やはり俺が吸血鬼なのは間違っている。   作:角刈りツインテール

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第七話です!回想が終わって現在に戻ります。

それと、ついにお気に入り登録者数が80人になりました!公開一週間以内で今までメインで書いてた『過負荷の刃』を越すって何だよ…いや、やっぱり俺ガイルと物語シリーズはどちらも愛されてるんだなぁって感じましたね。流石に毎日投稿は途切れることがあると思いますが、これからも頑張っていきたいと思いますので応援していただけると嬉しいです!


第七話 ともあれ、休日なのに休めないのは何かおかしい。

「…それは巫山戯(ふざけ)ているわけではないのよね?」

雪ノ下雪乃は疑いの目をこちらに向けてきた。まぁそりゃそうなるわな。現実は小説より奇なり、とはよく聞く話だが実際に目の前のやつがいきなり『俺は吸血鬼だッ!』なんて言い出せば俺だって正気を疑うし半信もしないだろう。全疑だ。俺が材木座を信用していないのがいい証拠である。

だが彼女の場合は違う。目の前で俺の腕が燃えていて、それでいてその焼け跡がすでに修復されているときた。それは十分証拠になり得るもので、雪ノ下は目の前の現象、そして俺の話、そして常識という3つのデータを踏まえた上で半信半疑でいるようだった。

だから俺はその後押しをする。いつにもなく真っ直ぐに雪ノ下の目をまっすぐに見て「事実だ」と答える。

「「……………………。」」

互いにしばらく見つめ合い、そして根気負けした雪ノ下が「信じるわ」と言いながら視線を逸らした。それがきっかけになったのだろうか、ダムが決壊したかのように先程まで押し黙っていた由比ヶ浜が話し始める。

 

「…ヒッキーはね、その後キスショットさんに『3人の吸血鬼ハンターに手足を奪われたから回収しに行け』って言われたの…でも、ヒッキーが嫌だって…」と由比ヶ浜が小さな声で紡ぐ。

いや、なんで俺が駄々をこねてるみたいな言い方してんの?割とかなり普通な思考だと思うんだけど…あとなんでサン付けなんだろう。

 

「いや、だって怖いし…別に吸血鬼のままでも大丈夫だし」俺はそう答える。

「比企谷くん、それは———『逃げ』じゃないのかしら?」雪ノ下は、自分が嫌いな言葉を口にした。

「そうか?………まぁ、そうだな」

以前、雪ノ下と部室で初めて話した時はこの質問に対してもっとうまく返せていたのだが、今回に関してはぐうの根も出ない。はて、あの時俺はなんて言ったのだったか…確か『自分を変えようとすることだって逃げだ。どうして今の自分を肯定してやれないんだ』といった内容の回答をしたはずだ。

 

俺は今、心の底から理解している。

これが『逃げ』だということを。

 

「ヒッキー、本当に…戻らなくても、いいの?」由比ヶ浜のその言葉に、俺は少し考える。そして俺は繋げる。「…いや」

「戻りたい」想定していたより声が大きくなったので自分でも驚いた。もちろん由比ヶ浜、雪ノ下も目を見開いている。

「戻りたい…けど。別に痛い思いをしてまで戻ろうとは到底思えない。ぼっちなのは慣れてるし、何ならその口実ができる今の方がむしろ気が楽だ」

それはひとつの本心。だがしかし、それが去勢であることは自分が一番よく分かっていた。何だろうか、この感情は。先ほどからぐらぐらと不安定な状態が続いている。今自分が口にしたセリフは嘘ではない———なのに、それが()()だとはどうしても思えなかった。

 

本物。

本物とは、一体何なのだろうか。

 

「あら、そう」雪ノ下は俺が考え事をしていたら突如立ち上がり、突き放すようなセリフを口にする。

「本人が戻らなくていいと思っているのなら私が無理にとやかく言える話ではないわ。奉仕部の管轄ではないもの」

「…ッ!ゆきのん、そんな…」

「だってそうでしょう?———ねぇ、比企谷くん」

ここで俺にバトンパスするのか…ほんと、容赦ねぇな。いつもそうだ。彼女には遠慮というものが存在しない。つまりは裏表がないと言うことで、故にぼっちな俺でも———いや、()()()()()楽に話せる。

