お話をいただいたときはすごくうれしかったのですが、大河ドラマというものへの出演の重みを感じ、簡単にお引き受けできるものではないと思いました。大河ドラマは一つの覚悟を持って臨む作品づくりだと思います。作り手である脚本家さんや演出の方などが作品をどういう方向に持っていくかによって歴史上の登場人物は大きく変わっていく。下手すると歴史認識が変わってしまうくらいの影響力があるかもしれないと思っています。
大森美香さんの脚本を読ませていただいて、徳川家康さんが語り部で登場したり、吉沢亮くん演じる主人公と江戸パートの二つの軸が同時に描かれたり、すごくおもしろいと感じました。井伊直弼は第4回から登場し、メインは第8回、第9回なのですが、最初から台本を読み込まないと「やらせてください」とは言えないのが大河ドラマなので、第1回から読んで、出演を決めました。出てくるのが50回じゃなくてよかった!と思いました(笑)。
斉昭役の竹中直人さんとは、今回初めて同じ演技の場に立たせていただきました。何年か前に僕が演出した舞台に、竹中さんにご出演いただいたことはあるのですが、そのときは演出家と俳優の関係でした。今回、斉昭のセリフを通じて竹中さんのあの深い声を間近で聞いたときはとても感動しました。
井伊直弼と斉昭は、激しく衝突するという関係性ですが、目の前でバトルが起こるというわけではなく、一緒のシーンはそこまで多くはないんです。そういう大森美香さんの脚本もとてもおもしろいと思いました。
井伊直弼はずっと相当なめられていましたからね。それが大老となって斉昭をギャフンと言わせている。見くびられていた人間が何かのスイッチを入れると、非常に怖いということですね。
『青天を衝け』の井伊直弼は、僕が思い描いていた大老・井伊直弼のイメージと全く違っていて、すごく惹(ひ)かれました。
もともと思い描いていたのは強烈なヒールのイメージ。非常に能面的で無表情な井伊直弼です。そういう井伊直弼がこれまでの大河ドラマでたくさん登場してきたと思うのですが、今回はヒールのイメージなどなく、本当にチャーミング。どちらかというと熱心に茶道を学んで“茶歌ポン(ちゃかぽん)”とあだ名を付けられるような人物像です。 そして、いまは、『青天を衝け』で描かれているこの井伊直弼が本当だったのではないか?と思っているほど、まんまと台本に乗せられています。
どんなにイメージが違っても、桜田門外の変で殺されるという結末にたどりつくことは変わらないのですが、そこにたどりつくまでの印象が全く違う。演じる人間としては、回を重ねるごとの演技のさじ加減が非常に難しくもあり、楽しかったです。監督ともたくさん相談しながら演じました。
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