蒼と茜の混ざった不気味な空。
吹き抜ける冷ややかな風が、オレの体をブルブルと震わせる。
「この時間だと、まだ少し寒いんだな……」
部屋を出てからの第一声がそれだった。
春の盛りだから日が昇ればすぐ暖かくなるだろうと高をくくっていたが、全然そんなことはなかった。地球温暖化が危惧されている現代社会も、まだまだ捨てたものではないのかもしれない。
時刻は六時過ぎ。当たり前だが、ほとんどの学生は起床前で、恐らく今も新調のベッドでスヤスヤと眠っていることだろう。
そんな中、どうしてオレは既に登校しようとしているのかと言うと、原因は昨日できた盟友にある。
昨夜、恭介との電話を終えた後、夕食や入浴、荷物整理まで済ませ、この寮のベッドの寝心地を堪能しようと意気込んだ矢先だった。
一通のメール受信通知。
感動的な友人獲得イベントを迎えたと言えど、依然コミュニティが井の中レベルなオレの端末に登録されている連絡先など二人しかいない。加えて、その片割れは迂闊に他人にメッセージを送ってくる確率が天文学的数値である堅物少女。となれば、可能性は一つだ。
端末を開き確認すると、画面に映った文面はごく短い簡潔なものだった。
『何時起床』
――漢文かよ。
実際に彼と話した経験があるやつなら目から鱗だろう。宙に浮いたようなジョークと間延びした語尾。柔らかすぎて骨組すら失っているようなゆったりとした口調が特徴の彼からは想像もつかない。必要最低限の情報だけが込められた無感情な文字列。
せめて疑問符くらいは省略しなくてもよかったのでは?
やはり彼は、デジタルの世界でも魔訶不思議な少年のようだ。
とは言え彼の聞きたいことははっきりと伝わっているので、妥当な返事をする。
『大体七時くらいに起きようと思っている』
数十秒待つと更に返信が届いた。
『六時?』
――お前は平仮名を使えない呪いにでもかかっているのか?
何だろう、凄い違和感。これを打っているのが鈴音だと言われればまだ納得ができる。
これはきっと、六時に起きることはできるのかと聞いているのだろう。
『六時に一緒に登校したいということか? 別にいいけど、どうしてだ?』
『是。別に』
――いや、『是』って……。
一般男子高校生ってチャットで肯定の意を示す時に『是』なんて打つのが当たり前なのか? オレが所謂チャットマナーを理解していないだけ?
それに、申し出の理由も『別に』だけとはこれ如何に。
痺れを切らし、真意を確かめるべく電話を掛ける。
「ん、どした?」
応答したのは数刻前に聞いたのと確かに同一人物の声だった。良かった、精神異常や乗っ取りの類ではなかったようだ。
「恭介、お前の送ってきたメッセージについてなんだが……」
「おー、簡潔明瞭、実にわかりやすかっただろう?」
「いや、それはその通りなんだけど……他の高校生もみんなああいう文体なのか? オレはこういうのには疎くてあまりよく知らないんだが」
これを肯定されてしまうといよいよこの先の高校生活が心底恐ろしくなってくる。放課後や休日の連絡のやり取りがオレにとってかなり難儀なものとなるだろう。
「いんやー、そんなことはないんじゃないか? 僕はただフリック入力に指動かすのがメンドイなって思っただけだから。君なら多分伝わるだろうし」
「どこからそんな信頼が湧くんだ……」
素直に喜んでいいのか判断しかねる信頼だ……それに、指の労力すら抑えたいって、流石恭介、省エネに余念がない。だが、今はそれよりもオレがチャットについて非常識というわけではなかったことに安堵するべきか。
「それで、どうして六時に登校したいんだ?」
「特に理由はないけど、毎朝教室に一番乗りするって何だか気持ちよくないか? 早起きは三文の徳って言うしなー」
なるほど、まあ言いたいことはわからなくもない。簡単な例を挙げると、早起きの習慣がついていれば目覚めもよくなり、朝イチの授業も集中して受けられる。授業態度もある程度Sシステムの評価に響く可能性が否定できない点で、得はあるのかもしれない。
「わかった。じゃあ六時頃にロビーで落ち合おう」
「オーケイ! ほんじゃまた明日なー」
「ああ、また明日」
初めて交わした、約束。打算や思惑のない未来への行進。
普通の子供なら全く他愛のないやり取りだったのかもしれないが、オレにとってはひどく新鮮で、この日何度目かわからない高揚感を覚えていた。
話を現在に戻そう。そういうわけでオレは、自分の体を軽くさすりながらエレベーターに乗り込んだ。
ブオオオオンと、重い機械音だけが、狭い箱の中で反響する。あの忌々しい無音無色な箱と、どちらの方が心地良いか。自問するまでもないな。
やがて液晶に『一階』の文字が表示され、ロビーと接続された扉が開く――。
「……っ!」
目の前に広がったのは、白い床と壁と、そして天井だった。
どういう、ことだ? 何故、どうして……?
