知らなきゃマズい!出会い系サイトの法律知識|ストーカー規制法

別れたはずの交際相手が行く先々で待ち伏せしている、教えていないのに自分の居場所が知られている…。
恋愛感情のもつれや恨みなどから起こるストーカー行為等。
次第にエスカレートし、凶悪な犯罪に発展するおそれがあります。
現実問題、過去にもストーカー被害から事件に発展したものも少なくありません。

この記事では、ストーカー規制法について、平成29年(2017年)に改正施行された内容をもとにストーカー行為の線引きと実事例を紹介しています。

知らず知らずのうちにストーカー行為をしている可能性やされていることも…。
間違いを犯さないためにも、ぜひ概要だけでも参考にしてください。

- 目次 -

実際に事件になったストーカー被害事例

これまでにストーカー被害から事件に発展したおもな事例は、以下の通り。

  • 桶川ストーカー殺人事件(1999年)
  • 新橋ストーカー殺人事件(2009年)
  • 長崎ストーカー殺人事件(2011年)
  • 三鷹ストーカー殺人事件(2013年)
  • 市川ストーカー殺人事件(2013年)

以上のストーカー殺人事件を受ける形でストーカー規制法が施行・改定されています。

桶川ストーカー殺人事件(1999年)

平成11年10月26日に埼玉県桶川市で発生したストーカー殺人事件。
「ストーカー」という言葉とともにその異常な行為が日本中を震撼させた事件である。
現在の「ストーカー規制法」ができるきっかけとなったことでも知られる。
日本のストーカー事件史上最も有名なストーカー殺人事件。

新橋ストーカー殺人事件(2009年)

平成21年8月3日に発生した、祖母と孫が殺害されたストーカー殺人事件。
この事件の犯人は元交際相手などではなく、被害者が勤めていた「耳かき店」の客の一人であった。
店員と客というだけの関係に過ぎないにも関わらず、一方的に好意を抱いて起こした凄惨な殺人事件は、ストーカーの被害は誰にでも起こりうるものだと改めて痛感させられる事件だった。

長崎ストーカー殺人事件(2011年)

平成23年12月に発生したストーカー殺人事件。
元交際相手本人ではなく、その母と祖母が殺害された凄惨な事件です。
当時ストーカー規制法では届出る警察署が限定されていたことや、その警察署で届出の受理を送らせた警察が、実は慰安旅行に行っていたことなども発覚し物議を醸した事件。

逗子ストーカー殺人事件(2012年)

平成24年11月6日、神奈川県逗子市で発生したストーカー殺人事件。

今回の事件では殺害を予告するなどのメールを何度となく被害者に送信していたが、現行のストーカー規制法では断られたにもかかわらず繰り返される電話やFAXは「つきまとい行為」として明文で規定されているものの、メールは対象外となっていることから警察はスートーカー規制法の適応外と判断。

「メール」も対象として規定されていれば殺人を防げたとは言い切れないものの、同法の不備が問題となりました。

2013年のストーカー規制法の改正のきっかけとなった事件としても知られている。

小金井ストーカー殺人未遂事件(2016年)

平成28年5月21日、東京都小金井市で発生した殺人未遂事件。
芸能活動を行っていた当時20歳大学生の女性がファンを自称する27歳の男にストーカー行為を繰り返したのち、小金井市内のライブハウスにて、ナイフで20ヶ所以上刺され、重体に陥った事件。
2016年のストーカー規制法の改正のもととなった事件とされている。

ストーカー規制法とは?|2021年8月3度目の法改正で適用範囲拡大

悪質なストーカー行為は「ストーカー行為等の規制等に関する法律(通称:ストーカー規制法)」によって規制されます。
ストーカー規制法のおもな目的は以下の通り。

  • ストーカー行為を処罰する規制を明確化
  • 被害者に対する援助措置

ストーカ規制法の法改正のあらましは以下の通り。

  • 2000年:ストーカー規制法が成立
  • 2013年:法改正(電子メールを送り付ける行為をつきまといに追加)
  • 2016年:法改正(SNS上の嫌がらせ行為をつきまといに追加)
  • 2021年:法改正(GPS情報の無断取得、見張り他を規制対象に拡大)

これまでに2度の改正が行われていましたが、2021年にようやく3度目の法改正に至りました。
改正ストーカー規制法の概要について見ていきましょう。

改正ストーカー規制法の概要(2021年6月・8月:施行)

