見た目は普通のコロッケだが、一口食べた瞬間に違うと気づく。外はサクサクだが、中はしっとりとして滑らか。今までに経験したことがない食感だ。口の中にはさっぱりしたサトイモの味が広がり、揚げ物とは思えないほど癖がない。
塩谷町の「しおやブランド」にも認証されている「里芋ふらい」。つぶしてもぬめりが少ない町内産のサトイモを刻んでふかし、塩コショウで味を調えて、からりと揚げて作る。
店主の高橋孝男(たかはしたかお)さん(67)は町の特産品を多くの人に味わってもらおうと、1年ほど前に定食を作った。「素材の味を生かすため、余分なものは加えないようにしている」と明かす。
定食は70グラムほどの里芋ふらい2個のほか、ご飯、刺し身、小鉢、うどん、デザートが付いて、ボリュームも十分だが、年配客の注文も多いという。
高橋さんは千葉県のホテルなどで修業を積んだ後、宇都宮市で約13年、和食店を経営。「生まれ育ち愛着のある塩谷町に貢献したい」と決意し、1996年に地元に戻って店をオープンした。
「今までにない素材だと思うので、ぜひ一度食べてほしい」と話す高橋さん。地域を盛り上げたい熱い思いがにじむ一品だ。
◆メモ 里芋ふらい定食は950円(税込み)▽塩谷町田所2454の21▽営業時間 午前11~午後2時、午後5~7時▽休み 月曜、木曜夜(臨時休業あり)▽(問)0287・45・0656。