1月17日に招集された通常国会で、岸田首相は医療逼迫の回避に全力を尽くすと表明。先の臨時国会で先送りとなった文書通信交通滞在費の見直しや、中国の人権問題を念頭に置いた決議案の行方はどうなるのか。
BSフジLIVE「プライムニュース」では茂木敏充自民党幹事長を迎え、参院選の見通しを含めてうかがった。
オミクロン対応での病床確保は適正、感染増でも内閣支持率は上昇
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新美有加キャスター:
1月18日、1都12県が蔓延防止等重点措置の適用を申請し、適用の方針を決めました。期間は21日から2月13日までの3週間程度として調整。この方針について。
茂木敏充 自民党幹事長:
オミクロン株は、感染力が高いが重症化率は低いという特性が見えてきている。これに合った形の医療体制をどうするか。例えば、無症状・軽症者の方については在宅・療養施設で対応し、医療機関が重症者の方にきちんと対応できることが必要。第5波時の病床数を2割増強して現在は4万8000病床あり、適正に確保できていると思う。
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反町理キャスター:
医療人材や病床の確保、飲食店に営業時間の短縮をさせるための感染症法や新型コロナ特措法の改正、強制力強化の必要性については。
茂木敏充 自民党幹事長:
今後の検討課題と思うが、今やるべきは各自治体への国のバックアップ。今この法律を出すとなると、自治体への支援や様々な司令塔機能を担う人材が取られてしまう。
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反町理キャスター:
コロナと内閣支持率の関係について。菅内閣でも感染者数が増えると支持率が下がる状況がずっと続いてきた。しかし、岸田内閣で感染者数は増えても支持率が上がっている。
茂木敏充 自民党幹事長:
安倍政権も菅政権も試行錯誤した。結果として対策が遅れてしまうこともあった。だが2年の知見が蓄積され、岸田政権では早めの対策を打てる状況。同時に、注意は必要だが、国民の皆さんの中に過度な恐怖心がなくなっているのは確かだと思います。
反町理キャスター:
以前の政権では「朝令暮改」として怒られたものが、岸田政権では「柔軟性」だと褒められるのは何故でしょう。
茂木敏充 自民党幹事長:
総理は「より良い方法があれば、躊躇なく方針を改めて柔軟に対応する」と明言している。国民の声に謙虚に耳を傾けて、意地を張らずに素直に改める姿勢が皆さんから評価されているのでは。
派閥の領袖として…茂木氏「山頂の景色は見えている」
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新美有加キャスター:
茂木さんは2021年11月、自民党の平成研究会の会長に就任。派閥の領袖として初めて開いたパーティーで、麻生太郎副総裁が「なんとなく昔より明るくなられた」と発言。
茂木敏充 自民党幹事長:
ここ数年、本当に親しくご指導いただいたが、やっぱり麻生さんは明るく、人をひきつける。自分もそうならなくてはと勉強させていただいた。
反町理キャスター:
番組にお迎えする度、「次は何を目指しますか」と質問すると、必ず茂木さんは「目の前の山をちゃんと登って、頂上に行ったときにそこから見える景色で次を考える」とおっしゃる。派閥の領袖としてどんな景色が見えているんですか。
茂木敏充 自民党幹事長:
ベースキャンプはきちんとできた。天候の状態もよく見なければならないが、山頂の景色が見えるところまで来ていると思っています。
対中非難決議は、今の通常国会で成立できる
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新美有加キャスター:
自民党幹事長として初めての通常国会にどう臨むか。岸田総理は対中国外交について「主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求める」としています。
茂木敏充 自民党幹事長:
一方的な現状変更の試みの問題や経済、人権問題も含めて国際ルールにきちんと準拠してくださいと、しっかり言ってきた。2022年は日中国交正常化50周年だが、建設的・安定的な関係のために遠慮して何もしないということではない。
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新美有加キャスター:
新疆ウイグル自治区における人権侵害に対する対中非難決議は。高市早苗政調会長からは、(1月11日のプライムニュースで)先の臨時国会ではタイミングが悪く見送られ、今回は通常国会の頭にできるようにという話があった。
茂木敏充 自民党幹事長:
おそらくこの国会で成立できると思う。臨時国会のときは、他党で党内手続きが進んでいなかった。これはやはり全会一致でやりたいので、他党については調整を急いでもらうとしか言えない。
文通費の問題は数の力で進めてはならない。丁寧な合意を
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反町理キャスター:
文書通信交通滞在費(文通費)について。先の臨時国会では見直しポイント3つのうち、「日割り支給」以外の「使途の開示」や「残金の返還」のルールについて、与野党の合意ができなかった。1月13日の6党国対委員長会談で協議会の設置に合意。この問題の決着は。
茂木敏充 自民党幹事長:
まずは、他党の皆さんも問題となった2021年10月の支給分を返還すること。自民党は一番早く決めて返還の手続きに入っている。私も全部返した。その上で、少数政党も含めて各党会派で丁寧に合意を作ることが必要。
反町理キャスター:
予算の審議が終わらなければ進まない、といったことは。
茂木敏充 自民党幹事長:
そんなつもりはありません。各党の考えがある中で、現実的な解を見出すようにしたい。民主主義では最終的に多数決になる部分はあるが、選挙制度やこうした資金の問題は数の力でやってはいけないと思っている。各党が乗れるようなものに。
憲法改正では「緊急事態条項」「教育のあり方」が重要
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反町理キャスター:
憲法について。今国会における自民党の憲法に対する姿勢としては、改憲4項目にとことんこだわって週1回の憲法審査会に臨んでいく?
