呪術廻戦───黒い死神───   作:キャラメル太郎

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最高評価をしてくださった、わたしだ Meer さん。

高評価をしてくださった、うぉるぴす nekomamu さん。ありがとうございます。





第五十三話  疾うに完成体

 

 

 

 

「りゅ……りゅりゅりゅりゅ龍已……ァ?お、おおおお俺をころころころ殺せ。殺……してくれ」

 

「──────っ!!」

 

「殺し……てくれ。殺して……くれ。殺してくれ。殺殺殺殺殺殺殺殺してくれ」

 

「……ッ。クソ……クソッ!クソッ!クソッ!!!!」

 

「黒圓無躰流──────」

 

 

 

 拳を固く握る。それは黒圓無躰流の型を繰り出すからだろうか、それとも永遠に会う機会を失った父との、あまりに酷い再会に心を痛めての事だろうか。恐らく後者だろう。龍已にとって失った家族は最愛のもの。切っても切れない血を分けた家族なのだ。自身の手で殺さねばならないのに、何も感じない訳が無い。

 

 葛藤しても、この状況を生み出した術師に強い怒りを抱こうとも、汚泥のような後悔を持とうと、正気じゃない父を殺さねばならない。何故、自身の手で殺さねばならないのか。だからと言って、他の誰かに殺されるなんぞ論外だ。そんなことさせるものか。

 

 殺したくないのに、殺さねばならない。交差する点があまりに忌々しい。殺したくないなら殺さなければいいのに、殺すしかこの場を収める方法が無いし、殺さないと父を救い出すことができない。明らかに何かしらの術式で、一時的で擬似的な蘇生をされている。この場にその術師が居れば捻り殺しただろう。

 

 

 

「こ、殺じ……ごろじ…………で………」

 

「シィィィ……ッ!黒圓無躰流──────『鏖砲(おうほう)』……今度こそさようなら、父様」

 

 

 

 握り込んだ拳を振るう。一度に2度の打撃。呪力で強化された肉体から生み出される拳は、強靱な肉体を持つ父の忠胤の腹に大きな風穴を開けた。風通しが良くなった体が、後ろに倒れていく。かっちりと嵌まっていた筈の脳のスイッチが元に戻り、深い深い絶望が広がる。

 

 1度目は自身が居ない間に呪詛師の手により、2度目は己の手によって殺した。拳が父の古い記憶にある硬い筋肉を抉り、消し飛ばす感触が生々しい。記憶に無いくらい小さい頃から行われてきた鍛練で、龍已は黒圓忠胤を倒したことが無い。体が出来上がっておらず、忠胤には龍已にない多くの時間を鍛練に注ぎ込んだのだから、経験値でも負けてしまうのは仕方ない。

 

 天才だ。黒圓一族最高の才能に最強の肉体を持つ存在が、とうとう自分の息子で生まれた。鍛練で血反吐吐くほどボコボコにされて忠胤から言われる言葉。どこが?全身傷だらけで血しか吐けないんだが?と思ったことは十や二十じゃない。でも、死別する頃には少しだがマシな戦いぐらいはできるようになっていた。

 

 鍛え抜かれた傷だらけの腹筋に拳をめり込ませた時のようだ。あの時は、そんな拳では肩叩きの方がマシだと煽られた気がする。今はどうだろう。会得できても使い熟すことができたのは初代様しか居ないと言われた『鏖砲(おうほう)』を使い熟し、穴を開けた。大きな穴だ。血も内臓も纏めて消し飛ばした。

 

 何となく、本当に何となくだ。もしかしたら見間違えたのかも知れないし、幻覚だったのかも知れないが、龍已には腹を穿った時に忠胤が嬉しそうに笑った気がした。よくここまで強くなったなと、そう物語るような温かくて優しい笑みだったに思える。今ではもう解らない。死んでしまったから。

 

 

 

「──────ッ!!」

 

 

 

 殺してしまった罪悪感と絶望に浸る間もなく、龍已は後方へ跳んだ。何故か?術式が解けて元の誰かも解らない男に戻るのではなく、黒い靄を体から発したからだ。確実に何か……術式なのかどうかすらもあやふやなものを感じた龍已は、術式を使うことを禁じられているので回避を選んだ。

 

 長く戦いの日常に身を置く龍已で以てしても、黒い靄の正体が解らない。よく解らない得体の知れないもの。故に近づかない。当然の判断だ。だがそれは龍已の判断であって、黒い靄の判断ではない。

 

 黒い靄は体から出て来た時に龍已に向かって飛んできた。速度は遅いので避けるのは容易だったが、次の瞬間には目の前まで迫っていた。恐ろしい速度だ。何が何でもという気概すら感じる。龍已はつい、長年の戦いで培った反射行動で迎撃した。しかしそれは悪手だったのだ。突き抜けた腕に黒い靄が絡みつき、浸透してくる。燃えるように熱く、なのに不思議と嫌な感じはしない。故にマズいと心の中で叫んだ。

 

 

 

「なん……だこれは……ッ!」

 

「龍已先生……っ!龍已先生ッ!!」

 

「ゔ……ぐッ………──────」

 