あまりに非現実的な体験に動揺する。これは、夢? 回想? 幻覚?
ハッと気が付くと、自分の正面に堅く閉ざされた扉が現れた。
現実で開くことなど、逃げ出すまでには一度たりともなかった、開かずの扉。
……一度も?
漫然と思い浮かべた言葉に疑問を持つ。何故疑問に思ったのかわからない。
その時だった。ウィイイインと、直前に聞いていたエレベーターのものよりずっとあっさりとした機械音が鼓膜を通る。扉が開いた。
眩しい光に思わずたじろぎ、手の平で遮る。
何だ。何が、見える……?
期待、不安、好奇、恐怖。珍しく、感情が複雑に入り混じる。
……そういえば、この感情は、元々オレに宿っていたものだったか?
あの完全閉鎖の環境で芽生える情緒など、あり得るのか?
オレはもしかして、
「おはよう、清隆」
酷い頭痛と間延びした抑揚のない声にハッとする。そこでようやく、オレは自分の意識がはっきりと現実に戻ったことを悟った。
エレベーターの扉は、既に開いていた。
「どうした。開所恐怖症にでもなったか?」
目の前には、シンパシーによって
「……それを言うなら、広場恐怖症だろう?」
「あっはは、博識だなー」
そう言って、彼はこちらに近づいてくる。
「まあどっちにしたって心配ないさー」
躊躇うこともなく、エレベーターに入り込み、オレの背後に回る。
「君がそうやって独り怯えて出られなくなっても」
ちっとも格好つけない調子で飄々と言葉を紡ぎ、オレの背中を優しく押す。
「――こうやって僕が、側で君の足を支えるからさ」
その言葉と共に、オレたちは二人揃って箱から降りた。
「なーんてなー」
間もなくして、無人となった昇降機の扉は閉じ、再び上昇していった。
思わず呆然としてしまう。自分の身に一体何が起こったのか、生憎オカルトは専門外だ。
ただ、恭介が物怖じせずこちらの懐に踏み込んできた時、オレの背中に手を添えてくれた時、そして何より、寄り添うような言葉を掛けてくれた時、間違いなくオレの心は弛緩した。
同時に、どこか懐かしい感慨を覚える。自分の中にある何かが共鳴するような、奇妙な感覚。
判然としないが、オレはこの事実を喜ばしいことなのだと直感する。
「……そうか、ありがとう」
だからオレは、今はまだ中身の薄い、感謝の言葉を吐き出した。
この時のオレは、自分がどんな顔をしていたのかわかっていなかったが、オレの返しを受けて恭介がとても嬉しそうにしていたことだけは、とても印象に残っている。
マズイことになった。
いや、偏にマズイと表せる状況かはわからないが、何となく気まずい。
あの後オレたちは見事トップツーで教室にたどり着き、小さな優越感に浸りながら鈴音を待っていた。
彼女が到着し次第手短に伝えるべきことを伝え、そのまま話は今後の方針へ。最終的に平田へ委託(という名の押しつけ)を試みることになったのだが……。
『……鳴っちゃったなー。まあ焦らず放課後にでも言えばいいんじゃないか?』
『……そうね、また後にしましょう』
あの時感じた違和感は、何とも形容しがたいものだった。
オレには事なかれ主義という崇高な信条がある。ほんの少し知恵を貸してやることは致し方なしと甘受するが、目立つ行動はNGだ。
ただ、恭介の歯切れの悪い反応には少々驚いた。
オレはてっきり、彼は鈴音に協力するものだと思っていた。昨夜の電話での羅針盤宣言があったからだ。羅針盤は知っての通り方角を指し示す物。視野の狭い鈴音に別の道を指摘する役割を担うという意味だったはず。
それに、断るにしてももっとキッパリと断るだろうとも思っていた。彼はオレと似て面倒事を嫌う。クラス規模の抗争ともなれば、最前線に立っているだけでもかなり精神を削られそうだ。おまけに盟友であるオレが協力しないと宣言している。こちら側に賛同する可能性も考えていなかったわけではない。