茂木敏充 自民党幹事長:
先の臨時国会でも、憲法審査会で議論ができ、前向きな勢いが生まれたことをまず歓迎したい。自民党としては4項目が重要という考えだが、各党が何を変えたらいいか、どこは変えるべきでないのかを主張していただくことが重要。
反町理キャスター:
自民党の4項目以外では、野党からは解散権の制限や、国会召集についての話なども出ている。
茂木敏充 自民党幹事長:
最終的には、国民が何を優先に取り組んでほしいか。私はやはりコロナを経験した中での緊急事態条項、そして少子化社会の中で、教育のあり方が極めて重要になってくると思います。
「新しい資本主義」では高度人材の育成が重要
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新美有加キャスター:
岸田政権が掲げる「新しい資本主義」について。施政方針演説で岸田首相は「成長と分配の両面から経済を動かし、好循環を生み出すことで持続可能な経済を作り上げる」と発言。茂木さん、鍵は何だとお考えでしょうか。
茂木敏充 自民党幹事長:
まず、資本主義は完璧ではありません。そして、時代の変化とともに変わっていかなければ。例えばIT産業だけでなく、それ以外のいろいろな業種・規模の企業から投資が生まれること。利益が出て消費者に還元され、消費が拡大し、マーケット拡大がさらなる投資を生むという好循環を作る。
反町理キャスター:
人口が減少する中、人材育成を強調する閣僚は多い。ただ、政府が主導して人材にお金を使いなさいというのは難しいように思うが。
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茂木敏充 自民党幹事長:
IT化に対応した人材育成もそうですし、非正規労働の方がスキルアップをすることによっていい仕事を選べる。人に付加価値が付くことにより賃上げが継続的に行われる、という状況を作っていくことが必要。これから3年間で、4000億円の人材投資のパッケージを作って実行に移す。
反町理キャスター:
その先に、高度人材が増えたときに日本の労働市場はどうなるか。流動性が高まって解雇も増えるが、転職も増えるという将来をイメージされますか。
茂木敏充 自民党幹事長:
アメリカのような流動性まではイメージしていません。だが、それぞれの人が選択できる流動性が生まれることは重要だと思います。
参院選、自公の選挙協力に課題はあるが調整を進めていく
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新美有加キャスター:
夏の参院選について。茂木さんは、「非改選を含め与党で過半数の議席を維持することが極めて重要」としています。改選71議席のうち58を取れば過半数が維持できる、つまり13議席減らしても大丈夫というのは目標として低いのでは。
茂木敏充 自民党幹事長:
これは目標というよりも、勝敗ラインとして与野党が一致している数字。もちろん自民党としては候補者全員が当選することを目標に戦っていく。今回すごく減らしてしまえば、3年後の改選時は大変になる。1議席でも多く取ることが政治の安定上は必要。
反町理キャスター:
自民党・公明党の選挙協力について。注目は兵庫選挙区。前回の参議院選挙では1位が維新、2位が公明で自民が推薦。3位が自民。次点の4位が立憲で、5位が共産。ここで立憲・共産が候補者を一本化すれば単純に得票数を足し算すると1位になり、公明を推薦しておきながら自民が4位に落ちてしまう。悩ましいところでは。
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茂木敏充 自民党幹事長:
選挙区と比例での協力があり、全体のパッケージの協力が生まれていく。遠藤利明選対委員長が努力を重ねてくれている。来週には5選挙区の県連を回り終わるので、そこから最終的な調整に。
反町理キャスター:
自民党が公明党を推薦する5選挙区。そこに兵庫は入るんですか。
茂木敏充 自民党幹事長:
入ります。
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反町理キャスター:
公明党の山口那津男代表は、兵庫も含めて自民側に推薦を求めない方向で調整、改選1人区を中心に自民候補への推薦見送りも検討と牽制の発言。
茂木敏充 自民党幹事長:
各党、自党にとってのベストを考えるのは当然。スケジュール感からも公明党の気持ちはわかります。誠実に応えていきたい。
BSフジLIVE「プライムニュース」1月18日放送