「……あぁ」俺はため息を漏らすように言った。「雪ノ下の言う通りだ」

「だから由比ヶ浜、お前も———」

 

「だ———駄目だよそんなのッ!」

由比ヶ浜は叫んだ。あの時と同じように潤んだ瞳で俺を睨みながら。スカートを強く握って肩を震わせ、最大限の怒りを体で表現した。

「ゆ、由比ヶ浜…」

「おかしいよヒッキー…なんでなの…なんでそうやって他人の気持ちを考えないの!?ヒッキーが学校来なくなってからずっと!彩加ちゃんだって心配してるし材木座君だって!ゆきのんも私も!なのに!どうして!」言葉は止まらない。それを俺は黙って聞く。というよりも、気迫に押されてしまっていたという方が正しい。

「由比ヶ浜さん———」雪ノ下が由比ヶ浜の方を抱く。

「あぁ…もう….何でなのかなぁ…?」

ぽたりと由比ヶ浜のスカートに涙が落ちた。彼女の嗚咽は、心臓に刃物が刺さったかのように俺の胸を締めつける。

…あぁ、そうか。

俺が吸血鬼になってからのこの一週間、何かを考えていたのはきっと俺だけではなかったのだろう。彼女だってあの出来事の当事者で、俺を救えなかったことを後悔していたのだ。どうして、気がつかなかったのだろうか。人間観察は俺の特技だったはずなのに。

そして、それと同時になんとなく思った。

『本物』はここで吸血鬼として、楽に生きていても見つからないんだろうな、と。

「…はぁ」

だから。だから俺は。

 

 

 

 

「ったく…(せわ)しないなお前らは。俺がいつ諦めるっつたよ」

俺は呆れた風を装ってはっきりと言い放った。

 

 

 

 

「ふぇ?———え、だって」さっきそう言ってたよね?涙目の由比ヶ浜が雪ノ下にそう尋ねる。

「えぇ、比企谷くんは戻りたいとは思えないと確かに言ったわ」雪ノ下も戸惑ったような口ぶりで言う。

そう、確かに俺は先程そう言った。つまりそのまま文面を読めば『諦め』の意思しか見えない———だがそれは()()()()()()()()という話で、今ここにいるのは———まぁ…うん、友達、だろうか。つまりは協力者だという話だ。

雪ノ下雪乃。

由比ヶ浜結衣。

座木材や小町や戸塚も、きっと手を貸してくれるだろう。何故なら彼らは優しいからだ。俺みたいな捻くれ者には到底想像がつかないような優しさを持ち合わせている。まぁ、リア充グループに手を借りることはないだろうが…。

「あぁ…そりゃ、諦めるだろうよ」

 

1度目は、入学式直前の事故についてのいざこざの中で。

2度目は一週間前、俺が吸血鬼になったとき。

そして3度目は———今。

 

俺が由比ヶ浜を泣かせたのはこれで3度目で、その全てにおいてこちらに非があった。てか最近俺にしか非がないような気もするけど…まぁとにかく、俺は人間に戻ることを諦めたりなんて、しない。

「———()()()()()()()」俺はいつもの(不思議と周囲には『性格の悪い笑顔』『悪魔の笑み』と囁かれているが)俺の中での最大限の笑みを浮かべた。

 

 

「だから、二つ目の頼みがある」俺は深く息を吸い込んだ。

 

 

「痛くない作戦を立ててくれ」

こうして、俺の脱・吸血鬼プロジェクトが始動した。

 

 

 

 

♦︎♦︎♦︎

 

さて、結論から言わせてもらおう。

「な、なんでだクソ野郎…それは人殺しだろうがよ…」

「話し合おうとか、そういうのはねぇのか…?」

「待て待て待て待て…嫌だ、まだ死にたくな」

 

「馬ッ鹿、やめ—————」

このプロジェクトの第一回目は大失敗となった。

 

♦︎♦︎♦︎

 




次回、ついに吸血鬼ハンター3人と対面。と言うことはあのおっさんも…?

完結後の番外短編(もしかしたら普通に続きになるかも?)では何を書いて欲しいですか?

  • 阿良々木との会話
  • 羽川との会話
  • 怪異にあった俺ガイルメンバーの話
  • 日常編
  • その他(感想にてお願いします)

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