どうもしんざきです。
引き続き、お勧め漫画23冊の紹介を続けます。世界中どこにも需要がなかったとしても、書き上げねばならない時がある…!!
以下、一応ネタバレはなるべく避けて、その漫画のおすすめどころを挙げていく形態をとります。粗筋程度には触れるかも知れません。
○エリア88 十一巻
十一冊目は、やはり何と言っても戦闘機漫画の金字塔「エリア88」の十一巻です。
閑話休題が終わり、いよいよ物語がゴールを見据えて動き出す巻、と言っていいでしょう。
エリア88から3年を経て除隊するカール・ベンディッツのエピソードを一つ挟んで、いよいよ神崎の陰謀が本格的に動き始めます。「プロジェクト4」が始動するのです。
この後、劇終までシンやエリア88の仇敵となり続けるプロジェクト4。武器商人たちを一か所に集めた神崎の狙いとは。
その傍ら、キムのキャラクターがこの巻辺りからさらに掘り下げられ始めます。「ヒバリの巣」のエピソードを起点に、意外と人好きのする面もあるグエンの動きもこの巻の見どころ。そして、11巻の終盤には、ゲイリー・マックバーンをはじめとする、プロジェクト4の精鋭パイロットたちが姿を見せ始めます。エリア88の、「空戦漫画」としての真骨頂がここから始まります。
「「くそくらえ」と返信しておきましたがね…」「いいぞ…最高だ!!」
○エリア88 十二巻
十二冊目は、やはり何と言っても戦闘機漫画の金字塔「エリア88」の十二巻です。
ゲイリー率いるプロジェクト4空戦隊と、エリア88との戦いが始まります。ミッキー・サイモンとゲイリー・マックバーンが旧知の中であり、思わぬ再会が描かれるのもこの巻のハイライト。また、前巻で対空地雷の為に墜落しながらも生きていたグエンが、頑張って徒歩でエリア88に帰還しようとするエピソードもなかなかいい味出してます。88メンバーに「死んだんじゃなかったのか?」と言われまくるグエン、意外と馴染んでます。
今まで、基本的には「政府軍と反政府軍」の戦いだったエリア88ですが、この巻からぼちぼち、「それ以外の勢力」が様々に話に絡み始めます。次巻以降始まる、「戦争を伴った国際関係を描写するエリア88」の端緒ともいえるでしょう。
砂嵐にまかれて離着陸ができないエリア88に、マッキンレーがどうにか帰還しようとするエピソードもお気に入り。コミカルなところはとことんコミカルな辺りに、傭兵集団の図太さがよく表れています。
「そりゃ…どうも…。信用してもらう為に生きてる訳じゃない…生き残ってるから信用がついて回るだけだ」
「じゃあな…死ぬなよ!予定が狂う」
○エリア88 十三巻
十三冊目は、やはり何と言っても戦闘機漫画の金字塔「エリア88」の十三巻です。
プロジェクト4との熾烈な空戦から十三巻は始まります。今までも様々なピンチ、様々な被害を経験してきたエリア88ですが、「空戦の腕前としても88と同等」という集団がきちんと描写されたのは、実は劇中ここが初めてになります。
「セイレーン」ことセラが一時的に88の捕虜になるのですが、見張り番を仰せつかったキムと喧々諤々の言い争いになるシーンがこの巻の見どころ。以降、この二人はある意味姉弟のような感じで、味のあるコンビをしばしば組むことになります。毅然としたセラに思わず涙してしまうラウンデル少佐かわいい。
一方、この巻の後半で、政府軍の戦争の行方は大きく、大きく動き始めます。プロジェクト4と神崎が加担した反政府軍は、一気にアスランへと押し寄せます。追い詰められたザク国王と、エリア88の命運は。
「片方のエンジンが死にかかった猫より、腹ペコのライオンの方が有利だろうが!」
○エリア88 十四巻
十四冊目は、やはり何と言っても戦闘機漫画の金字塔「エリア88」の十四巻です。
アスランの陥落により、外人部隊としてのエリア88は存亡の危機に陥ります。外人傭兵という立場としては圧倒的不利になったにも関わらず、88に残った一部の88メンバーと、サキとのきずなが描かれるのが作品全体を通じても上位の、大きな今巻のハイライト。
一方、シンにとっては、この巻が重大な転機になります。間もなくプロジェクト4の総攻撃が始まる、というタイミングで、「ザク国王を連れてフランスに飛べ」と命じられたシン。複雑な心境を抱えつつパリへ飛んだシンは、そこでフランス空軍のローラン・ボッシュ氏と出会い、次巻以降の重大な展開が幕を開けます。中盤の佳境ともいえる、アフリカ編が始まるのです。
ボッシュ氏と飛ぶことになり、フランス空軍のメンバーに実力を見せつけるシン、という場面も、この巻の名場面の一つでしょう。「さすが」のカタルシスに該当すると思います。
