さんが父親の死について話し出そうとしたとき,智花ちゃんは耳をふさいで半狂乱状態で杏子さんを拒絶,絶叫して気を失ってしまいました.
父親以外から「話」を聞かされることに対して,気絶するほど激しい拒否反応を示した智花ちゃんが可哀相でなりません.(T_T)
気を失った智花ちゃんが杏子さん宅で介抱されているそのとき,ついに父親の遺体確認のニュースが流れました.しかし,智花ちゃんはまだこのニュースに気付いていません.
やがて,父親の元へ帰ろうとする智花ちゃんに対して,杏子さんは「父親が帰ってきたことも,父親と暮らしたことも,全部夢だったんじゃないの?」と問いかけます.
「夢じゃありません,絶対に.お父さんは帰ってきました.私と一緒に暮らしたんです.二人で暮らして,同じものを見て,同じものを聞いてきました.間違いなく全部本当にあったことなんです」
そして,父親の元へ帰ろうとする智花ちゃんを杏子さんが強引に引き止めようとしたとき,突如強風が吹き抜け,杏子さんは何か強い力に弾き飛ばされてしまいます.そのとき,智花ちゃんが見たものは……
なんと,成仏したと思われていた多江さんが智花ちゃんを助けに現れたのです.「行きなさい」と智花ちゃんに優しく語りかける多江さん.
テーマ曲「雨と夢のあとに」のイントロが流れ始めると同時に,逆光の中に多江さんが姿を現したときには,思わず声を上げてしまいました.このタイミングで,この場面で,こんなふうに多江さん再登場とは.これにはやられました.智花ちゃんを助けてくれる優しい多江さん,格好良すぎ&感動させすぎです.ヤラレタ……完全にヤラレタ……
公式サイトのBBSなどを見ると,ここで涙腺が決壊し,以降,終わりまで涙が乾くことはなかったという人も少なくないようです.鮮烈な印象を残すシーンです.
多江さんに微笑み,駆け出す智花ちゃん.父親の元へ帰ろうと連絡を取りますが,このとき,既に自宅前はマスコミが詰め掛けて騒然としていました.そこで,想い出の遊園地の観覧車の前で落ち合おうということに.
智花ちゃんの父親が遊園地に着いたとき,そこには先回りした多江さんが待っていました.成仏していなかったのかと驚く智花ちゃんの父親に,あなた達父娘のことが心残りになって……と語る多江さん.
多江さんは,智花ちゃんに真実を話す前に杏子さんと話の決着を着けておくように,智花ちゃんの父親を促します.杏子さんには幽霊である自分の姿が見えないから話のしようがないと困惑する智花ちゃんの父親.しかし,その手を多江さんが握ると,光に包まれて多江さんの姿が消えると共に,父親の姿が人間にも見えるようになります.
多江さんが手を握ることで幽霊の姿が人間に見えるようになるというのは,第9話の記念写真撮影のときと同じような現象ですね.やはり多江さんは,幽霊の姿を一般の人間に見えるようにする特殊な霊力を持った霊のようです.ただ,第9話では握った手を通じて「霊力」を送っていたのに対して,今回は手を通じて多江さん自体が智花ちゃんの父親の中に入り込み,彼を助けたように思えました.
智花ちゃんの父親は,やがて追ってきた杏子さんに全てを話し,今後智花ちゃんがどこで暮らすかは智花ちゃん自身に決めさせるということで話はまとまります.
智花ちゃんを取り戻すためには裁判をも辞さずと息巻いていた割には,杏子さんあっさりと納得してしまいましたね.かつて愛した相手が,今まで自分を拒絶していた壁を取り払って真摯に話してくれたこと,自分を智花ちゃんの実母として認めてくれたことで心のわだかまりが解けたのでしょうか.(蛇足ですが,おそらく二人の和解後は,多江さんが「霊力」を止めても,杏子さんは智花ちゃんの父親の姿が見えただろうと思います)
ようやく観覧車の前で父親と落ち合った智花ちゃん.
ふと思うのですが,最終的に智花ちゃんが父親の「話」を聞く覚悟を決めたのはいつなのでしょう.朝,自宅を出るときはまだ迷いがあったような気がします.多江さんに助けられて杏子さん宅を抜け出した時か,観覧車に二人で乗る時か.やはり前者かなぁ.多江さんの「行きなさい」が智花ちゃんの背中を押したんでしょうね.
観覧車のゴンドラの中での父娘最後の語らい.現在父親が作曲している曲のタイトルが「永遠の雨」だと聞いて,「雨って私のこと? ありがと.帰ったら聴かせて」と微笑む智花ちゃん(智花ちゃんの役名:桜井雨なので).
「帰ったら聴かせて」が泣かせます.智花ちゃんはもう「帰ったら……」が有り得ないことはわかっているはずなのです.
やがて,父親が思いつめた様子で語り始めたとき,覚悟はしていたけど聞きたくなかった父親の「話」が始まったことを悟り,悲しい表情で視線を落とす智花ちゃん.
「俺は……もう死んでいるんだ」
「知ってたよ……とっくの昔に知ってたよ……」
これ以降,智花ちゃんの表情・台詞全てが涙を誘います.(T_T)
「でもね,そんなことは私にはどうでもよかった.だって,お父さんはお父さんじゃない.こうやって話もできるし,手だって触れるし……」
そう言って父親の手に触れた智花ちゃんの手を,父親は優しく離させます.