 

 

 熱い。熱い熱い熱い熱い熱い熱い。いつの間にか傍に来ていた教え子が、泣きながら自身と一緒に黒い靄を体から外そうとしてくれている。けれど、黒い靄に実体は無く、故に掴むこと叶わず。掴もうにもすり抜けてしまう。反転術式によっての治癒を使って腕を切り離すという手もあったが、もう黒い靄は体中に絡み、浸透していた。

 

 ナニカが入ってくる。入ってきて()()()()。黒圓龍已という自分が何かと混ざり合おうとしている。不思議で不可思議で不気味だ。自身に最早何が起きているのか、自身ですら判断できない。そして藻掻くこと十数秒、黒圓龍已は完成に至った。

 

 体が軽い。羽よりも軽く、呪いが埒外から理外となった。最早総量の理からも外れ、まさしく無限となった。尽きることが無い世界最多の()()呪力。おぉ……これだ。しっくりくる。完璧だ。これこそ()()一族に相応しい力だ。龍已は黒く燃えるような呪力を纏う掌を眺め、必死に服を掴んで訴え掛けてくる教え子に作れるようになった笑みを向ける。

 

 

 

「まさかこんな事で完成するとは思わなかった。あの場に行って正解だったな。()()()他の者に殺されていたらこうはいかん」

 

「ぁ……あなた……は……誰?」

 

「……?俺は黒圓龍已だ。知っているだろう?」

 

「違う。……違う違う違うっ!龍已先生はあなたじゃない!龍已先生は……そんな風に笑わないッ!!」

 

「俺も人間だぞ。笑みくらい作る。今までは作れなかっただけで、作ることができるようになった。まあ、作れるだけで浮かべている訳ではないのだが」

 

「返して……私の黒圓龍已を返してっ!」

 

「返すも何も()()()()()()()()()()()()()()()。乗っ取られた訳でもない。変わった訳でもない。()()()俺に戻った。それだけだ」

 

 

 

 そう、それだけ。未完成だったものが、今になり完成しただけに過ぎない。黒圓忠胤はよくやった。一時は何と無駄なことをしてくれたのかと思ったが、どこぞの術師のお陰で取り戻せた。完成した肉体と精神は、魂をより完成された魂へと昇華させた。何もかもを感じ、何もかも出来る。それ故、何もかもを殲滅できる。

 

 気持ちの良い日だ。最初は渋谷に降ろされた帳と発生した呪霊、テロを起こした呪詛師を皆殺しにするつもりで来たが、思わぬ収穫を得た。何やらちょっとした勘違いをしている()教え子が何か言っているが、まあそんなことは今気にする必要ないだろう。それよりも、今は少しやることがある。

 

 強く服を掴んで離さない反承司にデコピンの構えをした右手を向けた。寸前で術式を使って反射させようとしていたが、彼女が演算した衝撃よりもより強い衝撃を与えて不可視で不可侵の壁を砕き割った。思ったよりも強くやってしまい、建物を6つは貫通させたが、まあいいだろう。

 

 

 

「さて……この事件を起こした主犯は──────そこか」

 

 

 

 走る。その走りは神速となり、1歩で地を抉り取りながら進んでものの数秒で目的の渋谷駅にやって来た。あちこちで戦っている気配がする。その中でも知っている気配に何かが混ざった気配を感じた。完成する前には感じられなかった広範囲且つ精密な察知能力で、見えない場所に居る者の気配で指先1つにとっても明瞭にさせた。

 

 跳躍して駅の上へやって来る。落下しながら落ちていき、天井を突き破って床に向けて拳を打ち込んだ。発泡スチロールよりも柔く粉々に砕けるコンクリート製の床を、龍已は何枚も砕いていった。円形に形が出来るように砕いていき、最上階から1階。そしてB1F、B2Fと突き抜けていき、最後は目的のB5Fへとやって来た。

 

 B3Fの床を抜くとB4Fの天井を突き破ることになり、吹き抜けとなっているので最下層まで一直線に降りていった。そして、音も無く着地すると準1級と1級の呪霊が迫ってくるので、降りた時に()()()()()()線路を投擲して祓った。

 

 

 

「いやいや、まさかそんな方法でやって来るとは思いませんでしたよ。久しいじゃないですか、先輩」

 

「思っても無いことを口にするな。気配は夏油だが、操っているのだろう?その額の傷は縛りか?俺の感覚を甘く見るなよ、塵芥風情が」

 

「──────何でオマエも解るんだよ、キッショ」

 

 

 

 やって来たところには、夏油が居た。行きたくても行けなかったら最下層に居る渋谷事変の主犯。呪霊を差し向けたが、意に返さず祓われた事で大人しく出て来た。術式が使えないとしても、恐らく呪霊操術を使おうが勝率は低い。手数の多さが武器なのだが、この男にはそういうのは意味が無いことを体の記憶から知っている。

 

 気安く話し掛けて夏油傑を演じたが、どうやら龍已には通じないようで一瞬で看破された。額の傷は縛りによってつけられたもの。本体は頭の中に居る。夏油の中に入っている者は、こうも立て続けに偽物だと判別されてしまうと困るなと、大してそう思っていないような軽薄な笑みを浮かべた。