「おれがくたばるのを見るのはいいが、見物料は高くつくことになる…お前らの命で払ってもらうぞ!」「覚悟のうえだ!」「そうだな…」「妥当な線だ!」
○エリア88 十五巻
十五冊目は、やはり何と言っても戦闘機漫画の金字塔「エリア88」の十五巻です。
ついに、エリア88への総攻撃が始まります。雲霞のごとき戦闘機の大部隊を前に、エリア88のメンバーは、決死の脱出を兼ねた最後の総攻撃を行います。そんな中、サキとラウンデルが彼らに与えた指示の内容とは。
一方、パリに場面を移した物語は、平和になじむことのできないシンを描きだします。南アフリカでの作戦に誘われ、ボッシュ氏に連絡をとるシンがであったのは、エラー・ニップル・マップ・スラッシュの4人の傭兵部隊。彼らとともにバンバラに飛ぶことになる
シン。「エリア88の生き残り」というだけで即座に戦闘能力の高さを信用される、88の名声というものも「さすがのカタルシス」表現に一役買っています。
ここから始まるアフリカ編は、空戦描写こそ薄くなるんですが、しんざき的にはエリア88の中でも特にお気に入りなエピソード群の一つです。一方、プロジェクト4の陰謀も、更に一段階歩を進めることになります。
「おれが思うに、パンドラの犯した罪でもっとも重いのは…一番最後に希望をだしてしまったということだ」
○エリア88 十六巻
十六冊目は、やはり何と言っても戦闘機漫画の金字塔「エリア88」の十六巻です。
この巻では、話のメインが完全にアフリカ編に移ります。
傭兵たちとともに、当初大統領を警護し、仕組まれたクーデターのタイミングで彼らを脱出させようとするシン達。一方、当初は「仕組まれたクーデター」を演出する筈が、密かに計画を変えるボッシュ。大統領たちとともに、どうやってボッシュの手から脱出するか?ここでのシン達の行動と判断は、間違いなくエリア88中盤の山場です。それぞれの特殊能力を生かして、バンバラから脱出しようとするシンたち傭兵部隊の運命は如何に。
一方の新88は、古いメンバーを失いつつ新しいメンバーも加え、静かにプロジェクト4への反撃を始めます。苦しい台所事情の中、どうにかこうにかやりくりを続けるサキの心労がしのばれる巻でもあります。サキさんマジ苦労人。
「男の尊厳か…そんなの…もってると…」「重くて…疲れ…る…ぜ…」
○エリア88 十七巻
十七冊目は、やはり何と言っても戦闘機漫画の金字塔「エリア88」の十七巻です。
この巻では、アフリカ編が一つの決着を見ます。「たった一人で千人を相手に出来る男」ボッシュとシンの戦い。熾烈を極める追跡戦と、次々に倒れる傭兵たち。88と同等かそれ以上にギリギリの戦いの末に、シンが手にした結末とは。
個人的には、この巻の主役はどう考えてもマップだと思います。メルセデス・ベンツの特殊車両「ウニモグ」を駆り、ボッシュも驚愕するほどの山岳突破を見せるマップ。シンをして「まるで戦闘機で急上昇しているみたいだ」と言わしめるその運転技術は、車漫画としても一見の価値があります。
さりげなく今後いろいろ苦労しそうなエラーに幸あれ。
一方、88側の話も動き始めます。プロジェクト4によるスエズ侵攻計画に、ブラシア空軍の救出計画。苦しい台所事情の88ですが、反撃開始です。ラウンデルと二人、頑張って88をやりくりするサキが引き続き苦労人過ぎて泣けます。
「全機装弾完了!いつでも散歩にでられます!」「30ミリ砲かついで散歩もないもんだが…」
○エリア88 十八巻
十八冊目は、やはり何と言っても戦闘機漫画の金字塔「エリア88」の十八巻です。
ブラシあ空軍を救って、プロジェクト4に一矢を報いた88ですが、その後手痛い反撃を受けることにもなります。苦しい台所事情に致命傷を受けた88に、向けられた助け舟とは。
そして、ここにきてついにシンが日本に帰国し、物語は新たな展開を迎えます。海音寺八兵衛を中心として、日本で登場する様々な重要人物。そして、シンをあきらめかけていた涼子とシンの運命が、ついに再び交錯します。このあたりの描写は、「逆転のカタルシス」に近いものがあると思います。
「さすがのカタルシス」から、追い詰められた状況からの逆転を予感させる「まさかのカタルシス」への転換。ここから、物語は「終盤」に向かって大きくかじ取りしていくことになります。
細かい話なんですが、プロジェクト4のスエズ侵攻作戦に絡んで、この巻では「エジプト」という国名が出ているのですが、後になってスエズは「タンドリア」の領土ということになってます。やっぱり実際の国名はいろいろまずかったんでしょうか。
