17歳少年は複数の凶器を所持…強い殺意か

大学入学共通テスト会場の東京大学で受験生ら3人が刺された事件。今回逮捕された17歳の少年ですが、逮捕時の所持品を見ていくと…

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学生服のポケットに、犯行に使用した刃渡り約12㎝の包丁。そして刃渡り約6.2㎝のツールナイフ。加えて、刃渡り約20.9㎝の折り畳み式のこぎりなど、犯行時に3つの刃物を所持。
さらには、可燃性の液体・着火剤など、殺意を認定するには十分な量の凶器を持っていたことになります。

少年の身勝手な行動により、72歳の男性が重傷,、18歳の男子高校生が入院中、17歳の女子高校生が軽傷と3人が被害にあいました。
今回の事件を受けて弁護士の橋下徹氏は、社会や学校側のサポートの徹底が必要だという一方「自己責任」を明確化すべきと話します。

橋下徹氏:
まず、被害にあわれた方には早く回復していただきたいのと、少年事件ですから刑事事件にならない限りは社会的な更生を目指していくのが第一目標になるのですが、ただあまりにも身勝手すぎて…。
いま、“自己責任”と言うと批判される風潮にあるのですが、基本的に人生は自己責任が原則であり、ただ家庭の経済環境や虐待などがあるので、そういったところはしっかり社会がサポートしなければならないけれども、自分の人生を歩む上において色々な悩みがあるのかもしれないけど、全てを社会の責任にすることは違うよってことを明確に言っていかなければいけない。
それを、自己責任っていうと、すごく冷たい言い方だから、自分の責任じゃないんだよっていう、そういう風潮に危惧しています

逮捕された男子生徒が通っていた学校はコメントを発表。

(公開された文章)
もとより勉学だけが高校生活のすべてではないというメッセージを発信してきました。
昨今のコロナ禍のなかで、学校行事の大部分が中止となったこともあり、学校からメッセージが届かず、正反対の受け止めをしている生徒がいることがわかりました。
孤独感にさいなまれて自分しか見えない状況のなかで引き起こされたものに、どのように手を差し伸べていくか、それが根本的な再発防止策であると考えます。

学校側はこのように述べていますが、今回の事件はコロナ禍が影響したと考えられるのでしょうか。
社会心理学など少年犯罪に詳しく、カウンセラーとしても活動している新潟青陵大学大学院教授の碓井真史さんに話を聞くと…

孤独を感じる原因にコロナ禍の影響も…

新潟青陵大学大学院教授 碓井真史さん:
このような無差別事件をおこす人たちというのは、一般に孤独と絶望感から生まれるって言われているんですね。
どれほどコロナの影響があったのかはわかりませんが、コロナの環境が孤独感に悪影響を与えたことは言えるかと思います

こういった事件を繰り返さないため、孤立・孤独を支援する社会的なインフラを整えるべきだといいますが、具体的にはどのように防いでいけばよいのでしょうか。

橋下徹氏:
学校は、コロナ禍でなかなかメッセージが届かなかったって言っています。
確かにそういう事情があるのかもわかりませんけれども、これはこの学校に限らず、人生を僕らが振り返ってみて、目標通り・目的通りに全てうまくいったことなんてないじゃないですか。
いろんな選択肢があるなかで、2つ目でも3つ目でもいいわけで、そういったところをもっと社会全体で子供たちにしっかり教えていくようなことを教育現場でしっかりやってもらいたい。
悩みがある子供のことを、しっかり救ってあげる基本的なところだと思うんですけどね。
ただ、原則として自己責任だよってところも、しっかり教えなければならないと思います

親・教師・友人から…受験生の心のケア

これから受験を迎える学生たちも多い今、大人がすべきことは、子供達が不安を持たずに受験に集中できるようにしてあげる対策です。
今回の事件を受けて、高校生に話を聞いてみたところ、不安の声が上がってきました。

目撃者によると、「試験会場の空気は最悪だった。みんなそわそわしていた」や、SNSでは「会場に行くのが不安になる」「来年受験を受ける身としては怖い」など、同じようなことが起こらないか不安に感じている声も多く見受けられました。

警備など今後の学校側の体制も大切ですが、今回 心が不安定なまま試験に臨まなければいけなかった受験生もいたと思います。
そういった心のケアはどのように行っていくべきなのでしょうか。

新潟青陵大学大学院教授 碓井真史さん:
一般の受験生も、犯罪予備軍の人たちも、決してあきらめないってことが大事なんですよね。
一つの目標でも希望が持てるってことが必要ですし、不安をさけるためには親から愛を感じる…そうすると不安が下がります。
先生からは力を感じるといいんですよね。今まで頑張ってきたから大丈夫だよって話を聞いてあげて、励ましてもらう。
友達からは共感を得る、不安なのは自分だけじゃないんだって感じると安心感が増してくると思います。
ある目標が達成できないと感じた時こそ、希望が必要です。
希望というのは、新しい大切な何かを見つける、そこに向かってみんなで一歩を踏み出す。
そんな気持ちになると、様々な問題が解決へ向かっていくのかもしれません

(「めざまし8」  1月17日放送)