改正ストーカー規制法の概要の解説画像

ストーカー規制法は、これまでに2013年と2016年の二度、改正が実施されています。
法改正の背景には、従前の規制内容では新たに登場した電子メール・SNSなどによるつきまといなどに対応できなくなったという事情がありました。
また、残念ながら、ストーカーによる事件の発生を受けての法改正になり、法制度の在り方を問われることもありました。

改正ストーカー規制法の改正のポイントは以下の通り。

  • 実際にいる場所における見張り等
  • 拒まれたにもかかわらず連続して文書を送る行為
  • GPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得等

参考:ストーカー規制法改正案の概要

それぞれの項目について見ていきましょう。

改正ポイント1.:実際にいる場所における見張り等が規制対象に追加

従前のストーカー規制法では、自宅・勤務先・学校といった対象者が「通常いる場所」における見張り等の行為が規制対象でした。
新たに対象者が「実際にいる場所」における見張り等の行為もつきまとい等として規制の対象に追加されました。

実際にいる場所の具体例は、以下の通り。

  • 外出先で偶然立ち寄った店舗
  • 旅行先のホテルなど

今回の法改正によって、インターネットやSNSなどの情報を頼りに、対象者が訪れる予定の場所へと加害者が先回りして押しかけるといったケースにも、ストーカー規制法が適用されることになりました。

参考:駅で女性見張る、男を逮捕 改正ストーカー規制法を初適用―兵庫県警

改正ポイント2.:拒まれたにもかかわらず、連続して「文書を送る行為」も規制対象に追加

これまでの従来の規制法では、拒まれたにもかかわらず電話・FAX・電子メール・SNSやブログなどでメッセージを伝える行為が規制の対象でした。
しかし、これらに加えて、拒まれたにもかかわらず連続して『文書を送る行為』も規制対象に追加されました。

『文書を送る行為』は、ストーカー事案における典型的な行為でありながらも、これまでは「つきまとい等」として規制されていなかったため、一方的に好意を伝える手紙や対象の個人情報を記載した文書の送付・投函(とうかん)を処罰できませんでした。
文書とは、文字・記号で人の思想を表示したものを指すと解釈するのが一般的です。
ただし、今回の法改正では、以下の内容も規制の対象とされています。

  • 白紙や写真など
  • 空の封筒にGPS機器を入れる
  • 宅配便を送る

上記の内容でも対象者は不安に陥れるおそれがあるほか、転送を前提として空の封筒にGPS機器を入れて送付し住所を調べる、宅配便を送り受領通知を受けることで行動を把握するといったケースも想定されているため、非常に広い範囲で適用されると考えられます。

改正ポイント3.:GPS機器等を用いた位置情報の無承諾取得等も規制対象に追加

これまでの従来の規制法では、GPS機器等を用いたつきまとい等は想定されていませんでした。
しかし、今回の法改正では、GPS機器などを用いた位置情報の無承諾取得など、対象者の承諾なくGPS機器などの『位置情報記録・送信装置の位置情報を取得する行為』や、『これらの装置を取り付ける行為』規制対象に追加されました。

これにより、対象者の自動車にひそかにGPS機器を取り付けて、取り付けたGPS機器から位置情報を取得するといった行為は処罰の対象となります。
今回の改正では、主にGPS機器を想定しながらも、あえて『位置情報記録・送信装置』と表現しています。
これは、新たな技術の開発などによって規制対象外となる行為が登場する事態を回避するためです。

GPS機器などを用いた、位置情報の無承諾取得などの行為に関する改正は、令和3年8月26日に施行されました。

ストーカー規制法改正後の規制対象|従来の8類型に規制対象が追加・拡大

改正ストーカー規制法施行以降の規制対象の解説画像

改正ストーカー規制法では、これまでの従来規制法の8類型に加えて、新たに規制対象が拡大されました。
規制対象になる行為は以下の通り。

つきまとい等

  • つきまとい、待ち伏せ、現に所在する場所または通常所在するの付近においての見張り、うろつき、住居等に押し掛け
  • 監視していると告げる行為
  • 面会、交際などの要求
  • 乱暴な言動
  • 無言電話、連続した電話・文書・ファクシミリ・メール・SNSのメッセージ等
  • 汚物などの送付
  • 名誉を傷つける
  • 性的羞恥心の侵害