 

 全身を黒い呪力が多う。弱い者を偽る必要も無いので偽装はしない。途端に冷や汗を流す偽夏油は距離を取って掌を見せてきた。止まれというジェスチャーだろうが、何故待つ必要があるのか。五条悟でもまるで恒星と言わしめた呪力が肉体を極限以上に強化し、完成された肉体は1歩踏み締めるだけで足元を大きな亀裂を入れた。

 

 

 

「待ってくれないかな。私は君とだけは戦わずに済むと確信している」

 

「ほう……?言葉で止めると?──────やってみろ」

 

「……ふーッ。今の君は()()()()黒圓だろう?それを完成させようじゃないか。切っ掛けは私が用意してある。積年の(おん)を返したくはないかい?怨の一族の末裔。最後の生き残り、黒圓龍已」

 

「………………クク……クククッ……ははははははははははははははははははははッ!!!!」

 

「……ッ!?」

 

「はははははッ!!!!はぁ……何を言い出すかと思えば、未完成の黒圓?本当に何を言っているのだお前は?俺は既に完成している。受けた()は必ず返す。お前が何者なのかイマイチよく解らんが……取り敢えず死ね」

 

「──────ッ!?術式を使えば関係の無い非術師を……っ!」

 

「殺せば良いだろう?最早俺には関係無い。まあ、お前程度殺すのに銃は要らんがな。念の為に術式反転は使わせてもらうぞ。死にたくないなら俺を殺して生き延びてみろ。無理だがな」

 

「チッ……ッ!何故黒圓龍已が完成しているッ!?こんな早期覚醒は私の想定外もいいところだッ!!」

 

 

 

 侮辱した笑みを浮かべながら両腕を開いて迫ってくる龍已に、偽夏油は忌々しそうに舌打ちをしてストックしている多くの呪霊を出して向けた。自爆するものから刺突する呪霊。術式を使う高位の呪霊に、領域展開すらも行える呪霊も、出し惜しみせず出した。しかし、龍已の傍には近寄れない。

 

 呪霊操術。夏油が持っていた特異な術式。呪符のような媒体を必要とせず、屈服させて丸めて飲み込むことで完全に制御下に置き、自由に出し入れしつつ操ることができる、多岐に渡る手数が特徴の術式である。しかし、その術式は呪霊を取り込み、操るというもの。つまり取り込んだ呪霊は、呪霊である以前に術式なのだ。

 

 龍已の術式を反転させた術式反転『虚儚斯譃淵(きょぼうかくえん)』は、体外で自由自在に操れるという本来の術式を反転させ、自身に向かってくるあらゆるものの自由を剥奪する。というものに変わった。これは物理だけに留まらず、精神攻撃、概念的攻撃、龍已を害するものならば何もかも全てから退けさせる。範囲は4.2195メートル。故に、術式である呪霊操術の呪霊は、彼に触れる約4メートル手前で消滅する。

 

 領域展開を行える特級呪霊は約4メートルという『虚儚斯譃淵(きょぼうかくえん)』の範囲外から、掌印を結んで領域に引き摺り込もうとした。しかしその掌印が組まれて外界と分断する結界が展開されるよりも早く、そして速く、神速となった龍已が呪霊に接近して頭を殴打1つで消し飛ばした。

 

 脆くなった灰の塊のように砕けていく呪霊の残骸をつまらなそうに見てから、龍已が偽夏油を見やった。作られた薄い笑みに危険を感じる。やはり相性が最悪だ。これでは本当に手も足も出ないではないか。他の術師にとって脅威の呪霊操術は、黒圓龍已の前では格好のカモでしかないのだ。何せ、領域展開の練度でも勝てるのに、領域展開をやる前に祓える力があるのだから。

 

 その他の呪霊なんぞ意に返さない。何をしようが近づくだけで消滅するのだ。問答無用で例外なく。恐ろしいくらいに相性が悪い。偽夏油は、この体で龍已に勝てる想像(イメージ)が湧かないから、()こす事にしていたのだ。それを既にやられてしまい、完成体となっていれば、交渉もクソも無い。何故なら、黒圓龍已の敵になれば交渉も情に訴えることも不可能だから。

 

 

 

「呪霊操術……極ノ番──────『うずま……がッ!?」

 

「ストックしている呪霊を一丸にして放つ極ノ番だろう?知っている。撃たせんし、撃ったところで効かんわ馬鹿者め。見ていてつまらん」

 

「ぐッ……ごぼッ……っ!?ま、待てっ!この紐を見るんだ!これを解けば私が長年契約してきた呪術師呪詛師やその成れの果てが全国に放たれ、私を殺せば契約した呪霊が強制的に契約を破棄され──────」

 

「無駄にお喋りな口は要らんよな?まずは下顎」

 

「──────ッ!?」

 

 

 

 軽く、ほんの軽く蹴りを入れただけで面白いくらいに吹き飛んだ偽夏油は、地下ホームの壁に叩き付けられた。体が埋め込んで、蹴られた部分が痛み吐血する。一撃で瀕死だ。足が付くと膝が笑ってる。壁に手をついてどうにか立っている状態で、袈裟の袖から結んである紐を取り出して向かってくる龍已に突き付ける。

