ゴール板という名の等身大ヒシアマパネルの前を彼女が駆け抜けた瞬間、俺はストップウォッチを押し止める。出てきた秒数に彼女の仕上がり具合がきっちりと出ていて思わず小さくガッツポーズした。

「どうだ？」
「いい感じだ。これならいけるかもね」

走り終えた彼女が此方に戻って来る。汗を掻いている彼女にタオルとドリンクを渡し、手に持ったバインダーに今のタイムを書き込む。調子は右肩上がり、上々だ。

「んぐ、んぐ、ぷはぁ。よし。散々アタシをこき下ろしてた連中をぎゃふんと言わせてやんなきゃなぁ」
「ジャーニーなら、やれるさ」
「ん」

返事は簡素だが彼女の尻尾はパタパタと左右に揺れている。タイムが良かった事が嬉しかった様で俺も嬉しくなる。

「じゃあ今日はもう上がろうか。いつも通りクールダウンとストレッチお願いね」
「うぃーっす」

ドリンクを俺に投げ渡し小さい手をひらひらと振ってコースに戻っていく彼女。その背は小さいながらも余裕が見え、より逞しくより頼もしくなったと思える。前のトレーナーから担当を移管された時は毎日が冷や冷やものでどうなる事やらと思ったものだが。諦めず根気強く信頼関係を築いていった成果が今実を結んでいるのだと実感する。俺は機材を片付けながら彼女と初めて出会った時の事を思い出していた。

噂には聞いていた。担当トレーナーを悩ますウマ娘がいると。曰く、トレーナーの言う事を聞かない困り者だと。曰く、気に入らない事があれば暴れてトレーニングもサボるじゃじゃウマ娘だと。曰く、身体が小さく走るのか分からないが、その末脚には光るものがあると。そして彼女がクラシック戦線を終えた頃、彼女のトレーナーである俺の先輩から話を持ち掛けられたのだ。

「お前、俺のチームのウマ娘を担当してみないか？きっとお前となら気が合うし上手くやれる。俺の直感だけどな」

遣り手な先輩のチームはかなり大所帯で、担当するウマ娘の数も多い。その中から1人俺に担当を移管するという話。俺もサブトレーナーから一人前になったばかりで担当も居なかったし、先輩トレーナーに持ち上げられて気を良くして即決した。

紹介されたのは、前述の噂の主だった。

「彼女がドリームジャーニー。そして彼が君の新しいトレーナーだ」
「………………」

初めて顔を合わせた噂の主は不機嫌そうな顔を隠しもせず、両手をポケットに突っ込んでそっぽを向いたまま何も言わなかった。それでもなんとか歩み寄ろうと挨拶し握手を求めると。

「よ、よろしくな。ドリームジャーニー」
「…………んあ」
「へ？」

ガブゥ、と差し出した手に思いっきり噛み付かれたのだった。

「いっ、ってぇぇぇぇぇええええええっ！！？」
「ふん」

まぁ、正直初対面の印象としては最悪だろう。これの何処と気が合って上手くやれると思ったのか、と内心尊敬していた先輩を軽く疑った程。俺は軽くOKした事を既に後悔していた。

まぁ、それから色々ハラスメント違反になりそうなはちゃめちゃでめちゃくちゃな日々を過ごし、彼女の傍若無人振りにも慣れて今ではどうにかこうにか担当ウマ娘とトレーナーという関係を維持できている。なんとも涙ぐましい俺の献身と犠牲によって。あ、泣きそう。


「ふぁ……へぷちゅっ」


可愛らしいくしゃみの音で現実に引き戻される。音の発生源は俺の隣、トレーナー室に一緒に向かう彼女からだった。鼻を押さえた彼女は如何にも寒そうにぶるりと身震いを一つ。

「寒いか？」
「っ、見てんじゃねーよっ」
「あだっ！心配したのに酷い！」

彼女に脛を蹄鉄付きのトレーニングシューズで蹴られ悶絶する。痛む脛を庇いつつトレーナー室に並んで向かうも、やはり寒そうに腕を抱き摩る彼女。春先といえど陽の落ち始めたこの時間はまだ肌寒い。

「これでも着なよ。早くトレーナー室に戻ろうか」

流石に見ていられず、とりあえずトレーナー室まで寒さが和らげばと思って着ていたパーカーを脱いで渡す。彼女は驚いたのか少し目を見開いて俺とパーカーを交互に見た後、黙ってパーカーを受け取り羽織った。

平均身長の俺のパーカーも勿論Mサイズなのだが、口が裂けたとしても本人には絶対に言えない程背の小さい彼女が着れば袖やら裾が余りまくる状態だった。袖なんかまるでアグネスタキオンの勝負服の様だ。そんな事を彼女を見ながら思っていたら余った両の袖口を顔に寄せる彼女。そんなに寒かったのか、と心配したのも束の間。彼女が発した言葉は。