位置情報の無断取得等

  • 相手方の承諾を得ないで、GPS機器等により位置情報を取得
  • 相手方の承諾を得ないで、相手方の所持する物にGPS機器等を取り付ける等

※赤太文字部分が今回の法改正で範囲拡大、追加された規制対象となります。

これまでの法改正では、事件にや事例に基づいた法改正がなされてきました。
しかし、今回の法改正では、将来予見される事案を見越して、かなり広い適用範囲が設けられています。
これまでのストーカー規制法の法改正のたびに「法律の在り方」が問われる場面が多々見られました。
今回は、これまでの教訓を生かし、かなり広い範囲を見越していることが伺えます。

ストーカー規制法改正後の新設・追加規定(規制対象除く)

改正ストーカー規制法では、新たに規定された内容と追加改正された規定がそれぞれ定められています。
参考:ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律の概要

改正後の規定1.: 禁止命令等の制度の見直し(新設)

警察署長等は、被害者の申出に応じて、「つきまとい等」を繰り返している加害者に「ストーカー行為をやめなさい」と警告することができます(法4条)。

しかし、今回の改正では、公安委員会は、「警告」を経なくても、加害者の聴聞の必要はあるものの、被害者の申出により又は職権で、禁止命令等をすることができ(法5条1項)、さらに、緊急の必要がある場合には、聴聞又は弁明の機会を与えなくても(ただし、事後的な意見聴取は必要)、被害者の申出により、又は、被害者の身体の安全性が害される危険性がある場合には職権で、禁止命令等をすることができることになりました(同条3項4項)。

禁止命令等の有効期間は1年とされ(同条8項)、また、被害者の申出により又は職権で、1年ごとに聴聞を経て更新が可能となりました(同条9項10項)。
なお、仮の命令の制度は廃止されました(旧法6条)。

改正後の規定2.: ストーカー行為等に係る情報提供の禁止(新設)

ストーカー行為等をするおそれがある者であることを知りながら、その者に対し、被害者の氏名、住所等の情報(被害者情報)を提供することを禁止する規定が設けられました(法6条)。

2012年に発生した、逗子ストーカー殺人事件で探偵が個人情報の違法入手したことがきっかけとなったことが知られています。

改正後の規定3.:ストーカー行為等の被害者に対する措置等(新設、追加)

職務関係者による被害者の安全確保・秘密保持、職務関係者に対する研修・啓発、国・地方公共団体等による個人情報管理の措置に関する規定(法8条)が新設された。

避難のための民間施設における滞在支援、公的賃貸住宅への入居の配慮に関する規定(法9条)が追加された。

改正後の規定4.ストーカー行為等の防止等に資するための措置(新設)

加害者を更生させるための方法、被害者の健康回復の方法等について、調査研究の推進に関する規定(法10条)、国・地方公共団体が努めるべき措置として、実態把握、人材育成・資質向上、知識の普及・啓発、民間団体との連携協力・支援に関する規定(法11条)や財政上の措置等必要な措置に関する規定(法12条)が設けられました。

改正後の規定5.罰則の見直し(改正)

従来のストーカー規制法よりも罰則規定を見直し、厳罰化されました。

1.:罰則の引上げ

  • ストーカー行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に(法18条)
  • 禁止命令等に違反してストーカー行為をした者及び禁止命令等に違反してつきまとい等をすることによりストーカー行為をした者は、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金に(法19条)
  • 上記以外の禁止命令等に違反した者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に(法20条)

それぞれ処せられることになりました。

2.:ストーカー行為罪の非親告罪化

上記㈠のストーカー行為罪について、告訴がなくても公訴を提起することができることになり(法18条)、ストーカー行為罪を親告罪とする規定(旧法13条2項)が削除されました。

改正ストーカー規制法の動画による解説

動画による解説は以下の通りです。

動画では、体験者しか分からない恐怖や実体験を知ることができます。

改正ストーカー規制法のまとめ

三度目となる2021年の改正では、つきまとい等が適用される場所や方法が拡大されたほか、GPS機器などによる位置情報の無承諾取得が規制対象に追加されました。
今後は、改正に対応した幅広い摘発が積極的に推し進められ、事件化を未然に防ぐものと考えられます。

ストーカー行為を受けた被害者の多くは強い処罰感情を抱きやすく、捜査機関の対応も厳しくなるため、逮捕・刑罰を受ける危険は高いでしょう。
法改正に伴って、取り締まりが一層強化されるため、思いがけずストーカー行為の加害者として容疑をかけられてしまうトラブルも予想されます。
明日は我が身とならぬよう、充分にご注意くださいませ。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
また違う記事でお会いしましょう。

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