 

 これは偽夏油が契約してきた昔の呪術師等をこの現世に解放する呪物だ。紐を引っ張って結び目を解くことで、解放は完了する。脅しに使っているが、龍已には全く興味が湧かない。()()()()()呪術師呪詛師が放たれようと、自身の危険には成り得ないと解っているからだ。

 

 勝ち目が無いと悟ると、どうも良く回る口のようで鬱陶しくなった龍已は、右から左へ払うように手を薙いで偽夏油の下顎をダルマ落としのように毟り取った。手の中で千切った偽夏油の下顎を弄ぶと、後ろに放って捨てる。ぐしゃりと血と肉が地面に落ちる音が鳴り、偽夏油は喋れなくなって血を流す顎を押さえて体を丸めた。

 

 どうすればいい?どうすればこの場を凌げる?どうすればこの怨の一族の末裔を倒せる?夏油傑の肉体を得て、記憶をも奪った偽夏油はずっとそれを考えていたが、終ぞ正面から黒圓龍已を打ち倒す算段がつかなかった。だからこその()こしなのだが、その手は何故か既に行われている。もうこの際だ、簡単に言ってしまおう。偽夏油はもう詰んでいる。

 

 

 

「気配を異物のお前に絞ると、どうも長生きしているようだな?()()()()()()()()生きているのか?それなら、俺が怨の一族だということを知っていてもおかしくない。……ククッ──────死ねば過去もクソも無いがな」

 

「──────ッ!?」

 

「……?何を言っているか解らん。解らんなら聞いている必要も無いな?よし、今からお前は俺に殴られるだけの糞の詰まった肉袋だ。イイ音を聴かせろ。ちなみに、俺はサンドバッグを殴り()()()()()()()()()無い」

 

「──────ッ!!!!げぼ……ッ!?ごぼッ!!」

 

 

 

 俯いて高さが下がった頭の髪の毛を鷲掴み、無理矢理上を向かせる。ケタケタと悪意と怨念に包まれた恐ろしい笑みを浮かべて嗤う龍已に、背筋からゾッとしたものを感じる。これは何度か経験したことがある感覚だ。そう、自身の目的の邪魔を幾度となくしてきた、六眼と無下限呪術の抱き合わせ、五条家の者達と対峙した時の感覚……恐怖だ。

 

 長く生きればそういった感情と無縁になる。かく言う天元も1000年以上生きているので精神は植物のようなものになっているだろう。人の記憶を継ぐことができる偽夏油だからこそ、恐怖を忘れずに済んでいた。今回はそれが仇となった。下顎を毟り取られて喋れない状況で、向かってくる拳を避けられなかった。

 

 みしり。嫌な音を立てて頬に突き刺さった拳によってコンクリート製の壁に頭が埋まる。呪力で肉体を強化しつつ、打ち付けられる箇所へ特に呪力を集中したお陰でどうにか頭が潰れることはなかったが、意識が朦朧とする。赤く染まった視界の中、次の拳が向けられ、ノーガードの腹部へと容赦なく叩き込まれた。

 

 みしり。ぐしゃり。ばきり。ぐちゃり。嫌な音。嫌な音。耳障りで生々しい、何かが潰れて折れて砕ける音が、静かな地下ホームに響いている。壁は罅だらけで粉々だ。打ち付けられる背中は血塗れだろう。それより酷いのは体の前面だ。肉は潰れて骨は砕け、場所によっては飛び出ている。呪霊を出しても龍已に近すぎで出した途端に消滅する。

 

 腕は肩から神経だけが繋がっているだけで、骨が粉々だ。持ち上げることすらできない。肋は残らず全部殴り折られている。脚は大腿骨は粉砕されているので、めり込んだ壁から出たら倒れてしまうだろう。もう、どこがどうなっているのかすら解らないくらいぐちゃぐちゃにして殴り壊されている。血に塗れた拳を振り上げ、最後に頬を打つ。

 

 壁から奔る亀裂が大きくなり、天井にまで達した。電車が通れるように高めに設定されている天井にだ。もう何発か打ち込めばきっと天井の欠片が落ちてくるだろう。白目を剥いている偽夏油の首を掴み、意識が飛んでいることに気がついた龍已は溜め息を溢しながら、下顎を抉り取ったように血塗れの右手を横薙ぎに振った。

 

 傷のある額が糸を千切って外れる。中から現れたのは脳味噌に口が付いたような物体。これが本体かと、右手で脳を鷲掴みにして引き抜き、用済みになった体は適当に放り投げて捨てた。両手で脳を持って色々な角度で見ていく。どこまでいっても、口が付いた脳なので面白味が無く……龍已は両手で粉々に握り潰した。

 

 

 

「これで本体も死んだ。夏油の体は……一応消し飛ばしておくか。元々呪詛師だからな。……ん?結局あの紐は解いたのか」

 

 

 