しかし結果はそのどちらでもない、半ば先延ばしという形だった。恐らくチャイムが鳴っていなければ、鈴音はあのまま平田の下へと向かっていたことだろう。その場合どうなっていたか……。
中国の小説に『故郷』という作品がある。1900年代に活躍した魯迅の代表作だ。
その物語の主人公は、生家の家財の引き払いという目的で二十年ぶりに帰郷する。かつての見る影もない荒廃してしまった景色や人々の様子に失意の念を覚えるが、やがて兼ねてより楽しみにしていた旧友との再会にありつける、という一幕がある。しかし彼らには地主と小作人という身分の差があり、大人になってしまった旧友はその壁の存在を悟ってしまい、昔のような無邪気な付き合いが出来なくなってしまっていた。
立場の違いは、意図せず人と人との間に溝を掘っていく。今は些細なことだと吐き捨てられても、気が付いた時には元の関係に戻れなくなっているなんてケースはざらにあるだろう。
恭介はもしかしたら、それを恐れていたのかもしれない。柄にもない行動は、その優しさ故だったのだろう。
……しかし、どうしてこんなにも胸がざわつくのだろうか。
初めは恭介に気を遣わせてしまった罪悪感か何かかと思ったが、どうにも納得できない。
何かを嫌悪するような、悲しみに近い感情。
――オレは、何かを迷っている?
存外オレは、恭介たちの気まずい空気に飲まれてしまっているらしい。
しかし――。
ある意味思春期らしいとも言えようその苦悩を、どこか嬉しく感じる自分もいた。
それからは昼休みに学食という新体験を果たしたこと以外取り挙げる事柄もなく、オレたち三人は部活動の説明会に足を運んだ。
隣には恭介が立っており、鈴音は少し離れた位置にいる。彼女の耳に触れないこのタイミングなら、彼が何を考えているのかもう少し詳しく教えてくれるのかもしれない。
意を決して、オレは話を切り出した。「どうするつもりなんだ?」
「何のことだ?」
惚けているのか本当に察せていないのか、彼はケロッと応じる。
「さっきの件だ」
「どうするも何も、僕らはお役目御免って話だったろう?」
「今のお前が本当にそう思っているとは思えない」
本心を伝える。あくまでそう思うというだけの話だ。勿論本当に彼女に協力するつもりがないという可能性も否定はできない。
「迷っているんだろう? ――お前がどちらかに賛同すればもう一方は孤立することになる。――板挟みになって葛藤する気持ちはわかる」
友人として、ましてやオレの人間関係を思って気遣っているのであれば、大変申し訳ないことだ。たった一日とは言え、彼はオレに大きな勇気を与えてくれたのだ。本人に自覚はないのかもしれないが、これ以上迷惑をかけたくないし、オレ自身負い目を募らせたくはなかった。
「オレのことを気にかけてくれるのは嬉しいが、無理に合わせなくてもいいぞ。鈴音も危なっかしいところがあるから、お前がいた方が心強いはずだ。だから――」
「違うな」
――しかし、オレの言葉を遮った一言は予想だにしないものだった。
「何?」
「僕はそんなできた人間じゃないってことだ」
そんなできた人間じゃない? どういうことだ。Dクラスに配属されたことを言っているのだろうか。
少なくとも、彼の人間性に問題があるとは思えなかった。ボッチルートまっしぐらだったオレに寄り添ってくれた時点で、寧ろ優れているはず。平田や櫛田に対してなら兎も角、オレに打算的な理由で近づくことはまずないからだ。
身体能力も申し分ないことは既に把握している。となれば、学力か? いやしかし、頭が悪いだけでそこまで卑屈になるものだろうか。オレがそんなことで軽蔑するような心ない人間には見えるのであれば話は別だが、これまでの対応からしてそれはないとわかっているはずだ。
そもそも、『違う』とはどういうことなのだろう。全く以て理解できない。
恭介は、オレたちの関係について悩んでいるわけではなかった……?