「俺が触ると,お前は生命力を奪われるんだ.死んでしまうんだ」
「だったら,触らなければいいの? そしたら,二人で暮らせて行ける?」
「俺だってこのまま暮らして行きたい.だけど,お前のためには……」
父に触れた手を元に戻されたときの表情が……(TAT)
「お前のためには……」
「私のためには……,逝かなくちゃいけないんだね.」
「私,独りになっちゃうんだね……」
智花ちゃんの潤んだ瞳から大粒の落涙.そんな智花ちゃんに,父親は「お前は独りじゃない.親しい知人や祖父母たちみんながお前を放っておくと思うか.お前は大丈夫だ.みんながいるから.みんながお前を守ってくれてるから」と語りかけます.
この一連のシーンの表情・涙……この黒川智花という子はいったいどうしてこんな演技ができるのでしょう.弱冠15歳(1989年8月1日生)の可愛らしい少女なのですが.郡司ちゃんと共演した「3年B組金八先生」出演時にも最も目立っていた女生徒の一人でしたが,このドラマの主演を務めたことでさらなる成長を遂げたようです.凄い子に出会ってしまったかもしれない.
父親と智花ちゃんの話も一段落したとき,多江さんが再び姿を現します.
ここで,智花ちゃんは多江さんに一つお願いをします.
「お父さんと一緒に逝ってあげて.独りじゃ可哀相だから……」
多江さんが頷くのを見て,「良かったね,お父さん」と微笑む智花ちゃん.
嗚呼,この娘はこの期に及んでなお,独り残される自分のことよりも,成仏する父のことを心配するのです.(T_T)
「何だか,私達,家族みたいだね」
(TAT).血はつながっていなくとも,その絆は強く温かく……
「ありがとう,暁子さん」(多江さんの役名:小柳暁子なので)
「ありがとう,お父さん」
感謝の,そして別れの言葉.父と娘,最後の抱擁.
そういえば,前回,多江さんが成仏したかに見えたとき,多江さんは智花ちゃんに「ありがとう」と感謝とお別れの言葉を伝えました.が,智花ちゃんは泣くばかりで多江さんにまだ何も伝えていませんでした.今思えば,多江さんがそのまま成仏できるはずがありませんし,この物語がそのままで終わるはずもありません.だから,智花ちゃんが「ありがとう」を言うためにも,多江さんが最終話に登場しないわけは無かったのだと,ここで思いました.
そんな二人を見守る多江さんも涙.そして,二人を包むように抱擁します.
夕日に照らされた観覧車のゴンドラが頂点に達しようとするとき,その中でしっかりと抱き合っている3人.そのゴンドラが頂点を過ぎたときには,智花ちゃんが独り残されているだけでした.
想い出の観覧車の,天国に一番近いところで父親と多江さんは成仏したんですね.二人の成仏の瞬間は敢えて映像化しない演出がまたいい.
涙に濡れている智花ちゃんですが,その顔には微笑が湛えられています.そしてもう一度「ありがとう,お父さん」と.
第9話でしたか,多江さんが言ってましたね.「一番大切な人の最後の記憶が泣き顔だったら悲しい」って.旅立つ父親と多江さんを悲しませないための,二人に贈る「ありがとう,私は大丈夫だよ」という笑顔なのです.
数年後,智花ちゃんは長野の祖父母(やはり血はつながっていませんが)のところで暮らすことを選んだのですね.元気に農作業を手伝う智花ちゃん. 右画像の智花ちゃんが首にかけているのは,多江さんが愛用していたネックレスです.
智花ちゃんが父方の祖父母の元へ行くのは予想通りといったところですが,予想外なのが智花ちゃんの髪の毛です(笑).しかしまぁ,バッサリ切っちゃったもんですねぇ.なんとなくカツラっぽい感じですが.
「お父さんと過ごした最後の二ヶ月は,私の大事な宝物.あの時間は夢なんかじゃなかった.お父さんは死んでも私を守ってくれた.きっと,今でも遠くから見てくれているはず.だから,私は寂しくなんかない.たとえ会えなくても,私はお父さんを忘れない.大好きなお父さんを.世界でたった一人の,私のお父さんを.」
Fin.
★★★★★感動.いいもの見させていただきました.
普通の(?)ドラマにここまでハマったのも,こんなにウルウル泣いた(^_^;)のも生まれて初めてでした.ただ多江さんと智花ちゃんが出るからチェックしようという,それだけの動機で見始めたわけですが,たちまち物語そのものに引き込まれてしまいました.悲しくて切ないけど優しい温もりがある,見終わった後に流れている涙はとても温かい,そんな素敵な物語でした.
キャスト・ストーリー(脚本)・音楽・演出がみな素晴らしく,今となってみればこれ以上ないベストな布陣でした.これらの要素の相乗効果によって紡ぎ出される物語が,そのレベルの高さを保ったまま美しく完結できたことも幸福だったと思います.また,ストーリーを暗示するかのようにオープニング映像を頻繁に変更するなど,細かいところに凝っている点にも関係者の熱意を感じました.
嬉しいことに,「雨と夢のあとに」DVDがこの(2005年の)秋にリリースされるそうです.もちろん絶対購入です.
最後に,素晴らしい作品を届けてくれた木村多江様,黒川智花嬢はじめ,「雨と夢のあとに」関係者のみなさんに感謝します.
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