渋沢喜作(成一郎)を半年以上演じてきて、どんどん変化しているのを感じます。血洗島編では、若いころにしか出せないキラキラとした少年っぽさや、軽やかさを分かりやすく表現していこうと思いました。その後、「尊王攘夷」に傾倒し、江戸に出て武士になり、大人の男へと成長していく。血洗島でキラキラしていた少年たちが、世の中に巻き込まれて、自分たちが思いもよらなかった方向へと進んでいく。喜作のほうが栄一より変化が色濃く出ていると思うので、そのようになる流れはかなり意識して演じるようにしています。
そして、どれだけ武士としての貫禄が出てきても、栄一といるときは血洗島の方言や少年時代の“ノリ”みたいなものが出てしまうときがある。そんな幼なじみ2人の変わらない関係性も意識して演じています。
基本的に喜作は栄一に甘えているんです。そう思って演じています。血洗島を出て一橋の家臣となるまで、栄一は一人でもできたかもしれないけれど、喜作は絶対に一人ではそこにはたどりつかない人だと思います。年齢的に喜作が兄貴分、栄一が弟分という印象があるかもしれませんが、僕は五分五分だと思っています。
栄一の存在がなかったら、喜作は短命だったかもしれないと感じることが結構あります。
喜作が血洗島時代と幕臣時代では明らかに人が変わっているのに対し、栄一は、変わらない。出会った人に影響されて臨機応変に考えは変えても、人としては全く変わらない。そこが栄一の最大の魅力だと思います。だからこそ、喜作は血洗島時代のキラキラ感がなくなっていくほうが、栄一との対比としておもしろいのではないかと思っているんです。
めちゃくちゃいい!栄一のあのキレのよさ、力強さ、セリフのリズム。すべていいです。栄一のリズムをつかんで、セリフも動きも「栄一だったらこうする」という感覚が自然と出来上がっている。近くで見ていて、気持ちいいですし、お芝居もとてもやりやすいです。役と共に僕たちも成長していると思うので、演技のやりやすさは日々増しています。
あと、吉沢くんてかわいらしいですよね。素直で正直者で、人見知りなところも好きです。撮影の合間には「なに食べた?」とか結構くだらないことをいつも話している気がします。とても仲よくやれていると思いますよ。
この国を離れることや行き先がフランスだということには驚きがあったにせよ、喜作からしたら「栄一らしい」という感想でしょうね。フランスに行く前に、栄一と喜作のけんかも何度か描かれますが、幼なじみの男2人が同じ部屋に住んでいたら絶対にそんなの日常茶飯事。けんかをしても、同じ場所で生まれてずっと一緒に行動してきたので、「栄一ってこういうヤツ」と喜作は受け入れている。もちろん栄一も喜作を受け入れている。だからフランスに行くという決断に対しては、「おまえってやっぱりそういう選択するんだよね(笑)」って。
喜作は“武”のほうで国を支えようと思っているから、支え方は栄一とはすでに違っている。でもお互い応援しているし、考えも受け入れているので、軽やかに「行ってこい」という感じではないでしょうか。
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