「艦番は88!エリア88がこの艦の名前だ!!」
○エリア88 十九巻
十九冊目は、やはり何と言っても戦闘機漫画の金字塔「エリア88」の十九巻です。
エリア88、プロジェクト4、海音寺老から公安、ブラシアやシンに至るまで、様々な勢力が独自の考えで行動をはじめ、長い物語はいよいよ決着に向かって動き始めます。本格的なプロジェクト4との総力戦を前に、準備を整えようとする88とサキ達。束の間の平和を味わうシンと涼子。一方、心情的にはシンに味方しつつも、国際的な世情を考えると冷徹にならざるを得ない海音寺老。彼の述懐には一読の価値があります。
一方、なんだかんだいって戦闘機に乗ってると嬉しいミッキーたち88のメンバーのやり取りもなかなかの見どころ。キムセラコンビも継続中です。
「ウォーレン、久々の実弾演習だ、しっかりやんな!!」「へーへー、腰抜かさんよーにがんばります」
○エリア88 二十巻
二十冊目は、やはり何と言っても戦闘機漫画の金字塔「エリア88」の二十巻です。
意外なことに、このあたりから「出産」というものが、一つのテーマとして顔をだし始めます。愛と出産という言葉が、最終巻ではより重い意味をもって戻ってきます。
一方、88側では、十巻くらいぶりに「旧エリア88」が物語に再登場します。サキやミッキーたちの古巣である、壊滅後のエリア88。そこを偵察にきたキムセラコンビが目撃したものとは。若干ホラーっぽい展開が楽しめる巻です。夜間に88の様子を見に行くところなんてちょっとゾクゾクしちゃいますね。一方、「お化けが出るんだもん」のセラは可愛い。
「サキがもっとも信頼する七人」という言葉が初めて出てくるのもこの巻です。
そして、束の間の平和を満喫していたシンに、まさかの連絡が入ります。シンと、物語の中核をなす過去の事実を話し合おうとする旧知の人物とは。このことをきっかけに、いよいよシンも、物語最終盤に関わっていくことになります。そして神崎は、ついに自らアスランに入り、ゲイリー・マックバーンに命じてスエズ侵攻作戦を開始しようとします。
「枯木も山のにぎわいというだろうが!!このテの基地には、幽霊の10人や20人、アクセサリーだとおもえ!!」「メチャクチャいう人やな」
○エリア88 二十一巻、二十二巻、二十三巻
十把一絡げ、という訳ではありません。21巻から先、エリア88という漫画は疾風怒濤の展開となり、粗筋を少し書いただけでも読者の楽しみを奪ってしまうと判断出来るのです。
ただ、エリア88とプロジェクト4の最終決着、そしてシンと神崎の最終決着については、どこをめくっても山場でないシーンはない、と言ってしまっていいでしょう。ゲイリー・神崎のコンビも結構息があったいい味コンビである他、それぞれの因縁、生と死、親と子、国と国の問題についても、それまで貼られていた様々な展開が、23巻に至って見事に収束し、物語は終幕を迎えます。
ことここに至ると、話はもはや空戦だけのことではなく、陸戦、海戦、経済戦、思想戦、外交戦、すべての問題がストーリーに絡んできます。これだけの要素を話に巻き込みつつ、最終的には全てを終結させる、新谷先生のストーリー構成にはもはや舌を巻く他ありません。読まずに死ねるかレベルの素晴らしい最終盤です。
一点だけ口を突っ込むとすれば、「神崎は一体いつの間にあそこまで空戦強くなったんだ…」という点がないではないですが、まあ些末な点なので気にしなくていいと思います。あと、最後の最後のシンの上記が、まさかのX-29(本当の最後はタイガーシャークですが)だというのも物語の出色だといっていいでしょう。
21巻から先一気読みをしてしまうと、スタッフロールが頭の中で実際に動いているような感動を得られることは間違いありません。
いくつか、個人的に気に入っているセリフだけ挙げておきます。
「黙って見るしかないじゃないか。歌でも歌えってのかよ…」
「普通に生きて…普通に死ぬためにここにきたのさ…」
「あばよマーチン、荷物はアリゾナに送ってくんな!」
「88より離陸するのは本日が最後である!」
「そう…サキがこの戦いを生き残ったら…」「こんな死神みたいなジジイとは二度と取り引きはせんだろうな…」
「ラウンデル…なにか…いったか?」
ということで、ここまで長々と書いてまいりましたが、今回挙げた漫画はすべて冗談抜きで超お勧めの漫画ばかりですので、未読の方は是非とも読んでみるべきだと思います。愛蔵版でもなんら問題ありません。さあ!だまされたと思って!!!!
関連エントリーも挙げておきます。
ということで今日はこの辺で。
オンラインでしたかった