 脚に巻き付けたレッグホルスターから『黒龍』を引き抜き、銃口を向ける。そして黒い呪力が凝縮されていき、黒い光線となって放たれた。夏油の体は地面に丸い穴を開けられながら欠片も残さず消し飛んだ。ふん。と、つまらなそうに見送った龍已は線路上からホームに上り、あるところに向かう。そこには、地面にめり込んだ箱が置いてあった。

 

 獄門疆(ごくもんきょう)。源信の成れの果て。定員は1名だが、封印できないものは無いという、封印する呪物の最高峰。中には呪術師最強と謳われる五条悟が入っており、中は物理的時間が流れていない。なので五条が出て来た時には数千年経っているという可能性もあるわけだ。

 

 最強の五条悟を封印できても、その莫大な情報を処理できずに重くなってその場に留まるしかなかった偽夏油は、これの所為で龍已に見つかり殺された。動けていればこんなところからさっさと逃走していただろう。

 

 術式を使ったことで目を光らせて警告してくる、付いてくる式神『コガネ』を鬱陶しそうに握り潰して祓った龍已は、腰を落として獄門疆(ごくもんきょう)を拾った。重くて持ち上がらなかった特級呪物を難なくと手に取った龍已は、偽夏油の脳を見ていたように色々な角度から見て観察している。そして、首に巻き付いたクロに呑み込ませた。

 

 

 

「しっかりと持っているんだぞ、クロ。中身は貴重(五条悟)だからな」

 

「…………………。」

 

 

 

 クロは少し寂しそうだった。何となく、前のご主人様でなくなってしまったようだが、ご主人様であることに変わりは無い。契約も破棄されていないので、クロは龍已に付いていく。言われたことにコクリと頷いて、大人しく首に巻き付いているのだった。

 

 言うことを聞いているクロに薄く笑みを浮かべて、龍已はB5Fへやって来た時に通った、殴り開けた穴の下に行き、跳躍して外に出て行った。そして外に出ると、気配で感じていた強い呪いを感じ、その方角に目を向ける。そこに居たのは4体の特級呪霊と、ケタケタと嗤いながら余裕を見せて戦う、表に出てきた両面宿儺だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい漏瑚テメェッ!炎外してンじゃねーよ!誰のお陰で宿儺の斬撃飛んできてねーと思ってんだ!?俺様のお陰だぞ!」

 

「喧しいわ!貴様の術式で儂の遠距離まで無効化されているのを忘れるな!」

 

「速度が上がり、お前の動きがより良くなって宿儺から距離を取れていることを自覚しろ。俺のお陰だ」

 

「距離稼げるだけでは意味は無いわ!貴様も戦わんか!何故儂が1番前でずっと戦っておるのだ!」

 

「それは私達が分裂して弱体化しているからですよ。でも大丈夫。いざとなったら私の術式でマーキングした場所まで跳んで逃げますから。いいですか?私のお陰ですよ」

 

「イチイチ、さも己のお陰だと最後に付け加えるでない!鬱陶しいわッ!」

 

 

 

「ケヒッ。ケヒヒッ。俺の斬撃を封じるか。良い術式だ。その調子だぞ特級。ほら頑張れ頑張れ」

 

 

 

 渋谷のビル群を破壊しながら、分裂した獸崇と漏瑚が戦っている。獅子頭の術式により宿儺の放つ斬撃は無効化しているが、距離を取ればその分無効化領域が広がって漏瑚の術式まで無効化される。1度に3体殺されることを警戒して分裂したはいいが、その分1個体が弱くなっているので近づけば素手で殺される。必然的に戦いは漏瑚頼りになっていた。

 

 手を振ると、蕾のような物体が建物の壁面に生え、その中から高い熱量を持った炎が噴き出した。その数は10。しかし宿儺はポケットに手を突っ込みながら回避した。花御、陀艮、真人、脹相、獸崇の中でも最速の術式速度を持つ漏瑚の術式でも、宿儺の速度に追い付けない。そしてそれはパワーに於いても同じ。

 

 元の虎杖の肉体が高い身体能力を有していたところに、宿儺の強大な呪力が合わさり、より強さを増す。斬撃を飛ばす術式を封じられたからと接近して来たのを迎撃しようとして、漏瑚は危なく殺され祓われるところまでいった。

 

 こうなったのは理由がある。脹相との戦いに敗れ気絶している虎杖に、漏瑚が宿儺の指10本を飲み込ませたのだ。両面宿儺という呪いの塊を飲んでも意識を失わず、制御下に置く虎杖に1本ずつ飲ませても宿儺に制御権は回ってこない。ただし、1度に多くの……それこそ10本の指を食わせれば、制御できずに一時的に宿儺が表へ出てくる。今がその状態である。

 

 獸崇も漏瑚と合流して、宿儺と戦うことになった。虎杖が制御権を奪い返す前に有利な縛りを結べと漏瑚が宿儺に対して言ったのだが、自分には計画があると言ってそれを拒否。しかし指を10本も食わせたのを対価に、一撃でも良いのを入れられたら呪霊側に付いてやるという縛りを設けていた。

 

