大阪市内にある商業施設の女性トイレに正当な理由なく入ったとして、大阪府警は6日、建造物侵入の疑いで、戸籍上の性別は男性だが、性自認は女性のトランスジェンダーだと説明する大阪府の40代の利用客を書類送検した。捜査関係者によると、検察に刑事処分の判断を委ねる「相当処分」の意見を付けた。

この利用客は「戸籍上は男性なので駄目だと分かっていたが、女性と認められている気がして女性用トイレに入った」と話しているという。

性同一性障害学会理事長の中塚幹也・岡山大大学院教授は「ほとんどの性的少数者が公共施設など外でのトイレ利用時には注意を払い、トラブルを避けるようにしている。この事件だけに注目が集まり、偏見や差別が広がらないか心配だ」と話した。

捜査関係者によると、利用客は職場では男性として働き、休日は女性の服を着て外出していた。

書類送検容疑は昨年5月末、大阪市内の商業施設の女性トイレに正当な理由なく侵入した疑い。他の客から「女性の服を着た男性がトイレを使っていて、怖くて利用できない」と苦情を受けた施設が府警に相談。捜査員がトイレに入るこの利用客の姿を確認した。(共同)