「加齢臭がする」
「嘘ぉ！？」

ある程度歳を重ねた男性にクリティカルヒットする単語だった。

「くっさ。まじくせぇ。ありえねぇ」
「嘘だ……気をつけてはいるのに……俺はまだそんなんじゃ……」

言葉という槍でドスドスと刺される俺のHPは最早ゼロ。トレーナー室へと向かう彼女の後ろを幽鬼の如くフラフラとついて行くしか出来なかった。


「……んへへ」


それから上着やらTシャツやらYシャツやらを度々追い剥ぎされ、忘れた頃に返却されるというのが俺と彼女の日常になっていった。因みに返却された服は律儀にも洗濯されていて、後日何気なく着ると彼女愛用の柔軟剤なのか甘い香りが漂ってきて、その日1日そわそわとどこか落ち着かない気持ちになるのは秘密だ。

姉貴へ向けるカワイイ気持ちを表現しました
姉貴に萌え袖して欲しい

後絵「」が素晴らしい姉貴を描いてくださったのでスレ画にお借りした
ありがとう絵「」これで後十年は戦える

ドリジャの頃はまだ若かったろ！

ドリジャの怪文書ありがたい…

幻覚ウマ娘独占力ステークス

>ドリジャの頃はまだ若かったろ！
このトレーナードリジャが初っぽいしikzeソウルはパーカーだけじゃない？

ドリジャってそんなにやばいの？

まあトレーナーなんてどんなに若くても２０代半ばのおじさんおばさん（生徒比）だからな

>>ドリジャの頃はまだ若かったろ！
>このトレーナードリジャが初っぽいしikzeソウルはパーカーだけじゃない？
大所帯な先輩トレーナー…

>ドリジャってそんなにやばいの？
舎弟を真面目扱いする奴が名指しで「ヤバイ」というくらいには

>ドリジャってそんなにやばいの？
殺人疑惑がある

>殺人疑惑がある
未遂だよ！

>>殺人疑惑がある
>未遂だよ！
殺人未遂を起こす馬はどっちみちヤバイのでは？

>まあトレーナーなんてどんなに若くても２０代半ばのおじさんおばさん（生徒比）だからな
奈瀬でした。とかはもっと若そうだから…

卑しいっスね姉貴マジ卑しいっス

※なおこの怪文書に登場する人物・ウマ娘・団体は現実に存在するものとは一切関係ありません

>※なおこの怪文書に登場する人物・ウマ娘・団体は現実に存在するものとは一切関係ありません
嘘だッ！！！

妹はオンオフある
姉は常にキレてる

小柄な馬体でボスを張ってたキレたナイフ

>卑しいっスね姉貴マジ卑しいっス
ブーメラン飛んでるぞ

こんな子が最後は走って走って燃え尽きて走る気持ちが残って無いって言われて引退するんだよな…

>「くっさ♥ まじくせぇ♥ ありえねぇ♥ 」

>小柄な馬体でボスを張ってたキレたナイフ
ジョーダンを舎弟にしてたんだったか

でもね
妹が日本競バを語るにおいて欠かせないぐらいの存在になって誇らしく思ってるような可愛いところもあるんですよ

>こんな子が最後は走って走って燃え尽きて走る気持ちが残って無いって言われて引退するんだよな…
美しいですよね…

最近ドリジャの幻覚がないか探しがち

>こんな子が最後は走って走って燃え尽きて走る気持ちが残って無いって言われて引退するんだよな…
オルフェが三冠に登り詰めた時にはもうボロボロだったのがな…年は被ってたのに兄弟対決が実現しなかった…

>最近ドリジャの幻覚がないか探しがち
さぁ書こう怪文書
描こう幻想絵

これトレーナーよく死んでねぇな…？

>オルフェが三冠に登り詰めた時にはもうボロボロだったのがな…年は被ってたのに兄弟対決が実現しなかった…
オル……姉ちゃん次の有馬まで……保ちそうにねぇわ
…………………ごめんな……

このトレーナー常にどこかに噛み跡ついてそうだな…

>オル……姉ちゃん次の有馬まで……保ちそうにねぇわ
>…………………ごめんな……
こんなの聞いたら優勝するしかないよね…

聖剣先輩もスイープも舎弟もいなくてドリジャ単体のは珍しい

fu714722.txt
前話までのtxtあげるのだ

宝塚記念を最後に現役を諦めて秋からはレースのたびにスタンドのオルフェ応援集団の最前にいそうな姉貴

>宝塚記念を最後に現役を諦めて秋からはレースのたびにスタンドのオルフェ応援集団の最前にいそうな姉貴
ちっこいからトレーナーの肩車で観戦してるんだよね

>>宝塚記念を最後に現役を諦めて秋からはレースのたびにスタンドのオルフェ応援集団の最前にいそうな姉貴
>ちっこいからトレーナーの肩車で観戦してるんだよね
(トレーナー…後でkrs…)