 両面宿儺を味方に付けられれば、呪霊と人間の立場を逆転させるという目標が大分近くなる。そのために戦っているのだが、強い。現在宿儺は指15本を取り込んでいる。4分の3を食っているのだ。偽夏油より、漏瑚は甘く見積もって8、9本分の強さを持っていると言われていたが、隔絶とした差があることを見せ付けられた。

 

 獸崇に関しては12本分の強さを持っており、その差はたったの3本。しかしその3本でも3本以上の実力差を感じさせる貫禄と覇気を持っているのが、両面宿儺である。ましてや今は3体に別れているので、それぞれ4本分くらいの強さしかないのだ。近接でも余裕で死ねる。

 

 

 

「飽きるまで付き合ってやるぞとは言ったが、オマエ達は同じ事の繰り返しだな。つまらん。もう怯えて良いぞ。殺す」

 

 

 

「──────ッ!!獸崇ッ!術式を使──────」

 

「──────がッ!?」

 

 

 

 今までのは全く本気ではなかった。言わなくても解ることだ。ポケットに手を突っ込んだ状態で、適当に近寄って蹴りを入れてくるだけの奴がどうして本気だと言えようか。宿儺は建物の壁に足を付けて、半壊させながら跳躍し獸崇に急接近した。狙うのは獅子頭……かと思われたが馬頭だった。

 

 ポケットか、出された手が馬頭を捉えて鷲掴み、壁に叩き付けて頭を爆散させた。一瞬の出来事で、あっという間にその場から消えて今度は獅子頭を狙った。遠距離の斬撃は使えない。しかし肉体の強さでは獅子頭は宿儺に勝てない。肩に乗って頭に両手を這わせ、頭だけを無理に引き抜いた。

 

 血飛沫を上げて引き抜かれた頭を、黒山羊頭に向けて投擲する。自身の頭を投げられて激突し、蹌踉けたところで頭を掴まれた。獅子頭は既に死んだ。つまり術式が解禁されている。マズいと思った時には呪力が込められ、0距離で斬撃が放たれた。背後の高いビルごと縦に両断され、特級呪霊の獸崇は祓除された。

 

 

 

「極ノ番──────『(いん)』ッ!!」

 

 

 

「ケヒッ。ケヒヒッ」

 

 

 

 巨大隕石が如く、上から炎を纏う巨石が落とされた。建物を巻き込んだ落石に炎による熱のダメージと大質量による押し潰しが行われ、いくら両面宿儺と言えども無傷とはいかないだろうと、漏瑚は肩で息をしながら巨石の上で精神を落ち着かせていた。

 

 手を出す暇も無く、獸崇がやられた。陀艮が死んでいるのは見たので知っている。花御は五条悟に祓われてしまった。残っているのは自身と真人、そして協力者である脹相だけになってしまった。呪霊でありながら仲間意識を持っていた彼等は、祓われた事に悲しみに似た何かを感じていた。

 

 宿儺を完全に捉えたはず。これならば良い一撃に入っただろう。呪霊側に両面宿儺を付ければ、自分達の目的は達せられたようなもの。しかし、安堵と少しの期待は、背後から掛けられた当たらなければどうということはないという言葉によって瓦解する。

 

 振り返って凝縮した炎を両手で構えた。獸崇を殺したのに、未だ余裕の表情の宿儺は座ってニヤついている。構える漏瑚を見て得意な部分で勝負してやろうと言って立ち上がり、弓の弦を引くような構えを取った。

 

 

 

「『█』──────『(フーガ)』」

 

「それは……炎か?」

 

「……?知られているものだと思っていたが、呪霊(オマエ)達は知らないのも頷けるな。ケヒッ。ケヒヒッ。いくぞ。火力勝負といこう」

 

 

 

 斬撃の術式を使っていた筈の宿儺は、炎を操り出した。明らかに同じものとは思えない技に、漏瑚は困惑する。しかしもう引けない場面になってしまったので、自身の最高火力をぶつけるつもりだった。流れる冷や汗を拭うことすらなく、宿儺と同時に炎を放った。確実に最大の呪力出力。これ以上はない。そう言い切れる炎は、宿儺の炎の矢に貫かれた。

 

 胴体を貫通して炎に包まれる。呪力で傷を治すことすらできない圧倒的ダメージ。漏瑚は炎を操る術式を持ちながら、宿儺の炎に焼かれて死に、祓除された。漏瑚の出した『隕』の上で戦いの余韻に浸っている宿儺の元に、男なのか女なのか解らない性別不詳の者が現れた。

 

 宿儺に裏梅(うらうめ)と呼ばれたその謎の人物は、どうやら宿儺を慕っている様子。交流会で襲ってきた呪詛師に命令をしたというのが、この裏梅である。迎えに来たという言葉に、また後でなと答えて別の場所へ移動を開始した宿儺に、跪きながら深く頭を下げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────何の用だ、両面宿儺」

 

「ケヒッ。ケヒヒッ。その呪力、怨の一族は完成に至ったか。お前達はあの時代でも相当な傑物で鬼才だった。お前達くらいだ、俺の腕を3本も引き千切ったのは」

 

「呪力も持たない俺達に接近を赦し、腕をもがれるとは……呪いの王とは聞いて呆れるな」

 