ならば彼は、何をどうして迷っているのだろう。
刹那の思考の中、オレは終ぞ答えを見出すことはできなかった。
これも、オレに欠けているものが原因なのだろうか。
そこまで思案したところで、体育館の空気が一変する。壇上に視線を移すと、細身だが威厳を感じる佇まいをする眼鏡を掛けた男が見えた。
「生徒会長の、堀北学です」
その自己紹介を聞き反射的に鈴音の方へ目をやると、後ろ姿で表情はわからなかったが、足がすくみ小さく震えているような気がした。隣で物憂げに彼女を見つめる友人を見るに、オレの分析は正しいはずだ。
――二人にあって、オレにないもの……。
突然自分だけが取り残されるような感覚に襲われた。頭を振って、思考を切り替える。
悩んでこその思春期と言うのであれば、それを解決する手段はどこにあるのだろう。パッと思いつくのは自力で模索することだが、オレはつい昨日恭介と手を取り合う形でミッションを達成している。
そして、今朝の恭介の発言。
『――僕が、側で君の足を支えるからさ』
彼がオレに新たな兆しをもたらしてくれたように、オレにも、誰かを支えることはできないだろうか。他人に触れたことのなかったオレなんかに。
彼がオレにそう思わせてくれたように、オレも、誰かに心からの『ありがとう』を言ってもらうことができるだろうか。虚無な本質しか持たない、オレなんかに。
いずれにせよ、オレの中には、たった一つの確信があった。
今の自分に欠けている何かを見出す時、そして、それを手に入れようと願った時。
きっと、恭介の存在が不可欠だ。
その夜、オレは自分の部屋で、今日の出来事を昨日と照らし合わせながら思い出していた。
あの後も、鈴音と口論になったり櫛田と初邂逅&お悩み相談をしたりとイベント三昧だった。
昨日の終わりは、あんなにも期待で満ち溢れていたのに、たった一日で、雰囲気も感情もガラッと様変わりしたものだ。
だが、何もそのことを偏に忌み嫌いはしない。
彼女たちのおかげで、自分の中に芽生えたものの正体を垣間見ることができたのだから。
オレはどうやら、恭介のことを貶されて『怒り』を覚えていたらしい。
他人に対してそれ程強い感情を抱いたという事実に、我ながら驚きを隠せなかった。
自分が何かを識る時、そこには必ず恭介の存在があった。基本一緒に行動していたのだから当然なのだが、例えばこれが鈴音であったら、これ程までに揺れ動くことはなかっただろう。彼だったからこそ、オレに変化の兆しが生まれた。そのことについて、感謝しかない。
しかし忘れてはならないのは、決して恭介だけのおかげではなかったということだ。彼を通じて鈴音と触れ合い、彼らとのズレを櫛田に相談したことで気づきを得たのだから。
人と人との繋がりが、理性では測り切れない結果をもたらす。
昨日のように鮮やかなものもあれば、今日のようなわだかまりに近いものもあるのだろう。
しかしそれさえも、オレは識らなかった。
……そうだ。あの時胸につっかえていたもの――オレは、羨ましかったんだ。
今日彼の思いつめた表情に気付いた時、オレは一つの悲しみを覚えたのだ。
あの時オレは、恭介はオレたちと無縁の何かによって思い悩んでいるということを理解した。
彼にはきっと、積み上げてきたものがあったのだ。だから今も苦悩している。
だけどオレには、何もない。自分を戒める過ちも、後押ししてくれる功績も。
人はそれを、『思い出』と評するのだろう。
オレが思い出だと誇れるのはこの二日間だけ。たったそれだけで、オレに何ができる? これからの高校生活に光を見出せるのだろうか? 途端に不安になり、自分のことが虚しく感じられた。
彼らのことを理解したい。自分の中で沸々と湧き上がってくるものの正体を理解したい。一種の知識欲や好奇心のような、不思議な感覚。自分から何かを学ぼうとすることなど、これまで一度もなかった。