>宝塚記念を最後に現役を諦めて秋からはレースのたびにスタンドのオルフェ応援集団の最前にいそうな姉貴
クラシックで有馬優勝するオルフェ見て我慢出来ずボロボロ泣くのをトレーナーから隠して貰うんだよね
妹が勝ったのは嬉しいけど同じターフで祝ってやれないのが凄く悔しくて辛い…

んもーそうやって「」はすぐ可愛い子を美しくさせたがるんだから

オルフェのズタボロの天皇賞春からの復活の宝塚で最後に一緒に走って欲しい
ただこのトレーナーはアプリトレみたくドリジャ専任っぽいからオルフェは担当しないかもしれない

>んもーそうやって「」はすぐ可愛い子を美しくさせたがるんだから
はー？
オルフェ有馬で本当に芸術になってるのはシオンですが自重してますが何かー？

もしかしてドリジャに喧嘩売ったエピファネイアってかなりの命知らずなのでは…

>はー？
>オルフェ有馬で本当に芸術になってるのはシオンですが自重してますが何かー？
シオンは…馬生全部が一つの芸術というか…

>はー？
>オルフェ有馬で本当に芸術になってるのはシオンですが自重してますが何かー？
自重してないで早くその芸術を怪文書としてお出しして欲しいんだが？お願いしますなんだが？

>もしかしてドリジャに喧嘩売ったエピファネイアってかなりの命知らずなのでは…
ようやくお気づきになられたプイ？

トーセンジョーダンにボス馬格負けした話ってホントなの？

>>もしかしてドリジャに喧嘩売ったエピファネイアってかなりの命知らずなのでは…
>ようやくお気づきになられたプイ？
エピアンチ来たな…

>もしかしてドリジャに喧嘩売ったエピファネイアってかなりの命知らずなのでは…
はっきり言って話聞く限りドリジャの気性はミニマムセントサイモンだからな…
ガタイが小さいからマシだけど動き封じて首噛むわドツくわかなり攻撃性ある
完全に異常者であるヘイローよりマシという程度でしかない

このトレーナーならオルフェとかカレンとかスイープとか聖剣先輩もそれぞれ別の一心同体トレーナーがいた方が個人的には好み

ごめんトレーナー…信じてくれたのに…もうアタシ、走りたくないよ…

>自重してないで早くその芸術を怪文書としてお出しして欲しいんだが？お願いしますなんだが？
駄目です
観客席から光のない目で優勝したオルフェと次着のフラッシュを見てるのだけ想像してて下さい

>ごめんトレーナー…信じてくれたのに…もうアタシ、走りたくないよ…
あんなに気性難だったドリジャに泣きそうになりながらこれ言われたらトレーナー号泣しちゃうよ…

夢の旅路なんて俺のただの自己満足だったんじゃないか？
ってところに路を受け継いだ最高の金細工が現れるんだ…

昔から小さいから舐められがちでやり返していくたびに突っ張った性格になったとか
妹も一緒に虐められそうになったから周りに噛み付かざるを得なかったとか
そんな感じのドリジャ姉貴なら妄想したことはある…

>昔から小さいから舐められがちでやり返していくたびに突っ張った性格になったとか
>妹も一緒に虐められそうになったから周りに噛み付かざるを得なかったとか
>そんな感じのドリジャ姉貴なら妄想したことはある…
いいじゃないか…(ﾆﾔﾘ

ある時ふとドリジャとオルは俺の事恨んでるかもしれねぇな…とか言い出すキンイロリョテイ

姉貴ーーーーーーーー！！
後はウチに任せとけーーーーーー！！！
路はウチがどこまでだって伸ばしてやるっスよーーーーー！！！
って宝塚で勝った後に座席に隠れて泣いてる姉ジャに向かって舎弟が叫ぶんだ…

剥ぎ取った服を何に使ってるんだろうな…

>姉貴ーーーーーーーー！！
>後はウチに任せとけーーーーーー！！！
>路はウチがどこまでだって伸ばしてやるっスよーーーーー！！！
>って宝塚で勝った後に座席に隠れて泣いてる姉ジャに向かって舎弟が叫ぶんだ…
なんて美しい姉妹愛でしょうか
実況する私も目から涙が止まりません

>って宝塚で勝った後に座席に隠れて泣いてる姉ジャに向かって舎弟が叫ぶんだ…
そんな感動の有馬から年が開け3月18日
想像だにしなかった恐るべき事態に──

>>って宝塚で勝った後に座席に隠れて泣いてる姉ジャに向かって舎弟が叫ぶんだ…
>そんな感動の有馬から年が開け3月18日
>想像だにしなかった恐るべき事態に
阪　神　大　笑　点

>剥ぎ取った服を何に使ってるんだろうな…
寝巻きかひとりぴょい用かな…

>No.887323784
ウワーッ！？

>1642265931808.png
（歪む手すり）

目がイってる…

スレ画の幻覚も結構見るようになってきたな…

えっちな姉貴はいくらあってもよい