「ケヒヒッ。良い良い。今の俺は気分が良い。お前の発言は赦してやろう。ただし──────味見といったところか」

 

 

 

 突然やって来た宿儺に、龍已は実に素っ気ない対応をする。呪いの王が目の前に居るというのに、彼には恐れや恐怖というものを感じなかった。全盛の4分の3の力を取り戻した両面宿儺だが、黒圓龍已は依然として現在が全盛期。負ける道理が一切無いのだ。

 

 怨の一族。その完成体という存在を知っている宿儺からすれば、今の龍已は大変美味そうな料理に映るだろう。メインディッシュの伏黒恵はこの際置いておいて、力を取り戻せば確実に楽しめるだろう相手を少し味見してみようと思い構えた。

 

 人差し指と中指を立てた手を縦に振った。術式が発動し、不可視の斬撃が放たれた。地面を斬り裂きながら超速度で迫り、龍已のことを真っ二つにしようとしている。しかしそれを、横に最小限の動きで避けてしまった。背後の店が縦に両断されてしまい、水道を斬り裂いたのか水が噴き上がる。

 

 風に乗って小さな雨粒が降り注ぐ中で、宿儺は笑みを深めた。不可視の筈の斬撃を軽々と避けた。見えていないはずなのに見えているような回避行動に、楽しめそうだと舌舐めずりをして親指を舐めた。龍已ははぁ……と溜め息を溢しながら、両脚に納められた『黒龍』を引き抜き構えた。遠近両用の戦法の構えだ。

 

 

 

「イイ。イイぞ怨の一族の末裔ッ!黒圓龍已ッ!お前の力を、俺に魅せてみろッ!!」

 

「黙れ。呪物になろうと惨めたらしく生に縋る呪い風情が。お前はこの世、この時代に必要ない。消えて無くなれ」

 

「ならばやってみろ──────『(かい)』」

 

 

 

 

『解』とは、宿儺がよく好んで使っている斬撃である。指を振るだけで鋭く強力な斬撃が生み出され、防御するか回避をしないと硬質な鉄をも易々と両断してしまう。その鋭さは、防御面で優秀だった花御の体を簡単に斬り裂けるだろうことが予想される。ならばそれより柔いだろう人間の体では斬られて終わる。

 

 しかし、全身を呪力で多い強化した龍已は、右手の『黒龍』で斬撃を弾き飛ばした。進行方向を変えられた斬撃は上に向かって飛んで行き、ビルの頂上付近の部分を斬り裂いた、そして斬り落とされた部分は寸分違わず宿儺の上に落ちてくる。狙いが良いと思いつつ後方へ下がると、背後にはもう龍已が居た。

 

 斬撃を放ちながら振り返ると、ほぼ0距離でも斬撃の速度に対応してきた。今度は左手の『黒龍』で弾き飛ばし、1歩奥に踏み込んで右手の『黒龍』を額に向けた。引き金を引けば、銃口と同じ径の黒い光線が放たれる。上体を反らして避けると、後ろへ向かう力に逆らわずバク宙し、途中で龍已に蹴りを向けた。

 

 半身になって蹴りを避けると、下段から上段に向けた蹴りを返した。空中で避けられないと判断したのか、両腕を使って防御の姿勢になる。腕の上から蹴りが叩き込まれ、想像以上の重さに宿儺が少しだけ瞠目した。空中ということもあるが、地上に足を付けていても踏ん張れなかっただろう重く強い蹴りに、体が吹き飛ばされた。

 

 建物を突き破ること18。最後はビルの中間より少し上の階に突っ込んだ。仕事用のデスクやパソコンなどを破壊しながら壁に叩き付けられて止まった宿儺は、完全に折れて使い物にならなそうな両腕を見て面白そうに口の端を吊り上げる。呪力で防御していた筈なのに、それを上回る呪力で強化した蹴りが入れられたのだ。

 

 

 

 ──────良い蹴りだ。呪力量も全盛期の俺よりもある。肉体の強さもこの小僧の肉体とは比べものにならん。それに感覚が異常に鋭いな。不可視の『解』が見えているように弾かれる。それに加えてあの黒い銃。『解』を正面から受けて傷一つ無い。特級呪具というものか?良い。良いぞ黒圓龍已。

 

 

 

「呪術師との戦いは、やはりこうでなくてはなァッ!!」

 

 

 

「──────『(あま)(ひかり)』」

 

 

 

 天より降り注ぐ黒い極太の光線による広範囲攻撃。ビルの中に人が居ないことを良いことに、底が見えないくらい地中深くまで消し飛ばす攻撃を行った。直前で来ることを察知した宿儺が腕を反転術式で治しつつビルから飛び出て来る。空中で複数の『解』を放ってくるが、悉くを躱して『黒龍』で弾いていく。掠りもしない。完全に見切っている。

 

 これはまた面白いと、段々と気分が高揚していき、それならこれならばどうだと100メートル程離れたところに降りて、両手で掌印を組んだ。膨大な呪力が練り上げられる。それが何なのか感覚として知っているので、龍已は到底届かないと思った。だが、龍已の常識を両面宿儺は軽々と超えてきた。