そのためには、恭介と、そして鈴音の存在が必要だ。他の選択肢があったとしても、それが最適解、だと思う。
しかしオレたちは、Sシステムという不可解極まりない仕組みによってギクシャクし始めている。
恐らく鈴音は、オレたちが何を言ってもクラス対抗戦でリーダーを張る意志を曲げないだろう。それこそ、孤独を選ぶことも覚悟しているかもしれない。
更に言えば、オレ自身が目立つことを好んでいない。明らかに彼女と相反する考えだ。
ここで一つ、疑問が生じる。
『すべき』ことと『したい』ことが噛み合わない時、人はどうすればいい……?
きっと、答えなど誰も教えてくれない。こればかりはオレに限らず、万人に言えることなはずだ。
行動に移せば、オレの安寧にヒビが入るかもしれない。しかし静観すれば、手繰り寄せたものは急速に離れて行くだろう。
オレは一体、どうすれば――。
初めての苦悩を前にして行き詰まり目を閉じた、その時だった。数少ない、過去の記憶が瞼の裏に映ったのは。
『力を持っていながらそれを使わないのは、愚か者のすることだ』
色も、言葉も、心もない、無機質な世界で、『覚えろ』と命じられたから覚えていただけの言葉。
マイナスな感情すら抱いていたはずのそれが、何故か今この瞬間、ストンと胸に落ちた感覚がした。
――ここで何もしなければ、オレは本当に愚か者になる。
この機を逃せば、オレは次第に元に戻っていてしまうような気がした。恭介と鈴音との関係は歪になり、惰性で続くだけの哀れな繋がりになるような気がした。
嫌だ。
いいようのない嫌悪。受け入れがたい仮定。
それが自分の中で明確なものとなった時、オレは改めて、失いたくないものができた、手に入れたいものができた、と強く実感した。
ああ、何だ。忌避していようと、あの部屋での日々が『ルーツ』であることには変わりないということか。
やはりオレは、変わりたいと願っている。
事なかれ主義を掲げていたついこの前と、明らかにオレの心中は変化している。今思えば、その事実にどこか怯えていた節があったように思う。
しかし、それももう終わりだ。
僅かに残されていたオレのルーツを照らし合わせて、オレは……。
オレは、『選択』した。
――今だけは、お前の言葉に乗せられてやる。
自分の端末をポケットから取り出し、連絡帳を開く。
柄にもなく、不安定な希望を信じて、ゆっくりと、足を前に。
少しずつ、光を掴み取るんだ。
変化はもう怖くない。
この先期待する道のりは、きっとオレにとっての進化になる。
無機質なコール音が途切れるのに合わせて、オレはこれから向き合う相手の名を呼び掛けた。
「もしもし――鈴音」
冒頭から新規カットを入れておきました。
「なんちゃって」って言ってたからマシだけど、二章のオリ主見ていると全くこの時の言葉と反してるやん。
オリ主の過去話について(どれになっても他の小話もやるよ)
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止まるんじゃねぞ(予定通り,10話超)
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ちょっと立ち止まって(せめて10話以内)
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止まれ止まれ止まれ…!(オリだけ約5話)
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ちょ待てよ(オリキャラだけ,3話)
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ムーリー(前後編以内でまとめて)