お話をいただいたときはとってもうれしかったです。大河ドラマは1年という長きにわたり一つの役を演じられるのがとてもロマンチックですからね!「最後まで出るのかな?」と尋ねると、途中で亡くなるということで、とても切なかったです。
息子・慶喜を演じる草彅くんとは初共演でしたが、「輝かしい我が息子だ!」と心から思えました。我が息子だと思うと自分と接していないときでも「いまこの時、我が息子はいったい何を感じて、何をしているのだろう?」と気になってしまう。本能的にそう感じることができました。斉昭の妻・吉子を演じる原日出子さんとも久しぶりの共演でしたが原さんのたたずまいに圧倒されました。
斉昭は日本を頑(かたく)なに愛した男です。国を一切開かないことに命をかけている。そこまで我が国を愛せることは、周りから疎ましがられたとしても、自分を貫くすばらしい精神だと思います。
僕は演じる日々が長ければ長いほど自分の中に役が深く入り込んできます。今回も演じていくうちに斉昭のそういう意識が浸透していきました。《日の本》に対する思いが強ければ強いほど厄介者になってしまう。そしてそんな自分もちゃんと分かっていた。自分はもう政(まつりごと)から身を引くべき存在だということを…。ただ、厄介者でありながらも相当なエネルギーを与える役だったと思います。江戸パートはエネルギーとエネルギーのぶつかり合いです。それゆえにかなりのハイテンションで仕掛けていきました。
監督と最初に打ち合わせをしたときから、徳川斉昭という男はとてもアナーキーな人物だと感じました。しかし愛はとても深い人だと。偏った愛の形もあるのだと。
僕は、現場の雰囲気が静かだととても切なくなるので、アドリブを差し込んだりして現場にリズムを作りたかった。役を演じるということはある意味リズムです。台本は譜面です。現場が重くなりそうなときは、ギャグは差し込みましたね(笑)。現場のテンポを取りたかった。「今みんながどんな思いで現場にいるのだろう」って現場の空気を確かめるつもりでやってました。ただ、たまにテンションを上げすぎてセリフを忘れそうになったりもしましたね(笑)。
撮影現場は僕にとってはセッションです。エキストラの方々にもスタッフの方々にも、楽しい現場になってほしいって思ったりします。
あまり邪魔しないように…(笑)。
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