 

 距離がありすぎる。届くはずがないと思ってしまったが、相手は常識の通用しない呪いの王だ。明らかに自身の知らない道の力を使ってくるだろう。『黒龍』を納めて同じく掌印を組もうとしたが、それよりも早く、宿儺の術式は完成していた。

 

 

 

「領域展開──────『伏魔御廚子(ふくまみづし)』」

 

 

 

「チッ……ッ!!」

 

 

 

 両面宿儺の領域展開。一般的な領域展開は、敵を閉じ込めることに特化している。それにより、内側から外側に出るのは難しいが、逆に外から内に入るのは容易となる。入って得することが無いからだ。

 

『伏魔御廚子』の場合、他の結界や領域と異なり、領域により内界と外界に空間を()()()()()。謂わば()()()()()()()()()領域。敢えて『相手に逃げ道を与える』という縛りを自身に課すことにより、領域の性能を底上げし、尚且つ術式が必中となる領域の範囲を最大で半径約200メートルまで拡張している。

 

 これはキャンパスを用いず、空に絵を描くに等しい。つまり誰も考えず出来なかったまさに神業。龍已と宿儺の間の距離は100メートル。逃げ切るにも100メートル後方に下がる必要がある。五条のように何らかの瞬間移動をしなければ必中範囲から抜け出すのは不可能。しかし、龍已は構えた。

 

 怨の一族。その末裔にして最後の生き残り、黒圓龍已は()()()()()()()()()()()。逃げない。来るならば迎え撃つのみ。それが一族が代々受け継いできた鋼よりも硬い矜持。背中を除く夥しい傷が、その矜持の強さを物語る。

 

 

 

 

 

 

『黒龍』を両手に、龍已は全身へ限界レベルに呪力を張り巡らせ、両面宿儺の領域展開に真っ向から迎え撃った。

 

 

 

 

 

 

 






夏油傑(偽)

上から天井を破って来るとは思わなかったが、()こせば大丈夫と高をくくっていた。そしたら完成していた上に思っていた反応と違う反応をされ、ボコボコに殴られた後に本体を握り潰された。黒圓龍已との相性が最も最悪。

夏油傑の肉体は欠片も残さず消し飛ばされてしまったので、また別の誰かが操るというのは不可能。

最後の悪足掻きなのか、脅しに使っていた紐を解いた。これにより、今全国で高い等級の呪霊と、昔に生きていた呪術師と呪詛師が放たれた。
本来はもっと違う封印を解くもの。詳しくは単行本を買って読もう!(代わりの宣伝)




黒圓龍已

父親を自身の手で殺し、深い悲しみと絶望を味わった。だがその後に触れた黒い靄が体に入り込んでからは、今までの自分が何だったのかと問いたくなるほど調子が良い。

呪力が跳ね上がったのを自覚しているが、結局総量がどのくらいあるのかは解らず終い。取り敢えず使っていて無くなることはないと思っている軽い認識。

両面宿儺の防御を破って腕をへし折った。蹴りを打ち込んだだけで建物を18棟も貫通させた上に、大きめなビルを丸ごと1つ消し飛ばしている。

不可視の宿儺の斬撃は確かに見えていないが、そこにあるということは感覚で解っているので問題なく弾ける。スゴいのは宿儺の斬撃を受けて傷1つつかない虎徹印の『黒龍』。




両面宿儺

龍已の怨の一族について知っている模様。そして異質な気配と呪力に、完成体に至ったと察している。強い者を好み、敬意を表す性格なので龍已に対して個人として認識している。味見と言ったが、食えるなら全力で食うつもり。

領域展開に特殊な縛りを設け、内界と外界に分断しない、閉じ込めない領域展開をする。最大範囲は200メートル。この範囲内は付与された術式が必中になる。まさに神業。




漏瑚&獸崇

宿儺によってぶっ殺される。実は獸崇に至っては、偶然見つけたパパ黒と少し戦闘になったが、遠距離使わず持っていた『游雲』にボコ殴りにされていて、獅子頭が1番ダメージを受けていた。なんだコイツ!?って驚いたけど、パパ黒もなんだコイツ……?ってなってた。相性悪いね。

漏瑚は単純な火力勝負で負けて燃えカスになった。領域展開をしても、五条悟に押し合いで負けたように宿儺にも負けると思ってやらなかった。




伏黒甚爾

実は反承司のことを追い掛けようとしたが、獸崇がやって来たので中止し、『游雲』を使ってボコった。遠距離とか関係ねーだろの精神で近寄って、加速の術式もなんのその。素の脚で追いつく。

漏瑚に、宿儺を叩くから共闘しろと言われて離れてしまったので、祓ってはいない。けど戦い続ければ祓えたし、黒山羊のエスケープ術式は龍已から聞いていたので、知らないフリしてどさくさに紛れて頭ホームランするつもりだった。

獸崇が車では、禪院直毘人に金を払うよう契約書書かせてた。破ったらどうなるか分かるよな?あん?みたいな。

近接ゴリラが多くて困っちゃうよ私は(白目)



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